土鍋で絶対やってはいけないこと10選…知らずにやると割れる原因に

土鍋は保温力に優れ、料理をおいしく仕上げる魅力的な調理器具です。ですが、扱いを間違えるとすぐにひび割れやカビが発生してしまうこともあります。この記事では、土鍋でやってはいけない行為とその理由を紹介します。正しい扱いを理解して、長く愛用できる土鍋に育てましょう。

土鍋は意外と壊れやすい!使う前に知っておくべきこと

蓋をした白い土鍋

土鍋は金属鍋とはまったく違う性質を持っています。

粘土を焼いて作られた多孔質(たくさんの小さな穴がある構造)のため、温度変化や水分を吸いやすく、衝撃にも弱いのが特徴です。

そのため、ほんの少しの扱い方の違いがひび割れや劣化につながります。

「長く使っている人ほど扱いが丁寧」と言われるのは、土鍋がデリケートな素材だからこそ。正しい扱いを知っておくことが、長持ちさせるための最初のステップです。

ここからは、土鍋でやってはいけない行為を紹介します。それぞれの理由を理解すれば、自然と扱い方のコツも見えてきます。

土鍋でやってはいけないこと10選

土鍋は少しの不注意で割れてしまうことがあります。以下の項目は、特にトラブルにつながりやすい行為です。「なぜそれがNGなのか」を理解しながら確認していきましょう。

1.目止めをしないまま使い始める

新品の土鍋は、まだ内部の小さな穴がむき出しの状態です。

この穴をふさぐ「目止め」をしないまま使うと、水や煮汁が浸み込み、加熱したときに膨張してひび割れる原因になります。また、汁や油が素地に染み込んでしまい、料理の匂いが残ることもあります。

目止めは、土鍋の寿命を延ばすための基本の準備。

おかゆや米のとぎ汁を弱火で煮ることで、デンプン質が目をふさぎ、強度と防臭効果を高めます。なお、近年は「目止め不要」と明記された製品もあるため、使用前に確認すると安心です。

