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日本と海外では文化やマナー、ルールが異なることも多い

海外旅行者が増加する中で、訪れた先の国のマナーや文化を知らないために思わぬトラブルに遭うことがあります。特に注意すべきなのが「ジェスチャー」。
日本では良い意味で使われるポーズが、海外では侮辱的な意味になってしまうケースも少なくありません。楽しい旅を台無しにしないためにも、海外でやってはいけないジェスチャーについてしっかりと理解しておきましょう。
海外でやってはいけないジェスチャー10選

海外旅行では無意識に行ったジェスチャーが現地でトラブルの原因になることがあります。日本人がやりがちな動作に特に注意して、その意味と理由を詳しく見ていきましょう。
1. 裏向きのピースサイン(Vサイン)
<NG国>
- ギリシャ:侮辱的な意味を持つ
- イギリス、オーストラリア、ニュージーランド:裏向きのVサインは侮辱を意味する
日本では写真撮影などでよく使われるピースサインですが、ギリシャではこのサインが相手を強く侮辱する意味を持つことがあります。
また、手の甲を相手に向けたVサインは、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドでは「くたばれ」という非常に失礼な意味になるため、注意が必要です。
写真撮影時にうっかり裏ピースをしてしまわないよう気をつけましょう。
2. OKサイン(親指と人差し指で輪を作る)

<NG国>
- ブラジル、ギリシャ、スペイン、トルコ、中東諸国:性的な侮辱を表す
- フランス:相手を無能や役立たずと侮辱する意味になる
日本では「OK」「問題ない」を示すサインですが、海外では性的または侮辱的な意味合いを持つことがあります。
特にブラジルやトルコなどでは、性的な意味を含んだ攻撃的なジェスチャーと捉えられ、現地でのトラブルに発展する恐れがあります。フランスでも「お前はゼロだ」と相手を見下すニュアンスがあるため、うっかり使用しないようにしましょう。
3. サムズアップ(親指を立てる)

<NG国>
- 中東、西アフリカ、ギリシャ、ロシア:侮辱的な意味合いを持つ
- オーストラリア:非常に失礼な表現とされる
日本ではSNSの「いいね!」や、肯定的な意味で日常的に使われますが、海外の一部地域では非常に侮辱的な意味を持ちます。
中東では中指を立てるのと同じくらい強い侮辱を意味するため、トラブルの原因になりかねません。ロシアやオーストラリアでも否定的に捉えられることがあるため、使用を控えることが安全です。
4. 手招き(手のひらを下に向けて指を動かす)

<NG国>
- アメリカ、フィリピン、タイなど東南アジア諸国:動物を呼ぶジェスチャーであり人に対して失礼とされる
- フィリピン:場合によっては逮捕される可能性もある
日本では気軽に相手を呼ぶ際に使いますが、海外では動物を追い払ったり呼び寄せたりする時の動作とされ、人間に向けて行うのは無礼とされています。
フィリピンではこのジェスチャーが法的な問題になることもあるため、人を呼ぶ際には手のひらを上に向けて指を曲げ伸ばしする方法を使いましょう。
5. 指差し

<NG国>
- 世界の多くの国々:相手を見下す無礼な行為と捉えられる
日本では無意識に人や物を指差してしまいますが、海外では非常に失礼な行為とされています。
特に中東や東南アジア諸国では相手を馬鹿にしたり見下したりする行為として認識されることが多く、トラブルの原因になります。
何かを指し示したい時は、手のひら全体を使って穏やかに示すのがマナーです。
6. ガッツポーズ(握りこぶしを突き上げる)

<NG国>
- パキスタン、フランス、ブラジル:相手を侮辱する攻撃的な意味
日本ではスポーツ観戦や成功した時にガッツポーズをすることが一般的ですが、パキスタンでは「お前を殴るぞ」という非常に攻撃的な意味を持ちます。
フランスやブラジルでも、片方の腕を叩く動作を加えたガッツポーズは、中指を立てるのと同じくらい失礼で挑発的なサインになります。
現地で喜びを表現する際は、笑顔や拍手を使うなど、別の方法を選ぶことをおすすめします。
7. 顔の前で手を横に振る(否定を表す動作)
<NG国>
- アメリカ、韓国、イタリア:侮辱や相手を不快にさせる意味を持つ
日本では「いいえ」や「違います」といった否定の意味で顔の前で手を横に振るジェスチャーをしますが、アメリカや韓国などでは不快感を表す場合があります。
特に韓国では、「臭い」「嫌だ」という否定的で不快感を与えるサインになり、イタリアでは「お前は頭がおかしい」と相手の知性を侮辱する意味合いになります。
否定の意思を示す場合は、明確な言葉を使うか、首を横に振るだけにしましょう。
8. 親指を下に向ける(サムズダウン)
<NG国>
- 世界中の多くの国々:非常に侮辱的で挑発的な意味を持つ
日本でも「良くない」「ブーイング」のサインとして知られる親指を下に向けるジェスチャーですが、世界的に古代ローマ時代の闘技場で「殺せ」を意味する由来があり、侮辱や敵意を表す攻撃的な意味として認識されています。
スポーツ観戦などで軽く使いがちですが、海外ではトラブルに繋がるため、どの国でも控えるようにしてください。
9. 小指を立てるジェスチャー
<NG国>
- 中国、シンガポール、インドネシア:相手の能力を見下す意味になる
日本では恋人や女性を表したり、「指切りげんまん」で約束を意味したりしますが、中国やシンガポール、インドネシアでは小指は「最も小さい」「能力が低い」と相手を侮辱するサインとなります。
友好や親しみを示すつもりで現地の人に対して行うと、相手を見下したと誤解されてしまうことがあります。旅先でのコミュニケーションでは、小指を立てる動作は避けるべきです。
10. 人差し指と中指を交差させるジェスチャー
<NG国>
- ベトナム:性的に非常に侮辱的な意味合いを持つ
英語圏では「幸運を祈る」という意味を持つことがある人差し指と中指を交差させる動作ですが、ベトナムでは性的で卑猥な意味を含んだジェスチャーとなります。
冗談や軽い気持ちで現地の人に見せると、重大なトラブルを招くことがあります。現地の文化を尊重し、安易に外国で使わないよう注意が必要です。
日本では問題にならないけれど、海外ではNGなジェスチャー

