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お寿司に食べる順番はあるの?
回転寿司やスーパーのパック寿司なら、自分の好きな順番で食べても問題ありません。しかし、寿司専門店に行くと「食べる順番は決まっているの?」と不安になる方もいるでしょう。
結論から言うと、寿司を食べる順番に厳密なマナーはありません。しかし、より美味しくお寿司を味わうためのおすすめの食べ方があります。それが「淡白な味のネタから濃厚な味のネタへ」という流れです。
この記事では、具体的にどのような順番で食べると良いのか、その理由とともに詳しくご紹介します。
お寿司を食べるおすすめの順番とその理由
お寿司を食べる時は、味が薄いネタから味が濃いネタへと食べ進めると、それぞれのネタの美味しさを十分に楽しめます。ここでは、多くの人が共感できる理想的な順番と、その理由を一つずつ解説していきます。
① 最初は白身魚(ヒラメ、タイなど)
最初に食べるネタとしておすすめなのが、白身魚です。白身魚は味がさっぱりしているので、口の中が新鮮な状態でその繊細な味を楽しむことができます。最初に脂の多いネタを食べてしまうと、口の中が脂っぽくなってしまい、淡白な白身魚の美味しさが分かりにくくなってしまいます。
また、白身魚は噛むほどに旨味が出てくるため、寿司の味わい方の基本を最初に身につけるのにも適しています。
② 次に食べるのは光り物(アジ、コハダ、サバなど)
次に光り物を食べると、口の中の味覚が徐々に濃厚な味に慣れていきます。光り物は脂が程よくのっており、独特の風味があるので、白身魚の後に食べると味の変化を楽しめます。
また、光り物には酢締めされたものが多いため、軽く酸味が効いており、口の中を爽やかにしつつも味覚を少しずつ刺激していくことができます。
③ 赤身魚(マグロの赤身、カツオなど)で旨味を味わう
光り物の次に食べるのに適しているのが赤身魚です。マグロの赤身やカツオは、口の中で強い旨味が広がり、脂分もほどよく含まれています。ここで初めて、味の濃さを十分に感じ取ることができます。
赤身魚は旨味成分が強く、舌を徐々に脂っぽいネタに慣らしていくのにぴったりです。特にマグロは部位によって脂の量が変わりますが、最初に脂の少ない赤身を味わうことで、次の段階である中トロや大トロへの流れがスムーズになります。
④ 貝類(ホタテ、赤貝、アワビなど)の食感を楽しむ
貝類はコリコリした食感や弾力が特徴です。赤身魚の旨味の後に、異なる食感のネタを挟むことで、味だけでなく食感の変化も楽しめます。
また、貝類は磯の香りが強めなため、味覚を新鮮にする効果もあります。赤貝やホタテなどは甘みがあるため、次に控えるさらに濃厚なネタへの橋渡しとして適しています。
⑤ ウニ・イクラなど味が濃厚な軍艦巻き
貝類の次には、濃厚な軍艦巻きがおすすめです。ウニやイクラは口の中で強い風味が広がり、味のクライマックスとして楽しめます。
特にウニは非常に繊細な風味を持つため、ここまでの順番通りに味覚を慣らしておくと、より深くその魅力を堪能できます。イクラも塩味が効いているため、味覚を刺激しつつ、次のネタに対してのアクセントとなります。
⑥ トロ(中トロ・大トロ)で寿司の脂の美味しさを堪能する
いよいよ寿司ネタの中でも脂が多いトロを食べるタイミングです。中トロや大トロは脂がたっぷりとのっており、舌の上でとろける食感と濃厚な旨味を感じられます。
トロをこのタイミングで食べると、今まで味わってきた寿司の味が最大限に引き立てられ、舌が脂の美味しさを受け止められる状態になっています。
⑦ 煮穴子や甘ダレのネタで甘みを楽しむ
トロの脂を楽しんだ後は、煮穴子など甘ダレがついたネタがおすすめです。穴子は甘辛いタレで調理されているため、脂っぽくなった口の中をほどよく甘くリセットしてくれます。
甘さのあるネタは味覚を変化させ、後味を柔らかくまとめる役割があります。特に煮穴子はふんわりと柔らかい食感で食べやすく、終盤に食べるネタとして適しています。
