人類が進化と共に失った・失われつつある『8つの能力』とは?

人間とAI

人類は、時間の経過とともに進化と変化を繰り返してきました。それは、今後も続きます。周辺の環境も含め、今まで人間が進化して失ったものを振り返ってみましょう。今後人間が進化する過程で失うかもしれないものもまとめているので、そちらも必見です。今後どのような社会になっていくのか、見守りましょう。

人類は進化する過程で失った部分がある

人類の進化は、必ずしも能力の向上や発展だけを意味するものではありません。むしろ、環境への適応の過程で、かつて持っていた機能や特徴を失ってきた歴史があります。これは「退化」と呼ばれることもありますが、実際には環境に適応するための自然な進化の一部なのです。

時代や環境の変化に応じて、不要になった機能は徐々に失われていきます。これは「選択緩和」と呼ばれる現象で、その機能を維持するための選択圧が弱まることで起こります。特に、維持にエネルギーを必要とする機能は、より効率的な適応のために失われる傾向にあります。

現代の私たちの体には、このような進化の過程で失われた、あるいは失われつつある機能が数多く存在しています。それらの多くは、かつての環境では重要だったものの、現代の生活では必ずしも必要とされなくなった能力なのです。

人類が進化して失った(失われつつある)能力

私たちの祖先が持っていた能力の中には、現代では想像もできないような不思議な機能も含まれています。それらの一部を見ていきましょう。

1. 第三の目

現代のトカゲやカエルの一部には、額に小さな灰色の点があります。これは「第三の目」(顱頂眼:ろちょうがん)と呼ばれる器官で、私たちの祖先も持っていた能力です。約2,600万年前から2,045万年前にかけて、この器官は徐々に小さくなり、最終的には消失しました。

この「第三の目」は、日光を感知して季節の変化や日長を測定する機能を持っていました。現代では松果腺として脳内に残っており、体内時計の調整に関わっています。通常の目による光の感知能力の向上と、体温調節能力の獲得により、額の「第三の目」は不要となったと考えられています。

2. 電気を感じ取る能力

デンキウナギやサメのように、微弱な電気を感知できる生物がいます。実は、これは初期の脊椎動物が持っていた能力の名残と考えられています。私たちの祖先も、かつてはこの能力を持っていました。しかし、陸上での生活に適応していく過程で、この能力は失われていきました。

興味深いことに、カモノハシやある種のイルカは、独自に電気を感知する能力を再度発達させました。ただし、これは私たちの祖先が持っていたものとは異なる仕組みによるものです。

3. フェロモンを感知する能力

多くの動物は、「ヤコブソン器官」という特殊な器官を使って、フェロモンを感知します。ヘビが舌をチラチラと出す行動や、ウマやネコが特徴的な表情をする「フレーメン反応」は、この器官を使っているのです。

人間の鼻の中にもこの器官の痕跡は残っていますが、約2,300万年前に機能を失ったと考えられています。これは、人類が視覚情報をより重視するように進化していった時期と一致しています。

4. 自然を感知する能力

私たちの祖先は、自然と密接に関わる生活の中で、天候の変化や危険を直感的に察知する能力を持っていました。空の様子から天気を予測し、動植物の微細な変化から季節の移り変わりを感じ取っていたのです。

しかし、現代の都市生活では人工的に制御された環境で過ごすことが一般的となり、天気予報アプリに頼る生活が当たり前になっています。その結果、自然の変化を直感的に察知するという、人類が長い時間をかけて培ってきた能力は、徐々に失われつつあります。

5. 体毛

体毛は本来、暑さを遮断し、寒さから体を守る重要な役割を果たしていました。また、多くの動物は体毛を逆立てることで感情表現も行います。しかし、人類は環境を制御する技術を発達させ、同時に表情やジェスチャーによる感情表現を発達させました。その結果、体毛は徐々に薄くなってきたと考えられています。

6. 視力

かつてポリネシアの航海者たちは、遠くの星座と近くの海流を正確に捉える優れた視力を持ち、それを航海に活用していました。しかし、現代社会では近距離での作業が中心となり、私たちの目は大きく変化しています。

米国眼科学会の調査によると、2050年までに世界の近視人口は47億5,800万人(世界人口の約半数)に達すると予測されています。スマートフォンやパソコンの普及により、私たちの目は近い距離に適応するよう変化を続けているのです。

7. 記憶力

昔は友人の電話番号を何件も暗記し、重要な情報は頭の中に記憶する必要がありました。しかし、スマートフォンという「外部脳」の登場により、私たちの記憶のあり方は大きく変化しています。現代人の多くは、情報を記憶する代わりに、必要な時にすぐに検索できる環境に依存しています。これは単なる記憶力の低下ではなく、情報との新しい付き合い方への適応とも考えられます。

8. 体力と脚力

かつての人々にとって、歩行や自転車は主要な移動手段でした。しかし、車や電車などの交通手段の発達により、私たちの移動方法は大きく変化しました。その結果、体力や脚力にも変化が現れています。

これからの人類の変化と進化

近未来のイメージ

人類がこれから失う可能性のある能力については、以下のようなものが考えられています。

  • AIの発達により、特定の記憶や技能を保持する必要性の低下
  • 気候変動による居住可能地域の変化への適応
  • 食生活の変化による咀嚼能力の変化
  • デジタル技術への依存度の更なる上昇

このような変化は、必ずしもマイナスなものばかりではありません。人類は常に環境に適応し、新しい能力を獲得しながら進化を続けてきました。現代の変化も、より効率的な生活を送るための自然な適応過程の一部かもしれません。私たちは今、人類の歴史の中でも特に大きな変化の時期を生きているのかもしれません。

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