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栗は冷凍するとぶよぶよになる
栗を冷やすと「甘みが増す」と言われていますが、冷凍すると栗はどうなるのでしょうか?
確かにそのとおりで、0℃に近づけば近づくほど甘みが増して味がよくなります。しかし、長く保存したいからと栗を「冷凍」すると、ぶよぶよになってしまうことがあります。
要は、栗を冷凍するのはあくまでも「賞味期限を延ばす」ためであって、甘くするのが目的であれば冷凍保存ではなく冷蔵保存のチルドが適しているかもしれませんね。
解凍するとぶよぶよになる原因
冷凍した栗を解凍するとぶよぶよになるのは
- 栗の細胞が破壊され水分が抜けてしまう。
- 冷凍庫内で乾燥すると冷凍焼けを起こす。
この二つの原因が考えられます。
わかりやすくいうと、水を凍らせると膨張して体積が増えますよね。それと同じように、生栗を冷凍すると栗に含まれる水分が膨張して水分を閉じ込めていた細胞が壊れてしまいます。
細胞が壊れてしまうと解凍したときに水分が流れ出しまい、その結果張りがなくなりぶよぶよになってしまうというわけです。
味や食感が変わって美味しくない
解凍することによって流出する水分と一緒に、栗の甘みやうま味も流れ出てパサついてしまいます。ぶよぶよになってしまった冷凍栗はもちろん食べられますが、栗本来のほくほく感やうま味が失われてしまいます。パサパサしたゴムのような食感だと言えば、味の想像はつきますね?
冷凍することでメリットもある
一方で皮のままゆでて冷凍保存するとメリットもあります。
皮つきのまま茹でて冷凍すると3ヵ月も保存できる
栗の中の温度が氷点下になることで、既に栗の中に産み付けられている卵が活動できなくなります。ちなみに、虫や卵を食べてしまったとしても、人体に影響はありませんのでご心配なく!
皮がむきやすくなる
これは、解凍すると外側の「鬼皮」がやわらかくなり、内側の「渋皮」と実の間に隙間ができるので渋皮が剥きやすくなります。
調理の時短になる
皮をむいた栗を茹でて冷凍保存しておくと、解凍せずそのまま調理でき調理の時短に繋がります。
《 ポイント 》
- 冷凍・解凍すると細胞が壊れて水分が流出しぶよぶよになる。
- 栗の甘みやうま味も流れ出てパサパサしたゴムのような食感になる。
- 冷凍すると長期保存が可能。
- 鬼皮がやわらかくなりむきやすくなる。
- 皮なしの栗は冷凍のまま調理できる。
栗を冷凍してもぶよぶよにならない保存のコツ
常温保存にすると虫が湧いてしまうし、冷凍・解凍すると味や食感が落ちてしまう栗ですが、実はおいしく冷凍保存できるコツがあるんです。
では、栗を冷凍してもぶよぶよにならない保存・解凍の方法をご紹介しましょう。
最初に虫対策をする
最初にしておくことは、虫が入っている栗を取り除きます。見てすぐにわかる「穴が空いている」ものや「中身がスカスカ」なものは全て取り除きましょう。見た目でわかりにくい場合は、水を張ったボウルに栗を入れてみます。
すでに虫に食べられている栗は軽く浮き上がってきますので、これも取り除きます。そして残った栗を80℃のお湯にほんの1分浸せば虫除けが完了します。
特に栗拾いで入手したものは、中に虫がいる可能性が非常に高いので、虫除けは必ず行ってくださいね。
栗がぶよぶよにならない冷凍保存方法
皮つきの栗を生のまま冷凍保存する
お湯に1分程度浸して虫除けを終えた栗は、キッチンペーパーなどで一粒ずつていねいに水気を拭き取ります。もし、時間に余裕があれば冷凍する前にザルに栗を載せて天日干しをするとしっかり乾かすことができます。
栗を小分けにして密閉できる保存袋に入れます。早急に凍るように空気を抜いて冷凍庫にいれます。「急速冷凍機能」がある冷凍庫でしたら、それを活用してくださいね。
保存前に虫除けと下ゆでを一緒に行ってから冷凍する
弱火で50分茹でてから冷凍する方法です。しっかり茹でてから冷凍することによって、保存期間が長くなるのでおすすめです。
冷凍保存する前にゆでるので最初に時間がかかりますが、その分調理に使うときにらくチンですよ。
手順
- 鍋に栗を入れてひたひたに浸かるくらいの水を加える。
- 中火にかけて、沸騰直前の“ふつふつ”とした泡が出てきたら弱火にする。
- そのまま50分ほどゆでる。(じっくりゆでることで栗の甘みが増す)
- 浮いてくるアクをていねいに取り除きながら、途中で水が減ってきたら注ぎ足す。
- ザルにあげて粗熱をとり、ペーパータオルなどで水気を拭き取る。
- 栗を冷凍用保存袋に重ならないように並べて入れる。
- 7、口を閉じて冷凍庫で保存する。
「皮つき」と「皮をむいたもの」それぞれの保存期間
皮ごと茹でて冷凍した場合
栗は皮つきのまま茹でて冷凍すると3ヶ月程度保存することができます。
