目次
古希は何歳のお祝い?
古希(こき)が何歳かは数え年と満年齢で変わりますが、本来古希は数え年で70歳のお祝いです。
長寿のお祝いは「還暦(かんれき)」、「緑寿(ろくじゅ)」に続いて古希は3つ目のお祝いです。還暦は満60歳(数え年61歳)、緑寿は満65歳(数え年66歳)でお祝いしますが、古希は数え年で70歳(満69歳)にお祝いするのが古くからの習わしでしたが、現在では、満年齢の70歳を迎える年にお祝いするのが一般的となりました。
天皇陛下も満年齢で長寿祝いをされていますので、数え年、満年齢どちらでお祝いしても問題はないので、本人や家族、親戚等と話し合って良いタイミングを決めるのが良いかもしれません。
《数え年と満年齢》
「数え年」は生まれた日を1歳とし、1月1日(元旦)を迎えるたびに年齢を重ねていく数え方です。これは、人は生まれる前から胎内で命を宿しており、その期間(十月十日)も年齢に加えようという考えに基づいています。
それに対し「満年齢」は、生まれた日を0歳と数え、誕生日がくるごとに1歳ずつ年齢を重ねていく数え方をいいます。
かつて、日本では広く「数え年」で年齢を計算していましたが、明治時代以降に西洋文化の影響を受けて徐々に「満年齢」が用いられるようになったと考えられています。
古希の由来
古希は、中国唐代の著名な詩人・杜甫(とほ)が詠んだ曲江詩(きょっこう)の一節にある「酒債尋常行処有 人生七十古来稀」に由来しています。
「酒代のつけなら私が行くところ至るところにある。しかし人生を70歳まで生きるのは非常に稀(まれ)なことだ」という意味をもつこの一節は、当時70歳まで生きることがいかに難しいことだったかを物語っています。
また、この詩に強い影響を受けていたことから、当時は「古稀」と書かれていましたが、「稀(まれ)」の字が常用漢字から外れていることもあり、現在は「古希」と書くのが一般的となりました。
長寿は「賀寿(がじゅ)」とも呼ばれ、還暦を始まりとして、節目ごとに祝われてきました。しかし平均寿命が延びた現代では、70歳の古希から祝うことも多くなってきており、本格的な長寿の祝いと考えられているようです。
古希のお祝いの仕方
古希は数え年で70歳(満69歳)にお祝いするのが古くからの習わしでしたが、近年では、満年齢の70歳を迎える年にお祝いするのが一般的となり、数え年・満年齢のどちらでお祝いしても問題はありません。
古希を祝うのに決まった日取りはありません。正月や誕生日、敬老の日など、家族や親族、友人らが集まって食事会を開いたり、温泉などの旅行へ行ったりすることが多いようです。
ここ数年はコロナ禍の影響もあり、小規模な集まりでお祝いするなどの傾向に変わってきているようです。また、古希のテーマカラーである紫色にちなんだプレゼントや、ちゃんちゃんこを用意する風習もあるようです。
お祝いのテーマカラーは「紫色」
還暦のお祝いでは「赤色」がテーマカラーですが、古希では、紫色がテーマカラーとなります。なぜ紫色なのでしょうか?
