目次
門松の正しい飾り方
門松の飾り方はご存知ですか?飾り方はその地域や、住まいが賃貸かどうかによって変わります。
そもそも門松ってなに?
門松とは、名前の通り「門にある松」です。古来より松は長寿や子孫繁栄のシンボルと言われています。門松を飾るのは平安時代の貴族たちが長寿や子孫繁栄を願って始めた習慣です。やがて一般市民にも伝わりました。家の前に門松を2本置き、魔よけ効果があるとされるしめ縄を張って飾っています。
門松の飾り方
門松には雄松と雌松の2種類があり、この2つの松を門や玄関の正しい場所に置く必要があります。まずは雄松と雌松の特徴をおさえましょう。
雄松の特徴
雄松は全体的に黒く、葉っぱはふっくらとしており触ると固いです。松と一緒に白の牡丹がセットで飾られています。
雌松の特徴
雌松は全体が赤みを帯びていて、葉っぱはスラッと細くて短い形状、触ると柔らかいです。こちらは赤の牡丹がついています。
見分けがつかない時は、セットの牡丹で判断しましょう。
賃貸アパートやマンションでの飾り方は?
賃貸のアパートやマンションには、基本的に門がありません。なので玄関の前に飾りましょう。飾り方は、門松を玄関の近くに2つ。玄関の正面に立って、左側が雄松で、右側は雌松になります。
竹の長さによって願いが変わる
門松には、3本の竹が立っていますよね。竹はそれぞれ長さが違い、その位置によって願いごとが変わります。
短い竹と長い竹が中央に、2番目に長い竹が外側に配置された門松は「出飾り」と呼ばれる飾り方です。「子どもが自立できますように」「結婚相手が見つかって、嫁に出れますように」という願いが込められています。また、家族に病気を患っているひとがいる場合も「早く退院できますように」という願掛けになります。
次に「迎え飾り」です。出飾りとは逆に、中央に2番目に長い竹。外側に長い竹と短い竹を配置します。迎え飾りは福を呼び込み、仕事や商売の成功を願う飾りです。商売だけでなく、結婚相手やまだ見ぬ孫などの新しい家族を迎え入れたいという願いも込められています。
地域ごとの飾り方
地域ごとによって、個性ある飾り方があります。
関東の場合
関東地方での門松の飾り方は、スリムなデザインをしています。短くカットされた松の生け込みに、3本の松をたてます。その周りを、「こも」や松で包み込むだけです。比較的シンプルですね。
関西の場合
続いて関西ですが、ダイナミックで華やかな飾り方が特徴です。太くて長い竹を、これまた大きめサイズの松に立てます。松の周りには笹や赤と白の牡丹を飾り、割った竹を土台にぐるっと巻きつければ完成です。非常に彩がよく、飾っているだけで大きな福が舞い込んできそうな見た目です!
門松を飾る時期
門松はそもそもなぜ飾るのでしょうか?門松を飾る理由、そしていつから飾れば良いのかをみていきましょう。
なぜ門松を飾るの?
門松・しめ飾り・鏡餅、全て合わせて正月飾りといいます。正月飾りを準備する理由は、歳神様を迎え入れるためです。
「歳神様ってなに?」「そんな神様うちはまつってない!」と思うかもしれませんが、歳神様は皆さんのご先祖様の事をいいます。
歳神様(ご先祖様)は年末年始に家に訪れて、家族の1年間の健康を祈ってくれる大変ありがたい存在。その時に必要なのが門松を始めとする「正月飾り」です!正月飾りは歳神様を気持ちよく迎え入れる役割があります。
それでは、門松を飾って歳神様を迎え入れる時期はいつから始まるのでしょうか?
門松を飾る時期
門松を飾る時期はお正月の直前というわけではありません。「松の内」と呼ばれる期間に入ったら正月が始まる前に門松を飾りましょう。
松の内は地域によって変わります。関東地方では12月8日以降、関西地方では12月13日以降となっています。
ちなみに、年末はクリスマスイベントも重なるので、「そんなに早く門松を飾ることはできないよ」という人もいるでしょう。それはごもっともだと思います。クリスマスに門松の様な和の雰囲気はあいませんからね。
ですが、クリスマスを過ぎてから門松を飾るのなら遅くても12月28日までに飾ることをおすすめします。その理由を次に説明します。
29日以降は飾らない方がいい!