⑧ 玉子や巻物でさっぱりと締める
最後に玉子や巻物を食べることで、お寿司をさっぱりと締めることができます。玉子焼きはほのかな甘みがあり、デザート感覚で楽しめます。また、かっぱ巻きなどの巻物はシンプルで爽やかな味わいが特徴で、食事の終わりに最適です。
玉子や巻物を最後に食べると、口の中の味覚をリセットし、寿司を食べ終えた後の余韻を綺麗にまとめてくれます。
お寿司をもっと美味しくする食べ方のコツ
お寿司を美味しく食べるためには、順番だけでなく食べ方の工夫も大切です。ここでは、すぐに役立つ基本的な食べ方のコツをご紹介します。
醤油はネタに少しだけつける
醤油は寿司ネタ本来の味を引き立てるための調味料です。ネタにほんの少しだけつけることで、魚介の旨味を邪魔せず、ちょうど良い塩加減で楽しめます。シャリにつけると崩れてしまうため、必ずネタにつけるようにしましょう。
ガリやお茶で口の中をリセットする
寿司を美味しく食べ続けるためには、ガリ(甘酢漬けの生姜)やお茶を使って口の中をリセットすることが重要です。
濃厚なネタを食べた後にガリを食べたり、お茶を飲んだりすると、口の中がすっきりし、次の寿司の味がより鮮明に感じられます。
職人さんの提供する順番を尊重する
高級寿司店などでは、職人さんが提供する順番にこだわりがあります。これはその日のネタの新鮮さや風味を最高の状態で味わってもらうための工夫です。そのため、できるだけ提供された順番に従って食べると、より美味しくお寿司を楽しめます。
寿司店で気をつけたいマナーのポイント
お寿司を美味しく楽しむためには、食べる順番だけでなく基本的なマナーを知っておくことも重要です。高級店でも回転寿司でも役立つ、基本的なマナーをいくつかご紹介します。
提供された寿司はすぐに食べる
寿司職人は、握った寿司を「一番美味しい状態」で提供します。そのため、提供された寿司はなるべく早めに食べるのが理想です。時間が経つとシャリが乾燥し、ネタの鮮度も落ちてしまうため、出された寿司を放置しないよう注意しましょう。
箸でも手でもどちらでも問題ない
お寿司を食べる時は、箸を使っても手で食べても構いません。箸を使う場合は、寿司を横に倒してネタの側面に醤油をつけるようにすると、シャリが崩れることなく食べられます。手で食べる場合は清潔な状態を保つことを意識しましょう。
お寿司用語は使わず普通の言葉で伝える
寿司店では、「おあいそ(お会計)」「むらさき(醤油)」「あがり(お茶)」などの専門用語がありますが、これは店側が使う言葉です。お客が使うと違和感を与えることがあるため、「お会計」「醤油」「お茶」など普通の言葉を使うのがマナーです。
シャリだけを残さない
シャリとネタは、寿司職人が味や量を考えてバランスよく握っています。そのためシャリを残してしまうのは、職人に失礼にあたります。シャリの量が多すぎる場合は、注文時に「シャリ少なめ」と伝えると良いでしょう。
「食べる順番で育ちがわかる」は本当?
「寿司を食べる順番で育ちがわかる」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、この説には根拠がなく、実際に寿司の食べる順番で育ちや品格が決まることはありません。
本当に品があるとされるのは、「寿司の順番」よりも食べるときの振る舞いやマナーです。例えば、寿司が出されたら早めに食べる、醤油を適量使う、静かに食べるなど、基本的なマナーを守ることの方がずっと大切です。
寿司の食べ方はあくまで自由ですが、周囲への配慮や寿司職人への尊重が自然にできる人が、結果として「品がある」と評価されるのです。
まとめ
寿司の食べる順番に絶対的なルールはなく、好きな順番で自由に楽しむのが一番です。しかし、淡白なネタから徐々に濃厚なネタへと進めることで、それぞれの寿司の味わいを最大限に引き出すことができます。
また、寿司は「食べる順番」だけでなく、「心地よい空間」「職人の心意気」「旬を楽しむ」といった要素も重要です。順番にこだわりすぎず、目の前にある寿司を気持ちよく味わいましょう。