電子レンジが爆発する原因7つ!東京消防庁のデータが示す「火災リスク」

多くのご家庭に設置されている電子レンジ。実は近年、電子レンジによる火災事故が増えていることをご存知でしょうか。そこで今回は、改めて電子レンジの危険性を理解するために、爆発の危険性もある電子レンジの絶対ダメな使用方法について解説していきます。

電子レンジによる火災事故は意外と多い

「電子レンジで火災なんて、本当にあるの?」と思われるかもしれません。しかし、実際には毎年、電子レンジによる火災事故が発生しています。

東京消防庁のデータによれば、令和4年(2022年)には電子レンジが原因の火災が84件発生し、これは10年前の約3倍に相当します。さらに、令和3年(2021年)には65件の火災が報告され、これは過去10年間で最も多い件数でした。

これらのデータから、電子レンジによる火災は近年増加傾向にあることがわかります。

電子レンジは、火やガスを使わずに食材を温められる便利な家電です。しかし、その手軽さゆえに誤った使い方をしてしまう人も少なくありません。例えば、長時間の加熱や、金属製品を入れての使用など、ちょっとしたミスが火災につながることがあります。

「いつもやっているから大丈夫」「今まで問題なかったから平気」と思っていても、ある日突然事故が起こることも。安全に使うためには、電子レンジの仕組みと危険性をしっかり理解することが大切です。

電子レンジが爆発する主な原因

汚れた電子レンジ

電子レンジで爆発が起こるのは、単なる偶然ではありません。ほとんどの場合、原因は明確で、適切に対処すれば防ぐことができます。ここでは、特に多い原因を紹介します。

1. 食品を長時間加熱しすぎている

電子レンジは、食材の水分を振動させて熱を生み出す仕組みです。加熱時間を守らず、長時間温めすぎると水分が完全に蒸発し、食材が炭化して発火することがあります。

例えば、さつまいもを電子レンジで温める際、長時間加熱しすぎた結果、庫内で発火した事例が報告されています。これは、さつまいもの水分が抜けすぎて焦げ、可燃性のガスが発生したためです。同じことが、パンや鶏肉、油分の多い食品でも起こる可能性があります。

電子レンジの出力(ワット数)によっても加熱の仕方は変わります。500Wと700Wでは、同じ時間でも食品の温まり方が異なります。調理の際は、レシピに記載された加熱時間を守るだけでなく、途中で様子を確認しながら温めるのが安全です。

2. アルミホイルや金属製品を加熱している

電子レンジで金属を加熱すると、スパークが発生し、火花が飛び散ることがあります。これは、電子レンジが発するマイクロ波が金属に当たり、エネルギーが跳ね返ることで起こる現象です。

アルミホイルは特に危険です。パンを温める際に、ホイルに包んだまま加熱した結果、庫内で火花が散り、電子レンジのガラスが割れたという事故もあります。金属製の食器やフォークなども同様に危険なので、絶対に入れないようにしましょう。

また、食品の包装にも注意が必要です。一見プラスチックに見えるパッケージでも、内側にアルミが使用されているものがあります。電子レンジで温める前に、「電子レンジ対応」の表記を確認することが大切です。

3. 卵を加熱して爆発させてしまう

電子レンジで卵を加熱すると破裂する、という話を聞いたことはありませんか?実はこれ、本当の話です。殻付きの卵はもちろん、割った生卵でも加熱の仕方によっては爆発する可能性があります。

電子レンジは、食品の水分を振動させて熱を生み出します。しかし、卵の黄身は白身よりも早く温まる性質があります。その結果、内部で熱がこもり、一気に圧力が高まることで爆発が起こります。これが、電子レンジで卵を加熱すると破裂する仕組みです。

「ゆで卵を作るのに便利そう」と思い、殻付きのまま電子レンジで加熱するのは特に危険です。内部の水分が沸騰し、逃げ場を失った蒸気が殻を突き破るように爆発します。電子レンジの中だけでなく、加熱後に取り出したときに破裂することもあり、顔や手にやけどを負うリスクもあります。

卵を電子レンジで調理する場合は、殻をしっかり割り、フォークなどで黄身に穴を開けると爆発を防ぐことができます。加熱する際には、水を入れた耐熱容器に卵を割り入れ、短時間ずつ様子を見ながら温めることが大切です。