12月29日に飾るのはおすすめしません。9という数字は、「苦しい」という字を思い浮かべるためです。本来縁起のいいはずのお正月飾りに縁起の悪い数字を重ねることは嫌われます。
また12月31日も避けてください。先にも説明しましたが、正月飾りとは歳神様をお出迎えする為の準備です。歳神様をお迎えするというのに、年末の12月31日にバタバタと準備しては失礼!縁起が悪いのです。
これを「一夜飾り」と言います。なら30日ならいいのかというと、12月30日は旧暦で言うと月末にあたります。なので、12月30日もやっぱり歳神様に失礼。
つまり、29日から30日までは飾ってはいけません。素晴らしい1年を過ごすために、そして歳神様の怒りに触れない様に、正月飾りはササッと早いうちに終わらしておきましょう。
門松を片付ける時期
続いて、門松を片付ける時期についてご覧ください。飾る時期と同じように、門松は片づける時期やルールが存在します。
門松を飾るのは「松の内」期間だけです。松の内期間が終わったら門松は片づけましょう。なるべくは、鏡開きの日が来る前に片づけます。
関東地方では松の内が終わる日は1月7日、鏡開きは1月11日です。鏡開きの日が来る前の3日間で門松を片付けます。しかし関西地方では、松の内終了の日も鏡開きの日も1月15日です。
1日で門松の片付けと鏡開きを同時にやらなければなりません。ただそれだと大変なので、近頃は15日以前に片づける関西の家庭も増えてきました。
門松の処分方法
松の内が終了し、門松を片づけた後はどう処分すればよいのでしょうか?
松は歳神様を迎え入れるための神聖な飾りです。それを知っているからこそ、捨てるのはとっても縁起が悪そうですよね?しかしそのまま置いていても余計なスペースを使うだけ・・・。
それでは、門松の処分方法をご紹介します。
神社で処分する
門松は、神社に持って行ってどんど焼きをするのが一般的です。
どんど焼きというのは、正月飾りを依代にしている歳神様を見送るための火祭りのことを言います。どんど焼きは1月15日に行われるのでそれまでに持っていきましょう。
もちろん、持って行く間も門松は神聖なものですから丁寧に運んでください。竹や葉、飾りを傷つけない様に新聞紙などでカバーします。
また、どうしてもどんど焼きの日(1月15日)に間に合わないという人でも神社のスケジュールによってはお焚き上げで処分してくれるでしょう。最寄りの神社に対応しているか確認してみてください。
自分自身で処分する
家の近くに神社がない、持っていく時間もない、そんな時はどうすればよいのでしょうか?
実は、門松は可燃ごみとして処分することができます。
「それなら神社なんていかなくていいじゃん!」と思いますよね。だからといってすぐゴミ袋に入れて捨ててはいけません。門松は神聖な飾りです。神社に持っていくのは、歳神様を見送るため、そして門松を清める必要があるからというのを忘れてはいけません。
自分で処分する場合は罰が当たらない様に丁寧に行いましょう。処分する前は門松を清める必要があります。まず、作業するための場所自体にお酒と塩をまいて清めてください。
その後は、門松に直接塩をかけて清めます。ゴミ袋に入れる時も注意が必要です。他の生活ごみと一緒にせず、門松やお守りなど神聖な物だけをまとめて捨てましょう。
また、自治体によっては門松が「粗大ごみ」に該当する可能性がありますので、必ず確認してください。
まとめ
以上が門松の正しい飾り方、飾る時期と片付ける時期の一般常識でした。
門松の飾り方は雄松と雌松の見極めが重要です。左右に正しく配置するだけ、それ以外に難しいルールなどはありません。ですが、飾る時期と片付ける日を守りましょう。
歳神様、つまりご先祖様が家に訪れる日と去る日は決まっており、それを守らないと大変失礼な行いにあたります。門松は神様が宿る非常に神聖な飾りなのです。次の1年を縁起よく過ごせるためにも、扱いは丁寧に行いましょう。
また、処分する際はなるべく神社で処分してもらうことをおすすめします。自分で処分する時は、普通のゴミとして扱うのではなく丁寧に処分してください。