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昆布の賞味期限は1~3年のものが多い
乾燥昆布の賞味期限は、1年以上のものがほとんどです。長いものなら3年。昆布は買ってすぐに食べるよりも、熟成させたほうが美味しくなります。
寝かせた昆布は、口当たりが柔らかくなり、味も濃くてまろやかになるので、昆布を数年間寝かせて使用する料亭も多いです。ただし、昆布の保存状態が良いことが原則。湿気が低く直射日光が当たらない冷暗所で保存する必要があります。
昆布を熟成させたいときは悪影響が出ない保存環境下で、寝かせるようにしましょう。
乾燥昆布は生昆布より賞味期限が長い
上記で触れた通り、乾燥昆布は1年以上賞味期限がある商品が大半。乾燥処理が施されているため長期保存可能なうえ、日数が経過することで風味が増し味わい深くなります。
一方、スーパーの鮮魚コーナーなどで販売されている生昆布は乾燥処理されていないこともあり、賞味期限が2~3日しか保ちません。もしも、賞味期限内に生昆布を使いきれない場合は、しっかり水気を切って冷凍保存しましょう。目安として1か月程度は保存できます。
生昆布は刺身昆布やサラダ、和え物などで活躍する食材。乾燥昆布とはまた違った味わいと柔らかな食感が楽しめるため、昆布好きな方は食べてみる価値があります。
昆布を開封した後の賞味期限
昆布は開封後、湿気や直射日光を避け密閉容器に保存した上で、できるだけ早く使い切りましょう。
賞味期限とは未開封状態での美味しさを保つことができる期間の目安です。保存環境によっても左右されるため開封後の昆布が何日まで保つかは一概には言えません。
しかし、乾燥加工が施されている乾燥昆布は元々保存性が高いため、適切な保存状態であれば数か月程度は美味しく食べられると考えられます。
昆布の佃煮の賞味期限
昆布の佃煮とは、昆布を醤油ベースの調味液で煮込んだ料理。昆布の佃煮の賞味期限は1ヶ月以上であることが多いです。商品によっては半年以上先であることも少なくありません。
ただし、あくまでも開封前の期限となるため、一度開封した後はできるだけ早めに食べ切ってしまわないと、どんどん風味が失われていってしまいます。
一方で昆布の佃煮を家庭で手作り調理した場合、賞味期限の目安は約2週間です。冷凍でも1ヶ月くらいしか保存できません。昆布の佃煮を調理する際は、短期間で食べ終わる量だけ作りましょう。
昆布締めの賞味期限
昆布締めとは、鮮魚の刺身などを昆布で包み寝かせることで刺身に昆布の旨味を移す調理方法。昆布が刺身の水分を吸収することで保存性も高まります。
とはいっても、加熱していない鮮魚であるため3日を目安に食べ切ることをおすすめします。冷凍する場合は2週間前後まで保存できます。
《 ポイント 》
- 昆布の賞味期限は1年から3年
- 熟成させると、口当たりがやわらかく、味がまろやかになる
- 生昆布の賞味期限は2~3日と短い
- 乾燥昆布も開封後は適切に保存し早めに使い切る必要がある
- 昆布の佃煮の賞味期限は市販で1ヶ月以上、手作りで2週間程度
- 昆布締めの賞味期限は冷蔵で3日程度、冷凍で2週間程度
昆布の賞味期限が切れたら
昆布は熟成させればするほど美味しくなる乾物です。実は、賞味期限を過ぎても食べられるうえに、より熟成した状態になります。
そもそも賞味期限とは、未開封の状態で商品指定の保存方法で管理した場合に食材の美味しさを維持できる期間のことです。安全に食べられる期間を指す消費期限とは別のものなので、賞味期限を過ぎたからといって食べられなくなるわけではありません。
また、昆布の表面にはカビに似た白い粉がついていますが、この白い粉の正体についても見ていきましょう。
昆布は賞味期限が切れても食べられる?
