目次
防犯ブザーを持たせることがなぜ大切なのか

子どもが小学校に上がると、一人で行動する機会が増えます。登下校、習い事、友達との外遊び――その時間は、親の目が届きません。
そんな中で頼りになるのが防犯ブザーです。
ブザーは「音を鳴らして知らせる」だけでなく、犯罪の抑止や逃げるチャンスづくり、災害時のSOS発信など、さまざまな役割を持っています。
ここでは、子どもに防犯ブザーを持たせるべき理由を詳しく説明します。
子どもに防犯ブザーを必ず持たせるべき理由6つ

防犯ブザーは、ただの“警報器”ではありません。子どもの命を守るための行動を引き出す道具でもあります。
ここでは、保護者が知っておくべき防犯ブザーの主な理由を紹介します。
① 危険を知らせ、周囲に助けを求められる
恐怖や驚きのあまり、声を出せなくなる子どもは少なくありません。防犯ブザーがあれば、声を出さなくても大音量で周囲に危険を知らせることができます。
人通りの少ない場所や、祭りや駅前のような騒がしい環境でも、変動音のサイレンが異常を知らせてくれます。
特に85デシベル以上の音量は、電車が通る高架下ほどの大きさで、周囲の注意を引くには十分です。これは「声が届かない環境でも助けを呼べる」という、命を守るための第一歩です。
② 不審者を近づけない抑止効果がある
防犯ブザーは、実際に鳴らすだけでなく、「見える場所につける」ことでも効果があります。
ランドセルの肩ベルトなど目立つ位置に付けておけば、犯罪者に「この子は防犯意識が高い」と思わせる心理的な抑止力になります。
多くの犯罪者は「見つかるリスク」を嫌います。防犯ブザーの存在を見せるだけで狙われにくくなるため、「防ぐ力」としての価値も大きいのです。
③ 逃げる時間をつくることができる
危険を感じたとき、防犯ブザーを鳴らすことで相手を驚かせ、逃げる時間をつくることができます。
これは、単なる警報ではなく“行動を起こすきっかけ”としての役割です。
ブザー音が鳴ることで、犯人が慌てたり、周囲の人が注目したりする。その一瞬の隙が、命を守るための時間を生み出します。
逃げる方向とは反対にブザーを放って相手の注意をそらす方法もありますが、これは上級者向けです。まずは「鳴らしてすぐに人の多い方向へ逃げる」ことを最優先にしてください。
④ 犯罪以外の緊急事態にも役立つ
防犯ブザーの役割は、不審者対策だけではありません。
たとえば、転んで立ち上がれなくなったり、体調を崩して声を出せなかったりしたときにも、ブザーはSOSを出す手段になります。
また、地震や停電などの災害時に閉じ込められた場合、ブザー音で居場所を知らせることも可能です。
最近はライト付きの防犯ブザーも増えており、暗い場所で光を発して自分の位置を示せるモデルもあります。「防犯」だけでなく、「緊急時の安全装置」としても持たせる価値があります。
⑤ 防犯意識を高めるきっかけになる
防犯ブザーを持たせることは、子どもの防犯意識を育てる第一歩にもなります。
親子で「どんな時に鳴らすか」「どこへ逃げるか」を話し合うことで、子どもは危険に対して考える力を身につけます。
これはブザーそのものの効果以上に重要です。
防犯ブザーは「親が安心するための道具」ではなく、子ども自身が自分を守る力を育てるきっかけでもあります。家庭でルールを作り、日常の中で防犯を意識することが、最大の安全につながります。
⑥ 災害時や迷子のときの位置知らせにもなる
地震や洪水、停電などで助けを呼べない状況になったとき、防犯ブザーの音は「ここに人がいる」と知らせる手段になります。
また、大きなショッピングモールやイベント会場など、人混みの中で迷子になった場合にも有効です。ブザーを鳴らすことで、親や係員がすぐに気づくことができます。
一部のブザーにはGPS機能が搭載されており、位置情報をスマートフォンで確認できるものもあります。
ただし、GPS付きモデルは通信範囲や充電残量の制限もあるため、通常のブザーと併用するのが安心です。
防犯ブザーを選ぶときに大切なポイント

