チルド室に入れてはいけないNG食材6つ 冷蔵庫の使い方を見直そう

冷蔵庫のチルド室は、食品が凍る手前の低温で保存できる便利なスペースです。肉や魚の鮮度を保ちやすい一方で、相性の悪い食材を入れると食感が変わったり、野菜が傷んだりすることもあります。チルド室の基本を簡単に押さえたうえで、入れてはいけないNG食材を整理します。

冷蔵庫のチルド室ってどんな性能?

空の冷蔵庫

チルド室は、冷蔵庫の中でも温度が低めに保たれる収納スペースです。「チルドルーム」「フレッシュルーム」と呼ばれることもあります。

狙いはシンプルで、凍らせたくないけれど鮮度は落としたくない食材を置く場所です。便利な反面、冷え方が合わない食材もあるので、特徴だけは押さえておくと失敗が減ります。

チルド室の温度の目安

多くの家庭用冷蔵庫では、チルド室は0~3℃前後の温度帯になることが一般的です。冷蔵室(目安として2~6℃前後)より低く、冷凍室(目安としてマイナス18℃前後)ほどは冷えません。

ただし、チルド室は庫内の風の当たり方や詰め方で冷え方が変わります。奥や吹き出し口付近は冷えやすく、体感として「思ったより冷たい」状態になることもあります。

チルド室はどこにある?

チルド室は、多くの機種で「冷蔵室のいちばん下」にある、フタ付きの引き出しケースとして配置されています。

透明ケースで取り出しやすく、細かいものの置き場にされがちですが、冷蔵室とは役割が少し違います。庫内に「チルド」「フレッシュ」「切替」などの表示がある場合は、それが目印になります。

チルド室に入れてはいけない6つのNG食材

禁止する主婦 女性

チルド室が合わない食材は、大きく分けると理由が3つあります。

  • 凍ることで食感が変わる
  • 寒さで傷む(低温障害)
  • 飲み物や冷凍品が状態変化を起こす

このどれかです。ここでは「なぜNGなのか」に絞って、ありがちなものから順に整理します。

1. 水分が多い食品(豆腐・こんにゃくなど)

豆腐やこんにゃくは水分が非常に多い食材です。チルド室は0℃付近になることがあり、置く場所や庫内の状態によっては表面が凍りかけることがあります。

いったん凍ると、内部の水分が氷の結晶になって組織が崩れやすく、解凍後に水分が抜けてスカスカした食感になりがちです。

豆腐のなめらかさや、こんにゃくのぷるんとした歯ごたえを保ちたい場合、チルド室は相性がよくありません。

2. 卵(生卵)

白い卵

卵は冷蔵保存が基本ですが、チルド室は冷え方が強く、冷気が当たりやすい位置に置くと部分的に凍りかけることがあります。

卵の中身は凍ると膨張しやすく、殻に細かなヒビが入ると外側からの影響を受けやすくなる可能性があります。

また、卵は冷蔵室でも十分に管理できる食材です。チルド室の低温を「特に必要とするもの」ではないため、冷えすぎのリスクを背負ってまで入れるメリットは大きくありません。

3. ビール・炭酸飲料

ビールをキンと冷やしたくてチルド室に入れたくなることがありますが、長く入れておくほど冷えすぎが起きやすくなります。

ビールは低温で白く濁ることがあり、見た目や口当たりが変わる原因になります。さらに凍るほど冷えると中身が膨張し、缶や瓶に負担がかかります。

炭酸飲料も同様で、凍りかけると体積が増えやすく、容器の変形や破損につながる可能性があります。飲み物は「冷やせば冷やすほど安心」というタイプではない点に注意が必要です。

4. マーガリン

マーガリンのフタを開けた様子

マーガリンは、油脂に水分が混ざった状態で作られていることが多く、温度が下がると硬くなりやすい食品です。

チルド室の0℃付近では、油脂が急に固まり、パンに塗りにくいほど硬くなることがあります。さらに冷え方によっては部分的に凍りかけて、解凍したときに水分がにじんだり、なめらかさが落ちたりすることもあります。

食べられなくなるわけではありませんが、使い勝手と食感が悪くなりやすい点でチルド室は不向きです。

同じ油脂でもバターは乳脂肪が中心で、マーガリンほど水分が多くないため、状態が崩れにくい傾向があります。ただしバターも冷えすぎると硬くなるので、塗りやすさを優先するなら冷蔵室で保管する方が扱いやすいでしょう。

5. 寒さに弱い野菜(きゅうり・なすなど)

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野菜は野菜室に入れるもの、というイメージがありますが、実は野菜の中にも「低温に強いもの」と「寒さに弱いもの」があります。

