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ネット社会で避けられないセキュリティ問題
日常的にスマホやパソコンを操作し、SNSやオンラインショッピング、銀行サービスを利用する私たち。その入り口となるのがパスワードです。例えば、玄関の鍵が頑丈でないと泥棒に入られるように、弱いパスワードでは簡単にサイバー攻撃の餌食になります。
しかし、「123456」「password」などの危険なパスワードを使ってしまう人は驚くほど多いのです。その背景には、「覚えやすさ」や「手軽さ」を重視する習慣がありますが、果たしてそれで大切な情報を守れるでしょうか?
ここでは、具体的にどのようなパスワードが危険なのか、そしてなぜ危険なのかを見ていきましょう。
絶対に使ってはいけないパスワード!そのリスクを解説
使いがちで危険なパスワードにはいくつもの種類があります。以下では、それぞれのリスクを具体的に掘り下げていきます。
1. 覚えやすいだけで危険な「好きな有名人やキャラクター名」
好きな俳優やアニメキャラクターの名前をパスワードに設定したことはありませんか?
「takuya2023」「pikachu123」など、一見するとユニークに思えるこれらのパスワードですが、実は非常に危険です。有名な名前やフレーズは簡単に推測されやすく、特にSNSで公開されている情報を元に狙われるリスクが高まります。自分だけが知っていると信じている情報が、意外と簡単に手に入る時代だということを意識しましょう。
2. セキュリティを軽視した「短すぎるパスワード」
「1234」や「abcd」といった短いパスワードを使っていませんか?短すぎるパスワードはブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)に極端に弱く、数分で解読される可能性があります。これは、試せる組み合わせが少ないためです。
具体的には、5文字以下のパスワードは現代のコンピュータでは秒単位で突破されます。8文字以上のパスワードを最低ラインとして考えましょう。
3. 実は簡単に見抜かれる「キーボードの並び」
「qwerty」「asdf1234」など、キーボードの配列をそのまま使ったパスワードも非常に危険です。これらはあまりにも典型的で、ハッカーが最初に試すパスワードリストに含まれています。
試しに、自分が何気なく設定したパスワードがこのパターンに当てはまらないか確認してみてください。
4. 馴染み深いのに危険な「簡単なフレーズ」
「iloveyou」「letmein」などの短いフレーズも人気がありますが、セキュリティ面では完全にアウトです。これらは単語の辞書攻撃で最初に試される候補に含まれており、解読に時間がかかりません。覚えやすさを求めるのは悪いことではありませんが、「覚えやすい=危険」という認識を持つことが重要です。
5. 思い当たる人も多い「誕生日や記念日」
家族や自分の誕生日、特別な記念日をパスワードにしている人も少なくありません。たとえば、「19900523」「20221225」のような数字の羅列です。
一見、個人的な情報なので安全に思えるかもしれませんが、SNSや公開されている情報から簡単に推測される可能性があります。 特に、プロフィールに誕生日や記念日を記載している場合は注意が必要です。悪意のある第三者にとって、それらの情報は解読への近道に過ぎません。
6. 安易に設定しがちな「電話番号」
電話番号をパスワードにする例も危険です。「09012345678」や「1234567890」のような番号は、個人を特定するヒントになり得るだけでなく、特定のパターンを試すハッカーのリストに含まれていることが多いです。また、情報漏洩のリスクを考えると、電話番号は絶対に避けるべきです。
7. 気づきにくい落とし穴「辞書に載っている単語」
「sunshine」「coffee」「password123」などの単語を使ったパスワードも非常に危険です。これは辞書攻撃と呼ばれる手法で、コンピュータが辞書にある単語を片っ端から試すことで簡単に解読されます。 特に英単語は攻撃の対象になりやすいため、辞書に載っている単語をそのまま使うことは避けるべきです。
8. 意外と多い「有名な引用やセリフ」
