目次
珪藻土とは?
珪藻土(けいそうど)とは、珪藻という藻類の殻が堆積した土が原料です。
ここでいう藻類とは、植物プランクトンのこと。死んだ珪藻が積み重なることで化石化し珪藻土に変化します。日本は藻類が発生しやすい海や川など水源が豊富であるため、珪藻土が多く存在しています。ただし、珪藻の殻はそのままでは固められないので、副資材(固化材)を混ぜて使用されます。
珪藻土は吸水性に優れていている他にも、ニオイの分子を吸収する効果も備わっています。
珪藻土の仕組み
珪藻土の表面には、小さな孔ができています。この小さな孔に水分が吸収されるため表面の乾きも早いです。吸水性が高い一方で、周囲の空気が乾燥すると珪藻土内に蓄積されていた水分が放出する機能も備わっています。
珪藻土はどんなところに使われている?
珪藻土はもともと建築の壁材です。非常に優れた吸水性を持っていて、速乾性にも優れています。濡れてもすぐに乾くということから、壁材以外にも、バスマットやコースターなどに珪藻土が使われています。
ただ、濡れてもすぐに乾くとはいえ、珪藻土は完全防カビ仕様の素材ではありません。ちゃんと手入れをしないと珪藻土でもカビが生えてしまいます。
珪藻土のカビの原因
珪藻土にカビが生えてしまう原因はいくつかあります。
まずは、珪藻土にカビを生やさないために、どのようなことが原因で珪藻土にカビが生えてしまうのか把握して、その原因となる状況を避けるようにしましょう。
ここからはカビが生える原因について紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
湿気が高いところにある
珪藻土は速乾性が高いので、吸収した水分をしっかりと放出させておけばカビは生えにくくなります。
しかし、お風呂場に置きっぱなしにしたり、梅雨の時期で湿気が多かったりすると、珪藻土が吸収した水分を放出できません。水分を含んだ状態が続くとカビが生える原因になるのはよくあることなので、注意が必要です。
濡れた珪藻土は換気の良い環境で乾かし、こまめに水拭きや陰干しなどのお手入れを施しましょう。
汚れがたまっている
珪藻土で作られたバスマットは洗濯ができません。また、コースターは食器と同じように洗剤で洗えると思う人もいますが、洗剤が目詰まりして、吸水性を損なう原因になってしまいます。
そのため、珪藻土で作られたものは基本的に洗うことが難しく、汚れが蓄積されていきます。その蓄積された汚れがカビの原因になってしまいます。
汚れが蓄積された珪藻土に、高湿度によるカビが発生してしまうと、汚れを栄養としてカビが大きく育ちます。吸水性・速乾性が優れた珪藻土だからといって、お手入れを怠り過ぎるとあっという間にカビが珪藻土内部まで根を伸ばし、広範囲に発生してしまいます。
固化材が中性
珪藻土で作られた壁材などには固化材が加えられていますが、この材料がカビの発生原因となるケースもあります。
元々、珪藻土だけでは固まらないため建築材料として用いるには不安定です。その不安定さを解決するために、樹脂やでんぷん糊、セメントなどの固化材を加え壁材として使える状態にします。
ただし、この固化材に中性材質である樹脂(接着剤)や石こう、でんぷん糊などが使用されていると高温多湿によってカビが発生します。壁材だとカビが発生してからでは対処が難しいため、事前に施工業者に確認されておくことを推奨します。
中性の固化材であっても防カビ剤が添加されていれば、カビの発生を抑制できます。もしくは、中世ではなくアルカリ性の固化材を使用することでもカビがつきにくくなります。
珪藻土のカビを防止する7つの方法
珪藻土に生えたカビをとる方法はありますが、生えるたびにそれを取り除くことも大変です。しかし、そのカビを防ぐ方法はいくつかあります。
珪藻土の衛生面を保つためにも、珪藻土のカビを防止する方法を把握して、手入れとして実践しましょう。ぜひ参考にしてみてください。
陰干しをする
