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お盆はご先祖様をお迎えする期間
毎年8月13日〜16日の4日間は、お盆としてご先祖様をお迎えして供養する期間です。自分たちを見守ってくれているご先祖様に日頃の感謝を込めて準備をし、ご先祖様が無事にあの世へ戻れるよう願いを込めて送り出します。地域によっては7月に行うこともありますが、一般的には8月中旬が主流です。
お盆の期間にやってはいけない9つのタブー
ご先祖様を供養する大切な期間だからこそ、昔からやってはいけないとされるタブーがあります。知らず知らずのうちにご先祖様や周囲の方々に失礼な行為をしてしまわないためにも、それぞれの理由と注意点を見ていきましょう。
① 海や川で遊ぶこと
お盆の時期は昔から、海や川などの水辺が「あの世とこの世の境目」と言われています。ご先祖様の霊が戻ってくるこの時期は、境目が曖昧になると考えられているため、水辺で遊ぶとあの世に引き込まれてしまうと伝えられています。
また実際にクラゲの発生や高波が多い時期でもあり、事故の危険も高まります。水難事故のリスクを避けるためにも、この期間は水辺での遊びを控えるのが安全です。
② 虫取りや釣りなど、生き物を捕まえること
仏教には「不殺生戒(ふせっしょうかい)」という、生き物の命を奪ってはいけないという戒律があります。お盆はご先祖様を供養する期間であり、この戒律が特に意識されます。
また地域によっては、ご先祖様が虫に姿を変えて戻ってくると信じられているため、虫取りも避けられてきました。虫や魚を捕る行為は生き物の命を軽視していると捉えられ、この期間は控えるのが望ましいです。
③ 引っ越しや結婚式、入籍などのお祝い事をすること
お盆の期間は静かにご先祖様を供養する時期であり、お祝い事をするにはふさわしくないとされています。ご先祖様を供養する期間にお祝い事を行うと、感謝や供養の気持ちが軽んじられているように捉えられるためです。年配の方や周囲の理解を考えると、この時期のお祝い事は避け、別の時期に行う方が良いでしょう。
④ トゲのある花や赤い花をお供えすること
バラのようなトゲのある花や、赤い花はお盆のお供えには向きません。トゲは「怪我」や「痛み」を連想させ、赤色は「血」や「攻撃性」をイメージさせるためです。供養の場にはふさわしくないと考えられており、お盆の期間はトゲや赤色のない穏やかな色合いの花を選ぶことをおすすめします。
⑤ 針仕事や裁縫をすること
お盆の時期に針仕事を避ける理由は、「血を流す可能性があるため」です。仏教では血は穢れ(けがれ)と考えられており、ご先祖様を迎えて清らかに供養するこの期間に、血を流すことは好ましくないとされています。衣服の修繕や裁縫作業は期間外に済ませておくのが安心です。
⑥ 肉や魚などの動物性食品を食べること
お盆の期間中は肉や魚など動物性の食品を控える習慣があります。これは仏教の「不殺生戒(ふせっしょうかい)」に由来しており、生き物の命を奪うことを避けるためです。その代わりに野菜や豆腐、穀類などを使った精進料理を食べ、ご先祖様への敬意を示す風習があります。
現在では全く食べてはいけないわけではありませんが、動物性の食品を避けた料理を取り入れると、よりご先祖様への気持ちを表せるでしょう。
⑦ ろうそくの火を息で吹き消すこと
仏壇やお墓で使用するろうそくの火を、息で吹き消すのは避けた方が良いとされています。その理由は、仏教では口から吐く息を穢れ(けがれ)として捉える考え方があり、神聖な火を息で消すことは失礼にあたるためです。ろうそくを消す際は、火消し棒やうちわで優しく消すと、ご先祖様への配慮が伝わります。
⑧ 納車や車の登録など車に関わるお祝いをすること
車を購入した際の納車や新車登録は、お祝いごとの一種です。お盆は静かにご先祖様を供養する期間であり、お祝い事を控えるべき期間とされています。
縁起を担ぐ意味でも、ご先祖様の供養期間に行うのは適切ではないという考え方が一般的です。可能であれば、お盆を避けて納車日を設定することが無難です。
⑨ 騒がしいイベントや派手な行動をすること
お盆の期間中は、ご先祖様を静かに供養するために、騒がしいイベントや派手な行動を避けるべきです。特に、音楽を大音量で流す、大勢が集まるパーティーを開くなどの行為は、ご先祖様や周囲に対して無配慮だと考えられます。静かで落ち着いた時間を過ごし、心穏やかにご先祖様を迎えることが大切です。
お盆の正しい過ごし方
お盆の期間は、ただタブーを守るだけではなく、ご先祖様を丁寧にお迎えして供養することが本来の目的です。そのために知っておくべき正しい過ごし方を確認しておきましょう。
迎え火と送り火を焚く
お盆の期間の最初と最後には、「迎え火」と「送り火」を焚く習慣があります。
迎え火は8月13日の夕方に玄関や門口で焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きのお皿に「おがら(麻の茎)」を燃やして焚き、ご先祖様の霊を迎え入れます。
送り火は8月16日の夕方に再び火を焚き、ご先祖様が無事にあの世に戻れるようお見送りします。マンションなど火気の使用が難しい場合は、盆提灯を灯すことで代用できます。
お墓参りと仏壇へのお供え
お盆期間中には家族でお墓参りを行い、お墓の掃除をして花や供物を供えます。仏壇には、精進料理を模した仏膳や、故人の好物だった食べ物をお供えすると良いでしょう。これらの行動は、ご先祖様に感謝の気持ちを伝える大切な機会です。
家族や親族で静かに過ごす
お盆期間は家族や親族が集まり、静かな時間を過ごすことが推奨されています。故人の話をしたり、思い出を語り合ったりすることで、家族間の絆も深まります。落ち着いた雰囲気で過ごすことを意識し、ご先祖様への敬意を心がけましょう。
まとめ
お盆のタブーには、霊や仏教的な考え方だけでなく、実際の危険を回避する合理的な理由も隠されています。こうしたタブーを守ることで、家族や地域との良好な関係を保ち、安全にお盆を過ごせるのです。
また、地域ごとにお盆の過ごし方には違いがあるため、自分の地域や家庭の習慣を改めて確認し、尊重することも大切です。タブーの本質を理解し、心を込めてご先祖様をお迎えしましょう。