きゅうり・なす・ピーマン・トマトなどは、冷えすぎると品質が落ちやすい代表例です。

0℃付近の環境に置くと、表面がくぼんだり変色したり、みずみずしさが失われたりする「低温障害」が起きることがあります。凍っていなくても傷んだように見えるのがやっかいで、食感や風味も落ちやすくなります。

野菜をチルド室に入れるときは「傷みやすいから低温が良い」と決めつけず、寒さに弱いタイプは避ける方が安心です。

6. 冷凍食品・一度凍らせた食品

冷凍庫がいっぱいだからと、冷凍食品を一時的にチルド室へ移すのはおすすめできません。

チルド室は「冷凍」ではなく「冷蔵」の温度帯なので、ゆっくり解凍が進み、食感の劣化やドリップの増加につながりやすくなります。

いったん解凍が進んだ食品を再び凍らせると、細胞が壊れて味が落ちやすいだけでなく、解凍中の温度帯によっては衛生面の不安も増えます。

冷凍食品は冷凍室で管理し、チルド室は「凍らせたくない食材」のために空けておく方が使い分けがきれいです。

チルド室には何を入れる?

チルド室は、冷蔵室より低い温度で食品の変化をゆるやかにしやすい場所です。スペースが限られているので、何でも入れるより「入れると得をするもの」を優先すると使い方が安定します。

目安は、傷みやすい主役食材と、風味を変えたくない食品です。

肉・魚は「すぐ使う分」

肉や魚は傷みやすく、冷蔵室に置いているだけでも状態が変わりやすい食材です。

チルド室の低温は、そうした変化をゆるやかにしやすく、今日明日で使う分を落ち着かせる置き場として向いています。特に刺身や切り身のように空気に触れる面が多いものは、温度が安定している方が扱いやすくなります。

納豆・キムチ・チーズなどは風味を守りやすい

納豆やキムチ、味噌のような発酵食品は、温度が高いほど味や香りが変わりやすくなります。チルド室に置くと変化がゆるやかになり、いつもの風味を保ちやすくなります。

チーズやヨーグルト、生クリームなどの乳製品も同じで、ゆっくり使いたいときの置き場として相性がいい食品です。バターも冷えすぎると硬くはなりますが、味が変わりやすい食品を落ち着かせたいときに選ばれることがあります。

野菜は「例外だけ」

野菜は基本的に野菜室が向いています。チルド室に入れていいのは、低温で落ち着く一部の野菜です。

もやしやブロッコリーのように傷みが早いタイプは、冷蔵室より低い温度で保存した方が状態が保ちやすいことがあります。反対に、きゅうりやなすなど寒さに弱い野菜もあるため、「野菜はチルド室が良い」とまとめて考えない方が失敗しにくくなります。

チルド室の使い方で失敗しないコツ

チルド室は温度が低いぶん、使い方しだいで「思ったより冷える」「逆に冷えが弱い」といった差が出ます。

ポイントは、チルド室を特別な場所にするのではなく、低温のメリットが出る食材だけを、気持ちよく置ける状態にすることです。

詰め込みすぎない

チルド室はスペースが小さめです。ぎゅうぎゅうに詰めると冷気が回りにくくなり、冷え方にムラが出やすくなります。

奥だけ冷えすぎたり、手前が思ったほど冷えなかったりすると、食材の状態が安定しません。入れるものを絞り、重ねすぎない配置にすると、チルド室の良さが出やすくなります。

冷えすぎやすい場所を避ける

同じチルド室でも、奥や冷気が当たりやすい場所は温度が下がりやすくなります。凍りやすいものや、冷えすぎると困るものは、奥に押し込まず手前側に置くと影響を受けにくくなります。

逆に、しっかり冷やしたい肉や魚は、ケースの中で動かないように置く方が状態が落ち着きやすくなります。

肉や魚は「余計な水分」を抱え込ませない

肉や魚は、パックの中に水分が出ていると、食材がべたつきやすくなり、ニオイ移りや状態変化の原因にもなります。

キッチンペーパーで軽くおさえ、ラップや保存容器で密閉すると落ち着きやすいです。チルド室は低温でも乾燥しやすいので、密閉は鮮度のための小さな助けになります。

まとめ

チルド室は0℃前後の低温で、凍らせずに鮮度を保ちたい食材に向く一方、豆腐や卵のように凍りやすいもの、きゅうりやなすのように寒さで傷むもの、ビールや炭酸飲料のように状態が変わりやすいものは相性がよくありません。

大切なのは「冷やすほど安心」ではなく、冷蔵庫の中にも役割があると知ることです。チルド室を肉や魚、発酵食品の指定席にしておくと迷いが減り、結果として食材をムダにしにくい冷蔵庫になります。

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