珪藻土にカビが生えてしまうのは、吸水した水分をしっかりと放出できていないことが原因といわれています。そのため、珪藻土は湿気の多い場所に置きっぱなしにするのではなく、湿度が低いところに陰干しして水分をしっかりと放出させ、乾燥させましょう。
ただし、珪藻土は速乾性が高いので、使うたびに陰干しをする必要はなく、1週間に1回程度でもカビの防止策になります。
《天日干しをする注意点》
珪藻土を乾かす際に、陰干しよりも乾きが早いと考え、天日干しするのはやめましょう。天日干ししてしまうと、反りの原因となったり、割れてしまったりすることもあります。
商品によって異なりますが、基本的に珪藻土は天日干し不可であるケースが多いです。天日干しする前にお手入れしたい珪藻土の取扱説明書もしくは販売メーカーのホームページでお手入れ方法を確認しましょう。陰干しをする際、珪藻土を日陰でゆっくりと乾燥させることがポイントです。
珪藻土にカビを発生させないためには、内部の水分もしっかり放出させることが大切です。壁や柱などに立てかける状態で陰干しすると珪藻土全体が均一に乾燥し、より高い防カビ効果が期待できます。
水ぶきを行う
珪藻土に皮脂やホコリなどの汚れが溜まるとカビが広がる原因となります。しかし、バスマットなど大型のものは、なかなか丸洗いは難しいでしょう。毎日行う手入れとして、水拭きをして表面の汚れを落とすようにしましょう。
珪藻土を水拭きする際には、水分を与え過ぎないように雑巾や布巾は硬く絞って使うようにしましょう。水拭き後は後述する除菌スプレーを併せて吹きかけると、より防カビ対策が効果的になります。
汚れをそのままにしない
珪藻土に付着した汚れはできるだけ早く取り除かれることをオススメします。たとえば、こぼしたジュースやコーヒー、食べ物などは放置することでカビが発生したときエサとなる恐れがあります。
珪藻土にたまった汚れはカビの原因になりますが、水拭きや陰干しを1週間に1回程度でも行うだけでもカビの抑制に期待できます。毎日のお手入れとして行うとよいでしょう。
一見大したことない汚れでもそのままにしておくと、どんどん蓄積されてしまいます。また、付着してから長時間経った汚れは落としにくくなるので、早めに落とす必要があります。
換気を行う
珪藻土は湿気の多い場所に置きっぱなしにすると、吸収した水分を放出できないので、カビの原因になることがあります。
そのため、珪藻土のバスマットを使っている場合には、脱衣所を換気したり、使わないときは別の場所に移したりしましょう。また、コースターも同じ場所に置きっぱなしにすると、裏面にカビが生えることもあるので注意しましょう。
ただし、換気がいいからと直射日光が当たる場所に置くと珪藻土が反り曲がるなどのトラブルが発生します。日陰の場所で換気も整った環境を探しましょう。
使用後は立てて置く
珪藻土バスマットやコースターなどは、使って濡れた後は壁などに立てて乾かしましょう。珪藻土を同じ場所に置きっぱなしにすると、裏面が乾燥せず、カビが生えることがあります。そのため使っていないときには、しっかり乾燥するように立てて置きましょう。
立てておくことで、両面を乾かせます。ただし、立てかける前に余分な水分を拭き取っておかないと、水が垂れてしまうので注意しましょう。
適度に除菌スプレーをかける
どれだけ手入れをしても、完全に汚れを落とすことは難しいでしょう。しかし、汚れはカビの原因になります。
汚れでカビが生えないように、適度に除菌スプレーをかけるようにしましょう。除菌スプレーは市販のアルコール除菌スプレーなどでも大丈夫です。
一方除菌効果のある洗剤で水拭きをすれば、表面の汚れも除菌もできると考える人もいるでしょう。ただ、洗剤は目詰まりを起こして珪藻土の吸水性を損なうのでやめましょう。
漆喰(しっくい)を混ぜる
珪藻土自体は防カビ効果を持っていません。そのため、壁材として使う際には、殺菌作用の強い漆喰を混ぜて使われることがあります。