映画やアニメのセリフ、歌詞をそのままパスワードにする例も見受けられます。例えば、「maytheforcebewithyou」や「letitbe123」です。これらは趣味嗜好をヒントにした推測が可能であり、SNS上で自分の好きな作品を公言している人は特にリスクが高まります。 また、有名なフレーズは世界中のハッカーにとっても馴染み深いため、すぐに試される可能性が高いのです。
9. 「意味を持つ数字の組み合わせ」は安全ではない
「111111」「7777777」「123321」など、覚えやすい数字のパターンは安全そうに見えて、実はハッカーにとって格好の標的です。これらは簡単に試される上、総当たり攻撃の対象にもなります。 パスワードは数字だけでなく、文字や記号を組み合わせて複雑にすることが大切です。
10.安易な発想からの「有名ブランド名」
「gucci2023」「nike123」などのブランド名を使用するパターンも避けましょう。これらは、趣味や嗜好を推測されやすく、攻撃者のリストに含まれている場合もあります。 ブランド名を使用したい場合は、それを変形させたり、複雑な構成にする工夫が必要です。
安全なパスワードを作るための具体的なポイント
危険なパスワードの特徴を理解したところで、次は安全なパスワードを作るための具体的な方法を確認していきましょう。強力なパスワードは、サイバー攻撃に対する最初の防御線です。ここで紹介するポイントを取り入れるだけで、あなたの情報は格段に守られるようになります。
パスワードは最低12文字以上!長さを確保する
まず重要なのは、パスワードの長さです。12文字以上を基準に設定することで、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)への耐性が格段に向上します。短いパスワードは試行できる組み合わせが少なくなるため解読されやすいですが、長ければ長いほど時間と労力が必要になります。
例えば、「simplepass」といった短いパスワードでは数分で解読可能ですが、「S1mpl3P@ssW0rdEx@mple2024」のように長く複雑にすると、解読には何十年もかかる可能性があります。
文字の種類を混ぜて強度を高める
以下の要素を組み合わせることで、パスワードの強度がさらに向上します。
- 大文字(A~Z)
- 小文字(a~z)
- 数字(0~9)
- 記号(!@#$%^&*など)
例として、「mypassword」を「Myp@ssw0rd!2023」に変えるだけで、解読難易度が飛躍的に向上します。また、文字の種類を均等に使うことで、特定のパターンを推測されるリスクを減らせます。
パスフレーズを使って覚えやすく安全に
パスフレーズとは、複数の単語を組み合わせたパスワードのことです。覚えやすく、かつ安全性を高めるための効果的な方法として注目されています。例えば、「I love chocolate and coffee」というフレーズを基に、「IL0v3Ch0c@lat3C0ff33」に変えると非常に強力なパスワードになります。 単語同士に関連性を持たせず、意味のある単語をランダムに組み合わせると、さらに解読されにくくなります。
多要素認証(MFA)を活用する
多要素認証(MFA)は、パスワード以外の要素を追加してセキュリティを高める方法です。これには以下が含まれます。
- スマートフォンに届く認証コード
- 認証アプリ(Google AuthenticatorやAuthyなど)
- 生体認証(指紋や顔認証)
MFAを導入することで、たとえパスワードが漏洩しても、不正アクセスを防ぐことが可能になります。特にオンラインバンキングや重要なアカウントには必ず設定しておきましょう。
パスワード管理ツールで効率的に管理
複数の安全なパスワードを作成しても、それをすべて覚えておくのは大変です。ここで役立つのがパスワード管理ツールです。これらのツールを使えば、複雑で強力なパスワードを安全に保管できます。おすすめのツールには以下があります。
- 1Password: 使いやすく、セキュリティ機能が充実
- LastPass: 無料プランでも多機能を提供
- Bitwarden: オープンソースで信頼性が高い
これらを活用すれば、すべてのサービスで異なる強力なパスワードを使用しながら、効率よく管理できます。
パスワードを今すぐ見直そう!
日常的に使用するパスワードの強度を見直すことは、あなた自身と大切な情報を守る第一歩です。この記事で紹介した危険なパスワードの例を参考に、自分のパスワードが安全かどうかチェックしてみてください。そして、安全なパスワードを作るためのポイントを実践し、これまで以上に強固なセキュリティを築きましょう。