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春を象徴する桜、実はとてもデリケート?
春の風物詩といえば、やっぱりお花見ですよね。満開の桜を見ながら家族や友人と一緒に過ごす時間は格別なものです。美しい花を眺めているだけで、冬の疲れも吹き飛ぶ気がします。
でも、そんな春を彩る桜が、実は見た目以上に繊細で、傷つきやすいことを知っていますか?
普段はあまり意識していないかもしれませんが、私たちが何気なくやっていることの中に、桜を傷つけたり、弱らせたりする行動が隠れていることがあります。
ちょっとしたことが原因で、桜が早く枯れてしまったり、翌年きれいな花が咲かなくなったりするかもしれません。知らないうちに桜を傷つけてしまう行為とは一体どのようなものなのでしょうか。誰もが無意識にしてしまいがちな行動を一緒に見ていきましょう。
桜にやってはいけないNG行為
桜は他の木に比べて非常に繊細です。知らずにやってしまったことが、大きなダメージにつながってしまうこともあります。
具体的にどのような行動が桜の負担になるのかを理解し、これからの桜との付き合い方を見直してみてください。
1.根元や枝を直接傷つける
お花見の場所を決めるとき、桜の根元近くにシートを敷いたり、重いクーラーボックスを置いたりしていませんか?
実はこれ、桜にとってはかなりのストレスになります。桜の根元を掘ったり、土を踏み固めたりすると、根が呼吸できなくなり、栄養を吸収できなくなります。これが原因で徐々に弱っていき、最悪の場合は枯れてしまうこともあるんです。
また、枝を手で無理やり折ることも厳禁です。折れた部分から細菌が入り、桜が病気になってしまうリスクが高まります。実際に桜は、一度病気になると元の状態に戻ることは難しいと言われています。
根や枝は、私たちが思っている以上に繊細です。わかりやすく言えば、人間の血管のような役割をしています。無理に折ったり根元に負担をかけたりすると、桜は大きなダメージを受けるのです。
お花見をするときは、根元を避けてシートを広げ、枝には絶対に手をかけないように心がけましょう。
2.枝に荷物を吊るす・幹に寄りかかる
桜の枝は意外と簡単に折れてしまいます。荷物を掛けたり、飾りを吊るしたりすると、少しの重さでも負担になってしまうんです。例えば、バッグや上着など、軽く感じるものでも、枝にとっては想像以上の重荷になります。
また、桜の幹に寄りかかるのも注意が必要です。太くて丈夫そうに見える幹でも、実際は表面が傷つきやすく、その傷から病気が入り込みます。人間の皮膚と同じで、小さな傷が大きなトラブルの元になることも少なくありません。
以前、ある公園で枝に荷物を掛けていたところ、枝が折れてしまったというケースもあります。桜の枝は見かけよりも脆いので、荷物は必ず地面に置き、幹に寄りかかるのもやめておきましょう。
3.花や枝を無理に摘み取る
きれいな桜を見ると、思わず花を持ち帰りたくなる気持ちもわかりますよね。SNSにアップするためや、ちょっとした記念として花や枝を摘み取る人もいるでしょう。
しかし実は、この行為が桜を深刻に傷つけてしまうことがあります。
桜の花や枝を摘み取ると、その部分に小さな傷口ができます。傷口は人間の体にできた傷と同じように、病原菌が侵入する入口になります。
桜は病気にとても弱い樹木です。一度病気になってしまうと、その部分だけでなく、全体へと病気が広がるリスクがあります。
また、無理に枝を引っ張ることで枝の内部が裂け、樹液が出てしまうこともあります。これは人間で言うと出血のようなもので、枝が回復するには時間がかかり、木全体が弱ってしまう原因になります。
花を持ち帰りたいときは、桜の木からではなく、落ちた花びらを拾うなど工夫をしましょう。それだけでも十分、美しい写真が撮れますよ。
4.撮影目的で枝を揺さぶる
満開の桜の花びらが舞い散る様子は本当にきれいですよね。SNS映えする写真を撮りたいがために、つい枝を揺さぶって花びらを散らしてしまう人もいます。
しかし、これは桜にとって大きな負担になる行為なのです。