防犯ブザーには多くの種類があり、選ぶ際に迷う保護者も多いかもしれません。子どもに安全を与えるためには、「なんとなく」ではなく明確な基準で選ぶ必要があります。
ここでは防犯ブザー選びで特に重視したいポイントを解説します。
音が大きくて鳴り続けるものを選ぶ
防犯ブザーは周囲に危険を知らせる道具なので、まずは音の大きさが重要です。
警察や防犯協会が推奨している音量は85デシベル以上です。この音量は電車が通る高架下の音と同じくらいで、騒音の多い環境でも周囲に気づいてもらいやすくなります。
また、一度鳴らしたら簡単に止まらないタイプがおすすめです。ブザーを止めにくければ、犯人が音を止めようとしても時間がかかり、その間に子どもが逃げる余裕が生まれます。特に「ピンを抜くタイプ」は、ピンを戻すまで音が鳴り続けるため犯人側が止めにくい仕組みになっています。
子どもがすぐ使えるかどうかを確認する
防犯ブザーは緊急時に即座に操作できることが不可欠です。そのため、子どもの手の大きさや力に合ったものを選びましょう。防犯ブザーには主に次の3タイプがあります。
- ひもを引いて鳴らすタイプ(力がなくても使いやすい)
- ボタンを押して鳴らすタイプ(誤作動に注意)
- ピンを抜いて鳴らすタイプ(確実に音が鳴り続けるがピン紛失に注意)
購入する前に、実際にお店で子どもに試させ、どのタイプが使いやすいかを確認することをおすすめします。
壊れにくく、防水性能があるかを確認する
防犯ブザーは子どもが毎日持ち歩くため、落としたり水に濡れたりすることも考えられます。
そのため、耐久性の高い製品を選びましょう。防水性能の目安は「IPX4」以上です。この規格なら、雨の日でも濡れて壊れる心配が少なくなります。
また、落下や衝撃に強い設計のものを選ぶと安心です。子どもは遊びや日常の中で物を落とすことが多いため、壊れにくい製品を選ぶことは、実はとても大切なポイントです。
防犯ブザーをつける位置で気をつけたいこと

防犯ブザーは持っているだけでは意味がありません。いざという時に子どもがすぐに手に取れる位置につけることが重要です。
ここでは、防犯ブザーをつけるときのおすすめの場所を解説します。
ランドセルの肩ベルトがベスト
ランドセルを使う小学生には、肩ベルトに防犯ブザーをつけるのが最適です。肩ベルトは子どもの胸の高さにあり、手が届きやすい位置だからです。
また、ブザーを外から見える位置につけることで、犯罪を抑止する効果も期待できます。
- 利き手の逆側に取り付ける(右利きなら左側)
- 肩ベルト専用のフックを利用する
- 位置が低すぎると顔に当たるので調整する
習い事や塾のバッグにも取り付ける
学校以外でも、防犯ブザーは常に持ち歩くべきアイテムです。通塾用や習い事用のバッグにも、防犯ブザーをつけておきましょう。
ここでも、バッグの外側の見える位置につけておくことが大切です。バッグの中にしまい込むと、いざという時にすぐ取り出せず、効果が半減してしまいます。
防犯ブザーを渡すときに子どもに伝えるべきこと

防犯ブザーを持たせるだけで安心してしまう保護者もいますが、本当に大切なのは、子ども自身がその目的や使い方を理解することです。
ここでは、防犯ブザーを渡す際に子どもに伝えたいことを説明します。
「怖いと感じたらすぐに鳴らしていい」
防犯ブザーは、「これくらい大丈夫かな?」と迷ったときに、すぐに鳴らせることが大切です。子どもに対して、「怖い、嫌だと感じたら、迷わずすぐに使っていい」と伝えましょう。
ためらいが命取りになることもあるため、日頃から親子で繰り返し話し合っておくことが大切です。
鳴らしたあとは安全な場所へ逃げることを伝える
ブザーを鳴らすだけでなく、そのあとにどう行動するかも大切です。具体的な行動を子どもと共有しましょう。
- 鳴らしたらすぐに人の多い方向に走って逃げる
- 近くの店舗や交番、「子ども110番の家」に助けを求める
- 逃げるときは大きな声で「助けて!」と叫ぶことも忘れない
遊びやいたずらで鳴らさないことを約束する
防犯ブザーは遊び道具ではありません。遊びやいたずらで頻繁に鳴らしていると、本当に困ったときに周囲の人が「また遊んでいるだけだろう」と思ってしまうことがあります。
防犯ブザーは本当に困ったときだけ使うものだと、はっきり子どもに伝えましょう。
まとめ

防犯ブザーは子ども自身が身を守るために使う道具ですが、地域の人々がその音の意味を理解していることも重要です。
防犯ブザーを持たせる際は、近所や学校の保護者と情報を共有し、「ブザー音が聞こえたら確認する」という地域の意識を高めることが安全性をより向上させます。防犯対策は家庭内だけではなく、地域全体の理解と協力があって初めて効果を発揮することを覚えておきましょう。









