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エアコンを一日中つけっぱなしにしても大丈夫?
真夏や真冬など、厳しい暑さや寒さの時期には、エアコンを一日中つけっぱなしにすることがありますよね。電気代は気になりますが、暑さや寒さが原因で体調を崩してしまうのを防ぐため、つけっぱなしにするのもやむを得ないことです。
結論からいうと、エアコンは一日中つけっぱなしにしていてもすぐに故障することはありません。
現代のエアコンは24時間連続で運転することを想定して設計されています。ただし、長時間の連続運転は部品の劣化を早める可能性があります。そのため、適切なお手入れや使い方を意識することが大切です。
エアコンが壊れる主な原因は、実は「つけっぱなしそのもの」ではなく、誤った使い方やメンテナンス不足によるものです。どのような行動がエアコンを壊す原因になるのか、しっかり確認しましょう。
エアコン故障の原因となる7つのNG行為
エアコンが壊れてしまう原因の多くは、普段意識せずに行ってしまう日常的な行動に潜んでいます。ここではエアコンの寿命を縮めたり、故障に繋がったりする代表的なNG行動を詳しく紹介します。それぞれ「なぜNGなのか?」に焦点を当てて説明していきますので、自分が普段やってしまっていないかチェックしてみましょう。
①エアコンのフィルター掃除をまったくしない
エアコンのフィルター掃除は、つい忘れてしまったり、面倒くさく感じたりすることもあるでしょう。しかし、フィルターを掃除しないまま長期間使い続けるのは絶対に避けるべきです。
エアコンのフィルターにホコリがたまると、空気がスムーズに流れなくなります。そのため、エアコンは部屋を冷やしたり暖めたりするために必要以上にパワーを使うことになり、コンプレッサーやモーターなど重要な部品に大きな負担がかかります。負担が続くことで部品が早く劣化してしまい、最終的に故障へと繋がります。
フィルターの掃除は2週間に一回程度が理想的です。取り外してホコリを掃除機で吸い取った後、陰干しで自然乾燥させてから取り付けるのがおすすめです。
②室外機のまわりを物でふさいでいる
室外機のまわりに荷物や植木鉢などを置いてしまうと、見栄えも良く収納スペースの確保にも便利ですが、実はエアコンにとっては大きな負担になっています。
エアコンは室外機で熱を放出しているため、その周囲をふさぐと熱がうまく外へ逃げられなくなります。その結果、エアコンが余計なエネルギーを使って稼働し続けなければならず、コンプレッサーが過熱して故障に繋がることがあります。
室外機のまわりは、少なくとも30cm以上スペースを空け、風通しを良くしましょう。定期的に掃除をして、雑草や落ち葉などのゴミも取り除いてください。
③異常な音やにおいがするのに放置する
エアコンからいつもと違う異音や異臭がしたら、絶対に放置してはいけません。「まだ動いているから」といってそのまま使い続けると、大きなトラブルになる恐れがあります。
- 焦げ臭いにおいがする
- 「ガタガタ」「カラカラ」など異音がする
- 設定した温度にしても冷えない、暖まらない
このような症状は、部品が劣化したり、内部で故障が起きたりしている可能性があります。放置すると故障が進行し、修理不能になるだけでなく、火災の原因にもなります。異常を感じたらすぐに使用を中止し、専門業者に点検してもらいましょう。
④極端に低い温度設定で長時間使う
夏の暑い日など、早く部屋を涼しくしたい気持ちから、エアコンの温度を極端に低く設定することがありますよね。しかし、この行動もエアコンに負担をかける原因になります。
エアコンは設定温度と実際の室温との差が大きいほど、室温を目標温度まで調整するためにフル稼働します。特に真夏に室内の温度を極端に低く設定すると、エアコンは常に最大出力で運転することになり、コンプレッサーやモーターなどが過度に消耗しやすくなります。これが繰り返されると、エアコンが早く故障するリスクが高まるのです。
夏場の室内設定温度は26℃〜28℃、冬場は20℃前後がエアコンに負担の少ない目安です。温度調整をしたい場合は、エアコンの風量設定やサーキュレーターを併用しましょう。
⑤エアコンを消さずにワックスがけをする
フローリングの部屋では定期的なワックスがけをする家庭もあるでしょう。しかし、ワックスがけを行う際にエアコンをつけっぱなしにするのは避けるべきです。
その理由は、ワックスに含まれる成分がエアコン内部に入り込むことがあるからです。ワックスの成分が熱交換器やドレンパンに付着すると、固まって詰まりを引き起こします。その結果、エアコンが水漏れを起こしやすくなり、最悪の場合は内部部品が破損して故障することもあります。
ワックスがけをするときは、エアコンを必ず停止して窓を開け、換気をしながら行いましょう。ワックスが完全に乾いて空気が清浄になってから、エアコンを再び稼働させてください。
⑥エアコン内部に消臭スプレーや殺虫剤を吹きかける
エアコンのニオイや害虫対策として、つい消臭スプレーや殺虫剤をエアコンに直接吹きかけたくなりますよね。しかし、これはエアコンにとって極めて危険な行為です。
消臭スプレーや殺虫剤に含まれる化学物質がエアコン内部の電子部品やセンサーに付着すると、部品がショートしたり、故障の原因になったりします。特に可燃性の成分を含むスプレーは、エアコンの電気部品と反応して発火や火災を起こす恐れもあります。
エアコンからニオイが気になる場合は、市販のエアコン専用クリーナーを使ったり、専門業者に内部洗浄を依頼したりしましょう。また、害虫対策はエアコン本体でなく、害虫の発生元を特定して根本から対策を取るのが安全で効果的です。
