目次
温泉を楽しむ前に知っておきたいマナー
温泉は日本人にとって癒しの場であり、旅行で温泉付きの宿泊施設を選ぶ人や日帰りで温泉を楽しむ人も多いでしょう。ただ、温泉は公共の場であるため、他の利用者への配慮が求められます。
近年では、従来のマナーに加え、新たなマナーが登場していることもあり、知らずに周囲に迷惑をかけることもあります。ここでは、温泉を快適に楽しむために知っておくべき基本的なマナーを紹介します。
周りに配慮した『正しい温泉の入り方』5つ
温泉では、意識していない人も多いかもしれませんが、ちょっとした行動が周囲への配慮につながります。ここからは、意外と知られていない、でもとても重要な温泉の入り方を5つ紹介します。
①地元の温泉では常連さんに積極的に挨拶をする
地域に根ざした温泉では、常連客に対して挨拶をすることが良いマナーです。誰が常連か分からない場合でも、すれ違う人に軽く挨拶をすると、自然にコミュニケーションが生まれます。
常連の方々は、外から訪れた人に少なからず警戒心を抱いていることもあるため、挨拶がその緊張を和らげる役割を果たします。挨拶を返してもらえないことがあっても、気にせずに挨拶を続けましょう。
温泉での配慮は、人との交流だけではありません。湯船の中でも注意すべきことがあります。
②湯口付近の場所取りを避ける
お湯が出ている場所を「湯口」と言いますが、この場所は特に新鮮なお湯を楽しみにしている人が多いため、いきなり湯口付近を占拠するのは避けましょう。また湯口付近は湯温が高く、身体への負担が大きくなる危険もあります。他の利用者が気持ちよく利用できるよう、湯口付近は常に空けておくことを意識してください。
また、湯船に浸かる際に温度が気になる場合の対処法についても知っておく必要があります。
③熱いときは周囲に確認してから水を加える
温泉のお湯は42℃~44℃程度と、比較的熱めに設定されていることが一般的です。しかし、自分の判断だけで勝手に水を入れて温度を下げるのはマナー違反です。
特に熱めのお湯を好んで入浴している人もいるため、水を入れる前には周囲の人に一声かけ、了承を得てから調節するようにしてください。こうした小さな心遣いが快適な温泉空間を作ります。
温泉に関しては、マナー以外に健康面からも注意が必要なことがあります。
④飲泉は施設が認めている場合のみ行う
温泉の湯を飲むことを「飲泉」と言い、温泉の効能を直接体内に取り入れる方法として知られています。しかし、すべての温泉が飲用可能なわけではありません。
飲泉には適さない成分を含む温泉もあり、体調不良を引き起こすことがあります。特に15歳未満の子どもの飲泉は推奨されていません。施設が飲泉可能と明記している場合のみ、安全に注意しながら利用しましょう。
入浴中に行いがちな行為で注意すべきことが、もう一つあります。
⑤顔は洗い場で洗う
温泉に浸かりながら顔を洗うことは衛生的にもマナーとしても好ましくありません。湯船には多数の人が入浴するため、鼻や口などからお湯が入り込むことで、感染症のリスクが高まる可能性があります。顔を洗いたい場合は必ず湯船の外にある洗い場で行い、湯船のお湯を清潔に保つよう努めましょう。
安全で快適な温泉利用のために守るべき注意点
温泉を楽しむにはマナーだけでなく、安全への配慮も欠かせません。些細なことが健康上のトラブルや事故につながる可能性もあるため、以下の注意点を守りましょう。
- 入浴前に必ず掛け湯をする
- 湯温は41℃以下、入浴時間は10分以内を目安にする
- 入浴前後は水分をしっかり摂る
- 脱衣所や浴室ではスマホやカメラを使わない
特に近年では熱中症やヒートショックの事故が増加しています。安全に温泉を楽しむためには、こうした基本的な配慮が重要です。また、施設内でのスマホ利用はプライバシー侵害の懸念もあるため控えましょう。
時代に合った新しい温泉マナーと多様性への配慮
最近の温泉施設では、多様な利用者への配慮が重要視されるようになりました。従来のマナーに加えて、次のような新しいマナーも浸透しつつあります。
- タトゥーがある場合は、事前に施設のルールを確認する
- 健康上の理由で入浴着が必要な場合は施設に相談する
- 混浴の場合は年齢制限(原則7歳未満)を必ず守る
施設ごとにタトゥーや入浴着に関するルールが異なるため、訪問前に確認しておくことで快適に過ごせます。また、混浴利用時には法令上の年齢制限にも注意が必要です。
外国人観光客向けのマナーも知っておこう
外国人観光客が増加したことで、温泉施設では異文化間のマナーの違いへの対応が必要になっています。施設側も多言語表示やピクトグラムを取り入れて配慮していますが、利用者自身も外国人観光客に温泉の基本マナーを英語やジェスチャーで伝えることが望ましいでしょう。お互いが気持ちよく利用できるよう、小さな工夫と配慮を心がけてください。