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鶏肉は傷みやすく注意が必要な食材
鶏肉はジューシーで様々な料理に使われ、多くの家庭で人気の食材です。しかし、水分が多いため、豚肉や牛肉よりも細菌が繁殖しやすく、傷みやすい特徴があります。特に、食中毒の原因となるカンピロバクター菌が繁殖しやすいため、取り扱いには十分な注意が必要です。
鶏肉の保存で絶対やってはいけないNG行為
鶏肉を安全で美味しく食べるには、やってはいけない保存方法があります。日常的に意外と行われてしまいがちなものから順に紹介します。
①買ってきたパックのまま冷凍する
スーパーで買ったパックのまま鶏肉を冷凍庫に入れていませんか?パックには肉汁(ドリップ)が溜まっています。このドリップが鶏肉に染み込むと臭みが強くなり、品質が著しく低下します。
また、パックは冷凍庫の冷気を伝えにくいため、冷凍までに時間がかかり、鶏肉が霜焼け状態になりやすくなります。品質を保つためには、必ずパックから出しましょう。
②鶏肉を水で洗ってしまう
鶏肉を調理する前に、水でさっと洗う方もいるかもしれませんが、これは大変危険な行為です。鶏肉についているカンピロバクター菌などの細菌は、水で洗うと飛び散ってしまいます。
キッチンの周囲や調理器具、他の食材を汚染する恐れがあり、逆に食中毒のリスクを高めることになります。鶏肉は洗わず、キッチンペーパーで水分を拭き取るだけにしましょう。
③解凍した鶏肉を再び冷凍する
解凍した鶏肉を再度冷凍するのは、多くの家庭で意外に行われていますが、避けるべきです。解凍の過程で肉の細胞が壊れ、旨味や栄養分が流れ出てしまいます。その結果、鶏肉はパサつき、味が落ちてしまいます。
また、室温で解凍した鶏肉を再冷凍すると、細菌が繁殖しやすくなり、食中毒リスクが高まります。どうしても余った場合は、一度しっかり加熱調理をしてから再冷凍しましょう。
④常温で鶏肉を放置する
鶏肉を買ってきてすぐに冷蔵庫に入れず、台所で長時間放置するのは危険です。室温が高い場合、たった30分でも細菌が急速に増殖し、食中毒リスクが大幅に増します。
特に夏場の室温30℃では、わずか30分で菌が100倍以上に増える場合もあります。購入後は速やかに冷蔵または冷凍しましょう。
⑤鶏肉を密閉せず保存する
鶏肉を保存する際、ラップを雑に巻いて隙間ができると、空気に触れて酸化が進んでしまいます。また、鶏肉のドリップが漏れて他の食品に付着すると、菌が広がり食品全体を傷ませる原因になります。ラップで密着させた後は、保存袋の空気をしっかり抜き、ジッパー付きの袋に入れて密閉しましょう。
鶏肉を長持ちさせる正しい保存方法
鶏肉の鮮度をキープするためには、正しい保存手順が欠かせません。冷蔵と冷凍それぞれに適した方法を紹介します。
冷蔵保存のコツと手順
鶏肉の冷蔵保存は購入後2〜3日以内が目安ですが、次の方法で保存すると鮮度が保ちやすくなります。
- パックから鶏肉を取り出し、キッチンペーパーで表面の水分をしっかり拭き取る
- 一枚ずつラップでぴったり包み、空気に触れないよう密閉する
- 密閉した鶏肉をジッパー付き保存袋に入れ、空気を完全に抜く
- 冷蔵庫のチルド室または冷蔵庫内で一番温度が低い場所(下段奥)に置く
部位ごとの下処理の方法
鶏肉は部位によって適した下処理をすると、より鮮度が保ちやすくなります。
- 胸肉:余分な脂肪を取り除き、キッチンペーパーで水分をよく拭き取る。
- もも肉:皮目にフォークで軽く穴を開け、余分な脂肪を取り除き、水分を拭き取る。
- ささみ:中央の筋を取り、水分を拭き取る。すぐ食べない場合は酒蒸し後、冷蔵保存も可。
- 挽き肉:特に傷みやすいため、水分を念入りに拭き取り、新しいキッチンペーパーとラップで包んで保存する。
冷凍保存のコツと手順
鶏肉の冷凍は約2〜3週間以内の消費が美味しく食べる目安ですが、安全上は約1ヶ月保存が可能です。品質を保つためには次のポイントが重要です。
- 使用する分量ごとに薄く小分けし、ラップで密着させて包む
- 冷凍用保存袋に入れ、ストローで空気を吸い出すか水圧を利用して袋の空気を完全に抜く
- アルミトレーに載せるか冷凍庫の急速冷凍機能を使い、素早く凍らせる(急速冷凍が冷凍焼け防止に効果的)
- 下味をつけて冷凍すると、解凍後の味付けが不要となり便利(保存期限は約1ヶ月)
鶏肉の正しい解凍方法
解凍方法は、品質や安全性に大きく影響します。次の方法で安全に解凍しましょう。
- 冷蔵庫の中でゆっくり自然解凍するのがベスト(ドリップを抑えられる)
- 急ぐ場合は流水解凍(鶏肉を袋に入れて流水で短時間で解凍する)または電子レンジの解凍機能を使用する
- 半解凍状態(表面だけ解凍された状態)で切ったり調理すると、水分が失われにくく美味しく仕上がる
解凍後は速やかに調理し、再冷凍は避けましょう。
まとめ
鶏肉の品質維持は保存方法だけでなく、購入時の選び方にもポイントがあります。肉の色がピンク色で弾力があり、ドリップが少ないものを選ぶと鮮度が高い証拠です。
また、調理の直前に少量の酒や塩を揉み込むと臭みが抑えられ、ジューシーさも向上します。ちょっとした工夫を取り入れることで、鶏肉をより安全に美味しく食卓で楽しむことができます。