それは、紫色が古くから特別な意味を持ち、気品や風格の象徴で、長生きした方へ敬意を払うのにふさわしい色と考えられてきたからです。
聖徳太子の飛鳥時代には、貴族の冠位は紫色が最上位の地位を表す色とされていました。また、僧侶が紫の衣を身につけることができるのは、最高位の僧侶に限られていたほど。こうした考え方が一般的にも広がり、紫は気品や風格を備えた色として尊ばれるようになったと言われています。
また、紫には心身を癒す効果があるとされ、昔の人はそれを経験的に知っていたようで、不安な時や病気の時に紫のものをそばに置いたり、身につけたりしていたそうです。
長寿に対するいたわりから、紫色が取り入れられたとも言われているため、古希のお祝いには長寿への敬意と、いたわりの心が込められた紫色をキーワードにお祝いしましょう。
もちろん、紫色にこだわらなくても、ご本人への敬意といたわりの心を大切にしてお祝いすることが大切です。地域によっては、古希をお祝いする時期が異なる場合もあるようですので確認してみるのもいいかもしれません。
尚、古希の前には60歳のお祝いの「還暦」がありますが、今は昔と違って60歳はまだまだお元気な方が多く長寿のイメージがしなくなったため70歳の「古希」から長寿のイメージが強くなりましたね。
実は、うちのおばあちゃんは日ごろから年寄り扱いされるのを嫌がっていたので、本当は古希のお祝いはやらない方がいいのではと思ったのですが、母がどうしてもというのでおばあちゃんの誕生日に家族で近場の温泉旅行に行き、さりげなく紫色をテーマにした花束をプレゼントして喜んでもらいました。
古希祝いの行事は特に無い
古希のお祝いにする特別な行事はありませんので、一般的には自宅でごちそうを用意して家族でお祝いすることが多いです。また、レストランでお食事しながらお祝いしたり、家族で温泉旅行などに行ってお祝いしたり、プレゼントだけ渡したりさまざまです。
遠くにいる親戚やお孫さんは、来ることができずにプレゼントだけ渡すケースが多いようですが、それでも特に失礼ではありませんので大丈夫です。一番大切なのは、ご本人が喜んでくれることだと思います。
古希のお祝いを贈るタイミングやプレゼントの選び方
古希祝いの贈り物は、お祝いの席に持参するか、自宅に贈るのが一般的です。自宅へ贈る場合は、相手の都合が良い日時を確認して届けるようにしましょう。
贈るタイミングは、なるべく誕生日の前日か当日の午前中までに届けるのがマナーです。特別な日なので、プレゼントは早めに贈りましょう。
古希祝いには紫色のアイテムを贈るのが定番ですが、必ず紫色にしなければいけないというわけではありません。相手の好みやライフスタイルに合わせて、喜んでもらえるものを選ぶことが大切です。お元気であれば、旅行をプレゼントするのもおすすめ。
《男性におすすめ人気プレゼント》
- お酒
- 湯のみまたはタンブラー
- めがねケース
- 紫色のセーターまたはベスト
- アメジストのアクセサリー
《女性向けにおすすめ人気プレゼント》
- 花束やフラワーアレンジメント
- 紫のストール・ひざ掛け
- 紫色が入っている湯のみ
- アメジストのアクセサリー
- めがねケース
古希のお祝いの水引
一般的に古希のプレゼントの水引は紅白か金・銀の「蝶結び(花結び)」です。結婚祝いなどは結びきりの水引を使いますが、それはなんども結婚しないという意味があります。
古希は長寿のお祝いですので長寿のお祝いは何度くりかえしてもめでたいということで「蝶結び(花結び)」を使います。また、表書きは「古希御祝」「御祝」「祝古希」「お祝い」「感謝」などが一般的です。尚、のしはつけません。
お祝い金の相場
基本的に年上の方に現金を贈るのは失礼だと言われていますが、実際にはお祝い金を贈る方も多く特に問題ないようです。
そもそもなぜお金がNGかというと「何かの足しにしてください」というイメージがあり、年上の人に対して失礼にあたるのでNGだと言われていますが、それを気にする方は少ないかもしれませんね。
金額の相場は古希を迎える方との関係で変わります。
《平均的な基本的な相場》
- 両親 ……10,000円~100,000円
- 祖父母 ……10,000円~30,000円
- 親戚・知人……5,000円~20,000円
古希のお祝い金の相場は、地域によっても変わる場合があります。お祝いに行く前に相手のご家族や知人など、詳しい方に確認しましょう。
古希祝いに贈ってはいけないプレゼント
年寄り扱いするもの
年寄り扱いするようなものはなるべく贈らないようにしましょう。杖や老眼鏡、補聴器など相手が欲しい物なら問題はありませんが、年寄り扱いするな!という方のほうが多いようですので気をつけましょう。喜んでもらうために贈ったのにがっかりされたら残念ですよね。