皮をむいてから茹でて冷凍する場合
すでに皮をむいてあるので解凍せずそのまま調理することができ、あとあと便利です。皮をむく手間が省ける分、忙しい時には調理の時短になります。
ただし、皮をむいてから茹でたものは冷凍保存期間が1か月程度と短く、皮つきのまま茹でて冷凍したものと比べて風味が落ちるのが早いので注意してくださいね。
《 ポイント 》
- 虫が入っている栗を取り除く。
- 虫除けと下ゆでを一緒に行ってから冷凍するのがおすすめ。
- 皮つきのまま茹でて冷凍すると3ヶ月程度保存できる。
- 皮をむいてから茹でて冷凍した栗の保存期間は1か月程度。
冷凍した栗の解凍方法
電子レンジで素早く温めるとぶよぶよになりにくい
自然解凍するよりも高温で素早く加熱して解凍するほうが、ぶよぶよしにくくなります。
食材の多くは、-5℃~1℃の温度帯に長く留まれば留まるほどダメージを大きく受けてしまいます。なので、栗を冷凍するときも解凍するときも、この温度帯を素早く通過させることが重要なポイントです。
そこで冷凍栗の解凍に活用するのが「電子レンジ」です。電子レンジを使って素早く温めるようにするとぶよぶよになりにくくなりますよ。だからと言って加熱し過ぎるとパサパサになってしまうので、温め過ぎないよう注意が必要です。
ちなみに、冷凍する前に皮をむいてある栗は、解凍せずそのまま調理しましょう。自然解凍するとぶよぶよになってしまいますよ。
解凍すると皮がするっとむける
凍った栗を解凍すると皮が柔らかくなり、鬼皮と渋皮を簡単にむくことができます。皮付きのまま冷凍した栗を20~30分ほど常温に置いてから鬼皮と渋皮をむきますが、実が崩れやすくなっていますので、やさしくむくようにしましょう。
《 ポイント 》
- 自然解凍するよりも電子レンジを使って素早く解凍する。
- 加熱し過ぎるとパサパサになってしまう。
- 皮をむいてある栗は、解凍せずそのまま調理する。
冷凍した栗の使い方
栗を正しい方法で冷凍・解凍できるようになると、秋の味覚をいつでも味わうことができます。
ここでは冷凍保存した栗の活用レシピをご紹介します。
炊きたて「栗ごはん」:材料(2人分)
- お米2合、塩小さじ1、酒大さじ1/2を炊飯器に入れ、2合目盛りまで水を加えたら白米と同じように炊く。
- 冷凍栗8個を解凍して皮をむいたら炊き上がったごはんに混ぜる。
栗の風味を凝縮した「栗の渋皮煮」
- 冷凍栗8個を10分ほど常温解凍したら鬼皮だけをむく。
- 鍋に栗、たっぷりの水、重曹小さじ1を入れて弱火で10分程度煮る。
- 水の入ったボウルに栗を入れ、2~3分浸けると皮がふやけて筋が浮いてくる。
- 水に浸けたまま爪楊枝などを使って筋をきれいに取り除く。
- 水を替えながら栗を傷つけないように3回ほど繰り返す。
- 鍋に栗、かぶるくらいの水、砂糖30gを入れて5分煮る。
- さらに砂糖30gを加えて溶かし、弱火で20分程度煮詰める。
- 鍋に入れたまま冷ます。
栗の素朴な甘みを楽しめる「栗きんとん」
- 冷凍栗8個を解凍して外側の「鬼皮」と内側の「渋皮」をむいたら鍋に入れ、砂糖50g、水100mlを加えて火にかける。
- 弱火で練りながら10分ほど煮詰める。
砂糖の衣をまとった「マロングラッセ」
「マロングラッセ」と「渋皮煮」の違いは、渋皮がついているかどうかです。外側の茶色い鬼皮をむくと、栗表面にぴったりくっついた渋皮が現れますよね。
この渋皮を丁寧に剥いて、砂糖漬けにしたのが「マロングラッセ」、渋皮をつけたまま砂糖と一緒に煮込んだのが「渋皮煮」です。
手順
- 渋皮をむいた冷凍栗8個、水400cc、砂糖50gを鍋に入れる。
- 20分ほど煮たら、1日放置しておく。
- 翌日、再度砂糖50gを加えて20分ほど煮る。
- 栗だけ別の容器に移し替える。
- 鍋の中のシロップにとろみがつくまで煮詰める。
- 栗の入った容器に煮詰めたシロップを加えてブランデー大さじ1を加える。
- 冷蔵庫で1日寝かせる。
《 ポイント 》
- 炊き上がったごはんに混ぜるだけの「栗ごはん」
- 渋皮をつけたまま砂糖と一緒に煮込んだ「栗の渋皮煮」
- 栗だけの素朴な甘みを楽しめる「栗きんとん」
- 渋皮をむいて砂糖漬けにした「マロングラッセ」
最後に
栗の冷凍保存につていかがでしたでしょうか。冷凍した栗ができるだけぶよぶよしないように、美味しさを保つ保存方法と解凍方法をまとめてご紹介しました。
冷凍すると栗の細胞が破壊されて水分が抜けてしまう…これがぶよぶよになる原因でしたね。
皮はどのタイミングでむいてもOKですが、茹でてから冷凍した方が解凍せずにそのまま料理に使うことができます。
例えば、渋皮煮や栗きんとん、栗ご飯などいろいろな料理が楽しめるでしょう。ほくほくと甘みのある栄養満点の栗を冷凍保存して、上手に活用してくださいね!