目次
『IH』と『ガスコンロ』どっちの光熱費が高い?
毎日使うキッチンの火元。IHクッキングヒーターかガスコンロ、どちらを選ぶかによって光熱費は変わります。「IHは電気代がかかる」と聞く一方、「ガスコンロのほうが安いとは限らない」という話もあり、実際のところどうなのか気になるところです。
まずは、それぞれの光熱費の仕組みを理解し、どちらが本当にお得なのかを比較してみましょう。結論から言うと、家庭の状況や使い方によって違いが出るため、一概にどちらが安いとは言い切れません。しかし、傾向を知ることで「我が家にとってどちらが得なのか」が見えてくるはずです。
IHクッキングヒーターの電気代の仕組み
IHクッキングヒーターは電気を使って鍋底を直接加熱する仕組みです。そのため、ガスのように炎を出すことなく高い熱効率を発揮します。IHはエネルギー効率が約90%とされ、ガスの40~50%に比べて非常に高いのが特徴です。
しかし、電気料金は契約しているプランによって変わります。例えば、日中の電気代は高めですが、深夜の割引プランを活用すれば、IHの使用コストを大幅に下げることも可能です。以下のデータを参考にしてください。
- 日中(10時~17時) :約38.6円/kWh
- 朝夕(7時~10時、17時~23時):約25.9円/kWh
- 深夜(23時~7時) :約12.2円/kWh
このように、IHクッキングヒーターは「どの時間帯に使うか」によって電気代の負担が変わります。特に、深夜電力を活用できる家庭なら、IHの電気代を大幅に節約できるでしょう。
ガスコンロのガス代の仕組み
ガスコンロの場合、使用するガスの種類によって光熱費が変わります。都市ガスは1kWhあたり約12.1円と安めですが、プロパンガスは1kWhあたり約21.2円とかなり高めです。つまり、同じ火力で調理しても、プロパンガスの家庭ではガス代が倍近くかかる可能性があるのです。
また、ガスコンロの熱効率は40~50%程度とされ、IHよりもエネルギーを無駄にしやすいというデメリットもあります。ただし、ガスの強い火力を活かせるため、調理スピードが速くなることもあり、一概に「ガスは不利」とは言えません。
以下、一般的な火力ごとの1時間あたりのコストを見てみましょう。
- 都市ガス(中火 1.68kW): 約24.72円
- 都市ガス(強火 2.97kW): 約43.71円
- プロパンガス(中火 1.68kW):約41.86円
- プロパンガス(強火 2.97kW):約70.51円
都市ガスであればIHとほぼ同じか、やや安い程度ですが、プロパンガスの場合はIHよりも高くつくことが分かります。
どちらが安い?家庭によって異なるポイント
IHクッキングヒーターとガスコンロのどちらが安いかは、家庭の条件によって異なります。以下のポイントをチェックして、自分の家庭に合った選択をしてみましょう。
- オール電化住宅かどうか?:オール電化ならIHのほうがメリット大
- 契約している電気料金プランは?:深夜電力が安いならIHが有利
- 都市ガス or プロパンガス?:都市ガスならガスコンロも選択肢
- 調理スタイルは?:強火の中華料理が多いならガスのほうが適している
「とにかく光熱費を安く抑えたい」という場合は、都市ガスの家庭ならガスコンロ、プロパンガスならIHが有利というのが一般的な結論になります。ただし、節約のコツを知ることで、どちらを選んでも無駄なく光熱費を抑えることが可能です。
次の章では、IHクッキングヒーターとガスコンロ、それぞれの節約術を詳しく解説していきます。「もうちょっと安くならないかな?」と思っている方は、ぜひ参考にしてください!
