目次
しめじに生えるカビは?
しめじを冷蔵庫にパックのまま保存していたり、使いかけのものを入れておくと、カビのようなものがついていることがあります。
白くてフワフワしたものなどが軸やカサの表面に付着しているのがよくみられます。悪くなったと思って使い切らずに捨ててしまったこともあるのではないでしょうか。
しかし、その正体は単なる劣化ではないのです。もったいない使い方をしないためにも、まずはそのカビの正体を知りましょう。
青カビ
白いフワフワではなく、青緑っぽいカビが付着しているときは要注意です。これはパンなどが古くなった時に生える青カビの可能性があります。
カビもきのこも菌類なので、きのこへの侵害は弱いとされていますが、青カビは他の有害な色の濃いカビと一緒に生えるので気をつけてください。
有害なカビを体内に吸収してしまうと感染症になってしまう恐れがあります。調理時に取り除くか、気になるなら調理には使わない方が安全でしょう。
表面の白いふわふわはカビ?
しめじの白いフワフワもカビの一種なのでしょうか。
カビにもさまざまな種類があり、白いカビも存在します。白カビは色こそ違いますが、青カビの一種とされています。食材や建材などさまざまなところでみられます。中には強い毒素を含み拒否反応を引き起こすものもあるので気をつけてください。
一見しめじにつく白いフワフワもカビっぽいですが、白カビはもっとホコリのように粉っぽく、別のものと考えられます。
カビではなく「気中菌糸」
しめじの白いフワフワの正体はカビではなく「気中菌系」という菌です。端的に言うとしめじの一部です。植物から栄養を摂取して成長する菌で、きのこがまだ菌系だった状態の一部です。
菌系からきのこへと成長すると気中菌系は成長をやめ消えてしまいますが、何らかの原因できのこが元の菌系の状態に戻ろうとする時、きのこ自体から栄養を吸収して成長しようと再び気中菌系が発生することがあります。それが白いフワフワの理由です。
食べられるが風味は落ちている
気中菌系は有害なカビではなく、しめじのもともとの菌系の形なので食べても問題はありません。見た目が気になるようなら水でさっと洗い流すか、キッチンペーパーなどで拭き取ってください。
しかし、栄養が菌戻りしてしまうので風味は落ちます。味が気になる場合は調理法などを考えて使用することをおすすめします。風味が落ちる前に食べたいのであれば、なるべく早く調理したり、正しい方法で保存しましょう。
≪ポイント≫
- 白いフワフワは「気中菌系」という菌で食べても無害
- 気中菌系が生えていると「風味が落ちる」
カビの生えた「しめじ」は食べられる?
カビが生えているしめじは食べてはいけない
カビの生えてしまったしめじを食べることはおすすめしません。カビもきのこも同じ菌類ですが、カビには毒性があります。
カビはチーズなどの発酵食品にも使われ安全なのではないかとも思われますが、それは正しい処理がされてこそです。食材の劣化に伴って現れる青カビや白カビなどは人体に影響があるとされています。
購入前にきちんと確認し、なるべく早く使い切りましょう。白カビと気中菌系の見分けがわからない時はお店で聞いてください。
しめじの保存方法
次に、正しいしめじの保存方法について紹介します。
なるべく早く調理して食べるのがベストですが、正しく保存すれば有害なカビの心配もなく美味しく食べられます。常温や冷蔵などさまざまな方法がありますが、温度や湿度によって適切な処理が必要です。
保存できる期間もそれぞれ違うので注意してください。正しく保存していても賞味期限はあるので、カビが生えてしまう可能性もあります。
常温保存
しめじは常温でも保存することができます。
かなり高温でない限り、常温でも問題ありません。ただし、長く常温で保存しておくと気中菌系の発生が高くなります。また、青カビ・白カビなどの発生もあり得るので注意してください。
