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排水口に熱湯を流すのはやめよう!
キッチンでパスタを茹でたりカップ焼きそばのお湯を捨てたりするとき、多くの人が熱湯をそのまま排水口に流してしまいます。熱湯を流すとシンクが「ボコッ!」という大きな音を出すことがありますが、実はこれ、排水管がダメージを受けているサインなのです。
お湯は消毒にも使われるため、排水口の汚れや臭いに効きそうなイメージがありますが、これは間違いです。キッチンの排水管に多く使われている塩化ビニル管(塩ビ管)は、高温のお湯に非常に弱い性質があります。
排水口に熱湯を流し続けることで、排水管がどんどん弱ってしまい、最終的には水漏れや修理など、大きなトラブルにつながってしまいます。
この記事を読んで、熱湯が排水口に及ぼす影響と、正しい対処法を理解しましょう。
排水口に熱湯を流してはいけない理由6つ
排水口に熱湯を流すことは、意外にも危険な行為です。ここでは、その理由を詳しく解説します。
①排水管が変形してしまう
キッチンの排水管には、塩化ビニル管という素材が多く使われています。この塩化ビニル管は、耐熱温度が60℃前後と意外に低いのです。
カップ焼きそばのお湯やパスタの茹で汁などは、通常90℃以上と非常に高温です。これほどの熱湯を流すと、排水管が熱で柔らかくなり、徐々に変形してしまいます。最初は気づかない小さな変形でも、何度も繰り返すうちに大きな問題へと発展します。
②排水管の接続部分がゆるんで水漏れする
排水管のパイプ同士は接着剤でつながっています。この接着剤も熱に弱く、60℃を超える熱湯で徐々に溶けてゆるみが出てきます。
接続部分がゆるむと、隙間から水が漏れたり、漏れた水がキッチン下の収納スペースや床に広がったりする危険性があります。集合住宅の場合、階下への漏水事故につながり、被害が大きくなるケースもあります。
③下水の嫌な臭いがキッチンにあがってくる
排水管が熱で変形したり、接続部分がゆるんだりすると、下水からの悪臭が逆流するようになります。キッチンは毎日の食事を作る場所なので、臭いがあると非常に不快です。
また、隙間ができると、ゴキブリなどの害虫が侵入してくることもあり、衛生面でも深刻な問題になります。
④熱湯を流しても消毒効果はほとんどない
排水口や排水管をきれいにする目的で、熱湯を消毒として流す人もいるかもしれません。しかし、熱湯が排水管を通る間に急速に温度が下がってしまうため、十分な殺菌効果を得ることはできません。
逆に排水管へのダメージを与えるだけの結果となってしまいます。消毒を目的にするなら、熱湯ではなく専用の洗剤を使うほうがずっと効果的です。
⑤熱湯で一時的に溶けた油汚れが再び固まる
熱湯を排水口に流すことで、油汚れを溶かして流し切れると思っている人もいるでしょう。しかし、一時的に溶けた油汚れは、冷えた排水管内で再び固まり、むしろ詰まりを助長します。
溶けて流れやすくなった油が排水管の奥で再び固まってしまうと、手が届かない場所での詰まりが発生し、解決が難しくなります。
⑥排水管の寿命を短くしてしまう
キッチンの排水管は、本来なら20年から30年近く使えるとされています。しかし、熱湯によって頻繁に変形や接続部分のゆるみが生じると、数年で交換が必要になることもあります。
排水管の交換は費用も高く、工事中はキッチンが使えなくなることもあり、生活への影響が大きくなります。
排水口に流してはいけないもの
熱湯以外にも、排水口に流すと排水管に悪影響を及ぼすものがたくさんあります。キッチンの排水管を守るためにも、流してはいけないものをしっかり理解しましょう。
油や油を含んだ液体
揚げ物で使った油だけでなく、マヨネーズやドレッシング、ラーメンの残り汁も油分が多く含まれています。油は冷えると排水管内で固まり、詰まりの原因になります。
少量の油でも繰り返し流すことで大きな問題になるので、必ずキッチンペーパーなどに吸わせて捨てるようにしましょう。
