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ドラッグストアの価格が安いのはなぜなのか
ドラッグストアで買い物をしていると、「あれ?スーパーより安い?」と感じることはありませんか。カップ麺やお菓子、シャンプーなどの日用品が手頃な価格で並んでいるのを見て、ついまとめ買いした経験がある人も多いでしょう。しかし、なぜドラッグストアはこんなにも安いのでしょうか?
一方で、スーパーの価格は「特売日」や「まとめ買い割引」など、お得なタイミングがあるものの、ドラッグストアほど常に安いわけではありません。生鮮食品を扱っているとはいえ、食品全体の価格が高くなりやすいのには理由があります。
では、スーパーとドラッグストアの違いを簡単に整理しながら、ドラッグストアが安さを実現できる秘密を探っていきましょう。
スーパーの価格が高くなりやすい理由
スーパーは、幅広い食品や日用品を揃えるため、仕入れや販売の仕組みがドラッグストアとは大きく異なります。特に、スーパーの価格が高くなりやすい理由には次のようなものがあります。
《生鮮食品の廃棄ロスを補う必要がある》
スーパーでは肉や魚、野菜などの生鮮食品を多く扱っています。これらは保存期間が短いため、売れ残ると廃棄する必要があります。廃棄された食品のコストは、他の商品価格に反映されるため、結果的に価格が高くなりやすいのです。
《仕入れの複雑さがコストを押し上げる》
スーパーでは、各地域のニーズに合わせて異なる商品を仕入れることが多いため、一括で大量仕入れを行うのが難しくなります。特定のブランドや地元産の商品を扱うことで、単価が高くなりがちです。
《加工や調理が必要な売り場が多い》
スーパーには、精肉コーナーや総菜コーナーがあり、その場で調理・加工する作業が発生します。このため、人件費がかかり、その分のコストが商品価格に影響します。
こうした事情から、スーパーの商品は全体的に価格が高めに設定されがちです。それでは、ドラッグストアはどのようにして安さを実現しているのでしょうか?
ドラッグストアの食品や日用品が安い6つの理由
ドラッグストアが低価格で商品を提供できるのは、さまざまな経営戦略が組み合わさっているからです。その中でも特に大きな要因となる6つのポイントについて解説します。
1. 高利益の薬品や化粧品が収益の中心であるため
ドラッグストアの収益の柱は、食品や日用品ではなく、薬や化粧品です。これらの商品はスーパーに比べて利益率が高く、販売ごとの利益幅が大きいのが特徴です。
例えば、風邪薬やスキンケア用品は、単価が高く、一定の需要が見込めるため、大きな利益を生み出します。食品や日用品を低価格で提供しても、主力商品の売上でカバーできるため、全体の収益を損なわずに運営できるのです。
また、安価な食品や日用品を購入するために来店した客が、「ついでに」薬や化粧品を買うことも少なくありません。この「ついで買い」こそが、ドラッグストアの利益を支える重要なポイントなのです。
2. 大量仕入れやプライベートブランドの活用でコストを削減
ドラッグストアの多くは全国規模でチェーン展開しており、一括で大量仕入れを行っています。この仕組みにより、スーパーよりも低い価格で商品を仕入れることが可能になります。
さらに、最近ではプライベートブランド(PB)商品が増えてきました。PB商品とは、ドラッグストアが独自に開発し、販売するオリジナル商品です。メーカー品に比べて流通コストが抑えられ、仕入れ価格を大幅に低くできるため、消費者に安く提供できるのです。
例えば、大手ドラッグストアチェーンの「matsukiyo(マツモトキヨシ)」や「ウエルシアPB」は、品質を保ちつつ低価格を実現しています。こうしたPB商品の導入により、さらに価格を抑えることができるのです。
3. 長期保存可能な食品を重視し、廃棄ロスを削減している
ドラッグストアで販売されている食品の多くは、賞味期限が長いものばかりです。カップ麺、レトルト食品、お菓子、ペットボトル飲料、冷凍食品などが主流で、生鮮食品はほとんど見かけません。
一方、スーパーでは野菜や肉、魚などの生鮮食品を扱っており、これらは保存期間が短く、売れ残ると廃棄せざるを得ません。この廃棄ロスが商品価格に上乗せされるため、どうしても全体的な価格が高くなりやすいのです。
ドラッグストアは、廃棄リスクの低い食品に特化することで、無駄なコストを抑えています。売れ残りによる損失を考慮せずに販売できるため、スーパーよりも低価格で提供することが可能になっているのです。
4. 直営店が多く、中間コストを削減している
ドラッグストアの多くはフランチャイズではなく、直営店として運営されています。フランチャイズ店舗では、本部に支払うロイヤリティ(使用料)が発生しますが、直営店の場合はその負担がありません。
この違いにより、ドラッグストアは利益を確保しやすくなり、その分、商品価格を抑える余裕が生まれます。たとえば、同じブランドのカップ麺でも、フランチャイズ方式のスーパーでは仕入れコストや運営費が価格に反映されるため、ドラッグストアの方が安くなることがあるのです。
また、直営店は本部の方針に沿って仕入れや価格設定を統一できるため、余計な中間マージンが発生しにくいというメリットもあります。
