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お墓参りに「行ってはいけない日」はある?
お墓参りは、ご先祖様や故人に感謝を伝えるための大切な行事です。基本的には、いつ行っても問題ありません。ただし、地域の習慣や家庭の考え方によっては、避けたほうがよいとされる日もあります。ここでは、よく言われる「行ってはいけない日」とその理由について説明します。
「仏滅」や「友引」は気にしなくてよい
カレンダーに書いてある「仏滅」や「友引」は六曜(ろくよう)という暦の一種です。昔から、仏滅は「何をするにも悪い日」、友引は「葬式など弔いごとは避ける日」とされてきました。しかし、これらは仏教とは関係がないため、お墓参りでは特に気にする必要はありません。
ただし、お年寄りや地域によっては気にする人もいるため、家族や親族の考え方を尊重して日にちを決めることをおすすめします。
月の「29日」と年末の「31日」を避ける理由
お墓参りでは、「29日」と「31日」を避けることが一般的に多いです。
- 「29日」:「二重苦(苦が重なる)」を連想させるという理由から縁起が悪いと考える人がいる。
- 「31日」(大晦日):新年の準備を一晩で急いで行う「一夜飾り」と呼ばれるものは、通夜を連想させるとして避ける人がいる。
ただし、これらの日を気にするかどうかも家庭や地域によって異なります。絶対に避けなければいけないわけではないため、家族間で話し合って決めるのがよいでしょう。
初詣とお墓参りを同じ日にしてはいけない?
お正月の「初詣」と同じ日にお墓参りをすることを避ける地域があります。これは、神社の神様が死や穢れを嫌うと考えられているためです。どうしても同じ日に行く場合は、神社に先に参拝してからお墓参りをすることをおすすめします。
お墓参りを避けたほうがよい時間帯とは?
お墓参りには、「時間帯によって避けるべき」とされることがあります。理由としては、主に安全面や霊園のルールなど実用的な事情が多いです。ここでは、具体的にどのような時間帯を避けるべきか詳しく解説します。
夜間は避けるべき理由
お墓参りは基本的に日没後の夜間は避けるのが一般的です。その理由は、主に以下のような実際的な問題があるためです。
- 霊園や墓地が閉園している場合が多い
- 暗くて足元が見えづらく、事故や転倒のリスクが高い
- 防犯面での不安(ひと気がなく危険な場合がある)
- 山間部などではイノシシやクマなど野生動物に遭遇する危険がある
また、古くから夕方以降を「逢魔が時(おうまがとき)」と呼び、霊や魔物が出やすいと言われています。これは迷信ですが、気になる人は明るい時間帯を選んだほうが安心でしょう。
早朝のお墓参りも注意が必要
夜間だけでなく、実は早朝も注意が必要です。日の出直後や早朝(特に朝6時以前)は、霊園や墓地がまだ開いていないことがあります。
また、住宅地に近い墓地では、早朝の掃除音や話し声が近隣の迷惑になることもあります。そのため、早朝に行く場合は墓地の開園時間を事前に確認し、周囲への配慮も忘れないようにしましょう。
お墓参りに適した時間帯とは?
お墓参りをするのに最も適した時間帯は、一般的には午前中(朝9時~11時頃)とされています。午前中は比較的涼しく掃除もしやすいため、ご先祖様への敬意をしっかりと表すことができます。
ただし、午後でも明るいうちは問題ありません。夏場の真昼(12時~15時頃)は特に暑く、熱中症のリスクがあるため、避けるかしっかりと対策をして参拝しましょう。
お盆のお墓参りは夕方にすることもある
通常、夕方は避けるべき時間帯とされていますが、お盆期間(8月13日~16日)では例外もあります。
- 迎え盆(13日):午後3時〜5時頃に参拝して先祖の霊を迎える。
- 送り盆(16日):午後4時〜6時頃に送り火を焚いてお参りする。
ただし、この場合も日没後は避け、明るいうちに済ませることが基本です。地域や家庭によって時間帯が異なる場合があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
「ついで参り」は良くないの?