漆喰(しっくい)とは、水酸化カルシウムを主原料とする建築材料です。漆喰以外にも防カビ材や強アルカリ性の消石灰などを加えることもカビ対策として効果が期待できます。
珪藻土で作られているバスマットやコースターなどは、すでに出来上がっている商品なので、自分で漆喰は混ぜられません。しかし、商品のパッケージに防カビと記載されたものもあるので、防カビ対策がされている珪藻土の商品を購入すると良いでしょう。
壁材に関してはリフォーム時に混ぜるか、施工業者に相談されることをおすすめします。
珪藻土のカビの落とし方
珪藻土は手入れをして、注意をしていてもカビが生えてしまうこともあります。しかし、カビが生えてしまったからといって、使えなくなるわけではありません。
珪藻土のカビをとる方法はいくつかあるので、もし珪藻土にカビが生えてしまった場合に対応ができるように、その方法を把握しておきましょう。
紙やすりで削る
珪藻土の表面にカビが生えたり汚れが付いたりすると、水拭きだけではなかなか落とせませんので、紙やすりで表面を削り落とします。
紙やすりで削る場合には、目の細かい物を使います。細かさの目安としては、400番前後の紙やすりがおすすめです。削る前に消毒スプレーをかけ、削ると粉末が舞うのでマスクを着用するとよいでしょう。
削り終わったら、ブラシなどで削りカスを落とし、乾拭きして仕上げます。水拭きすると、削りカスが詰まってカビの原因になるので注意しましょう。
紙やすりで珪藻土のカビを除去するときの注意点として、必ずマスクを着用し削った粉末を吸引しないようにしましょう。不用意にカビを吸引してしまうと、アレルギーや肺炎、感染症など人体に有害な症状が現れます。
少し削るだけだからと油断せず、しっかり防御を整えてから削りましょう。
漂白剤を使う
カビを紙やすりで削るという方法はありますが、削ってもなかなか落ちなかったり、粉が舞ったりもするので意外と大変です。削ってみる前に漂白剤を使ってみましょう。内部まで浸透したカビの除去に効果的です。
カビに有効な漂白剤としては、塩素系のカビハイターなどが代表的です。漂白剤を吹きかけて、数分ほど放置してから水洗いをすれば、カビと汚れを落とせます。
漂白剤は薄めず原液のまま吹きかけても問題ありません。ただし、1分以上つけ過ぎると珪藻土の品質に変化が起こる恐れがあります。洗い残しがないよう、しっかり漂白剤を水で流しましょう。
水洗いした後は、珪藻土には多くの水分が含まれます。しっかり水切りして換気がいい日陰で乾かしましょう。万が一、漂白剤で珪藻土のカビが落ちない場合には紙やすりを使いましょう。
専門業者に依頼する
カビの状態によっては、紙やすりや塩素系漂白剤だけでは取り除けない可能性があります。特に壁材の場合は、カビの除去も苦労します。無理やり、取り除こうとすると珪藻土を傷つけひび割れや品質低下を招く恐れがあります。
珪藻土の壁にカビが発生してしまったときは、無理して取り除こうとせずリフォーム業者などに依頼しましょう。
カビが生えた珪藻土を再利用するには?
カビが生えても紙やすりや漂白剤などでとれますが、あまりにもカビが広い範囲に生えたり、根深くてとれなかったりすることもあります。そうなると、そのままでは使えません。
しかし、カナヅチなどで割ればカビが生えていない部分は使えます。細かく砕いて除湿剤として、瓶や食器棚の中に入れる使い道があります。
珪藻土には消臭効果があるので、靴箱の除湿剤や消臭剤として使えます。ただし、割った珪藻土は尖っていると危険なのでヤスリで削っておきましょう。
日々のお手入れで珪藻土を長持ちさせよう
珪藻土は吸水性や速乾性などが優れていて、バスマットやコースターなどに使われています。しかし、日々の手入れを怠るとカビが生えてしまいます。カビを放置していると、アレルギーや感染症、肺炎など人体に有害な悪影響を招く恐れがあります。珪藻土を長く使うためにも、手入れの方法を把握し、やすりなどを使用しながら長持ちさせましょう。