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誰にでも「性格が合わない人」は必ずいる
職場の同僚や友人、家族の中にも「この人とは合わないな」と感じる人がいるのは自然なことです。人間の考え方や感じ方はそれぞれ違うため、すべての人と気が合うことはありえません。むしろ、考え方が違うからこそ新たな発見がある一方で、どうしても苦手意識を感じてしまうこともありますよね。
性格が合わない人に出会うたびに、「自分の性格を変えたほうがいいのかな」「相手に性格を変えてほしい」と考えたこともあるでしょう。でも、そもそも性格とは一体どのようにできているのでしょうか?
性格はどうやって作られる?
人の性格は、主に次の4つの要素が絡み合って作られています。
①生まれ持った性格(気質)
気質とは、生まれた時から持っている性格的な特徴のことです。これは遺伝的な要素が強く、親や家族から受け継ぐ部分が大きいと言われています。例えば、明るく社交的な人や、人見知りで慎重な人という特徴も、遺伝的な影響が強いことが分かっています。
②子どもの頃に決まる性格
子ども時代に親や周囲からどんな教育や影響を受けたかによって、性格の基礎的な部分が決まります。幼少期に形成された性格は、無意識に繰り返される習慣や価値観となって大人になってからも続きます。例えば、子どもの頃に親に叱られやすかった人は、常に周囲を気にしてしまう傾向があります。
③環境や人間関係で変化する性格
学校や職場などの環境や、人間関係によって影響を受け、性格が少しずつ変化することもあります。例えば、職場でリーダー役を任されているうちに、自然と積極的になったり自信を持つようになったりします。環境による影響は、大人になっても性格がある程度変化し得る理由の一つです。
④役割や立場で変わる性格
置かれた立場や状況に応じて、その時々で性格が変わることもあります。例えば、家では明るく活発でも、会社では真面目で静かに振る舞う人もいます。このように、状況や役割に応じて性格を無意識に使い分けることも多いのです。
性格がどのように作られているのか理解したところで、次は「なぜ性格は簡単に変えられないのか」をさらに詳しく説明していきます。
人の性格がなかなか変わらない理由
性格を変えることが難しいと言われるのは、脳や心の仕組みに理由があります。具体的な理由を見ていきましょう。
①生まれつきの脳の仕組み
人間の基本的な性格(気質)は、脳内の神経伝達物質の影響を大きく受けています。特にドーパミンやセロトニンなどが関わっており、これらの物質が生まれつき多いか少ないかによって性格傾向が決まります。
例えば、ドーパミンが多い人は冒険好きで新しいことを好む傾向があり、セロトニンが不足しがちな人は不安やストレスを感じやすくなります。脳内物質のバランスは遺伝的要素が大きいため、大きく変えることは簡単ではありません。
②子ども時代に身についた無意識の習慣
幼少期に身についた考え方や行動パターンは、大人になると無意識に繰り返されます。これは脳に深く刻み込まれた習慣となり、意識的に変えようと思っても自動的に繰り返されてしまいます。
例えば、子どもの頃に叱られやすく育った人は、大人になっても無意識に他人の顔色を伺ってしまいます。この無意識の習慣を変えるためには、長い時間と根気が必要です。
③脳の「変化を嫌う性質」(省エネ思考)
人間の脳は、できるだけ安定した状態を好みます。新しいことを始めたり、慣れない行動を取ったりするのは脳にとって大きな負担になります。だからこそ、変化を避けようとして、これまでの行動や考え方を無意識に繰り返してしまいます。性格や習慣を変えることが難しいのは、脳が本能的に安定を望むためなのです。
④無意識の習慣ループ(自動的に行動するクセ)
人の行動や性格は、「きっかけ(cue)→ 行動(routine)→ 報酬(reward)」という無意識のループで習慣化されています。
例えば、ストレスを感じる(きっかけ)と甘いものを食べる(行動)ことで気持ちが落ち着く(報酬)というパターンが身についている人は、無意識に甘いものを食べる行動を繰り返します。性格も同じで、特定のきっかけに反応して決まった行動パターンを繰り返すようになっています。このループを意識的に変えるには、根気強いトレーニングが必要なのです。
性格を変えることは本当に不可能?
ここまで「性格は簡単には変えられない」と説明してきましたが、まったく変えることができないわけではありません。実際に、人は大人になってからも自分の考え方や行動を少しずつ変えることができます。
例えば、ネガティブで心配性だった人が、ストレスの対処法やマインドフルネスなどを習慣化することで、以前よりも前向きに考えられるようになることがあります。性格のすべてが一気に変わることはなくても、意識的な努力と環境づくりを継続することで、性格の一部分を改善することは十分可能なのです。
では、現実として性格が完全には変えられないなら、どうすれば性格が合わない人とうまく付き合えるでしょうか?
性格が合わない人とうまく付き合うためのコツ
性格が完全に変えられないからこそ、うまく付き合う方法を工夫することが大切です。日常で簡単に試せる6つの具体的なコツを紹介します。
距離感を明確にする(境界線を決める)
性格が合わない人とは、無理に親しくしようとせず、適度な距離感を保つことが重要です。相手に対して「ここまでは付き合うけど、それ以上は無理しない」と明確な境界線を引いておけば、お互いにストレスが軽減されます。
相手の気持ちを想像してみる
相手と意見がぶつかったり、不快な気持ちになったりした時は、「相手はなぜそんな態度を取ったのか?」と相手の立場を想像してみましょう。相手の視点を理解できると、自分の気持ちも落ち着き、無駄な衝突を避けやすくなります。
相手の良いところを探す
合わない相手の短所ばかりに注目せず、あえて長所や尊敬できる部分を探してみると関係性が改善します。例えば、「言い方はきついけど仕事は丁寧」「意見は合わないけど責任感は強い」など、相手のポジティブな側面に気づくことで気持ちが楽になります。
余計なアドバイスは控える
相手が困っていても、頼まれていない限りアドバイスをしないよう心がけましょう。頼まれていないアドバイスは、相手の自尊心を傷つけ、関係を悪化させることがあります。必要な時だけサポートを申し出ることで、お互いのストレスが軽減されます。
「私は~」で気持ちを伝える(Iメッセージ)
気持ちを伝える時は「あなたは~」ではなく、「私は~と思った」「私は~と感じた」のように「私」を主語にして伝えましょう。相手を責めることなく、自分の気持ちを素直に伝えることで、相手も防御的にならずに冷静なコミュニケーションが取りやすくなります。
疲れを感じたら休息・気分転換を
性格が合わない人と接すると心身が疲れます。そういう時は無理をせず、適度な休息や気分転換を取り入れることが大切です。例えば、趣味の時間を確保したり、軽い散歩をしたり、深呼吸をしたりするだけでも、気持ちをリセットできます。
まとめ
性格が合わない相手と付き合う上で大切なのは、相手を無理に変えようとしないことです。そもそも、性格は一人ひとり違うからこそ面白いのです。
相手を変えようとエネルギーを使うより、自分の「受け止め方」を少し工夫するだけで、人間関係は驚くほどラクになります。人付き合いが苦手でも、自分が無理なく心地よくいられる環境を少しずつ整えていくことが、何よりのコツなのです。