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もったいない病とはどんな状態?
「もったいない病」とは、物を捨てることに抵抗を感じ、必要以上にため込んでしまう状態を指す言葉です。「まだ使えるから」「いつか必要になるから」と考えてしまい、物が捨てられません。
これは日本人特有の「もったいない」という美徳が過度になってしまった結果です。「もったいない」と感じること自体は決して悪いことではありませんが、それが行き過ぎると生活に悪影響を及ぼします。
もったいない病になると、家の中が物であふれ、必要な物を探すのに時間がかかったり、ストレスを感じやすくなったりします。さらに、家族間のトラブルに発展することもあります。
もったいない病になりやすい人の8つの特徴
もったいない病になりやすい人には共通する性格や考え方があります。これらを知ることで、自分や周囲の人がもったいない病に陥っていないか確認できます。
①「もったいない」が口ぐせになっている
何かにつけて「もったいない」と言う人は、自分だけでなく周りの人にもその考えを押しつけがちです。他人が不要な物を捨てようとすると、「まだ使えるのにもったいない!」と言ってしまいます。
このような人は、「物の価値を最大限に使わないともったいない」という考えが強く、それが習慣化してしまっています。口ぐせとして繰り返すことで、その考えが自分自身に深く定着し、物が捨てられなくなっていきます。
②いつか使うかもしれないと考える
今は使っていない物でも「いつか使うかもしれない」と思い、捨てられません。このような人は、物を捨てることを「将来の可能性を捨てる」と感じてしまいます。
実際には数年間使っていない物は、その後も使わないことがほとんどです。しかし、「いつか役に立つかも」という漠然とした不安があるため、なかなか踏ん切りがつかないのです。
③優柔不断で決断が苦手
物を捨てるかどうかの判断をすぐに下せない人は、物をため込む傾向があります。「本当に捨てて大丈夫かな?」という不安があり、決断を後回しにします。
このような人は、物に限らず日常生活のさまざまな場面で優柔不断になりやすいです。物を捨てる決断が遅れるほど、物は増え続け、ますます決断が難しくなる悪循環に陥ります。
④物を捨てると罪悪感を覚える
物を捨てる行為に罪悪感を感じる人もいます。これは特に、子どもの頃に「物を大切にしなさい」と厳しく教えられた人に多く見られます。
物を捨てることが「悪いこと」「無駄なこと」と感じるため、どうしてもためらってしまいます。また、購入した時の金額を思い出して、「もったいない」と強く感じてしまいます。
⑤完璧に整理しようとして先延ばしにする
完璧主義の傾向が強い人は、物を捨てたり整理整頓したりする時も完璧さを求めてしまいます。「時間がある時にきちんとやろう」と考えて、結局そのまま手をつけないことが多くあります。
整理整頓を完璧にやろうとすると、作業量が多すぎて気が遠くなり、結果として先延ばしにします。その結果、部屋がますます散らかり、物がため込まれていきます。
⑥新しい物や限定品に弱い
「今だけ」「限定」といった言葉に弱い人は、「機会を逃すともったいない」と感じ、つい不要な物を買ってしまいます。その結果、部屋に物があふれ、本当に必要な物まで探しにくくなります。
また、このような人は「買ったのに使わないのはもったいない」と感じて捨てられなくなります。物が増える原因が絶たれないため、部屋はどんどん散らかります。
⑦物に感情移入しやすい
物に強く感情移入してしまう人は、思い出の品や長年使った物を「捨てると可哀想」と感じて手放せません。これは、物に自分自身や他者の感情を投影する傾向があるためです。
物への感情が強くなるほど捨てる判断が難しくなり、結果として大量の「思い出の品」に囲まれてしまいます。
⑧物を捨てることを避ける
そもそも物を捨てるという行為自体を避ける人もいます。このような人は、物を捨てることで生じる心理的な苦痛やストレスを無意識に避けようとしています。
また、「物を捨てる」という行為に対してネガティブなイメージが強く、無意識に回避してしまうため、ますます捨てる習慣から遠ざかります。
もったいない病になると起きる問題
もったいない病は、本人だけでなく家族や周囲の人にも影響を及ぼします。物が多すぎて生活空間が狭くなると、家族間のトラブルにつながることがあります。家族が勝手に物を処分したことで信頼関係が崩れる例も少なくありません。
また、物が多いと、探し物に時間がかかり、年間で100時間以上を無駄にするという研究もあります。さらに、散らかった空間にいるとストレスがたまりやすく、集中力が下がり、気分も落ち込みやすくなります。
もったいない病を克服する方法
もったいない病を克服するには、少しずつ意識と行動を変えることが大切です。無理せず自分ができる範囲で、次の方法を試してみましょう。
捨てる判断基準を決める
物を捨てる基準を決めると、捨てるか残すかの判断が簡単になります。例えば「1年以上使わなかったら捨てる」「壊れている物は即処分」といった具体的なルールを作りましょう。
迷った時の対処法を決める
「捨てるかどうか迷ったら写真に残して処分する」というルールを作ると、物理的なスペースを確保しつつ思い出を残せます。また、物を捨てることの抵抗感を減らすことができます。
リユースや譲渡を活用する
「まだ使えるのにもったいない」と感じるなら、リユースショップやフリマアプリを利用しましょう。物の価値を生かし、罪悪感を減らしながら片付けができます。
少しずつ片付ける習慣をつける
一気に整理しようとせず、1日10分など無理なく続けられる方法で片付けを習慣化しましょう。毎日の小さな行動が、長期的には大きな変化を生みます。
物をため込む原因を考える
なぜ物をため込むのか、自分の感情や過去の経験を振り返ってみましょう。原因を知ると、より具体的で自分に合った解決策を見つけやすくなります。
身近な人に協力してもらう
家族や友人に片付けを手伝ってもらったり、定期的に報告したりすることでモチベーションを維持できます。また、客観的な意見をもらうことで、物を捨てる決断も簡単になります。
もったいない病は病気なの?
「もったいない病」は医学的な病気ではありません。ただし、深刻化すると「ためこみ症」と呼ばれる精神疾患に分類されることもあります。
ためこみ症は、物を捨てる際に強い不安や苦痛を感じ、日常生活に大きな影響が出る状態です。治療が必要になるケースもありますが、この記事で紹介した方法を取り入れることで、自力で改善できる場合が多くあります。
まとめ
もったいない病は、物を捨てることに抵抗を感じる人が陥りやすい状態です。けれども、物を手放すことは「失う」ことではなく、新しい気持ちや生活の豊かさを手に入れることにつながります。
大切なのは、「物を減らすこと」を目的にするのではなく、「快適な暮らし」を目的にすることです。少しずつでも片付ける習慣をつけ、自分の理想の暮らしに近づけていきましょう。