目次
クエン酸の食用と掃除用の違いとは
クエン酸の薬用・食用・工業用(掃除用)の違い
クエン酸には、「薬用」「食用」「工業用」の3つがあります。
掃除に使われるクエン酸は「工業用」で「食用」とは違いますが、この違いは、クエン酸の精製純度によって分けられています。
医薬品で使う「薬用」が最も純度が高く、 続いて食品添加物などの「食用」、そして掃除に使われる「工業用」が最も純度が低いものになります。
クエン酸の「食用」と「工業用」の大きな違いは、不純物の量です。「工業用」は不純物が多いのに対して、「薬用」「食用」は不純物が少なく、口に入れても問題ありません。
薬用クエン酸と食用クエン酸
精製純度が99.5%以上の「薬用」と「食用」のクエン酸の違いは、口に入れて人が摂取しても大丈夫なように管理し精製されています。主にジュースなどの食品添加物に使われている食用クエン酸は、食品衛生法の基準を満たしたうえで製造されたものです。
「医薬品」として販売されている薬用クエン酸は、薬事法の基準を満たしているので最も純度が高く、食用に使っても差し支えありません。スーパーや薬局で販売されているクエン酸には、食用と掃除用の両方ありますので、購入時には間違えないように気を付けてくださいね。
工業用クエン酸は食用には使えない
掃除用は、口に入れることを前提としていないため、不純物がやや多く純度が低いので食用にはできません。粒子が荒く、その分研磨効果が高いので、クレンザーとして掃除するのに適しています。
《 ポイント 》
- クエン酸の違いは精製純度によって薬用、食用、工業用に分けられている。
- クエン酸の精製純度が高く不純物が少ない「薬用」「食用」は、口に入れても差し支えない。
- クエン酸の掃除用は、食用にはできない。
食用クエン酸の効果
ここでは掃除用クエン酸の違いとして、食用のクエン酸の効果について説明します。
疲労回復
身体が疲れている時は、体内に乳酸が溜まっている状態になるのですが、この「乳酸」を分解して新陳代謝を助けてくれるのが食用クエン酸です。また、食用クエン酸の酸味により、唾液や胃液の分泌を促して食欲を増進させることで、夏バテ予防等にも繋がります。
ミネラルの吸収を高める
食用クエン酸にはミネラルの吸収を高める効果があります。金属ミネラルである、カルシウム、鉄、マグネシウムなどは、水に溶けない不溶性ですが、食用クエン酸と交わると「クエン酸塩」になり、キレート効果によって水溶性に変化し吸収されやすくなります。
スポーツをしている方は、栄養素の吸収を高めるために、食用クエン酸を一緒に摂取するのもこのような理由からです。
痛風に効果が期待できる
痛風を改善するためには、尿酸の材料となるプリン体を含む食品を制限し、尿をアルカリ化させることが大切です。
クエン酸ナトリウムと食用クエン酸カリウムの合剤である「クエン酸製剤」は、アルカリ性にする性質があり、尿酸を尿中に溶かし排出しやすくします。その結果、尿酸値が下がり痛風の改善に繋がります。
血液の酸性化を抑制し血流を改善する
食用クエン酸は血中の乳酸を、体のエネルギーを生成する「クエン酸回路」に再度加えることによって、血液の酸化を抑え、血流をサラサラにする効果があります。
美肌効果
食用クエン酸により、身体の細胞が正常に働き、新陳代謝を活発にしてくれます。古くなった角質を取り除きサイクルを正常にしてくれるので、美肌効果にも効果的です。浴槽に20g程度の食用クエン酸を加えて、入浴剤として使うこともできるんですよ。
ダイエット効果
食用クエン酸には、「クエン酸回路」と言って、ネルギー代謝経路を活性化させる働きがあります。日頃のバランスのとれた食事と適度な運動を行い、クエン酸回路を活性化させれば、身体の代謝をアップさせ、ダイエットにも効果が期待できるようです。そして、食用クエン酸の酸味成分は、体内で糖を代謝しエネルギーに変えてくれます。
《 ポイント 》
