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牛乳は常温保存できない
結論から言うと、牛乳は基本的に常温で保存してはいけません。牛乳は温度が高い状態で放置すると、あっという間に菌が繁殖してしまいす。
条件がそろえば数時間は保存可能ですが、それも条件がそろったときだけです。法律でも、保存環境は冷蔵状態とされています。しかし、実は常温で保存できる牛乳というのも存在するので、見ていきましょう。
基本は10℃以下の冷蔵保存
牛乳の保存は温度管理が大切です。厚生労働省の乳等省令(食品衛生法)によると、販売目的で作られた一般的な牛乳は、10℃以下の環境で保存することが定められています。
でも、ヨーグルトは常温に放置することで作っていますよね。牛乳は常温に戻すと発酵するのではないか、と疑問に思う人もいるでしょう。ヨーグルト作りは、単に常温に放置しているわけではありません。
常温放置とヨーグルト作りの違いは、牛乳に種菌という菌類を加えていることです。種菌によって発酵を促し、体に害がある菌が繁殖できない環境を作ってくれるのです。
《 ポイント 》
- 市販の一般的な牛乳は、10℃以下で冷蔵保存することが義務付けられている
- ヨーグルトを作るときには、牛乳を常温に放置するだけでは発酵しない、種菌が必要
未開封の場合
牛乳は基本的に10℃以下の環境で保存しなければなりません。でも、未開封の牛乳ならばどうでしょうか。
驚きですが、未開封の牛乳なら常温でも6時間までなら問題なく保存可能です。開封済みの牛乳は、常温に保存するとあっという間に菌が繁殖してしまいます。
未開封でも常温保存できるには、2つの条件を満たした場合のみです。
- 30度以上の真夏日はNG
- 30度以上の気温だと、体に悪影響を及ぼす量の菌が繁殖してしまいます。
- 加工方法は超高温殺菌法だけ
- ほとんどの牛乳は超高温殺菌法がされています。牛乳を滅菌し、食中毒を防いでくれる加工方法です。他の加工方法では、食中毒になるリスクが高くなります。
以上の条件を満たしていても、車内のように気温が高くなりやすい環境だと、菌が繁殖しやすいので注意してください。気温の低い冬場ならまだしも、真夏日は傷みやすいので避けましょう。
《 ポイント 》
- 未開封の牛乳は6時間までなら常温でも保存できる
- ただし、気温や加工方法などいくつかの条件がある
常温保存可能な牛乳もある
牛乳は食品衛生法によって、冷蔵保存をすることが義務づけられています。ですが、なんと常温でも長期間保存できる牛乳も販売されています。
その名も「ロングライフ牛乳」。一般的な牛乳と違って、長期間常温で保存することが可能です。海外ではロングライフ牛乳が普通に店頭に並んでいます。栄養価などはほとんど変わらず、加工方法と容器に工夫を施すことで、常温保存ができるようになっています。
《 ポイント 》
- 常温でも長期間保存できるロングライフ牛乳という商品がある
牛乳の常温保存「ロングライフ牛乳」とは
常温状態で長い間保存ができるロングライフ牛乳。なぜ長い期間保存できるのでしょうか。気になる栄養価や価格は?それぞれの疑問に回答します。
常温で約2か月の保存が可能
ロングライフ牛乳は、常温状態で2ヶ月間の保存ができます。中身は一般的な牛乳と同じです。
ここまで保存期間が長いのは、ロングライフ殺菌法と呼ばれる牛乳を無菌状態にする加工方法を行うためです。
ロングライフ殺菌法は、一般的な牛乳の加工方法よりも高い温度で殺菌。すると、牛乳の中の細菌数は一切残りません。細菌が全くいないため、常温状態でも菌が繁殖することはなく、長期間保存できるというわけです。
《 ポイント 》
- ロングライフ牛乳が長持ちするわけは、牛乳の中に細菌を残さない特殊な処理を行うため
常温保存が可能なワケ
ロングライフ牛乳が常温保存できる理由は、容器に細菌が付かないように徹底しているからです。牛乳に細菌がいなくても、容器に菌が付着していれば繁殖してしまいます。そこで、牛乳を容器に移す前に容器自体も無菌状態に。
また、細菌が繁殖しない工夫も完璧です。容器の内側をアルミ箔でカバーすることで、細菌が繁殖する原因となる空気と光を遮断します。
《 ポイント 》
- 容器を無菌状態に保つことで、細菌が付着しないように工夫している
- 細菌繁殖の原因となる光と空気も遮断している
価格や栄養成分
超高温殺菌法の牛乳(一般的な牛乳)よりも高い温度で加工するロングライフ牛乳。おかげで長期間保存できるけれど、牛乳の栄養価が心配になりますよね。
高い温度で加工していますが、牛乳の品質に変わりはありません。牛乳の栄養価や味、カロリーは一般的な牛乳と全く同じです。ですが、価格は少々高くなります。下記の商品の値段や容量を参考にしてみてください。
森永牛乳 (成分無調整) ピクニック ロングライフ牛乳 200mlX24本入
《 ポイント 》
- 一般的な牛乳よりも高温殺菌するが、栄養価や味は変わらない
- 価格はちょっと高め
牛乳を常温保存してしまった場合
もしも牛乳を常温で放置してしまったら、飲めるか飲めないか?
