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実は簡単!甘いみかんには「共通点」がある

みかんは10月〜3月頃に旬の時期を迎えます。冬にこたつでみかんを食べる光景は、日本の冬の風物詩とも言えるでしょう。
そんなみかんですが、なぜ「甘いもの」と「そうでないもの」があるのでしょうか。実は、みかんは木になっている間に、水分を制限されるなどのストレスがかかると、種を残そうとする生存本能が働き、果実に糖分をぎゅっと蓄える性質があります。
つまり、甘いみかんには「苦労して甘くなった証拠」が外見に必ず現れています。なんとなく綺麗なものを選ぶのではなく、そのサインを知ることで、スーパーでも美味しいみかんを厳選することができるのです。
スーパーで甘いみかんを見分ける8つのコツ

ここではスーパーで『甘いみかん』を見分ける具体的なコツを確認しましょう。なんとなく選ぶのではなく、理由を知って厳選することで、ご家庭でより甘味の強い美味しいみかんを味わうことができますよ!
1. ヘタの「軸」が細い
最も重要かつプロが必ずチェックするのが、ヘタの中心にある「軸(切り口)」の太さです。この軸は、木から果実に水分や栄養を送るパイプの役割をしています。
軸が細いということは、余分な水分が入らず、果実に厳しい環境(ストレス)が与えられた証拠です。水分が制限されると、みかんは身を守るために糖分を蓄えるため、濃厚な甘さに仕上がります。
逆に、軸が太いものは水分をたっぷりと吸い上げているため、味が薄く水っぽくなりやすい傾向があります。
2. ヘタの色は「緑色」
ヘタの色は、熟し具合ではなく「鮮度」を見るバロメーターです。
「黄色いヘタの方が熟している」という説もありますが、店頭に並んでいる状態でヘタが黄色や茶色に変色しているものは、収穫から時間が経ちすぎて鮮度が落ちている(枯れている)可能性が高いでしょう。
みかんは収穫後も呼吸をしており、鮮度が落ちると酸味だけでなく甘みや風味も飛んでしまいます。軸が細く、かつ青々とした「緑色」をしているものが、新鮮でジューシーなみかんです。
3. 皮の色が「濃いオレンジ色」
みかんの甘さの源は、葉で行われる光合成です。太陽の光をたっぷりと浴びて育ったみかんは、皮の色素が濃くなり、鮮やかなオレンジ色(紅色)になります。
また、実が熟すにつれて皮の緑色が抜けていくため、色が濃いことは完熟のサインでもあります。売り場のみかんを見比べて、黄色っぽいものよりも、赤みが強く濃い色をしている個体を選びましょう。
4. 形が「平べったい」
みかんは、見た目がまん丸なものよりも、押しつぶしたような「平べったい形」の方が甘いと言われています。
みかんの果実は、成長過程で糖度が高まってくると、縦方向よりも横方向への成長が活発になる性質があるからです。
腰が低く、どっしりと横に広がった形は、甘みが十分にのった証拠。きれいな球体のものより、少し不格好でも平らな形が狙い目です。
5. 皮のつぶつぶが「細かい」
皮の表面をよく観察すると、小さなつぶつぶ(油胞)が見えます。このつぶつぶのキメが細かく、密度が高いみかんを選んでください。
キメが細かいものは、土壌の水分管理が適切に行われ、果実の細胞が引き締まって育った証です。皮が薄く剥きやすい傾向もあり、中の袋(薄皮)も薄くて口当たりが良いことが多いのです。
逆にキメが粗く毛穴が開いたように見えるものは、皮が厚く大味になりがちです。
6. 表面がボコボコしている(菊みかん)
もし売り場で、表面がデコボコとしていて、まるで菊の花のような模様が出ているみかんを見つけたら幸運です。これは「菊みかん」と呼ばれ、果実の成長期に雨が少なく、強い水分ストレスがかかったことで生まれる形状です。
中身の成長に対して皮の成長が追いつかないほど実が詰まっており、極限まで甘味が凝縮された「大当たり」の個体です。見た目が悪いため敬遠されがちですが、見つけたら迷わずカゴに入れましょう。
7. サイズは「SかM」の小さめ
贈答用などでは見栄えの良いLサイズ以上が好まれますが、純粋に「甘さ」と「味の濃さ」を求めるなら、SサイズやMサイズといった小玉がおすすめです。
大きいみかんは果実の体積が大きいため、水分が多く味が分散しやすい傾向があります。一方、小さいみかんは一房ごとの味が凝縮されており、甘みと酸味のバランスが取れたコクのある味わいを楽しめる確率が高いのです。
8. 皮と中身が「ピタッ」としている
みかんを手に持った時、皮と中身の間に隙間がある「浮皮(うきがわ)」の状態になっていないか確かめましょう。浮皮は、収穫遅れや水分過多によって皮だけが成長してしまった状態です。
これらは味がぼやけていたり、酸味が抜けすぎて締まりのない味になっていたりすることがあります。皮が実にピタッと張り付いていて、サイズに対してずっしりと重みを感じるみかんこそ、果汁が詰まった美味しいみかんです。
酸っぱいみかんを「甘くする」裏ワザ

見た目で厳選しても、時期や品種によっては酸味が強いみかんに当たってしまうこともあります。そんな時もガッカリして捨てる必要はありません。
酸っぱいみかんを美味しく変身させる、科学的根拠に基づいたライフハックがあります。
食べる前に軽く揉む
食べる前にみかんを優しく揉む、あるいはお手玉のようにポンポンと投げてみてください。
衝撃を与えることで、みかんは傷ついた細胞を修復しようと働き、そのエネルギー源として酸味成分(クエン酸)を消費します。
これにより酸味が一時的に減少し、相対的に甘みを強く感じるようになります。強く揉みすぎると実が潰れて食感が悪くなるため、全体を優しくマッサージする程度がポイントです。
トースターで「焼きみかん」にする
皮ごとトースターで焼いて「焼きみかん」にするのもおすすめです。
加熱することで酸味成分が分解されやすくなるほか、果実に含まれる甘み成分が凝縮され、トロッとした濃厚な甘さを楽しめます。
- 焦げ目がつくまで5分〜10分程度焼く
- 皮に切れ込みを入れる
このひと手間で、酸っぱいみかんがまるでホットスイーツのような味わいに変化します。
数日置いて酸味を抜く
酸味が強い場合は、すぐに食べずに数日間置いておく「追熟(ついじゅく)」を試してみてください。
みかんは収穫後も呼吸を続けており、呼吸のために酸味成分(クエン酸)を消費します。風通しの良い涼しい場所(冷暗所)で保管することで、徐々に酸が抜けてまろやかな甘みに変化します。
ただし、暖房の効いた部屋や乾燥した場所に置くと、水分が抜けてシワシワになってしまうので注意が必要です。
次の買い物は「軸・形・色」をチェックしよう

今回は甘いみかんを見分ける8つのコツをご紹介しました。
美味しいみかんを選ぶことは、単に「甘いものを食べる」だけでなく、「厳しい環境で甘みを蓄えさせた農家さんの努力」を受け取ることでもあります。「軸が細い」「平べったい」「菊みかん」といったサインは、みかんが美味しくなろうと頑張った勲章のようなものです。
ぜひ次回の買い出しでは、カゴに入れる前に少しだけ観察してみてください。そのひと手間で、冬の団らんがもっと豊かで甘い時間になるはずです。