2.急激な温度変化を与える

土鍋が割れる一番の原因は、温度差による「熱衝撃」です。

急に熱したり、冷やしたりすると、土の膨張と収縮が一気に起こり、表面が耐えられなくなります。

特に注意したいのは次のような使い方です。

  • 冷たい状態のまま強火にかける
  • 何も入れずに火にかける(空焚き)
  • 濡れた底をそのまま火にかける
  • 熱い鍋に冷水をかける

これらはいずれも温度差を生む行為です。

火にかける前は鍋底の水分を拭き取り、弱火からじっくり温めるようにしましょう。

3.冷たい食材や冷凍食品をそのまま入れる

冷凍食品や冷蔵庫から出したばかりの肉や魚をそのまま入れるのもNGです。

温度差で内部が急激に冷やされると、土鍋が耐えきれずにひびが入ることがあります。また、冷たい食材を入れると加熱ムラも起きやすく、料理の仕上がりにも影響します。

冷凍食材は常温または冷蔵庫で自然解凍し、調理前に室温に戻すのが理想です。土鍋は“ゆっくり温めて、ゆっくり冷ます”を守ることで長持ちします。

4.食洗機や乾燥機に入れる

土鍋は高温や高水圧に弱いため、食洗機での洗浄は避けましょう。

強い水流や洗剤の成分が土の中に入り込み、次の調理で臭いが移ることがあります。さらに、食洗機や乾燥機の高温処理は土鍋に熱衝撃を与え、ひびや欠けの原因にもなります。

手洗いが基本で、使用後は冷ましてから柔らかいスポンジで洗うのが理想です。「食洗機対応」と書かれている場合でも、土鍋への負担が大きいため避けたほうが安全です。

5.洗剤でしっかり洗おうとする

汚れを落とすために洗剤を多めに使ってゴシゴシ洗うのは避けてください。

土鍋の内部には目に見えない小さな穴があり、そこに洗剤が入り込むと、加熱したときに臭いや泡が出ることがあります。

これは洗剤成分が土の中に残っているサインです。

普段の洗浄は、ぬるま湯で優しくこすり洗いするだけで十分です。どうしても汚れが落ちない場合は、重曹を少し入れて煮沸し、完全に乾かしましょう。

もし洗剤を使ってしまった場合は、ぬるま湯でよくすすぎ、丸一日以上自然乾燥させれば再び使えます。

6.水や洗剤に長時間つけ置きする

焦げ付きや汚れを落とそうとして、土鍋を長時間水や洗剤に浸すのは避けましょう。土鍋は吸水性が高く、水分を内部まで吸い込むと、乾くまでに時間がかかります。

この状態で保管すると、内部の湿気が残り、カビや臭いの原因になります。短時間で落ちない汚れは、ぬるま湯に少し重曹を加えて軽く煮立てるときれいになります。

浸け置きではなく、短時間の“温め洗い”が安全です。

7.焦げや汚れを強くこすって落とす

焦げやこびりついた汚れを、金属たわしや研磨剤入りのスポンジで強くこするのはNGです。

土鍋は表面がもろく、強い摩擦によって細かい傷が入りやすい素材です。その傷からひび割れが広がったり、欠けが生じることがあります。

汚れは木べらで軽くこそげ取ったあと、重曹を少量入れて煮沸すれば無理なく落とせます。焦げを力で落とすのではなく、温めて“浮かせる”ように取り除くのがコツです。

8.完全に乾かさずに保管する

洗った土鍋を、しっかり乾かさないまま収納するのは避けましょう。

表面が乾いていても、内部には水分が残っていることがあります。そのまま保管すると、カビや臭いが発生しやすくなり、次回使用時に嫌なにおいが立ちのぼります。

乾かすときは、ふきんで表面の水分を拭き取り、通気性の良い場所で一晩以上自然乾燥させます。長期間保管する場合は、新聞紙で包んで湿気を防ぐのがおすすめです。

保管場所はシンク下よりも、風通しの良い棚の上が理想です。

9.揚げ物や酸の強い料理など、不向きな調理をする

土鍋は万能のように見えますが、実は向かない料理もあります。特に避けたいのが揚げ物や酸味の強い料理です。

油は土鍋に染み込みやすく、次回加熱したときに異常加熱や発火を起こす危険があります。また、トマトや酢を使う料理は酸が強く、釉薬を痛めて変色やひび割れを起こします。

代表的に避けたい料理は次の通りです。

  • 揚げ物(油がしみ込む)
  • 酸味の強い煮込み料理(表面劣化)
  • 乳製品を多く使うシチュー(焦げやすい)
  • 冷凍食材をそのまま加熱(温度差で割れる)

土鍋は「じっくり温める料理」に向いた器具です。煮込みや炊飯にこそ本領を発揮します。

10.料理を入れたまま保存する

調理後の料理を土鍋に入れたまま冷蔵庫にしまうのはやめましょう。

塩分や油分、酸が土鍋の素地に浸み込み、においや色が残る原因になります。さらに、湿気を含んだまま長時間放置すると、内部にカビが発生することもあります。

残った料理は必ず別の容器に移し替え、土鍋は洗ってしっかり乾かしてから保管してください。

土鍋の正しい使い方

やってはいけないことを理解したうえで、土鍋を長く使うための基本も押さえておきましょう。土鍋は丁寧に扱えば10年以上使えると言われています。

ここでは、日常で実践できる扱い方を紹介します。

加熱は弱火から始める

土鍋は急な温度変化に弱いため、加熱は必ず弱火から始めます。最初の数分をゆっくり温めることで、鍋全体に均等に熱が伝わり、ひび割れを防げます。

IH対応鍋を使う場合も、急加熱モードは避けて火力を手動で調整しましょう。

使用後は自然に冷ます

調理が終わったら、熱い状態のまま水をかけず、自然に冷ますようにします。

急激に冷やすと、外側だけが収縮して割れやすくなります。手で触れられる程度に冷めてから洗うのが安全です。余熱を利用して保温調理に使えば、省エネにもなります。

洗うときは柔らかいスポンジを使う

洗剤を多く使わず、ぬるま湯で優しく洗うのが基本です。

油汚れがひどいときは、重曹を小さじ1ほど入れて10分ほど煮ると汚れが浮き上がります。お茶がらを一つかみ入れて煮沸するのも、臭い取りに効果的です。

金属製のスポンジは表面を削るため使わないようにしましょう。

しっかり乾かしてから保管する

洗ったあとは、ふきんで水気を拭き取り、風通しの良い場所で一晩以上自然乾燥させます。内部まで完全に乾かすことがカビ防止の基本です。

乾燥後は新聞紙で包み、湿気の少ない棚などに保管します。直射日光の下で急激に乾かすと割れることがあるため、陰干しが安心です。

使う前のひと手間を忘れない

長期間使っていない土鍋は、乾燥しすぎていることがあります。使う前に内側を軽く湿らせてから火にかけると、焦げ付きやひび割れを防げます。

1年に1回ほど、米のとぎ汁でおかゆを炊いて目止めを行うと、土鍋がより丈夫になります。

まとめ

土鍋は正しい扱いをすれば、10年以上使い続けられる頼もしい調理器具です。

長持ちの秘訣は、温度差を避けることと、内部に水分を残さないことの2点です。また、使用後は「冷ます・洗う・乾かす」を焦らず丁寧に行いましょう。

近年はIH対応や直火兼用など種類も増えていますが、共通するのは“扱い方の基本”です。季節を問わず、土鍋を大切に育てながら、おいしい料理を長く楽しんでください。

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