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お酒の失敗で後悔しないために
お酒の席で楽しく飲んでいたはずが、翌朝になって「またやってしまった…」と後悔したことはありませんか? あるいは、周囲の人の酒癖の悪さに巻き込まれて嫌な思いをしたことがある人もいるでしょう。お酒を飲むこと自体は悪いことではありませんが、飲み方によっては仕事や人間関係に悪影響を及ぼすこともあります。
「お酒を飲むと人が変わる」とよく言われますが、これは単なる言い回しではなく、実際に科学的な裏付けがあります。アルコールが脳に作用し、自制心を司る部分の働きを鈍らせることで、普段は抑えている本音や感情が表に出やすくなるのです。しかし、それが度を越すと「酒癖が悪い」と見られてしまい、周囲からの信頼を失う原因になりかねません。
では、なぜ人はお酒を飲むと普段とは違う行動をとってしまうのでしょうか? その心理を探ることで、酒癖の悪さを改善するヒントが見えてきます。
酒癖が悪い人の心理とは
酒癖が悪くなる人には、いくつかの共通する心理的な特徴があります。ただ単にお酒が強い・弱いといった問題ではなく、その人の内面にある考え方やストレスの解消方法が影響していることが多いのです。
お酒をストレス発散の手段にしている
仕事や家庭のストレスを抱えていると、「とにかく飲んで忘れたい!」と思うことがあります。お酒には一時的に気持ちを軽くする作用があるため、悩みを抱えている人ほど飲酒量が増えがちです。
しかし、お酒をストレス発散の手段にすると、飲むたびに感情のコントロールが効かなくなることがあります。例えば、普段は温厚な人でも、飲酒によって積もった不満が爆発し、周囲に愚痴や怒りをぶつけてしまうことがあるのです。こうした状況が続くと、友人や同僚との関係が悪化する原因になりかねません。
自信がなく、お酒の力を借りてしまう
普段は控えめな人でも、お酒が入ると急に饒舌になったり、態度が大きくなったりすることがあります。これは、「お酒の力を借りて自分を大きく見せたい」という心理が働くためです。
例えば、自分に自信がない人ほど、酔った勢いで自慢話をしたり、他人を見下すような発言をしてしまったりすることがあります。また、異性に対して強引にアプローチをするのも、自分を大きく見せたいという気持ちが影響していることが多いのです。しかし、こうした言動は周囲に違和感を与え、結果的に距離を置かれる原因になってしまいます。
場の空気を盛り上げようとしてやりすぎる
飲み会では「場を盛り上げよう」と張り切る人がいます。ムードメーカーとして周囲を楽しませようとすること自体は良いことですが、度が過ぎると問題になります。
例えば、無理に一気飲みを強要したり、大声で騒ぎすぎたりすることで、周囲が引いてしまうことがあります。また、冗談のつもりで過激な発言をしてしまい、場の空気を悪くしてしまうこともあるでしょう。本人としては「楽しくしよう」と思っていたとしても、相手にとっては迷惑になっていることに気づかないケースも少なくありません。
飲み会は楽しむ場ですが、相手の気持ちを考えずに自分のテンションだけで動いてしまうと、知らないうちに「酒癖が悪い人」と思われてしまうことがあります。
アルコールが理性を抑えてしまう
お酒を飲むと、自分でも驚くような発言や行動をしてしまうことがあります。「普段はこんなこと言わないのに…」と後悔するのも、アルコールの影響によるものです。
アルコールは脳の前頭葉に作用し、理性を司る働きを鈍らせます。本来なら「これは言わないほうがいい」「今は冷静にすべきだ」と判断できることでも、飲酒によってそのブレーキが外れてしまうのです。
この影響で、酒癖の悪い人は次のような行動をとることが多くなります。
酒癖の悪い人の7つの特徴
酒癖の悪さにはいくつかの典型的なパターンがあります。自分や身の回りの人に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