お墓参りを他の用事のついでに行う「ついで参り」について、良くないという意見もあります。ですが、現代では「ついで参り」自体は問題ないと考える人が増えています。大切なのは、「ついで」であってもご先祖様や故人への敬意と感謝の気持ちを持って参拝することです。
たとえば、通勤途中に気軽に立ち寄ったり、他の用事の前後に短時間でも気持ちを込めて手を合わせることは、むしろ供養の機会を増やす良いこととされています。
一方で、「ついでだから」と慌ただしく済ませたり、参拝を軽んじるような態度が感じられるとマナー違反とみなされる場合があります。訪問の際は短時間でも、掃除やお供え物を持参するなどして、誠意を示すと良いでしょう。
お墓参りのときに守るマナーと注意点
お墓参りをする際には、最低限のマナーを守ることが大切です。マナーを守ることで、ご先祖様への敬意をしっかり伝えることができ、周囲の人にも迷惑をかけません。
ここでは、お墓参りで特に気をつけたいマナーや注意点を解説します。
お墓参りに適した服装とは?
お墓参りの服装は、特に決まりがあるわけではありませんが、派手すぎたり露出が多すぎたりする服は避けるのが一般的です。喪服を着る必要はなく、落ち着いた普段着で構いません。ただし、足元が悪い場所もあるため、動きやすい靴を選びましょう。
また、夏場でも過度な香水や整髪料の使用は避けるようにしましょう。甘い香りは、ハチなどの虫を引き寄せる原因となります。
掃除道具とお供え物は何を用意する?
お墓参りでは、掃除とお供えがとても大切です。事前に以下のものを準備しておくとよいでしょう。
- 掃除道具:やわらかい布やスポンジ、ほうき、ちりとり、バケツ、水など
- お供え物:花、線香、故人の好きだった食べ物など(ただし、食べ物は必ず持ち帰る)
墓石を掃除する際、金属製のブラシや研磨剤を使うのは絶対に避けてください。墓石を傷つけてしまう恐れがあります。また、掃除が終わったら水気をよく拭き取ることを忘れずに行いましょう。
お供え物のマナーと注意
食べ物のお供えは、必ず墓石に直接置かず、半紙やハンカチの上に乗せます。そして参拝後は必ず持ち帰ります。置いたままにすると、動物や虫に荒らされる原因になるため注意が必要です。
また、墓石に酒やジュースなどの液体を直接かけるのは避けましょう。墓石がシミになったり汚れたりする恐れがあります。飲み物を供える場合はコップに入れて供え、帰る際に回収するようにしてください。
花を選ぶ際は、トゲがある花や香りの強い花、毒性のある花(彼岸花など)は避けるのが一般的です。
SNS用の写真撮影にも配慮を
最近ではお墓参りを写真に撮り、SNSなどでシェアする人も増えています。ただし、他の人のお墓や他の参拝者が写り込まないように配慮することが大切です。また、同行者や親族が写真撮影に抵抗がないか、事前に確認しておくこともマナーのひとつです。
樹木葬などでは「火気厳禁」の場合もある
最近は樹木葬など自然と調和した新しい形のお墓も増えています。このような墓地では、山火事や火災防止のため線香やろうそくなど火を使うことが完全に禁止されている場合があります。事前に施設や霊園のルールを確認し、それを守るようにしましょう。
まとめ
お墓参りは、「いつ行ってもよい」とされるものの、実際には地域や家庭によって様々な考え方やルールがあります。こうしたマナーは、故人を偲ぶ心や周囲への配慮から生まれたものです。
現代では、オンラインでお墓参りを代行してくれるサービスなどもありますが、可能な限り自分自身でお墓を訪れ、掃除をし、手を合わせることが大切です。故人を想い、自分なりの方法で誠意をもってお参りしましょう。