5. 店舗の経費を抑え、低価格を維持している
ドラッグストアでは、人件費や運営コストを抑える工夫が随所に取り入れられています。
例えば、セルフレジの導入により、レジスタッフの人数を減らすことが可能になっています。さらに、スーパーのように精肉や鮮魚、総菜などの加工・調理を伴う売り場がないため、専門スタッフを雇う必要がなく、その分の人件費がかかりません。
また、ドラッグストアの多くはスーパーよりも営業時間が短い店舗が多く、光熱費や人件費を抑えることができます。夜遅くまで営業しているスーパーと比べると、運営コストを大幅に削減できるため、その分価格に反映できるのです。
6. チラシやアプリで頻繁に割引キャンペーンを実施
ドラッグストアは、チラシやアプリを活用した割引キャンペーンを積極的に行っています。特に、アプリ限定クーポンやポイント還元を活用することで、さらにお得に買い物ができる仕組みが整っています。
例えば、大手ドラッグストアチェーンの「ウエルシア」では、毎月20日にTポイントを1.5倍分として利用できる「ウエル活」を実施しており、実質的な割引率を高めています。マツモトキヨシのアプリでも、特定の商品を割引価格で購入できるクーポンが配布されているため、アプリを活用するだけで、スーパーよりも安く買い物ができることがあります。
さらに、ドラッグストアは「いつでも安い」という印象を持たせるために、定期的な割引セールを実施し、消費者が頻繁に足を運ぶような仕掛けを作っています。このような仕組みが、結果的に低価格を維持する理由の一つになっています。
スーパーとドラッグストアどっちがお得なのか
ここまで、ドラッグストアが安い理由について解説してきました。しかし、だからといってスーパーが不要になるわけではありません。それぞれに強みがあり、上手に使い分けることで、よりお得に買い物ができるのです。
次の章では、スーパーとドラッグストアの違いを具体的に比較しながら、どのように使い分けるべきかを解説していきます。
スーパーの強みは生鮮食品と品揃えの豊富さ
スーパーには、ドラッグストアにはない強みがいくつかあります。特に大きなポイントは、「生鮮食品の取り扱い」と「品揃えの豊富さ」です。
まず、スーパーは野菜や果物、肉、魚、乳製品など、日々の食卓に欠かせない生鮮食品を扱っています。これらは賞味期限が短いため、ドラッグストアではほとんど販売されていません。食材をトータルで揃えたいときには、スーパーが圧倒的に便利です。
また、スーパーは品揃えが豊富で、地域性を考慮した商品や、メーカーごとの味の違いを楽しめるブランドのラインナップが充実しています。例えば、カレーのルーひとつをとっても、スーパーなら数種類から選べることが多いですが、ドラッグストアでは限られたブランドしか取り扱っていないことがあります。
そのため、食品を幅広く選びたいときや、毎日の料理に必要な材料をまとめて揃えたい場合は、スーパーの方が適しています。
ドラッグストアの強みは安さと手軽さ
一方で、ドラッグストアは「とにかく安い」ことが大きな強みです。
お菓子やカップ麺、飲み物、洗剤やシャンプーなどの生活必需品は、スーパーよりも安く販売されていることが多く、日常的に使うものをお得に購入できます。特に、特売日を狙わなくても安い価格が設定されているため、「いつ行っても安い」という安心感があります。
また、店舗の規模がコンパクトで、買い物が短時間で済むのもメリットです。スーパーでは店内が広く、レジに並ぶ時間も長くなりがちですが、ドラッグストアは必要な商品だけをさっと買ってすぐに帰ることができます。忙しい人にとっては、この手軽さが大きな魅力です。
加えて、ドラッグストアのアプリやクーポンを活用すれば、さらにお得に買い物ができることも多く、節約意識の高い人には特におすすめです。
賢い買い物術を身につけよう
では、スーパーとドラッグストア、それぞれの強みを活かすにはどうしたらよいのでしょうか?
ポイントは「買うものを上手に使い分けること」です。
- 生鮮食品や総菜、牛乳やパンはスーパーで購入する
- お菓子やカップ麺、ペットボトル飲料、洗剤などはドラッグストアで買う
- ポイント還元デーやアプリクーポンを活用して、さらにお得に買い物する
このように、買うものごとにスーパーとドラッグストアを使い分けるだけで、食費や日用品のコストを大幅に節約することができます。
また、スーパーの特売日を把握しておくのも効果的です。スーパーでは特定の曜日に肉や野菜の割引が行われることが多いため、そのタイミングを狙ってまとめ買いし、保存がきくものはドラッグストアで安く購入するのが賢い買い物術です。
日々の買い物をもっとお得にするために
今回紹介したように、ドラッグストアが食品や日用品を安く販売できるのには、いくつもの理由があります。一方で、スーパーにも生鮮食品を扱う強みがあり、それぞれにメリットがあります。
大切なのは、「どこで何を買うのが最もお得か」を意識することです。日々の買い物の習慣を少し工夫するだけで、年間の支出を大きく抑えることができます。
次の買い物の際には、スーパーとドラッグストアの特徴を活かして、賢くお買い物をしてみてください。