『年越しそば』は何時に食べるのが正解?0時をまたぐのはNG?由来やタブーを解説

日本の大晦日といえば、年越しそばが脳裏をよぎりますよね。しかし、年越しそばは何時ごろ食べればいいのか疑問を持っている人も多いはず。今回は、年越しそばに関する情報をまとめました。食べる際の注意点や年越しそばを食べる意味などを紹介しますので、大晦日を迎える前にぜひチェックしておきましょう。

年越しそばは何時に食べるべき?

年越しそば

年越しそばは12月31日の大晦日に食べるものですが、具体的にいつの食事で食べるべきか悩むという人もいるでしょう。

結論から言うと、年越しそばは大晦日であればいつ食べてもよいとされています。

朝食として食べてもいいですし、ランチタイムにお店で少し豪華なものを頼むのもよいですね。夕食に家族への1年の労いとして楽しむのも、もちろん問題ありません。

ライフスタイルに合わせて、大晦日の食事の一環として年越しそばを楽しみましょう。

ただし、一点だけ注意したいのが「食べ終わる時間」です。江戸時代からの習慣では、年をまたいで食べ続けるのは縁起が良くないとされています。

除夜の鐘を聞きながら食べる場合でも、23時59分までには完食できるよう準備するのがおすすめです。

知っておきたい「年越しそば」の意味

白い台の上の年越しそばと茹でる前のそば

年越しそばは、単なる恒例行事ではなく、一つひとつの由来に新年に向けた願いが込められています。代表的な4つの意味を知ることで、大晦日の食卓がより深いものになるはずです。

長寿への願い

そばの麺は細くて長いことから、延命長寿のシンボルとされてきました。これは「身代(しんだい)も細く長く続くように」との願いを込めて、家運を伸ばす縁起物として食べられています。

植物としてのそばが風雨にさらされても、太陽を浴びればすぐに立ち直る力強さを持っていることも、生命力の象徴とされる理由の一つです。

厄災を断ち切る

そばは他の麺類に比べて切れやすい性質を持っています。この特徴から、その年の苦労や不運、借金といった厄落としを翌年に持ち越さず、綺麗に「断ち切る」という意味が込められています。

かつての江戸っ子たちは、嫌なことをその年のうちに清算する「切り捨て」の儀式として、この切れやすさをポジティブに捉えていました。

金運を呼び込む

昔の金細工師が、飛び散った金粉を集めるためにそば粉の団子を使っていたという逸話があります。

そば粉には粘り気があり、金粉を吸着させる性質があったためです。そこから「金を集める縁起物」として、新年の商売繁盛や金運アップを願う習慣が生まれました。

大晦日にそばを食べることで、翌年の財運を呼び込むと信じられています。

健康な体を作る

そばは古くから五臓の汚れを清める食べ物として知られてきました。現代でもルチンをはじめとするポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれており、栄養価の高さが注目されています。

高血圧予防や内臓のデトックスに役立つとされるそばを1年の終わりに食べることは、体を整えて健やかな状態で新年を迎えるための理にかなった知恵でもあります。

運気を逃さないために!年越しそばのNG行動

家族で年越しそばを食べているイメージのイラスト画像

せっかくの縁起物ですから、運気を下げてしまうような行動は避けたいものです。以下の点に注意して、気持ちよく新年を迎えましょう。

  • 年をまたいで食べること
  • 食べ残してしまうこと
  • 無理をして大盛りを注文すること

年越しそばは、その年の厄を出し切るための儀式でもあります。食べ残しは「運を捨てる」ことに繋がると考えられているため、完食できる量を分量として用意することが重要です。

特に夜食として食べる場合は、胃への負担も考慮して、自分に合った適度なボリュームで楽しみましょう。

こんなに違う!各地域の年越しそば

年越しに食べるものは、地域によって驚くほど多様です。自分の住んでいる地域以外の習慣を知ると、新しい発見があるかもしれません。

香川県の「年越しうどん」

うどんの生産量で知られる香川県では、そばではなく「うどん」で年を越す家庭が多くあります。純白で太いうどんを食べることで、一年の幸せを太く長く願う文化が定着しています。

近年では、紅いトッピングを添えて紅白に見立てた「年明けうどん」を正月に食べる習慣も広まっており、うどん県ならではの年末年始の楽しみ方といえます。

福井県の「越前おろしそば」

福井県では、冷たいそばにたっぷりの大根おろしと削り節、ネギを乗せたスタイルが定番です。

大晦日の寒い時期であっても、冷たいつゆをかけて食べるのが一般的。大根おろしのピリッとした辛みが、一年の締めくくりをシャキッとさせてくれます。

昭和天皇が福井を訪れた際にその味を絶賛されたことでも知られる、歴史ある食べ方です。

沖縄県の「沖縄そば」

沖縄県で広く親しまれているのは、小麦粉100%で作られる沖縄そばです。

蕎麦粉を一切使わない独自の麺に、三枚肉やソーキ、かまぼこ、紅生姜を乗せたボリュームたっぷりの一杯が、沖縄の大晦日の食卓を彩ります。

本土のそばとは見た目も味も異なりますが、地域に根付いた大切な縁起物として愛され続けています。

京都府や北海道の「にしんそば」

甘辛く煮た大きなニシンの身をどんぶりの中央に乗せるにしんそばは、京都や北海道でよく見られる伝統の一杯です。

ニシンは卵(カズノコ)が多い魚であることから、子孫繁栄の願いが込められています。京都の古い商家では、忙しい年末に手間をかけず、かつ栄養価の高いものとして重宝された歴史があります。

そばに込めた願いを噛み締めて、良い新年を

年越しそばは、12月31日中であればいつ食べても問題ありません。やってはいけない注意点に気を配りつつ、1年を振り返りながらそばを堪能しましょう。

形式にこだわりすぎる必要はありませんが、その由来を知ることで、いつものそばがより味わい深く感じられるはずです。海老を乗せて長寿を願ったり、ネギを乗せて1年を「ねぎらう」気持ちを込めたりと、自分なりのアレンジを加えるのも素敵ですね。

忙しい大晦日のひととき、そばを啜る時間だけはゆっくりと構え、清々しい心で新しい1年の扉を開いてみてはいかがでしょうか。

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