- 食用クエン酸は疲労回復、痛風の改善、血流の改善、美肌効果、ダイエット効果に期待できる。
- 食用クエン酸はミネラルの吸収を高める効果がある。
クエン酸のそれぞれの使い方
食用と掃除用のクエン酸の違いは不純物の量ですが、それぞれどのような使い方があるかを説明します。
薬用のクエン酸
日本薬局方の「クエン酸水和物」は、日本薬局方の規格に合格した医薬品になります。食品添加物「薬用クエン酸」は、食品添加物の規格に合格したものであって、医薬品ではありません。
食用のクエン酸
美容に使う
美容と健康には、食用クエン酸を15グラム(ティースプン小さじ3杯程度)を一日の目安として摂取する。
アク取りに使う
ゴボウやレンコンなどの根菜類のアク取りに、水1リットルに食用クエン酸小さじ1(3g)を溶かした水につけておく。
臭みを消す
キャベツを茹でる時に、お湯に食用クエン酸を少量加えることで独特の臭みを消す。
ビタミンCを守る
果物をジューサーにかけるとビタミンCが壊れやすくなるので、ジュース100mlに対して食用クエン酸を0.5~1g入れてからジューサーのスイッチを入れると、ビタミンCが安定する。
飲み物に使う
水250ccに食用クエン酸2.5g(小さじ1/2)を入れて飲んだり、炭酸水にリンゴジュース・はちみつ・食用クエン酸を入れてもよい。
ヨーグルトを作る
豆乳や牛乳にお砂糖と食用クエン酸を入れると飲むヨーグルトに。
炒め物に使う
豚肉と野菜の炒めものに、食用クエン酸を加えると一段と美味しくなる。
サワーを作る
ウイスキーや焼酎にほんの少し(100mlあたり食用クエン酸0.5~1g)を入れると、美味しい食用クエン酸サワーができる。
ドリンクを作る
水1リットルに食用クエン酸4g、三温糖または蜂蜜100gを入れて食用クエン酸ドリンクができる。
大根おろしの辛味とり
大根おろしが辛い時に食用クエン酸を少量加えると食べやすくする。
梅干の色づけに使う
梅干しをシソの葉で色付けする際に、梅10kに対して塩1kg、食用クエン酸50gで、更に鮮やかな赤色に染めることができる。
工業用(掃除用)クエン酸
お風呂やトイレの掃除
工業用クエン酸5gを200mlの水に溶かして、スプレー容器に入れます。スプレーを吹き付けて擦り、汚れを落としたら工業用クエン酸の成分が残らないように十分に水拭きをして下さい。
気になるニオイの消臭
アンモニアによるトイレ特有のニオイは、アルカリ性の汚れからきているので、酸性パワーをもつ工業用クエン酸スプレーを吹きかけて中和させます。他に、タバコや魚を焼いた後の部屋のニオイなどもアルカリ性の性質なので効果を発揮します。
シンクまわりの水垢
工業用クエン酸50g程度をふりかけて、水でぬらしたスポンジや布で水回りを擦ります。
頑固な汚れには、工業用クエン酸水を含ませたキッチンペーパーや布でパックをして30分程度放置した後に擦ってみて下さい。ピカピカになりますよ。そして工業用クエン酸の成分が残らないようにキレイな水で洗い流し、布巾で乾拭きしたら完了です。
食器洗い機の洗浄
食器洗い機に工業用クエン酸を10~50g入れ、食器を入れずに1サイクル運転すると、水垢が溶けてきれいになります。食器洗い機の中に長時間工業用クエン酸水を入れたまま放置すると、庫内の金属部分が劣化する可能性がありますので注意してください。
電気ポットの洗浄
ポットに工業用クエン酸25~30gを入れて満水にして煮沸します。1~2時間放置した後、お湯を捨てて汚れが残っていたら擦り取り、水でしっかりとすすぎます。お湯をシンクに捨てると、そこでも洗浄効果を発揮します。
《 ポイント 》
- 工業用クエン酸スプレーでお風呂やトイレの掃除。
- 工業用クエン酸でトイレ、タバコ、焼き魚の消臭に。
- 工業用クエン酸をふりかけてシンクまわりの水垢をこすり落とす。
- 工業用クエン酸で食器洗い機、電気ポットの洗浄。