4. 密閉容器やラップをしたまま加熱してしまう

「温めた料理の蓋を開けた瞬間に、中身が飛び散った!」という経験はありませんか?これは、密閉容器やラップをしっかり閉じたまま加熱したことが原因で起こる現象です。

電子レンジで食品を温めると、中の水分が蒸気になります。密閉された状態では、この蒸気が逃げ場を失い、容器内部の圧力が急激に上昇します。そして、限界を超えた瞬間に爆発的に中身が飛び散るのです。

特に、スープや味噌汁のような液体を密閉容器で加熱するのは危険です。ラップをぴったり密着させたまま温めると、加熱後に開けた瞬間に「ポンッ!」と破裂し、中の液体が飛び散ることがあります。やけどの原因になるため注意が必要です。

安全に加熱するためには、ラップをふんわりとかける、もしくは少し隙間を開けて蒸気が逃げるようにしましょう。また、密閉容器を使う場合は、蓋を完全に閉めずに軽くのせるだけにすると安全です。

5. 水を加熱しすぎて突沸現象が起こる

「電子レンジで温めたコーヒーにスプーンを入れた瞬間、突然ブワッと沸騰した!」こんな話を聞いたことはありませんか?これは「突沸(とっぷつ)」という現象です。

突沸とは、水が100℃以上に過熱されても表面に気泡ができず、突然一気に沸騰する現象のことです。電子レンジで水を温めると、鍋で沸かすのとは違い、底から気泡が出にくくなります。そこにスプーンやティーバッグを入れると、水の分子が一気に動き、突然爆発的に沸騰するのです。

この現象が起こると、熱湯が飛び散り、やけどを負う可能性があります。特に、透明なマグカップなど、表面がツルツルした容器を使うと突沸が起こりやすくなります。

突沸を防ぐためには、水を加熱する際に爪楊枝やティーバッグを入れるのが効果的です。これらが沸騰のきっかけを作り、突沸を防いでくれます。また、加熱後はすぐにかき混ぜず、数秒待ってからスプーンを入れるとより安全です。

6. 一部の食材が内部で圧力を溜めて爆発する

電子レンジで特定の食材を加熱した際、「バチン!」という音がして庫内が汚れたことはありませんか?これは、食材の内部で圧力が高まり、破裂したために起こります。

例えば、とうもろこしやトマト、にんにく、明太子などは皮や膜で覆われています。電子レンジで加熱すると、中の水分が蒸気になり、外側の皮が膨らみます。しかし、内部の圧力が高まりすぎると、破裂してしまうのです。

とうもろこしをまるごと加熱すると、内部で水蒸気が発生し、弾けるように爆発することがあります。同じように、にんにくや明太子も薄皮の内側で圧力が溜まりやすく、加熱すると突然破裂します。

このような食材を電子レンジで温める場合は、あらかじめフォークで穴を開けたり、切れ目を入れておくと爆発を防ぐことができます。トマトを加熱する際も、皮に小さな切れ目を入れることで、安全に調理できます。

7. 調理不可の包装や食器を加熱している

電子レンジで食品を加熱する際、パッケージのまま温めることはありませんか?

最近では、袋や容器ごと温められる食品も増えてきました。しかし、すべての包装が電子レンジ対応とは限りません。間違った容器を使用すると、発火や爆発の危険があります。

特に、アルミを含む包装は要注意です。一見プラスチックのように見えるパッケージでも、内側にアルミが使われていることがあります。このような包装を電子レンジで加熱すると、火花が散り、爆発することがあります。過去には、コンビニの弁当容器をそのまま電子レンジにかけたところ、庫内でスパークが発生し、電子レンジが故障したという事例もあります。

また、電子レンジ対応でないプラスチック容器にも注意が必要です。高温で加熱されると、溶けたり変形したりする可能性があります。さらに、プラスチックが溶けることで有害物質が食品に溶け出すことも考えられます。

電子レンジで食品を加熱する前に、パッケージや容器の底を確認し、「電子レンジ対応」の表示があるかを確かめましょう。安全に使うためには、専用の耐熱容器に移し替えるのが確実です。

