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実家暮らしは悪くないが、当たり前がズレることがある

実家で家族と暮らすこと自体は、否定されるものではありません。経済面で助かる、家族と支え合えるなど、実家暮らしにはわかりやすいメリットもあります。
実際、若い世代では実家暮らしが4割前後という調査もあり、珍しい選択ではありません。
ただ、実家は生活が回る仕組みがすでに整っています。困ったときに誰かが動き、足りないものは補充され、家の中の細かな作業も自然と片づいていく。こうした環境に慣れていると、一人暮らしの場面で「え、これも自分でやるの?」と驚くことがあります。
一人暮らしをしたことがない人『あるある』5選

ここで紹介するのは、性格の問題というより、経験の差から起こりやすいズレです。実家暮らしが長い人ほど、気づかないままになりやすいポイントをまとめました。
1. 生活に必要な“補充や管理”が見えにくい
実家では、日用品がいつの間にか増えていたり、ゴミがまとめられていたりします。だからこそ、生活の土台を支える作業が「自分の視界に入りにくい」ことがあります。
一人暮らし未経験だと、生活は自然に回るものだと感じやすいのが、このあるあるの正体です。実際の暮らしは、細かい管理が止まるとすぐに困りごとになります。
たとえば、切れて初めて気づくものは意外と多いものです。
- トイレットペーパー
- 洗剤
- ゴミ袋
- 調味料
- 電池
こうした「なくなる前提のもの」は、置いておけば勝手に復活するわけではありません。補充のタイミングを読んだり、置き場所を決めたりする作業も含めて、生活は成り立っています。
2. 細かい出費が積み重なる感覚をつかみにくい
実家暮らしだと、生活に必要なお金の全体像をつかみにくいことがあります。家賃のような大きな支出は想像できても、日々の小さな買い足しは見えにくいままになりがちです。
一人暮らしを始めると、コンビニで買う水やティッシュ、洗剤の詰め替え、キッチン周りの消耗品など、「数百円の出費」が何度も重なります。一つひとつは小さくても、毎月ちゃんとお金が出ていくのが現実です。
実家では家族がまとめて買っていたり、家計の中で処理されていたりして、個人の感覚としては残りにくい部分です。そのため、いざ自分で生活を組み立てようとしたときに、想像より出費が増えて驚くことがあります。
3. 光熱費や契約の仕組みを“自分ごと”として捉えにくい
実家暮らしでは、電気やガス、水道、ネット回線などの契約や支払いを家族がまとめて管理していることが多いものです。金額を見たとしても、「家の分」として処理されるため、使用量と支出が結びつきにくいままになりがちです。
一人暮らしになると、同じ暮らし方をしているつもりでも請求額に差が出ます。エアコンを使う時期、シャワーの長さ、家にいる時間が増えた月など、生活の変化がそのまま金額に反映されます。使い方と請求額が直結するという感覚は、経験しないとつかみにくい部分です。
また、契約や手続きも日常に入り込みます。引き落としの口座、支払い方法、更新や解約の期限など、細かな決まりごとがあり、放置すると困る場面も出てきます。
実家では誰かが見てくれていたことが、一人暮らしではそのまま自分の役割になります。
4. 困ったときの“最初の動き”が自分の中で固まりにくい
家電が急に動かない、鍵をなくしたかもしれない、水回りの調子が悪い。こうしたトラブルは、起きた瞬間に少し焦ります。実家暮らしの場合、同じ家の中に家族がいるので、まず声をかけて状況を共有しやすい環境があります。
そのため、一人暮らしをしたことがない人は、困ったときに「まず何を確認するか」「どこへ連絡するか」といった流れを、自分ひとりで組み立てる経験が少ないことがあります。判断を間違えないことより、最初の一手が遅れるという形で表れやすいのが特徴です。
これは知識がないというより、実際に自分が動く場面に直面していないだけ、というケースがほとんどです。経験の有無が、そのまま落ち着きやすさの差になります。
5. 家事を「やる作業」だけで考えやすい
掃除や洗濯、料理は、誰でもイメージできます。実家で手伝いをしている人も多いでしょう。
ただ、一人暮らしの家事は「たまにやる作業」ではなく、暮らしを続けるための習慣として積み上がっていきます。
仕事や学校で疲れていても、ゴミは溜まるし、洗濯物も増えます。体調が悪い日でも、最低限の環境は自分で守らなければいけません。一人暮らし未経験の場合、家事を「今日はやる、今日はやらない」といった単発の判断として捉えやすく、続ける負担を想像しにくいことがあります。
家事は気合いで片づけるものではなく、生活の一部として淡々と回していくものです。その感覚は、実際に一人で暮らしてみて初めてはっきりします。
実家暮らしのメリットもきちんと押さえておく

ここまで「あるある」を見てきましたが、実家暮らしには強い利点があります。自分にとっての暮らし方を考えるうえでは、欠点だけでなく、良い面も整理しておく方が判断しやすくなります。
- 生活費を抑えやすい
- 家族と助け合える
- 体調が悪いときに安心感がある
- 家族の変化に気づきやすい
実家暮らしは、暮らしを安定させやすい環境です。だからこそ、「自分で回す経験」が後回しになりやすい面もあります。
どちらが正しいという話ではなく、今の生活で何が補われ、何が見えにくくなっているかを知っておくことが大切です。
まとめ

一人暮らしをしたことがない人の「あるある」は、能力の差というより、生活の仕組みが見えにくい環境に慣れていることで起こりやすいズレです。
実家暮らしは安心感や経済面の強さがある一方、補充や管理、支出の全体像、困ったときの初動などを自分で回す経験は積みにくくなります。
大切なのは、一人暮らしをすべきかどうかではなく、どんな暮らし方でも生活を自分の言葉で説明できる状態にしておくことです。見えていなかった部分が見えるだけで、選択肢は増えます。