クエン酸を使う時の注意点
ここでは、クエン酸を使用する時の注意点を説明します。クエン酸は食用と掃除用では違いますが、注意点は同じですのでしっかり確認しましょう。
塩素系のものと混ぜない
クエン酸とカビ取り剤や漂白剤などの塩素系の2つが混じり合うと、有毒ガスが発生し危険ですので併用しないでください。
大理石や金属に使わない
クエン酸を使う場合に注意したいのが、酸に弱い素材、例えば大理石や鉄鍋などには使わないことです。水垢汚れと同じアルカリ性の大理石に使うと表面を溶かしてしまいます。
また、鉄はサビてしまうため金属には使うことができません。誤ってクエン酸をかけてしまったときは、ていねいにしっかりと拭き取ってください。
クエン酸の保存方法
クエン酸の粉末は高温多湿を嫌いますので、密閉容器に入れ陽の当たらない場所で保管しましょう。自作のクエン酸スプレーはできるだけ早めに使い切るのがポイントです。目安として一週間以内に使い切るようにしてください。
工業用(掃除用)クエン酸を誤飲した時
誤って掃除用を口にしてしまった場合、多めの水や牛乳を飲んで様子を伺います。微量であれば問題ありませんが、異変があれば病院に行って受診しましょう。
食用クエン酸は空腹時を避ける
食用クエン酸を摂取する際に注意しなければいけないことは、空腹時を避けることです。胃を傷めないように、食物が入っている状態の時に食用クエン酸を飲むようにしましょう。
《 ポイント 》
- クエン酸は塩素系のものと混ぜると有毒ガスが発生し危険。
- クエン酸は酸に弱い素材である大理石や鉄鍋には使わない。
- 自作のクエン酸スプレーは一週間以内に使い切る。
- 掃除用クエン酸を誤飲した時は多めの水や牛乳を飲んで様子をみる。
食用クエン酸が買える場所とおすすめ3選
「食用」と「掃除用」の違いは、クエン酸の入れ物を見るとわかります。「食用」や「食品添加物」と書かれているものを買いましょう。
「食用」のクエン酸、「掃除用」のクエン酸、二つともスーパーやドラックストアで扱っています。掃除用のクエン酸は、洗剤やお掃除コーナーに並べられているのに対して、食用クエン酸はスーパーのお菓子作りの食材コーナーにベーキングパウダーやゼラチンの近くに置いてあることが多いようです。
また、ドラックストアでは、疲労回復や美容などの健康食品コーナーに置いてあります。どちらのお店でも、「食用」または「食品添加物」と記載されているかを必ず確認してください。くれぐれも食用と掃除用を間違えて購入しないように気を付けてくださいね。
国産クエン酸 1kg
日本で流通しているクエン酸の90%以上が中国産と東南アジア産です。こちらのクエン酸は、鹿児島県産のさつまいもを原料とし、発酵から一環生産された唯一の国内最大のクエン酸メーカーです。食品衛生法による純度99.5%以上の食品添加物適合品で、サラサラとした微粒子で純白です。
無水クエン酸 950g 食用高純度クエン酸
純度99.5%以上の高純度の無色透明の粉末で、食品添加物グレードの無水クエン酸です。
大洋製薬 食添クエン酸 500g
サツマイモ等を発酵させて作った純度99.5%以上を含む食品添加物のクエン酸です。
《 ポイント 》
- 国産クエン酸 1kg
- 無水クエン酸 950g 食用高純度クエン酸
- 大洋製薬 食添クエン酸 500g
最後に
クエン酸の「食用」と「掃除用」の違いはおわかりいただけたでしょうか?
食用のクエン酸は掃除にも使えますが、だからと言って掃除用のクエン酸を食用には使えません。同じクエン酸でも違いがあるものと考えた方がよいでしょう。口にいれて良いのは「食用」だけなので、購入時には十分に注意をして下さい。
また、疲労回復や、美容、他にもさまざまな効果が期待されている食用クエン酸ですが、お掃除にも安心して使える身近な存在でもあります。このようにとても便利なクエン酸を、ぜひ日常に取り入れて使いこなしてみて下さいね。