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いわしの旬の時期
日本で流通しているイワシには「マイワシ」、「カタクチイワシ」、「ウルメイワシ」の三種類があります。一般的には、「いわし」の旬は脂がのってくる秋から冬にかけて(9月~11月)と言われています。
ですが「いわし」の旬は秋から冬の時期だけではないのです。いわしは全国各地で水揚げされる魚で、いわし3種それぞれ(マイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシ)でも旬の時期が異なって同種でも脂がのる時期にズレがあり、一概に旬がズバリいつとは表現しづらくなっています。
関東では6月から夏場にかけての梅雨時に獲れる脂のりが最もよく、このマイワシを「入梅いわし」と呼んでいます。このように地域によって春先が旬の「いわし」もあれば、夏が旬の「いわし」もあり、「いわし」の旬は、明確に定まってはいないのです。
いわしの種類とそれぞれの旬
日本で流通しているイワシには「マイワシ」、「カタクチイワシ」、「ウルメイワシ」の三種類があります。それぞれの特徴と旬を紹介します。
マイワシ(真鰯・真鰮)
マイワシは代表的なイワシで、鮮魚として店頭に並ぶ機会が多いイワシです。他のイワシとの見分けは、側線に沿っていくつか黒い斑点が並んでいるので分かります。旬は6月から10月ごろになります。初夏から秋にかけて美味しい時期を迎えるイワシです。また、マイワシは出世魚でその大きさによって呼び名が変わります。
2.アオコ、ヒラゴ、タツクチ:数センチほど(10cm未満)
3.コバ(小羽いわし):10㎝前後
4.チュウバ(中羽いわし):15cm前後
5.オオバ(大羽いわし):20cm前後
カタクチイワシ(片口鰯)
マイワシに比べ細く小さいイワシで、大きい物でも14cm~15cmのサイズです。ほとんどがイリコなどの加工にまわされて、鮮魚として店頭に並ぶのはほんのわずかです。傷みが早い魚なので、なかなか生の刺身で食べる機会は無いかもしれませんが、鮮度が良い物はとても美味しいです。
旬は9月~1月ごろになります。カタクチイワシ科の魚を総称して英語でアンチョビと言います。一般的にイタリア料理に使われるアンチョビは、このカタクチイワシを塩漬けしてオイルに浸け込んだものです。カタクチイワシの稚魚もしらすです。
スーパー等で見かける「しらす」は主にカタクチイワシを加工したものになります。これを釜茹でにしたものを「釜揚げしらす」と言い、この釜揚げしらすを干して、半分乾燥させたものが「しらす干し」で、完全に乾燥させたものが「ちりめんじゃこ」となります。
鮮魚としてはなかなかお目にかかることは無いと思いますが、日本の食卓で幅広く利用され、実は馴染みの深い魚なのです。
ウルメイワシ(潤目鰯)
目が大きくうるんで見える事からウルメイワシと名付けられています。その目の大きさゆえ、古くから目刺しにした干物、いわゆるメザシに加工され食べられてきました。鮮度落ちが極めて早く、イワシ三種の中では脂が少なく淡白な身質であるため干物にされる事が多いのです。ウルメイワシはマイワシやカタクチイワシなどの中では最も大きくなるイワシで、成魚は全長30cm程になります。旬は10月~2月ごろです。
旬のいわしを楽しむレシピ
旬のいわしを食べるときは、生で刺身やタタキにして食べることをおすすめします。ここでは刺身以外での生でいわしを楽しむレシピを紹介します。
梅干しを使った旬のいわしのたたき
材料(2人分)
- いわし:6匹
- 梅干し:1個
- しそ(大葉):4枚
- 酢:50cc
- 塩:小さじ1/2
作り方
いわしを手開きにして尾を切り落とし、小骨も取り除いておきます。水で洗ってキッチンペーパーでしっかり拭いたら容器に並べます。酢に塩を溶いて、それを鰯に塗ってかけて30分くらい漬けます。梅干しから種をとって、包丁でたたきます。大葉は糸切りにします。鰯を一口大に切りわけて、たたいた梅、大葉とさっと合わせれば完成です!
いわしのなめろう
材料(2人分)
- いわし:6匹
- 万能ねぎ:2本
- みょうが:1個
- 大葉:6枚
- おろししょうが:小さじ1
- みそ:大さじ2
- 酢:適量
作り方
- いわしを手開きにして、尾を切り落として皮をはぎます。小骨も取り除いておきます。
- 開いたいわしを酢でさっと洗いキッチンペーパーで包み冷蔵庫に入れておきます。
- 万能ねぎ、みょうがをごく細かい小口切りにします。大葉はみじん切りにします。みょうがと大葉はサッと水に晒して、水気をよく切っておきます。
- キッチンペーパーで包んで冷蔵庫に入れておいたいわしをを細かく切り、そこへ万能ねぎ、みょうが、大葉、しょうがを加え、包丁で混ぜながら叩きます。
さらにみそを加えてから、粘りけがでるくらいまでよく叩きます。 - ラップで包んで、30分くらい冷蔵庫で冷やして味をなじませます。
- 皿に大葉を敷き、中高に盛り付ければ完成です!
旬のいわしの栄養と効能
いわしには、良質のたんぱく質やカルシウムがたっぷり含まれています。カルシウムは骨を丈夫にする大切な栄養素です。同時にカルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富に含まれているので、骨や歯を強化や骨粗鬆症の予防には適した魚です。
細胞の再生に大きく働き、成長を促すビタミンBも豊富に含まれています。さらに血液をさらさらにして血中コレステロールを下げるEPAや脳に効果のあるDHAも含まれています。その他ナイアシンは、脳神経の働きを助け、血液の循環を健康に保つ働きをします。このようにすばらしい栄養素をたっぷりと含んでいるので積極的に食べたいですよね。
最後に
いわしは小さい魚ですが、栄養面でも理想的な食物です。どんな食物でもそうですが、旬の時が最もおいしく効果的に栄養をとることができます。バランスよく食べ健康な身体を維持して安心して生活できるよう心掛けましょう。
管理栄養士取得後、病院で1000人以上の食事サポート、栄養・給食管理を経験。現在は「食の力で、心身ともに”健幸”になり、彩り豊かな人生を自己実現できる社会を作りたい!」思いから独立しセミナーや個別サポートを行っている。その他、事業立ち上げ、商品開発、記事監修、特定保健指導、講師活動などを行っている。