昆布は、水分を含まない限り、カビが発生することはないので、賞味期限を過ぎても食べることができます。むしろ、賞味期限が過ぎて熟成させることでどんどん美味しさはアップするのです。
期限の過ぎた昆布は、出汁をとるときに多少の濁りが出ることはありますが、問題はありません。ただし、昆布を狙う害虫は一度湧くと大量発生するので、虫のついた昆布は速やかに破棄しましょう。
ただし、開封後は賞味期限内であったとしても品質の劣化が進行し傷みやすくもなります。開封後は、商品指定の保存方法を遵守し、できるだけ早く使い切ってしまいましょう。
また賞味期限を過ぎても食べられるようにするためには、保存状態を保ってカビの発生や虫の侵入を防ぐことも重要です。
昆布に発生する害虫
昆布の保存状態によっては、害虫が発生し昆布を餌に大量発生する恐れがあります。乾燥昆布に湧く害虫としてはジンサンジバンムシ、タバコシバンムシ、ケナガコナダニなどが挙げられます。
昆布に害虫が発生すると、今度はそれらを餌にする別の害虫が湧いて人間に害を与えるケースもあります。基本的に害虫が湧いてしまった昆布は廃棄するしかありません。
害虫は保存袋の隙間から入り込む、袋を食い破るなどして昆布に群がります。害虫から昆布を守るためには、保存袋だけでなく密閉性が優れた保存容器も使用しなるべく早く使い切ることが大切です。
《 ポイント 》
- 昆布は賞味期限を過ぎても食べられる
- 害虫やカビが発生しないように保存しよう
- 害虫が湧いてしまった乾燥昆布は基本的に捨てるしかない
昆布の表面の白い粉とは
買ったばかりの昆布なのに、昆布表面に白い粉がついているのを見たことはありませんか?「もうカビが生えたの?」と思うかもしれませんが、白い粉はマンニットと呼ばれるうま味成分です。
マンニットは昆布の中に含まれている栄養素ですが、昆布を長期間保存し続けていると、昆布の水分が蒸発し昆布表面に出てきます。それが白い粉の正体。
また、昆布の美味しさの秘密はマンニットだけでなく、グルタミン酸もあります。グルタミン酸はアミノ酸の一種で、昆布のうま味成分です。
この白い粉(マンニット)は、美味しい昆布を目利きするときにも役立ちます。白い粉が昆布全体に付着している昆布はうま味成分であるマンニットを豊富に含んでいます。調理するとき、昆布からうま味がたくさん出るため煮物などの料理をより美味しく仕上げられます。
《 ポイント 》
- 昆布表面にある白い粉は、カビではなくうま味成分のマンニット
- マンニットが蒸発し昆布表面に出てくると白い粉になる
- 白い粉がたくさん付いている昆布はうま味成分マンニットが豊富であるため目利きする際のポイントにもなる
カビとマンニットの見分け方
昆布は、ときに綿のような白カビやアオカビが発生します。カビはうま味成分であるマンニットとそっくりで、見分けることが難しいです。
誤って食べてしまうと食中毒を引き起こすかもしれないので、「カビかマンニットかわからないな」と思ったら、必ず確認してください。不安であったら廃棄してしまうのも賢明な判断です。
カビとマンニットを見分ける方法は、においをかぐことです。白カビである場合は、カビ臭さがあります。
《 ポイント 》
- カビとマンニットの見分けがつかないときは、必ず確認する
- カビとマンニットはにおいをかいで見分けよう
昆布の正しい保存方法
昆布の保存に適した容器と場所について説明します。また、和食に便利な昆布出汁の保存方法も合わせて紹介します。
保存容器
昆布を容器に入れて保存する場合は、無臭で金属製以外の密閉容器を選んでください。その理由を見ていきましょう。
- 昆布はにおいが付きやすい
昆布は容器のにおいを吸収しやすい食品。昆布ににおいを付けないために、容器は無臭のものを選び、ほかの食品のにおいがついてしまっている容器は避けましょう。 - 昆布の塩分で金属がさびる
昆布に含まれる塩分によって、金属製の容器をさびつかせてしまいます。昆布を入れる容器はプラスチック製がおすすめです。 - 密閉しないと湿気でカビが生える
最後に注意したいのが湿気。昆布は水分を含むとカビが生えるので、湿気が入り込まない密閉できる容器を選んでください。
《 ポイント 》
- 昆布の保存容器は無臭で密閉できるものを選ぶ