⑦室外機に熱湯をかけて霜取りをする
冬場、エアコンの室外機に霜がついたときに、早く霜を溶かそうと熱湯をかけてしまう人もいますが、これも絶対にやってはいけません。
急激な温度変化によって室外機内部の基板や配管が変形したり、破損したりする恐れがあります。室外機は精密な電子部品を内蔵しているため、熱によるショックが与えられると重大な故障を引き起こすことがあります。
室外機の霜取りは、基本的にエアコン本体が自動で行います。霜がついていても無理に除去せず、エアコンの霜取り運転が完了するのを待ちましょう。
エアコンを長く使うために守りたいポイント
エアコンは安価な家電ではありません。故障や買い替えの出費を防ぐためにも、エアコンを長持ちさせる使い方やお手入れの方法を意識しましょう。普段から心がけたいポイントを紹介します。
部屋の大きさに合ったエアコンを選ぶ
エアコンの性能が部屋の大きさに合っていないと、常にエアコンがフルパワーで稼働することになり、部品の劣化が早まります。広い部屋で能力が不足するエアコンを使った場合、エアコンは目標温度に達するまで休むことなく働き続けるため、電気代も高額になります。
設置する部屋の広さに合ったエアコンを選ぶことで、適度な負荷で効率よく稼働できるようになり、部品の寿命を延ばすことができます。購入前に部屋の広さ(畳数)を確認し、対応したモデルを選びましょう。
オフシーズンも定期的に動かす
「エアコンを使わない期間が長ければ長いほど壊れにくい」と思われがちですが、実はそれは間違いです。長期間動かさないでいると、エアコン内部の潤滑油が固まったり、冷媒ガスが減少したりして故障の原因になります。また湿気が内部にこもり、カビや雑菌が繁殖してしまうこともあります。
オフシーズンでも、月に1〜2回は短時間でもエアコンを動かして、内部を乾燥させ、潤滑油や冷媒ガスを循環させましょう。これにより、エアコンが本格的に稼働するシーズンにスムーズに動作するようになります。
フィルター掃除と内部洗浄を習慣化する
エアコンの寿命を大きく左右するのが定期的なメンテナンスです。特にフィルター掃除と内部洗浄はエアコンの効率を保つだけでなく、カビや雑菌の繁殖を防ぐためにも重要です。
フィルターは最低でも2週間に1回掃除を行い、陰干しで乾燥させます。また、年に1回は専門業者に依頼してエアコン内部を徹底的にクリーニングしてもらうのがおすすめです。これによりエアコン内部に溜まったカビや汚れが取り除かれ、性能も長期間維持できます。
エアコンの設定は「自動運転モード」を活用する
エアコンを長持ちさせる使い方として、「自動運転モード」を積極的に活用する方法があります。
自動運転モードは、設定した温度に効率よく室内を調整するよう設計されています。そのため、エアコンがフル稼働する必要がなくなり、部品への負担を軽減できます。特に帰宅直後など急激な温度調整が必要な場合、自動運転モードを利用すると、最も効率的な方法で目標温度まで調整してくれるため、消費電力の削減にもつながります。
室内の湿度管理を忘れない
エアコンは部屋の温度だけでなく、湿度にも影響を与えます。エアコンを長時間使用すると、空気が乾燥してしまい、喉や肌への影響が出る場合があります。また、乾燥した状態が続くとエアコン内部にも負荷がかかります。
エアコンを使う際は、湿度40〜60%を目安に保つよう心がけましょう。加湿器を併用したり、濡れたタオルを部屋に干したりして、適切な湿度を保つことが大切です。湿度を管理することでエアコンの性能が安定し、部品の寿命延長にも役立ちます。
エアコンをつけっぱなしにした場合の電気代の目安
エアコンをつけっぱなしにする場合、多くの人が気になるのが電気代です。意外かもしれませんが、実はエアコンを頻繁にオン・オフするより、一定時間内の外出であれば、つけっぱなしにする方が電気代が安くなることがあります。
ダイキンの実験データによると、日中(9時〜18時)は約35分以内の外出ならつけっぱなしの方が節電になることが確認されています。一方、夜間(18時〜23時)は約18分以内の外出が節電の分岐点です。つまり、買い物など短時間の外出の場合は、むしろつけっぱなしの方が効率的といえます。
もちろん、数時間以上外出する場合はエアコンを切る方が電気代の節約になります。つけっぱなしにする場合も、設定温度を極端にしない、自動運転を活用するなどの工夫をすれば、電気代をさらに抑えることができます。
エアコンをつけっぱなしにすると健康に影響がある?
エアコンのつけっぱなしが体調不良を引き起こすことがあると聞くと、心配になりますよね。実際、長時間エアコンを使うことで空気が乾燥し、肌の乾燥や喉の痛み、鼻の不快感を引き起こす場合があります。
特に睡眠中は体温が下がりやすいため、冷やし過ぎに注意しましょう。寝るときは風が直接体に当たらないように風向きを調整したり、エアコンの設定温度を少し高めにしたり、長袖のパジャマを着たりすると効果的です。
また、湿度管理も重要です。部屋の湿度を40〜60%に保つと、乾燥による不快感を軽減でき、風邪や喉のトラブル予防にもなります。加湿器や濡れタオルを使って湿度をコントロールしましょう。
まとめ
エアコンをつけっぱなしにしていても、すぐに壊れることはありませんが、日頃の使い方やお手入れによって寿命が大きく変わります。普段からこまめなフィルター掃除を行い、室外機の周囲をふさがないなどの簡単なメンテナンスを習慣にしましょう。
また、生活リズムに合わせて適切な運転モードを使うことで、電気代や健康面にも良い効果があります。快適な室内環境を維持しつつ、上手にエアコンを使いこなしてください。