特に白カビだと気中菌系と見分けがつかなくなることもあるので気をつけてください。空気に触れないようにポリ袋や密閉容器に入れて保存することをおすすめします。
常温での保存期間
しめじを常温で保存できる期間は2〜3日と短いです。
乾燥している間は大丈夫ですが、常温だと湿りやすく劣化が早まります。特に夏場は温度、湿度共にしめじの保存には向いていません。湿気はカビの原因にもなりやすいです。
常温保存はしめじを早く使いきる時のみに限定して、カビが発生しているものや傷んだものを無理して食べるのは控えてください。
冷蔵保存
冷蔵保存は常温保存より長持ちします。
常温と同じく、パックから取り出し、キッチンペーパーでくるみ空気に触れないようポリ袋や密閉容器に入れて保存してください。
水で洗ってラップなどで包んでしまうと、しめじの水分量が変わり傷みやすくなります。まだ使わないものは水洗いをしないで、石づきもきり落とさずに保存するのが良いでしょう。
使い残しも密閉容器に入れて冷蔵庫で保存してください。
冷蔵したときの保存期間
しめじの冷蔵保存期間は一週間程度です。ただし使いかけのものは3~4日で使ってしまうことをおすすめします。冷蔵保存は温度を低く保つことができる分、常温保存よりしめじを長く保存できます。
ただし、きちんと密閉しないと空気に触れ湿度量が変化し青カビや白カビも発生しやすくなってしまうので注意してください。必ずパックのままではなく、密閉容器で保存するのを忘れないでください。
冷凍保存
長期保存には冷凍保存をおすすめします。
冷凍保存する時は石づきを切り落として半分に切るか、もしくはひとつひとつバラバラにして密閉容器やジップロックに小分けにして保存しましょう。
容器に入れる時は余計な水分を含ませないように、キッチンペーパーなどで水気を取ってから入れてください。閉じる時はなるべく空気を入れず密閉させましょう。
水分や空気はしめじの鮮度を左右するので、冷凍保存でも注意してください。
冷凍したときの保存期間
冷凍しめじは約1〜2ヶ月の保存が可能です。長期保存が可能なので一気に食材を買い貯めておく方におすすめです。冷凍庫に入れる際、小分けにしておけば、全てを一気に使い切る必要もないので便利です。
ただし、冷凍しめじを解凍してから使用すると匂いが濃くなったり、苦味が出てしまうこともあります。また、水分が出てうま味が減ります。冷凍しめじを使う時は、解凍しないで冷凍のまま調理しましょう。
乾燥保存
乾燥しめじも長期保存が可能です。しめじは石づきを切り落としてバラバラにほぐします。それをざるなどに重ならないように並べて天日干しにします。
なるべく風通しの良い場所を選んでください。完全に乾燥させるには3~5日ほどかかるでしょう。水気が飛んでカサカサになったら、密閉容器やジップロックに乾燥剤と一緒に入れて冷暗所で保存しましょう。温度は常温で構いません。
乾燥させたときの保存期間
乾燥しめじは約1ヶ月保存することができます。
一般的に乾燥や冷凍保存は食材の質が落ちてしまうことも多いですが、きのこの場合は栄養成分が出やすくなると言われています。冷凍や乾燥の保存は長期保存できるだけでなく、より美味しいしめじを作ることができます。
乾燥しめじは約10分水につけてから使用してください。戻し汁も栄養が溶けているので煮物や味噌汁に利用しましょう。
≪ポイント≫
- 【常温保存】2~3日保存可能。気中菌系の発生が高くなるので注意。
- 【冷蔵保存】3~4日保存可能。水などで洗うと痛むのでそのまま保存する。
- 【冷凍保存】1~2ヶ月保存可能。長期保存したい場合におすすめ。
- 【乾燥保存】約1ヶ月保存可能。天日干しする手間がかかるが旨味が増す効果がある。
食べられない「しめじ」の見分け方
次に、青カビや白カビなどのわかりやすい傷み方の他に、きのこならではの劣化の仕方を紹介します。
間違った保存方法や保存期限により食べられなくなってしまうしめじもあるので、少しでもおかしいと思ったら、無理して食べるのは避けましょう。お腹を壊したり、感染症になったりする恐れもあります。