1. 酒が入ると性格が変わる(本性が出る)
お酒を飲むと、普段とはまるで別人のようになってしまう人がいます。普段はおとなしいのに、酔うと急に饒舌になる人。逆に、社交的な人が無口になり、塞ぎ込んでしまうこともあります。
「本性が出る」と言われることがありますが、実際は「普段理性で抑えていた感情や思考が表に出やすくなる」というのが正確な表現でしょう。例えば、仕事や人間関係に対する不満を抱えている人は、飲酒すると愚痴が増えますし、普段から攻撃的な性格の人は、より怒りっぽくなることが多いです。
ただし、どんな性格の人でも、飲酒によって「自分の本当の姿が見えてしまう」わけではありません。アルコールによる影響で一時的に抑制が外れるだけなので、「お酒を飲んでいたときの自分=本当の自分」と思い込む必要はありません。
2. すぐに怒る、喧嘩をふっかける
お酒を飲むと、些細なことで怒りっぽくなる人がいます。普段は冷静な人でも、アルコールが入ると感情が高ぶりやすくなり、相手の言葉に過剰に反応してしまうのです。
例えば、冗談のつもりで言われたことを真に受けて怒り出したり、気に入らない話題になると突然不機嫌になったりすることがあります。さらに、飲み会の席で他人の意見に異様に反発し、口論に発展するケースも少なくありません。
怒りっぽくなる人の中には、飲酒によって「自分を強く見せたい」「威圧感を与えたい」という心理が働く場合もあります。しかし、周囲からすると単に「面倒くさい人」と見なされるだけです。お酒を飲むたびに誰かと口論になっている人は、自分の飲み方を振り返る必要があるでしょう。
3. 異性にベタベタする、距離感が近くなる
お酒が入ると、異性に対して距離感が近くなりすぎる人がいます。普段はそこまで親しくない相手に急にボディタッチをしたり、しつこく連絡先を聞いたりするケースが代表的です。
アルコールには気分を高揚させる作用があるため、「自分は今、楽しい」と感じると、その感情を周囲にも押し付けたくなります。結果として、「普段は話さない相手に急に積極的になる」「異性に対して妙に馴れ馴れしくなる」などの行動につながります。
しかし、この行動は相手にとって迷惑になっていることが多いです。「酔っていたから」で済ませられる問題ではなく、度が過ぎるとセクハラと見なされ、職場や友人関係に悪影響を及ぼすこともあります。
4. 人の話を遮り、自分の話ばかりする
お酒を飲むと、つい饒舌になってしまうことはよくあります。しかし、酒癖が悪い人の中には、相手の話を遮り、ひたすら自分の話ばかりする人がいます。
例えば、会話の流れを無視して急に昔の武勇伝を語り出したり、誰も聞いていないのに自慢話を延々と続けたりすることがあります。話を振っても、一方的に持論を展開し、相手の意見を受け入れない人も少なくありません。
本人は気持ちよく話しているかもしれませんが、周囲からすると「また始まったか…」と感じてしまいます。特に、飲み会では会話のキャッチボールが大切です。相手の話をしっかり聞く姿勢を持たないと、「一緒に飲みたくない人」と思われてしまうかもしれません。
5. 泣き上戸になり、感情が爆発する
お酒を飲むと、普段は冷静な人でも感情が爆発することがあります。その中でも特に目立つのが「泣き上戸」と呼ばれるタイプです。
何かを思い出して突然涙が止まらなくなったり、誰かに抱きついて泣き続けたりすることがあります。泣いている本人は感情の整理がついていないことが多く、周囲がなだめようとしても効果がない場合もあります。
感情が高ぶりすぎると、その場の空気が一変してしまいます。飲み会は楽しく過ごす場ですが、感情の起伏が激しすぎると、周囲が気を遣いすぎて楽しめなくなってしまいます。
6. 空気を読まず、場を乱す
飲み会では、場の雰囲気を大切にすることが求められます。しかし、酒癖が悪い人の中には、周囲の空気を読まずに場を乱す行動をとる人もいます。
