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自筆なら遺言状はすべて有効になる、わけではない!
遺言状は、自筆であればどんなものでも有効になる、というわけではありません。思いを込めていたとしても、守りべきマナーが守れていないと、遺言状としての効力を持たなくなります。自筆で遺言状を書くとき、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
自筆で『遺言状』を書くときに注意すべきこと
自筆で遺言状を書くときは、以下の点に注意してください。
1.誰かと共同で一通の遺言状を書くのはNG
夫婦で共同など、誰かと一緒に一通の遺言状を作成しても、それは効力を持ちません。これは「共同遺言の禁止 民法975条」という法律で定められていることになります。そのため、夫婦であっても一人一通の遺言書を書く必要があるのです。
2.ビデオレターを遺言状代わりにするのはNG
遺言状を書くことに抵抗があるため、ビデオレターを残そうと考える人もいるでしょう。しかし、ビデオレターや音声のみの遺言は、遺言状としての効果を持っていません。書面で遺言状を書いておく必要があります。
遺産相続のトラブル防止などには役立つ可能性があるので、ビデオレターだけでなく書面の遺言状も準備しておくと、遺された人の相続などがスムーズに進みやすくなりますよ。
3.手元にない財産を相続させることはできない
現段階で手に持っていない財産を、相続させることはできません。遺言状に書き記してあったとしても、ないものを相続させることはできないのです。
それと同じで、遺言状を書いたときにはあった財産をなんらかの形で手放してなくなった場合は、遺言状に書いてあったとしても手に持っていないものは相続できないので注意しましょう。
4.表現があいまいだと、効力が発揮されない
遺言状に書いている内容があいまいなものだと、遺言状としての効果が見込めません。
- 任せる
- 託す
- 譲る
- 頼むなど
財産を分配したい人を明記して、「相続させる」「遺贈する」といったはっきりとした言葉で書き記す必要があります。
5.裁判所で検認を受けなければならない
遺言状は勝手に開封せず、裁判所で検認を受けなけれななりません。家庭裁判所で検認を受けなければ、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しができないため注意してください。自筆の証書遺状を法務局に預けていた場合は、検認の必要はありません。
無効になるNGな遺言状の書き方とは
無効になるNGな自筆の遺言状は、以下のような書き方のものです。
- 代筆を頼んで書いてもらったもの
- 署名や日付がないもの
- 印鑑が押されていないもの
- 表現があいまいなもの
- 共同執筆のもの
- 訂正のルールが守られていないものなど
上記で解説したもののほかにも、日付や執筆者の名前の記入、捺印なども重要なポイントです。遺言状に訂正したい部分が出た場合は、修正液などは使用せず訂正箇所に二重線を引いて印鑑を押す方法が、正式な訂正方法になります。
まとめ
遺言状には、執筆の際さまざまなルールがあります。書けばいい、伝わればいいというものではないので、その点には注意が必要です。