IHクッキングヒーターの電気代を抑えるための節約術
「IHは電気代が高い」と思われがちですが、実は使い方次第でかなりの節約が可能です。IHクッキングヒーターは熱効率が非常に高いため、適切な調理方法を実践すれば、無駄な電力を減らし、効率よく調理することができます。
契約している電気料金プランを見直す
IHを使うなら、電気料金プランの見直しが最も重要な節約ポイントです。特に、深夜電力が割安になるプランを契約している場合、夜間の調理を意識するだけで光熱費が大幅に下がることがあります。例えば、夜のうちにカレーやシチューを仕込んでおき、翌日に温めるだけにするなどの工夫が有効です。
また、電力会社によってはオール電化向けの「電化上手プラン」や「夜得プラン」などが提供されているので、今の契約プランが最適かどうかを確認してみましょう。見直すだけで、年間で数千円~数万円の節約になるケースもあります。
熱伝導率の高い鍋やフライパンを活用する
IHクッキングヒーターは、鍋底に直接電磁誘導で熱を発生させるため、熱伝導率の良い調理器具を使うことで加熱時間を短縮できます。おすすめは以下のような鍋やフライパンです。
- ステンレス製の多層鍋(熱が均一に伝わりやすい)
- 鉄製フライパン(余熱を活用しやすい)
- 圧力鍋(煮込み料理の時間短縮に最適)
一方、アルミ製の鍋や土鍋はIHとの相性が悪いため、加熱効率が下がることがあります。鍋を買い替える際は、「IH対応」のものを選ぶのが鉄則です。
節電機能を活用する
最近のIHクッキングヒーターには、節電モードや火力自動調整機能が搭載されているものが増えています。例えば、「揚げ物モード」を使えば、油の温度を一定に保ちつつ、無駄な電力消費を防ぐことが可能です。
また、調理中に鍋やフライパンの底がヒーター面からずれていると、電力ロスが発生します。常に鍋底をしっかり密着させることを意識すると、ムダなく加熱できます。
余熱を活用する
IHは熱効率が高いため、余熱をうまく使うことで電気代を抑えられます。例えば、炒め物をする際は、火を止めた後の熱で余熱調理をするだけでも節電になります。
特に、煮込み料理やパスタの茹で時間を短縮すると効果が大きいです。例えば、パスタを2分早めに火を止めて、蓋をして蒸らせば、電気代を節約できる上に、もちもちした食感に仕上がります。
電子レンジや電気ケトルを併用する
意外と見落としがちですが、「お湯を沸かすだけのためにIHを使う」のは非効率です。電気ケトルや電子レンジを活用することで、調理の手間を減らしつつ電気代も節約できます。
例えば、スープや味噌汁のお湯は電気ケトルで沸かしてから鍋に移すと、ガス代や電気代の節約につながります。食材の下ごしらえも電子レンジを活用すると、IHの使用時間を減らせるので効果的です。
次は、ガスコンロのガス代を節約するためのテクニックを紹介します。ガスコンロも使い方次第で光熱費を抑えられるので、ぜひ参考にしてください。
ガスコンロのガス代を抑えるための節約術
ガスコンロは火力が強く、調理のスピードが早いというメリットがありますが、何も考えずに使っているとガスの消費が増え、光熱費がかさみます。適切な使い方をすることで、無駄なガスの消費を防ぎ、効率よく調理しましょう。
火力を鍋のサイズに合わせる
強火で調理すると早く火が通ると思いがちですが、鍋のサイズに合わない火力はただのムダです。炎が鍋底からはみ出していると、その分のエネルギーが逃げてしまい、ガスの浪費につながります。
理想的なのは、鍋底にぴったり収まる火力に調整すること。特に弱火~中火を意識すると、ガスの使用量を抑えられます。
蓋を活用して加熱時間を短縮
鍋に蓋をすると、熱が逃げにくくなり、加熱時間を大幅に短縮できます。例えば、1リットルの水を沸かす場合、蓋をしないと約3分かかるのに対し、蓋をすると約2分で済みます。これだけでもガスの節約につながるのです。
また、煮込み料理の際は「落とし蓋」を使うと、少ないガスでもしっかり味が染み込みます。アルミホイルなどで簡単に作れるので、ぜひ活用してみてください。