電子レンジを安全に使うためにできること

ここまで、電子レンジが爆発する原因について詳しく解説しました。しかし、「じゃあ、どうすれば安全に使えるの?」という疑問が湧いてきますよね。電子レンジは正しく使えばとても便利な家電です。ここでは、事故を防ぐための具体的な対策を紹介します。

加熱時間の目安を守る

食品の加熱時間を守ることは、電子レンジを安全に使う上で非常に重要です。過熱による発火や爆発のリスクを減らすためにも、適切な加熱時間を意識しましょう。

例えば、さつまいもや鶏肉を加熱する場合、レシピ通りの時間設定にすることが大切です。特に、電子レンジのワット数によっても加熱時間は変わります。500Wと700Wでは、同じ時間でも食品の温まり方が違うため、注意が必要です。

また、一度に長時間加熱するのではなく、「短時間ずつ温めて様子を見る」という使い方を心がけましょう。途中でかき混ぜることで、温度ムラも防げます。

食材に応じた対策をする

食品によって、電子レンジの中で起こる現象は異なります。そのため、食材ごとに適切な対策をとることが大切です。

《卵や圧力の溜まりやすい食材》

  • 卵を加熱する場合は、必ず殻を割り、黄身に穴を開ける。
  • とうもろこしやトマト、にんにくなど、内部に圧力が溜まりやすい食材は切れ目を入れる。

《油分の多い食品》

  • 鶏皮やホルモン、ソーセージなどの脂が多い食品は高温になりやすいため、加熱時間を短めにする。

《突沸を防ぐための工夫》

  • 水を加熱する場合は、爪楊枝やティーバッグを入れると突沸を防げる。

ちょっとした工夫で、電子レンジの爆発や事故を未然に防ぐことができます。

電子レンジ対応の容器を使う

安全に電子レンジを使用するためには、容器選びも重要です。耐熱性のない容器や金属を含む包装は、思わぬ事故の原因になります。

《安全な容器の選び方》

  • 電子レンジ対応の耐熱ガラスやプラスチック容器を使用する
  • ラップはふんわりかけて、蒸気が逃げるようにする
  • 電子レンジ不可の食器(アルミ製、金属の装飾があるもの)は使わない

また、密閉容器を使う際は、必ず蓋を少し開けて蒸気が逃げるようにしましょう。安全な容器を使うだけで、爆発のリスクを大幅に減らすことができます。

電子レンジの掃除とメンテナンスも忘れずに

電子レンジを安全に使うためには、日頃の掃除とメンテナンスも欠かせません。庫内が汚れていると、食材のカスが焦げつき、火災の原因になることもあります。

定期的に掃除しよう

電子レンジの汚れは、思っている以上に蓄積されています。飛び散った食品のカスや油が放置されると、次回使用時に発火することもあります。

簡単な掃除方法として、「重曹水を電子レンジで加熱し、蒸気で汚れを浮かせて拭き取る」 という方法があります。これなら、庫内のニオイも取れ、一石二鳥です。

アルコール消毒は危険!

電子レンジ内の除菌や掃除のためにアルコールを使う人もいるかもしれません。しかし、電子レンジ内でアルコールが気化し、それが火花で引火する危険性があります。

アルコール消毒をする場合は、電子レンジを使用しないタイミングで行い、十分に換気をすることが大切です。安全を考えるなら、重曹やクエン酸を使った掃除方法が安心です。

あなたの電子レンジ、本当に安全?

電子レンジは日常的に使う家電ですが、使い方を間違えると火災や爆発の原因になります。

「これまで問題なく使えていたから大丈夫」と思っている人も、意外と危険な使い方をしているかもしれません。例えば、アルミホイルをそのまま入れる、密閉容器を蓋を閉めたまま加熱する、食品を長時間放置するなど、些細なミスが事故につながることがあります。

安全に電子レンジを使うためには、「加熱時間を守る」「食材に適した対策をする」「電子レンジ対応の容器を使う」「掃除をこまめにする」 ことが大切です。

今日からでもすぐに見直せることばかりです。この記事を読んだことをきっかけに、電子レンジの使い方を見直してみてはいかがでしょうか。

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