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キャベツが辛い理由
野菜サラダの定番である千切りキャベツや、肉汁たっぷりのロールキャベツなど、食卓に上がる機会が多い身近なキャベツですが、辛味や苦味があって不安に感じた経験はありませんか?
食べても問題ないとしても、辛いキャベツを食べたいとは思いませんよね。キャベツが辛いのには、3つの理由が考えられるので、それを原因別にまとめてみました。
キャベツに含まれている成分「イソチオシアネート」が原因
アブラナ科の野菜といえば、キャベツを始め大根やクレソンなどがあげられますが、それには「イソチオシアネート」という共通した成分が含まれています。これは、「カラシ油」とも呼ばれるアブラナ科の野菜特有の辛味成分です。
がんを抑制する効果が期待できるとして知られているイソチアシアネートは、キャベツをカットして空気にさらされると、時間と共に酸化が始まり辛味が出てきます。
これはアブラナ科の野菜が備えている機能の一つで、外敵である虫を寄せ付けないように自ら身を守るためのものなのです。
空気に触れている「時間」と「表面積」が多いと辛味成分が増加する
キャベツの保存方法も辛い原因の一つです。イソチオシアネートが空気に触れて酸化すると共にキャベツが辛くなっていくということは、保存方法にも何らかの原因があることがわかります。
キャベツをカットして表面積が増えれば空気に触れる部分が多くなり、空気に触れている時間が長いと、イソチオシアネートの酸化が進み辛味成分が増加するというわけです。
細かく刻めば刻むほど、時間が経てば経つほど辛味や苦みを感じるようになるのです。
窒素肥料が原因
野菜を健康的に育てるのに欠かせない肥料の一つに「窒素」があります。野菜が大きく成長するために必要な成分なのですが、多く与えすぎた場合、過剰だった分が「硝酸イオン」として野菜の中に残ってしまいます。この硝酸イオンがキャベツの辛味や苦味の原因となってしまうというわけです。
成長しすぎたキャベツが辛味を帯びる確率が高くなるのは、おそらくこの窒素肥料が原因でしょう。畑で栽培されていた時間が長いと、それだけ土の中の窒素肥料を吸収しすぎて辛味となって出てしまうようです。
このところ、硝酸イオンは人間に必要な成分ではないので、キャベツの美味しさを損なうくらいなら減らした方がいいと考えられています。
野菜の栽培に使用する化学肥料の量を減らすと、土壌への負担が少なくなるという環境面でのメリットにもなるのではないでしょうか。
《 ポイント 》
- イソチアシアネートが空気にさらされると酸化が始まり辛味が出る。
- 空気に触れている時間と表面積が多いと辛味成分が増加する。
- 窒素肥料を多く与えすぎると「硝酸イオン」として野菜の中に残り辛くなる。
キャベツの辛味を消す方法
辛いキャベツは、美味しく食べることができるのでしょうか?単純ですが、苦いキャベツを美味しく食べるためには、辛みを抜いてしまえばいいのです。
それでは、生で食べる場合と、加熱して食べる場合のふたつの対処法を紹介しましょう。
辛いキャベツを「生」で食べる場合
カットしたキャベツは時間がたつほど辛み成分が増えてしまいます。キャベツの辛み成分のイソチアシアネートは、水に溶ける性質を持っていますので、水にさらすことで苦くなることを抑えられます。
具体的には以下のポイントを実践してみてください。
- できるだけ食べる直前に切る。
- 食べる分だけ切る。
- カットしたらすぐに冷水にさらす。
- 空気に触れないように水にさらしてから密封して保存する。
- 一玉を真ん中からざっくり切るのではなく、一枚一枚外葉からはがして使う。
水にさらす時間が長すぎるとビタミンなどの栄養素も流れ出てしまいますので、目安として冷たい水に2~5分程度浸しておきます。この一手間を加えることで、キャベツの細胞が水を吸ってシャキシャキになり、変色も抑えられます。
すでに辛くなってしまったキャベツでも水にさらしておけば辛味が和らぎますが、切ってから時間が経ったものは効果が薄くなってしまいますので出来るだけ早く水につけるとよいでしょう。ただし、辛味が強いものは千切りなどには使わない方が良いでしょう。
味のあるキャベツを「加熱」して食べる場合
キャベツをどうしても「生」で食べたいというのでなければ、辛味を消す一番良い方法としては、加熱調理してしまうことです。キャベツは火を通すと甘味が増えて美味しくなりますよね?