一般的にNGなもの
古希のプレゼントだけNGということでは無く、一般的にお祝い事に贈ってはいけないものがあります。70代の方ですと昔からの習わしを意識される方もいると思いますので、何にするか悩んだらとりあえずプレゼントにNGなものは避けましょう。
- 靴下・敷物
「足で踏みつける」というイメージのものは避けましょう。 - 文房具
「勉強しなさい」というイメージのものは、子供の入学祝いや部下などに贈ることが多いですが、目上の人に対して贈るのは失礼にあたると言われています。 - ハンカチ
ハンカチを漢字で書くと「手巾(てぎれ)」。贈った相手と縁を切るイメージになるので贈り物に相応しくありません。 - 日本茶
日本茶は弔事で渡すことが多いものですので避けましょう。
花を贈るときに気をつけること
古希(70歳)と喜寿(77歳)のテーマカラーは紫色または紺。花を贈る場合はテーマカラーに合わせたフラワーアレンジメントがおすすめ。また、フラワーアレンジメントを贈る際は、お祝いごとに避けるべき色や花を選ばないよう注意しましょう。
- NGな色…不祝儀に使われやすい青と白、紫と白などを主体としたアレンジメント
- NGな花…仏花として使用される輪菊や小菊、花首が落ち縁起が悪いとされる椿
- OKな色…朱赤、濃紫、濃黄色など縁起の良い色や、オレンジ、赤紫など華やかな色
- OKな花…年配の方に好まれることが多いユリや、花の世話が好きな方には鉢植えもOK
花のスタイルで人気があるのは、定番の花束や、花瓶不要のフラワーバスケット。最近では、水やりの手間がなく、花をきれいに長く楽しめるプリザーブドフラワーが人気があります。
古希以外の長寿祝い
古希以外にも、日本にはたくさんの長寿祝いがあります。年齢・テーマカラー、名前の由来などをご紹介します。
種類 | 年齢 | テーマカラー |
還暦(かんれき) | 60歳(数え年61歳) | 赤・朱 |
緑寿(ろくじゅ) | 65歳(数え年66歳) | 緑 |
古希(こき) | 70歳 | 紫・紺 |
喜寿(喜寿) | 77歳 | 紫 |
傘寿(さんじゅ) | 80歳 | 黄・金茶 |
米寿(べいじゅ) | 88歳 | 黄・金茶 |
卒寿(そつじゅ) | 90歳 | 紫・白 |
白寿(はくじゅ) | 99歳 | 白 |
百寿(ももじゅ) | 100歳 | 白・桃 |
茶寿(ちゃじゅ) | 108歳 | ─ |
珍寿(ちんじゅ) | 110歳 | ─ |
皇寿(こうじゅ) | 111歳 | ─ |
大還暦(だいかんれき) | 120歳 | ─ |
- 還暦:
十二支と十干の組み合わせ(干支)が60通りあることに由来。生まれて60年目でこの干支が一巡するため、生まれた年の干支に還るという意味を表す - 緑寿:
「66」の数字が「ロクロク」と読めることに由来。77歳・88歳・99歳の賀寿があるのに66歳のお祝いがなかったため、平成14年に日本百貨店協会により誕生 - 古希:
唐の詩人・杜甫の詩の一節である「人生七十年古来稀なり」に由来。「古来より70歳まで生きる人はまれである」という意味 - 喜寿:
「喜」の字を草書体で書くと七を3つ重ねた形(㐂)となり、その形が「七十七」に見えることに由来 - 傘寿:
「傘」の略字「仐」が「八十」に見えることに由来 - 米寿:
「米」の字をくずしてみると、「八」「十」「八」になることに由来 - 卒寿:
「卒」の略字「卆」が「九十」に見えることに由来 - 白寿:
「百」の字から「一」を取ると、「白」になることに由来 - 百寿:
「百歳を迎えためでたい歳」という意味。「100年=1世紀」ということから紀寿(きじゅ)」とも呼ぶ。また100歳であることから百寿。 - 茶寿:
「茶」の字をくずすと「十・十・八十・八」になり、それらすべて合わせると108(10+10+80+8)になることに由来。 - 珍寿:
大変珍しいほどの長寿であることに由来 - 皇寿:
「皇」の字をくずすと「白」が白寿の九十九、「王」は十がひとつ、一がふたつに分解でき、それらすべて合わせると111(99+10+1+1)になることに由来 - 大還暦:
還暦を2回迎えることに由来
この他にも、数え年100歳以上の長寿のお祝いで、毎年使える「上寿(じょうじゅ)」という特別な名称もあります。
まとめ
古希は何歳か?古希をするタイミングや場所は?何を贈ればいい?など古希のマナーをご紹介しましたがお役に立てましたでしょうか。
70歳はまだまだ元気な方が多いです。私の祖母もそうですが、年寄り扱いすると怒り出します。少々耳が遠いかな?と思っても補聴器を贈ったら怒るのは分かっていますのでやめています。
いつまでも長生きしてねという願いや感謝を込めての御祝いですので相手が何を喜ぶかが一番大切ですよね。