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「リース」と「レンタル」の違い
どこのオフィスにも設置してあるOA機器やIT機器、机やロッカーなどの事務用品。そして社用車や重機など、たくさんの物を会社は抱えています。しかし、これらすべての物件を購入しようとした場合、多額のコストがかかってしまいますよね。そこで購入する代わりに借りることで費用を抑えることができるのが、リース会社やレンタル会社のサービスです。
ところで、リースとレンタルとの違いは何がご存知ですか?一体どんな違いがあるのだろうか疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
「リース」と「レンタル」はどちらも、物件を借りて使用するという意味では同様なのですが、契約システムを始め、細かい点が違います。
一番大きな違いは、リースとレンタルの契約期間の長さです。半年から10年程度といった中長期で物件を借りるリースに対して、レンタルは、一日単位や週単位、月単位といった短期間で物件を借りるシステムです。
契約期間の違いから、リースは、コピー機などのOA機器、パソコンやサーバといったIT機器の他、工場内で使用する産業機械、工作機械、重機など、長く使い続ける物件が対象になります。特定の個人や企業が選択した物件を、リース会社が購入し、その企業に対して比較的長期にわたり賃貸する取引を契約します。
一方、レンタルの場合は、時間単位のレンタカーや、DVDや着物などにみられる一日単位や週単位、月単位といった短期で借りる物品が対象になります。レンタル会社が、既に所持している主に中古機を、必要とされる期間、賃貸する為の契約をします。
もっと詳しくリースとレンタルの違いをご説明していきましょう。
リースとは
リース会社が、お客様との契約に基づいて商品を代替購入し、それを契約したお客様に貸し出すシステムです。リース会社が一時的に購入費用を肩代わりし、毎月のリース料で費用を回収するシステムですが、このリース料の中にはリース会社への金利が含まれています。実質的に所有しているのはお客様なので、固定資産税や保険料といった所有に関連するコストはすべてお客様の負担になります。
リース商品は新品である場合がほとんどで、お客様が一度に高額の資金投入をおこなうことが難しい場合に利用されることが多いようです。リース対象となるものの契約期間に応じて、適正リース期間という規定があり、それを基に法定耐用年数が設定されています。
たとえばパソコンを例にとってみますと、法定耐用年数は4年となっています。法定耐用年数が10年未満の物件については、法定耐用年数×70%以上、法定耐用年数が10年以上の物件については、法定耐用年数×60%以上がリース期間を算出するための計算式となっています。そして契約満了後は再リース契約を結んだり、買い取ったりすることも可能です。
レンタルとは
レンタル会社が保有する物件を、お客様が必要な時に気軽に契約を結び、お金を払い借り受けるシステムです。レンタル会社が在庫として持つ物品の中から対象物を選ぶ仕組で、同じ物件を不特定多数のお客様が利用することになります。よってレンタル品は殆どが中古品です。
「リース」と「レンタル」契約関連の違い
危険負担の違い
危険負担とは、例えば天災の被害にあった時など、お客様の責任が及ばない場面で、破損などされた場合に、その負担を誰がするかです。
レンタルの場合の危険負担はレンタル会社にあります。しかし、リースの場合には、お客様がその負担を追わなくてはなりません。リースのシステム上、リース会社はお客様の代わりにお客様の必要とするものを購入しているに過ぎないため、お客様は引き続き、残りの契約期間に発生する支払いをしていかなくてはなりません。
契約期間終了後の違い
リース期間終了後は、リース会社が物件を引き取るか再リースする、またはお客様が買い取るといった選択肢があります。
それに対し、レンタル期間終了後は、レンタル会社に返却、もしくはレンタル期間を延長するどちらかを選択することになります。
解約手続の違い
レンタルは明確な事由があれば途中でも解約することが可能です。しかしリースではそれは認められていません。仮に解約ができたとしても、お客様が買い取りするか違約金を一括で支払うが場合がほとんどです。
保守義務・修繕義務の違い
保守義務・修繕義務については、所有権がどちら側にあるかによって異なります。所有権を提供元が持つレンタルの場合は、これらの義務がすべてレンタル会社にあります。
その一方で、リースでは、実質的な所有者であるお客様に帰属。使用中の故障や破損などについては、すべてお客様が費用を賄うことになります。使用するにあたり、レンタル以上に注意を払って扱わなければならないのがリースということになります。
料金設定の違い
基本的な仕組みが違うレンタルとリースですので、料金設定にもやはり違いがあります。レンタルより、さまざまな条件でお客様が責任を負うケースが多いリースのほうが、低い料金設定となっています。その点レンタルは、手軽に利用できるからこそ割高になります。
またリースは、再リースの契約時にディスカウントされることがあります。これはリースが法定耐用年数に基づいてリース期間とリース料率を設定しているため、リース会社にとっては最初のリース契約期間を終えた時点で減価償却していることになるからです。よってお客様はリーズナブルに再リース契約を結ぶことができます。
リースのメリットとデメリット
メリット
- 常に最新の設備を使用できる
- 少額で設備を導入できるので初期費用確保の必要がない
- 毎月のリース料全額を経費扱いにできる
デメリット
- 所有権がない
- 物件の保守・修繕義務が発生する
- リース会社の手数料や保険料、金利、固定資産税が含まれている為、支払総額が割高になる。
- やむを得ず中途解約をする場合は、残りのリース料を一括で支払い、強制的に契約満了することになる。
- 長期的な出費となるので、経営計画がしっかりしていないとリース料が負担になってしまう。
レンタルのメリットとデメリット
メリット
- 短期間、必要とするモノを調達する場合に便利
- 不特定多数が利用でき、原則として中途解約も可能
- 償却経理事務、固定資産税の申告・納付事務、損害保険の加入などの繁雑な事務処理負担が軽減できる
デメリット
- 料金が割高になる
- レンタルの物件のほとんどが中古品
「リース」か「レンタル」か迷ったときには
リースとレンタル、双方の違いを比較したうえで言えることは、必要に迫られているが、予算的に手がとどかない、また、間に合わせではなく、良いものを準備したいという場合に利用するべきなのがリースです。
尚且つ利用頻度が頻なうえに、長期間にわたって利用するのであれば、レンタルではなくリースで準備するのがおすすめです。
その理由は、時間あたりのコストを考えると、レンタルのほうが高くついてしまうので、期間が長くなればなるほど、この差が総合的なコストにあたえる影響は大きくなってしまうからです。
その一方で、先の見通しがたたない場合には、レンタルの方が無難です。契約期間も短く済むうえ、必要以上の責任を負う必要もないからです。
リース契約は、購入するのとほぼ同じ感覚です。「イメージと違った」などと契約後に後悔するよりは、先ずはレンタルで間に合わせ、様子を見て見通しがたった時にリースを考えるといった方法を取ることが賢い選択だと言えるでしょう。
必要な用途によって活用の仕方が変わってきますので、リースかレンタルか悩んだら、先ずは見積もり依頼し、双方を比較してみることをおすすめします。一度税理士に相談してみることで、なにかいいアイデアを戴けるかもしれません。
最後に
衣料品などをレンタルするサービスもいろいろありますが、特別な日にレンタルするだけでなく、同じ服に飽きたときや、思い切ったデザインや色を試しに着たいときなどに活用するのもいいですね。