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【京都】東山区の『オーバーツーリズム問題』敷地内無断侵入や欄干破損への住民の思いとは
日本には、今多くの外国人観光客が押し寄せています。中国の春節の時期などもあり、日本の中でも世界遺産が多く集まっている観光名所、京都の東山区ではオーバーツーリズム問題が住民の生活に影響を与えています。
旧正月シーズンに当たる1月30日、平日にも関わらず清水寺に続く参道では、人の間をかき分けるように車が走行しており、危険な状態でした。参道から道を1本外れると、一般住民が居住する古民家が立ち並んでいます。
古民家の軒先には、「写真禁止」と英語で注意書きをしている家も。着物をレンタルした人が、敷地内に無断で侵入して古民家を背景に記念撮影するケースがあると住民は語ります。古都の風情が失われないような手立てを求める声も上がっています。
また、高台寺塔頭・岡林院では、頭上のもみじをカメラに収めようと橋に寄り掛かる観光客が相次ぎ、石橋の欄干の一部が壊される被害が発生しました。さらに、飲みかけのペットボトルが地蔵横に放置されることもありました。
清水坂にある創業100年以上の清水焼専門店では、外国人観光客が天ぷらを持った手で商品に触れたり、溶けたアイスクリームを落として立ち去ったりするケースがあったといいます。店側が中国語や英語で注意を呼びかける貼り紙を掲示したことで、こうした行為は減ったものの、店主は「にぎわうのはうれしいけれど、一部の人にはモラルを持ってほしい」と話します。
地域住民の生活を考えれば、対策は急務といえるでしょう。京都市はオーバーツーリズム対策として、観光客に場所や時間の分散化を呼びかけていますが、清水寺周辺や錦市場などに外国人観光客が集中する状況は依然として続いています。
また、市は新たな対策として、1人1泊あたりの宿泊税の上限額を1000円から1万円に引き上げる方針を示しています。オーバーツーリズムに詳しい龍谷大学の阿部大輔教授(都市計画)は「観光で得た利益を、市民生活や街の魅力向上に生かす発想が重要。宿泊税の使い方を考える際には、市民の意見を募るのも一案」と指摘しています。
この記事に寄せられたネットの声
- 「観光関連業以外の一般市民、生活者にとっては『大迷惑』そのもの。 京都市と府の双方に毎日、迷惑料を振り込みで支払ってもらいたい。」
- 「入国税、空港利用料、宿泊税などの制度を活用して、オーバーツーリズムが落ち着く水準の金額が設定されることを期待したい。」
- 「外国人に対して嫌悪感を抱きたくはないけれど、観光地近くに住む人の不満は高まっています」
- 「メリットを享受する人とデメリットを受ける人が違うのが問題なんですよね。 そこを繋ぐシステムがあれば良いのだけど何故かそこには全く触れようとしない。」
- 「宿泊税を1万円にしても、京都は交通の便が良いので、大阪や滋賀など周辺市に泊まる人が増えるだけだと思う。」
観光名所だからこそ、海外の観光客が集中しやすい傾向があります。観光客が来ることは非常に良い事ですが、それによって発生する問題の解決は急がねばならない可能性が高いといるでしょう。