日本ではごく普通でも、海外の一部地域では相手を強く侮辱するジェスチャーが存在します。宗教的・歴史的な背景に根ざしているため、悪気なく使ったとしても、相手を深く傷つけることになりかねません。
ここでは、日本人が無意識にやってしまいがちな5つの行動を解説します。
①ブラ・ドヌール(腕を叩くジェスチャー)
<NG国>
- フランス、イタリア、ブラジル:強い侮辱を表す挑発的な動作
日本ではなじみのない名前ですが、腕を上に突き上げて、もう片方の手でその腕を叩く仕草です。
喜びを表現する「ガッツポーズ」と誤解してしまいがちですが、フランスやイタリア、ブラジルなどでは、このジェスチャーは相手を挑発し、ひどく侮辱する行為になります。
ブラ・ドヌールの語源はフランス語で「名誉の腕」。実際には「お前には名誉がない」という侮辱的な意味で使われます。特にフランスではこの仕草が「中指を立てる」と同様の強烈な意味を持つため、公共の場やスポーツイベントなどでは絶対に控えるべきです。
喜びや興奮を伝えたい場合は、シンプルに拍手や明るい表情を使うほうが誤解を生まず安全です。
②ナチス式敬礼(腕を斜め上に伸ばす)
<NG国>
- ドイツ、オーストリア、ヨーロッパ各国:法律で禁止されている政治的ジェスチャー
日本でも冗談や遊びの延長で使われることがまれにありますが、ドイツやオーストリアでは、ナチス式敬礼は絶対的なタブーです。
このジェスチャーはヒトラー政権を象徴するものであり、第二次世界大戦の惨禍を思い出させるため、法律で明確に禁止されています。現地で行った場合は、罰金や懲役などの処罰を受ける可能性もあります。
単なる冗談やファッション、イベントの一部だとしても、絶対に許容されません。特にヨーロッパの歴史的背景を持つ国々では、冗談では済まない重い意味を持つので、決して使用しないように注意しましょう。
敬意や親愛の情を示す場合には、言葉や微笑み、握手が安全で最適な方法です。
③左手を使う(食事・握手・受け渡し)
<NG国>
- 中東諸国、インド、アフリカ諸国:宗教的理由から「不浄の手」とされる
日本では左利きの人が多く、食事や物の受け渡しで左手を使うことは特に問題になりません。しかし、中東やインド、アフリカの国々では、左手は伝統的に「不浄の手」とされています。
トイレの際に左手で体を清潔に保つ習慣があり、そのため左手で食事や握手、物を渡す行為は相手を大きく侮辱することになるのです。
現地では左利きでもなるべく右手を使うように意識し、特に握手や挨拶の際は右手を使うことが最低限のマナーです。食事の場面でも右手を使い、左手は膝の上やテーブルの端にそっと置いておくなどして、現地のマナーを尊重することが大切です。
④足の裏を相手に向ける(座る・足を組む)
<NG国>
- 中東諸国、タイ、東南アジア諸国:不浄の象徴として相手を侮辱する意味
日本では椅子に座るときに足を組むことは珍しくありませんが、中東や東南アジアの文化では大変失礼な行為とされます。
特にイスラム圏やタイでは、足の裏は「最も汚れた不浄の部分」とされ、人や神仏に向けることは強烈な侮辱行為になります。知らず知らずのうちに足の裏を人に向けてしまうと、非常に不快な思いをさせてしまうでしょう。
公共の場はもちろん、家庭訪問や寺院訪問の際も、足の裏が人や神仏の方向を向かないよう、座る位置や足の組み方には細心の注意を払いましょう。
⑤頭を触る(子どもや他人の頭を撫でる)
<NG国>
- タイ、スリランカ、ベトナム:神聖な部分を穢す行為としてタブー視される
日本では親愛の情を込めて子どもや友人の頭を撫でる行為は自然なことです。しかし、タイやスリランカをはじめとする仏教国では、頭は「人間の最も神聖な部分であり、魂が宿る場所」とされています。
そのため、子どもを可愛がるつもりで頭を撫でたり、親しみを込めて相手の頭に触れたりすると、「魂を穢す」という意味で非常に失礼な行動になります。
現地で親しみを示したいなら、言葉や表情を豊かに使い、触れることは避けましょう。特に子どもに対しては、好意を示したつもりが逆に不快感を与えてしまうことになるため、慎重な行動が求められます。
まとめ

日本では何気ない行動が、海外では思わぬ誤解や深刻なトラブルにつながることがあります。ジェスチャーには文化や宗教、歴史などの背景が色濃く反映されているため、その国でどのような意味を持つかを理解することは非常に重要です。
世界のどこへ行っても、現地のマナーを尊重する姿勢こそが、真の国際人として信頼される秘訣となります。









