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果物や野菜は野菜室で保存すれば良いとは限らない?
野菜室は冷蔵庫の中でも比較的温度が高く、湿度も高めで野菜の鮮度を保つ工夫がされています。しかし、すべての野菜や果物が野菜室に向いているわけではありません。
食材にはそれぞれ適した保存環境があり、誤った方法では逆に鮮度を損ねてしまうこともあります。特に気をつけるべき食材を知り、より長くおいしく食べられるようにしていきましょう。
野菜室での保存に適さない食材5タイプ
ここからは、具体的に野菜室で保管するのが不適切な食材を5つのタイプに分けて説明します。知らずに野菜室に入れているものがあれば、注意が必要です。
1. 冷蔵室での保存が適切な食材
冷蔵庫の冷蔵室で保存すべき食材を野菜室に入れてしまうと、温度がやや高いため傷みが進んでしまいます。以下の食品は特に野菜室ではなく冷蔵室で保存するのが適しています。
- 肉類(生肉・加工肉)
- 乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト)
- もやし
特にもやしは非常に傷みやすいため、購入後すぐに洗い、水を張った容器で冷蔵室(4℃前後)で保存すると鮮度が長持ちします。また、肉類は汁漏れによる食品間の細菌汚染を防ぐため、必ず密閉して冷蔵室最下段かチルド室で保管しましょう。
2. 冷凍庫で保管すべき食品
冷凍庫で保存するべき食品を野菜室に入れると、氷や霜が溶けて水分が出ます。この水分が野菜室内の野菜や果物に付着すると、傷んでしまう原因になります。
特に冷凍食品はマイナス18℃以下で保存することで品質が維持できるため、購入後は速やかに冷凍庫へ入れましょう。また、冷凍食品の解凍方法は製品の指示を確認し、室温や冷蔵室での自然解凍を心がけましょう。
3. 追熟が止まってしまう果物
果物の中には常温で追熟が進むタイプがあり、低温下では追熟が止まり、味が損なわれることがあります。野菜室に入れる前に、常温で熟成させてから冷やすと良い果物の例は次の通りです。
- バナナ
- メロン
- アボカド
- パイナップル
これらは、熟した香りがして食べ頃になってから野菜室に移動させましょう。また、リンゴやバナナはエチレンガスを多く出すため、エチレンガスに敏感なキウイやアボカドとは別々に保存することもおすすめです。
4. 常温での保存が適している野菜
野菜の中には常温で保存するほうが適しているものもあります。以下の野菜は涼しくて風通しが良い、暗めの場所で保管しましょう。
- 玉ねぎ
- かぼちゃ
- ごぼう
- イモ類(じゃがいも、さつまいもなど)
これらの野菜は野菜室に入れると湿度が高すぎてカビが生えたり、低温障害で食感や味が悪くなったりするため、注意が必要です。ただし、高温や直射日光の当たる場所は避け、適切な環境を確保しましょう。
5. 低温障害を起こしやすい野菜
野菜の中には、低温が苦手で野菜室でも温度が低すぎることがあります。以下の食材は特に注意しましょう。
- トマト
- キュウリ
- オクラ
- ピーマン
- ナス
これらは熱帯や亜熱帯地域が原産で、低温(10℃以下)にさらされると食感が悪くなったり、栄養価が落ちたりする「低温障害」を起こしやすい野菜です。購入後は常温の涼しい場所で保管し、できるだけ早く食べるようにすると鮮度を保てます。
食材別に最適な保存方法を選ぶコツ
野菜室に入れる食材についても、保存方法に工夫をすることで鮮度が長持ちします。
例えば、大根や人参などの根菜類は、立てた状態で保存すると土の中で育った環境に近づき、鮮度が保たれます。また、レタスなどの葉物野菜は新聞紙やキッチンペーパーで包むことで乾燥や傷みを防げます。
さらに最新の冷蔵庫には、湿度センサーや炭酸ガスコントロールなど、鮮度を長持ちさせる機能が搭載されているものもあるため、買い替えの際はこうした機能にも注目してみると良いでしょう。
食材の鮮度を保つことは、食品ロスの削減にもつながります。冷蔵庫の収納率を7割程度に保つ、ドアの開閉をできるだけ少なくするなど、日常的な工夫をして省エネや環境保護にも貢献しましょう。
野菜室を上手に使うために知っておきたいこと
野菜室に食材を入れる際には、「温度」「湿度」「エチレン」の3つのポイントを意識することが大切です。
すべての野菜や果物を一律に野菜室に入れるのではなく、それぞれの特性に合わせて保管場所を選ぶことで、食材の鮮度や味を最大限に引き出すことができます。この記事を参考に、自宅の冷蔵庫や食品保存を見直してみてください。