枝を揺さぶると、花びらだけでなく花芽や葉芽にもダメージを与えます。特に花芽は次の年に咲くために重要な部分。枝を揺さぶる刺激によって花芽が落ちてしまったり、枝の内部が傷ついたりすると、翌年の開花が少なくなることもあります。
さらに、枝の根元に亀裂が入るなど、目には見えない傷がつくこともあり、その傷から病気が侵入して桜全体を弱らせることにもなりかねません。
せっかく桜の美しい姿を楽しんでいるのに、自分の撮影のために桜がダメージを受けてしまったら残念ですよね。撮影するときは、自然に散っている花びらを狙ったり、風が吹く瞬間を待つなどして、桜に負担をかけないように気をつけましょう。
5.桜の木の周辺にゴミや飲食物を放置する
お花見は食べ物や飲み物を楽しみながら過ごすのも醍醐味ですよね。しかし、桜の木の周りに食べ物のカスや飲み残しを放置することが、桜にとっては大問題になります。
実は、食べ物の残りやジュース、お酒などを根元にこぼすと、それが腐敗して土壌の環境を悪化させます。土壌が悪くなると、根が栄養や水分を十分に吸収できなくなり、桜は徐々に弱ってしまいます。
また、残った食べ物は害虫を引き寄せる原因にもなります。特に害虫が桜の幹や枝に入り込んでしまうと、枝が枯れるだけでなく、病気になってしまうこともあります。たった一度のゴミや食べ残しがきっかけで、桜の寿命を縮めてしまう可能性があるのです。
楽しんだ後はゴミを残さず持ち帰り、飲食物は必ずこぼさないよう注意しましょう。その少しの気遣いが、美しい桜を守ることにつながります。
6.強いライトアップを長時間当てる
夜のライトアップされた桜は幻想的で美しいですよね。ただ、実はこの強いライトを長時間桜に当て続けることが、桜にストレスを与えることがあります。
強い光が長時間当たり続けると、桜の樹木が昼夜のサイクルを誤解してしまいます。これは人間が強い光を浴び続けると睡眠リズムが乱れるのと似ています。
桜も同じで、強い光の刺激で樹木の休息時間が取れず、結果的に木全体が疲れてしまうのです。その影響は特に花芽の形成時期に大きく、翌年の開花に影響を及ぼすことがあります。
ライトアップはほどほどに抑え、夜遅くまで照らし続けることを避ける工夫が必要です。桜の健康を守るためにも、ライトアップの時間を短くしたり、光を弱めたりといった調整をしましょう。
桜を守るためのお花見マナー
桜にとって負担となる行為を知ったところで、今度は具体的にどのような行動を取れば、桜を守りながらお花見を楽しめるのか見ていきましょう。
まず大切なのは、桜の根元から少し距離をとってシートを広げることです。根元は桜にとって栄養や水分を吸収する大切な場所です。そこを避けて座るだけでも、桜にかかる負担を大幅に軽減できます。
ゴミの持ち帰りもとても重要です。食べ残しや飲み残しを放置すると、桜の根元が汚れてしまい、害虫が発生する原因になります。花見のときは、ゴミ袋を多めに持参し、後片付けを徹底しましょう。
また、騒ぎすぎにも注意が必要です。桜の木がある公園や広場は公共の場でもあります。騒ぎすぎると他の花見客に迷惑がかかるだけでなく、落ち着いた環境を好む鳥や小動物が寄りつかなくなり、生態系にも悪影響を与えます。
このように、根元を避けて座る、ゴミを持ち帰る、騒ぎすぎないというシンプルなマナーを意識するだけで、桜を守ることにつながります。
一人ひとりが意識を少し変えるだけで、毎年美しい桜を楽しめる環境を維持できるのです。
来年も美しい桜を楽しむために
私たちが毎年楽しみにしている桜ですが、実は知らないうちに傷つけてしまっていることがあります。今回紹介したNG行為や推奨マナーは、桜を守るためのほんの一例です。
大切なのは、桜の木がデリケートで傷つきやすいという意識を常に持つことです。桜も私たちと同じように、生きていて繊細な生き物であることを忘れてはいけません。
来年も、そして10年後も、美しい桜の花を楽しむために、今からできることを始めてみましょう。
桜にやさしい行動は、結果として自分自身や大切な人たちにも幸せをもたらします。いつまでも美しい桜を楽しめるように、一緒に行動していきませんか。