例えば、大声で下ネタを連発したり、誰かに無理に飲ませようとしたり、店員にしつこく絡んだりするケースです。こうした行動は、周囲に不快感を与え、飲みの席の雰囲気を壊してしまいます。
本人は「みんな楽しんでいる」と思い込んでいるかもしれませんが、実際には周囲が引いていることも少なくありません。場を盛り上げることと、空気を壊すことは違うのです。
7. 泥酔して、記憶をなくし迷惑をかける
「昨日のこと、まったく覚えていない…」と翌朝になって青ざめる経験をしたことがある人は要注意です。泥酔して記憶をなくすのは、すでに危険なレベルの飲み方と言えます。
また、泥酔すると周囲の人に迷惑をかけることも増えてしまいます。例えば、酔いつぶれて誰かに介抱してもらったり、タクシーで送ってもらったりすることが当たり前になってしまうと、周囲の人からの信頼を失う原因になります。
お酒は楽しく飲むものですが、記憶をなくすほど飲んでしまうと、その楽しさを台無しにしてしまいます。自分の限界を知り、適度な飲み方を心がけることが大切です。
酒癖の悪さを改善する方法
酒癖の悪さは、意識すれば改善することができます。ここからは、具体的な改善策について紹介していきます。
自分の限界を知る
お酒の席で失敗しないためには、まず「自分の限界を知ること」が大切です。どれくらいの量を飲むと酔いが回るのか、どのタイミングで飲むのを控えた方がいいのかを把握しておくことで、泥酔や失言を防ぐことができます。
自分の限界を知るためには、次のような方法を試してみるのがおすすめです。
- 過去の失敗を振り返り、「この量を超えると危ない」と記録する
- 酔いの度合いを自分でチェックしながら、飲酒ペースを調整する
- 同じお酒を飲んだときの体調の変化を確認する
特に、短時間で一気に飲むと急激に酔いが回ってしまいます。ゆっくりとしたペースで飲むことを意識するだけでも、悪酔いを防ぐことができます。
水をこまめに飲む
お酒を飲むときに、水をこまめに摂取することはとても重要です。アルコールは体内の水分を奪うため、脱水症状を引き起こしやすくなります。その結果、頭痛や吐き気などの二日酔いの症状が出やすくなるのです。
また、適度に水を飲むことで、アルコールの分解を助け、酔いの進行を遅らせることができます。特に、次のようなタイミングで水を飲むと効果的です。
- お酒を飲む前にコップ1杯の水を飲む(胃を保護し、アルコールの吸収を緩やかにする)
- お酒1杯につき水も1杯飲む(アルコール濃度を下げる)
- 飲み会の後に水をたっぷり飲む(体内の水分補給とアルコールの代謝を促す)
ちょっとした工夫ですが、これだけでも酒癖の悪さを抑える効果が期待できます。
ストレス発散の方法を変える
「飲まなきゃやってられない!」という気持ちでお酒に頼ると、飲酒量が増え、酒癖の悪さにつながることがあります。ストレスを解消する手段としてお酒を使っている人は、他の方法を試してみるのも一つの手です。
例えば、次のような方法が効果的です。
- 運動をする(軽いジョギングやストレッチでも、ストレス発散になる)
- 趣味に没頭する(映画を観る、音楽を聴く、料理をするなど)
- 誰かと話す(信頼できる友人や家族と話すことで気持ちが落ち着く)
お酒以外のリラックス方法を見つけることで、飲みすぎを防ぎ、健全なお酒の楽しみ方ができるようになります。
お酒との上手な付き合い方
お酒は楽しく飲むものですが、飲み方を間違えると人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。酒癖の悪さを改善することで、お酒の席をより楽しく、有意義なものにすることができます。
大切なのは、「お酒に飲まれないこと」です。自分の限界を知り、水を飲みながら適度に楽しむことで、周囲と良好な関係を保ちながら、お酒の場を楽しむことができます。無理に飲むのではなく、自分のペースでお酒と付き合っていくことが何よりも大切です。