- 昆布の塩分でさびてしまうので、金属製の容器は避ける
保存場所
昆布を保存する場所は、直射日光の当たらない、湿度の低い冷暗所が基本です。昆布は湿気にさらされたり、日光が当たったりすることで、劣化してしまいます。
開封後の昆布は、湿度や日光の影響を受けやすいので、より保存に気を遣う必要があります。
《 ポイント 》
- 開封した昆布は、湿気も日光も入らない冷暗所がおすすめ
- 湿気はカビ、日光は味の劣化をまねく
開封後の昆布の保存方法
開封後の昆布は、湿気が入らないように、密閉できる保存袋や密閉容器に移します。乾燥剤も一緒に入れてください。しっかり密閉したら、冷蔵庫で保存します。野菜室は湿度が高くなりやすいので、野菜室以外に保存すると良いでしょう。
《 ポイント 》
- 開封後の昆布は乾燥剤と一緒に密閉容器や保存袋へ入れて、冷蔵庫に保存する
だし汁に使った昆布は冷凍保存で再利用できる
だし汁をとった後の昆布は保存すれば、おにぎりや佃煮、煮物作りなどに活用できます。だし汁に使った昆布は非常に劣化しやすいので、冷凍保存がおすすめです。
常温だと数時間、冷蔵庫で保存しても2日から3日しか持ちません。冷凍保存だと2週間以上保てます。粗熱をとった昆布を容器に移して冷凍庫に保存し、使用する際は一日かけて冷蔵庫で解凍すればOK。また、出汁をとる前の昆布を、食べやすい大きさにハサミでカットしておく方法も有効ですよ。
《 ポイント 》
- 出汁をとった後の昆布を保存しておけば、おにぎりや煮物作りに便利
- 昆布を容器に移して冷凍庫で保存する
昆布に関するQA
昆布表面に浮き出たマンニットや、カビについてのO&Aを見ていきましょう。また、出汁をとるのに適した昆布の種類も必見です。
A.:マンニットは昆布のうま味成分です。水洗いすると流れてしまうので、マンニットが付いた昆布は水洗いせず、マンニットが付いたまま鍋で煮込みましょう。
A.カビが発生したら、濃度の高い塩水でカビが落ち切るまで洗ってください。洗ったら風通しの良い場所に干して、乾かします。洗ってもカビのにおいがするようなら、食べずに破棄してください。
A.出汁に向いている昆布は用途によって変わります。昆布だけを使って出汁をとるなら、濃厚な出汁がとれる「羅臼昆布(らうすこんぶ)」。昆布とかつおを使った合わせ出汁をとるのに向いているのは、あっさりとした味わいの「真昆布(まこんぶ)」か「利尻昆布(りしりこんぶ)」がおすすめです。
《 ポイント 》
- マンニットが付いた昆布は洗わずに使う
- カビは濃い塩水で洗い流す、洗ってもカビのにおいが残るようなら破棄する
- 出汁に向いている昆布は、濃い昆布出汁をとるか、合わせ出汁をとるかで変わる
昆布の出汁のとり方と保存方法
昆布出汁の基本的なとり方と、保存方法を紹介します。
煮出汁をとる手順
- 鍋に水と昆布を入れて30分浸ける
水1リットル、昆布10gを入れます。すぐ火にかけず、30分間浸けておくと濃厚な出汁がとれます。 - 中火で10分間煮込む
弱めの中火で10分間煮込み、沸騰直前になったら火を止めてボウルに移します。 - 粗熱をとり製氷皿に入れる
昆布出汁が冷めたら、製氷皿に入れて冷凍庫に入れてください。 - 凍ったらすぐに保存袋や密閉容器に移す
冷凍庫の空気に降れている状態が続くと、昆布出汁の風味が失われてしまいます。凍ったことを確認したらすぐに別の容器に移し替えましょう。
以上の方法で、いつでも好きな分だけ昆布出汁を使用できます。すぐに使い切るのであれば、製氷皿ではなく、ペットボトルなどの容器に入れて冷蔵庫に保存するとよいでしょう。
《 ポイント 》
- 風味が落ちるので、凍ったらすぐに密閉容器に移し替える
さいごに
昆布は栄養価が高く、家族の健康のためにぜひ使いたい食品です。しかし、昆布は高値なものが多く、保存が難しいからと使用を悩む人も多いでしょう。
昆布は保存状態さえ保てば、長期間食べられます。日持ちの悪い出汁も簡単に冷凍できるので、今回紹介した冷凍法をぜひ活用してください。
昆布の表面には、カビにも似た白い粉が浮き出ることがあります。それはカビではなくマンニットと呼ばれる昆布の美味しい成分です。洗い流さず、そのまま煮込みましょう。ただし、保存状態が悪いとカビが生えることもあるので、一度は確認してください。