牛乳が腐っているか否かによります。腐っていれば、いくら熱処理しても飲めません。すぐに口にせず、まず状態をチェックしましょう。
ここでは、腐っている牛乳の特徴を紹介します。
飲めるか判断するポイント
万が一牛乳を常温保存してしまったら、すぐに飲んではいけません。絶対にチェックしましょう。
飲めるかどうかは、牛乳の状態を見れば判断できます。牛乳は腐ると白色のつぶつぶが浮き出てドロドロになり、また臭いも強烈です。酸っぱい臭いを放っていたら間違いなく腐っているサイン。すぐに破棄しましょう。
《 ポイント 》
- 牛乳は腐るとドロドロになり、酸っぱい臭いを放つ
加熱しても安全でない場合もある
「細菌が繁殖したなら、加熱して料理で使えばいいじゃないの?」そう思う方も多いでしょう。確かに、細菌は加熱すると死滅します。
しかし、黄色ブドウ球菌という細菌は、加熱することで毒素を生成してしまうのです。この毒素はいくら加熱しても、取り除くことはできず、誤って飲んでしまうと腹痛や下痢を引き起こします。
腐った牛乳は、熱処理で食中毒を防ぐことはできないと覚えておきましょう。
《 ポイント 》
- 腐った牛乳は加熱しても飲めない
- 加熱しても食中毒の原因となる毒素が残る
牛乳の常温に関するQ&A
開封した牛乳の保存期間はあまり長くありません。開封したら、すぐに飲み切りましょう。
ですが、頻繁に使う家庭ならストックしておきたいですよね。そこで、牛乳の冷凍保存方法は可能なのか、解凍の方法についても質問に回答します。
A.牛乳を開封したら、2日以内に飲み切るのがおすすめです。牛乳を販売するメーカーも、2日間を目安にしています。ただし、冷蔵保存している場合です。開封した牛乳を常温で放置してしまった場合は、劣化も早くなります。
A.前置きとして、冷凍した牛乳は食感と風味が劣化します。冷凍した牛乳は、ホワイトソースやシチューの材料など加熱して使うことをおすすめします。好きな量を料理に使いやすいように、製氷器に注いで冷凍しましょう。ブロック状に冷凍できるので、便利です。
A.冷凍した牛乳は容器に移して、冷蔵庫で一日かけて解凍しましょう。急ぎの場合は電子レンジで半解凍状態になるまで温めると良いです。冷凍牛乳の保存期間は、1ヶ月間ほどです。それ以上の保存は、味と風味が更に劣化するのでおすすめしません。
《 ポイント 》
- 冷凍保存した牛乳は味と風味が劣化する
- 加熱して利用することがおすすめ。ただし保存期間は1ヶ月
牛乳を常温保存してしまった時の活用法
常温状態で放置してしまった牛乳は、高い確率で傷んで飲めません。しかし、傷んでいても別の使い道があります。
- 害虫退治
- 傷んだ牛乳は観葉植物の害虫対策に有効です。霧吹きに入れて、観葉植物へ噴きかけてください。乾燥した時に膜が張られて、植物に近寄る害虫を膜で捕まえることができます。
- 美容アイテムの代替品
- 牛乳に含まれる栄養素は、お肌をケアする効果があり、洗顔にも使用できます。
- 床掃除に活用
- 牛乳は床掃除にも便利です。牛乳はアルカリ性なので、床の汚れなどに噴きかけると、汚れが浮き出し落としやすくなります。
以上の様に、傷んでも使い道はたくさんあります。ただし、傷んだ牛乳を家族の誰かが誤飲しない様に注意しましょう。
《 ポイント 》
- 傷んだ牛乳も使い道がある
- 傷んだ牛乳は、自分以外の誰かが誤飲しないように注意する
最後に
牛乳は基本的に常温保存ができない飲み物です。健康のために、法律でも保存方法が定められています。常温で保存すると菌が発生してしまい、食中毒になるためです。
しかし、消費期限が短く、頻繁に使いたくても買いだめできないのが欠点。常温で保存できるロングライフ牛乳という製品も存在します。ちょっと価格は高めですが、牛乳をよく使うなら便利です。ストックするだけなら、冷凍保存してもよいでしょう。
誤って常温で放置して傷んでしまっても使い道はあります。捨てるのはもったいないので、家事や美容グッズとして再利用してみてください。