電子レンジとの併用でガス使用時間を短縮
ガスコンロの使用時間を減らすために、電子レンジを活用するのも有効です。例えば、ジャガイモやカボチャなどの火が通りにくい食材は、先に電子レンジで加熱しておくことで、ガスの使用時間を大幅にカットできます。
電子レンジを使うと、根菜類の下ごしらえが格段に楽になるだけでなく、ガス代の節約にもつながるので、一石二鳥です。
次の章では、ガスコンロの燃料代そのものを抑える方法について解説します。都市ガスとプロパンガスの違いや、お得なガス契約プランの見直しポイントもチェックしていきましょう。
都市ガスとプロパンガスの料金を見直す
ガス代を節約するなら、ガスの契約内容を見直すのも大切なポイントです。特に、都市ガスとプロパンガスでは料金の差が大きいため、自分の住んでいる地域でどちらが安いのかを確認することが重要です。
都市ガスは公共インフラとして供給されているため、料金が安定しており、1㎥あたりの価格が約160円前後であることが多いです。一方、プロパンガスは地域や供給会社によって価格が異なり、1㎥あたりの価格が約400~600円と都市ガスの2倍以上することもあります。
もし、プロパンガスを利用していてガス代が高いと感じるなら、ガス会社を乗り換えるだけで、年間1~2万円以上の節約が可能になることもあります。契約しているプロパンガスの料金を見直し、他社と比較することで、よりお得なプランを見つけましょう。
ガスと電気をセット契約にする
最近では、電力会社がガスの供給も行っているケースが増えており、電気とガスをセットで契約すると割引が適用されるプランも登場しています。例えば、東京ガスや大阪ガスでは、電気とセット契約にすることで、ガス料金が年間5~10%安くなるプランが提供されています。
また、契約プランによっては「セット割」や「長期利用割引」などの特典がつくこともあります。ガス代の見直しを考えているなら、電気とセットで契約することで光熱費を全体的に抑えられないか検討してみるのも有効な手段です。
コンロの掃除とメンテナンスで燃費を向上
ガスコンロは使い続けるうちにバーナー部分が汚れ、目詰まりを起こすことがあります。この状態で使い続けると、火力が不安定になり、ガスの燃焼効率が低下してしまいます。
ガスコンロの節約術として、定期的にバーナー部分を掃除し、正常に燃焼する状態を保つことも重要です。バーナーの目詰まりを防ぐために、以下のポイントを意識してみましょう。
- ガスコンロのバーナー部分は週に1回程度、歯ブラシや針金などで目詰まりを掃除する
- コンロ全体の油汚れは、放置せずすぐに拭き取る
- 五徳(ごとく)が錆びたり、変形していたら交換する
意外と見落としがちですが、バーナーの目詰まりが原因でガス消費量が増えることもあるため、定期的なメンテナンスを習慣化するだけで、ガス代を節約できます。
どちらを選んでも『使い方次第』で光熱費は抑えられる
IHクッキングヒーターとガスコンロ、どちらが安いかを比較してきましたが、実際には使い方や契約内容によってコストは大きく変わることが分かりました。
光熱費を抑えたいなら、まずは「今の契約プランが最適かどうか」を確認することが重要です。IHなら深夜割引プランを活用し、ガスならプロパンガスを都市ガスに切り替えるなど、基本的な見直しだけでも大きな節約につながります。
また、どちらを選ぶにしても、効率的な調理法を意識することで、無駄な光熱費を抑えることが可能です。たとえば、
- IHなら「余熱調理」「熱伝導率の高い鍋を使う」「電子レンジを併用する」
- ガスなら「火力を適切に調整」「蓋を活用」「バーナーの目詰まりを防ぐ」
といった工夫を取り入れることで、より経済的に調理ができます。
どちらを選ぶかで悩んでいる方は、まず「家族の人数」「使う頻度」「契約している電気・ガスプラン」を確認し、どちらが自分の家庭にとって最適なのかを見極めてみてください。
毎日のちょっとした工夫で、光熱費の負担は大きく変わります。ぜひ、自分に合った方法を取り入れながら、賢く節約していきましょう!