先ほど紹介した辛み成分のイソチアネートは、加熱すると辛みが少なくなり、柔らかくなるほど甘く感じられます。更に濃く味付けしたり、強い香味料と一緒に調理したりすることで、キャベツの辛味が気にならなくなります。
例えば、ガーリックのニオイの強烈さでキャベツの辛味を目立たなくできますし、ごま油で炒めて、塩コショウ、醤油で味付けすると、よほど辛いキャベツでない限り、ほとんど気にせずに食べられるようになるでしょう。
また、水にさらした後、マヨネーズで和えたり、味噌汁やスープなど煮込み料理にしたりするのもおすすめです。
《 ポイント 》
- 辛み成分のイソチアシアネートは、水に溶ける性質を持っている。
- 食べる直前にカットし、たらすぐに冷たい水に2~5分程度浸しておく。
- 辛味が強いものは千切りなどには使わない方が良い。
- 加熱すると辛みが減り、柔らかくなるほど甘味が感じられる。
辛いキャベツも食べて大丈夫?
では、辛いキャベツの安全性についてはどうでしょうか?
イソチオシアネートによる辛味は、もともと天然由来の成分なので、キャベツ自体が腐っていない限り食べても問題ありません。そして、保存方法や窒素肥料が原因の辛味も、過剰に摂取しない限りは何の問題もありません。
アブラナ科の野菜であるキャベツの辛味は、カブやダイコン、ワサビなどを擦り下ろした時と同じで、もともとキャベツに含まれる成分によるものなので安全だと言えるでしょう。むしろ、一部のガン予防に役立つ可能性があると注目されています。
また、残留農薬や消毒液が残っているから辛いのでは?と勘違いされる方もいるようですが、日本で使われる農薬や消毒液は、安全基準を満たしたものだけなので、その心配は必要ないでしょう。
腐ったキャベツの見分け方
キャベツが腐るとどのような変化が起こるのでしょうか?腐ったキャベツの変化や見分け方について紹介します。
【見た目】
葉に黒い点々や黒ずみが出始め、腐ってくると葉が茶色く変色して溶け出し、汁が出るようになります。通常は白色の芯の部分も、腐ると葉と同じように黒ずんできます。
【臭い】
キャベツには独特な自然な香りがありますが、酸っぱい臭いや腐敗臭がした場合には腐っていると考えてよいでしょう。
こうなるとかなりの刺激臭がしますので、臭いで腐ったことに気付くはずです。臭いだけでわからない場合は、見た目や感触などと併せて判断してください。
【触感】
腐ったキャベツを触わるとぬめりを感じます。腐ると葉が溶けて全体的に柔らかい触感に変わり、切ると汁が出てくることもあるでしょう。このような触感のキャベツを食べると、健康を害しますのですぐに捨ててください。
《 ポイント 》
- 辛いキャベツは腐っていない限り食べても問題ない。
- キャベツが辛いのは残留農薬や消毒液が残っているわけではない。
- 腐ったキャベツは、腐敗臭や葉が茶色く変色して溶け出し汁が出る。
キャベツが辛い時期
年間を通して店頭に並んでいるキャベツですが、収穫する時期によって呼び名が違います。
- 秋にまいて春に収穫する「春キャベツ」の収穫時期は、4月~6月頃。
- 春にまいて梅雨や夏に収穫する「夏秋キャベツ」の収穫時期は、7月~10月頃。
- 夏にまいて冬に収穫する「冬キャベツ」の収穫時期は、11月~3月頃。
もともとは涼しい環境で栽培される冬の野菜なのですが、栽培技術や品種改良が進んだ現在では、一年中栽培ができるようになりました。
「春夏キャベツ」は丸い球形で、葉の巻き方がゆるくみずみずしいので、サラダなど生食向きですが、辛味が出ることが多いと言われています。
中でも、「はやどり」という品種のキャベツは、長い期間収穫出来るメリットがある一方で、辛味が出やすいようです。
それに対して「冬キャベツ」の方は扁平な形をしていてずしりとした重量感があります。肉厚の葉は固めで一枚一枚がしっかりしているため、加熱しても煮崩れしにくい特徴を持っています。
火を通すと甘みが増すため、ロールキャベツやポトフなどの煮込み料理に適しています。そして、「夏秋キャベツ」は「高原キャベツ」とも呼ばれ、春キャベツと冬キャベツの中間的な特徴を持ち、生、加熱のどちらでも美味しく食べられます。
《 ポイント 》
- 春キャベツは、甘みのある冬キャベツと違って辛味が出やすい。
- 長期間収穫出来る「はやどり」という品種は、辛味が出やすい。
最後に
キャベツが辛い理由や、辛味を消す方法について解説しました。多くのレシピに登場するキャベツが辛いことへの疑問や不安は解消できましたか?
キャベツの辛味は、本来アブラナ科の植物が持っているイソチアシネートという成分だったことがわかりました。この成分は人体への影響は無く、むしろ体に良い効果があると注目されているのですね。
残留農薬や消毒液ではありませんので、冷水にさらして辛味をなくし、安心して最後まで使い切るようにしましょう!