食べ残しや野菜くず
米粒やパスタ、野菜の皮や細かな食べかすなども排水口に流してはいけません。特に米粒やパスタは水分を吸収して膨らみ、排水管内で詰まりを引き起こします。
食べ残しや調理くずはしっかり水を切り、三角コーナーや生ごみ用のゴミ箱に捨てるようにしましょう。
爪楊枝や割り箸など固いもの
爪楊枝や割り箸、プラスチックのスプーンなども、流してしまうと排水管内に引っかかりやすく、詰まりを引き起こす危険があります。
これらのものは水に溶けず、長期間排水管内にとどまり、深刻なトラブルの原因となります。間違って流さないよう、注意しましょう。
熱湯を安全に処理する方法
熱湯をそのまま流してはいけない理由がわかったところで、安全な熱湯の処理方法を紹介します。どれも手軽にできる方法なので、ぜひ日常的に取り入れてみてください。
鍋に水を加えて温度を下げる
最も手軽なのは、熱湯が入った鍋や容器に蛇口から水を入れ、60℃以下まで温度を下げる方法です。少しずつ水を加えながら、十分に冷ましてから排水口に流しましょう。特別な道具も必要なく、すぐに実践できる方法です。
別の容器に移して冷ます
熱湯を大きめのボウルなど別の容器に移して、自然に冷めるのを待つ方法も効果的です。この方法なら熱湯が自然に60℃以下になってから流せるため、排水管へのダメージを最小限に抑えられます。
水道水を大量に流しながら少量ずつ捨てる
どうしても急いで処理したいときには、蛇口から大量の水道水を出しながら少量ずつ熱湯を流す方法もあります。ただし、熱湯が多すぎると温度が下がりきらないので、あくまで少量ずつに限る方法です。
排水口の掃除にぬるま湯を活用しよう
排水管にダメージを与えず、さらに掃除効果が期待できるのが40〜50℃程度のぬるま湯です。キッチンの排水管を清潔に保つためにも、上手に活用しましょう。
油汚れを落としやすくする
油汚れは冷えると固まり、排水管を詰まらせる原因になりますが、40〜50℃のぬるま湯を流すことで固まる前に洗い流すことができます。排水口の詰まりを予防するためにも、毎日寝る前などに少量のぬるま湯を流す習慣をつけると効果的です。
雑菌の繁殖を抑える
排水口には食べかすや油汚れが溜まりやすく、雑菌が繁殖して嫌な臭いや衛生問題を引き起こすことがあります。ぬるま湯を定期的に流すことで雑菌の繁殖を抑え、清潔なキッチン環境を保つことが可能になります。
チョウバエの発生を予防する
キッチンの排水口周りにはチョウバエという小さな虫が発生しやすく、不快な思いをした経験がある人も多いでしょう。排水口に溜まった汚れをエサとして繁殖するため、ぬるま湯を洗面器1杯程度流すことで、汚れを洗い流しチョウバエの発生を予防できます。
排水口を清潔に保つための日常ケア
排水口のトラブルを防ぐためには、日頃からこまめなケアが大切です。ここでは、誰でも簡単にできる日常的なケア方法を紹介します。
排水口ネットを毎日交換する
排水口に専用のネットを設置して、毎日交換することで、食べかすなどの汚れが溜まるのを防げます。ネットを取り替えるだけで手間もかからず、清潔を保つことができます。
週に1回排水口をブラシで掃除する
排水口のぬめりや汚れは、週に1回ブラシを使って掃除すると効果的に落とせます。ぬるま湯と一緒に使うと、汚れが落ちやすくなります。
月に1回は目皿を外して掃除する
月に一度、排水口の目皿を外してブラシで細かいところまで掃除しましょう。排水管の入り口周辺に溜まった汚れも落とせ、臭いや詰まりの予防になります。
まとめ
キッチンの排水口に熱湯を流すのは絶対に避けるべきです。排水管の寿命を短くしたり、水漏れ事故につながったりするため、代わりに適温のお湯や適切な掃除方法を取り入れることが大切になります。
また、排水口のトラブル予防には、日々のちょっとした習慣が効果を発揮します。排水口ネットの活用やこまめな掃除を日常に取り入れることで、キッチンを長期間快適に使用することができます。