ただ、根拠もなく捨ててしまうのももったいないので、傷んでいるのかどうかしっかり見極めることも必要です。
ぬめりがある
しめじを触ってぬるぬるするようだったら食べられません。
冷蔵庫で保存したとしても、容器やジップロックの中で水分量が変化してしめじが劣化してしまうことがあります。これは保存する時に余計な水分が残っていた証拠です。使いかけのしめじを保存している時によく起こります。
すでに腐敗しており、水で洗ってもぬめりは取れません。食中毒になる恐れがあるので腐敗したきのこは食べずに捨てましょう。
汁がでている
しめじは腐るとどんどん水っぽくなります。表面に汁が出ていたり、容器や袋に水のようなものが付いていたり、溶けたりします。
これら全ての症状は、水分量の調節ができなくなり、劣化してしまったときにみられます。腐敗しているので食べずに捨ててしまいましょう。
購入する時にも、パックやしめじ本体に水滴が付いていないかチェックして、適度に乾燥しているものを選んでください。
酸っぱいにおいがする
しめじに限らず全てのきのこにおいて、傷んでくると酸っぱいにおいがするようになります。買ったばかりのしめじと比べて、湿ったような酸化したにおいがするようだったら捨ててしまいましょう。
においが鼻を刺すほど強くなければ、しっかり火を通して調理すれば食べることもできますが、お腹の弱い方などにはおすすめしません。
このにおいはぬめりの原因と同じく、保存する際に余分な水分が付着していたことで発生します。
≪ポイント≫
- 「見た目・触感・臭い」などをチェックして食べられるしめじか判断する
- 保存するときに水分が余計にあると腐りやすくなる
- 保存する前に余計な水分や水滴がついていないかチェックする
あらゆる料理で大活躍!しめじの特徴をおさらいしよう
しめじは日本人であれば誰もが知っている食材のひとつです。食卓のおかずとして、または味噌汁や炊き込みご飯の食材として、広く使われています。
スーパーに行けば必ずあると言っていいきのこです。しかし、あらゆる料理で使われているのに、詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。
しめじの魅力は決して味や香りだけではありません。ここからは産地や栄養など、しめじの基本知識をおさらいしていきましょう。
しめじの歴史
日本国内でのしめじの流通は1970年以降のことでした。現在、一般的に流通しているしめじは「ぶなしめじ」のことをさし、古くから国内に自生していましたが、食用きのことして食べられてはいませんでした。
ぶなしめじは1978年頃に本格的に人工栽培され、食用きのことして広まっていきました。「本しめじ」もしめじの一種ですが、栽培が難しくなかなか流通されませんでした。2004年に人工栽培に成功し、店頭販売を開始しました。
しめじの特徴
ぶなしめじはカサが灰かっ色や薄茶色で、白い軸が特徴です。カサは一つ一つが小ぶりで密集しています。スーパーでは一株がパックになって販売されていることが多いでしょう。
茶色いぶなしめじの他に、全身真っ白な白ブナシメジもあります。本しめじはカサも軸もふっくらと大きく、全体で5~13cmほどあります。ぶなしめじのように密集しておらず、何房かセットでパックになっていることが多いです。
しめじの産地
現在、人工栽培されているぶなしめじは約42%が長野県で生産されています。次いで、新潟県、福岡県が主な産地です。人工栽培なので北海道から沖縄県まで幅広く生産されていますが、長野県が圧倒的です。
天然のぶなしめじもありますが、あまり流通していません。本しめじは三重県が主な産地で、タカラバイオで「大黒本しめじ」として販売されています。天然の本しめじは東北地方で収穫可能ですが、こちらも流通は多くありません。
しめじの味
ぶなしめじは味にクセがなく、旨味たっぷりの食べやすいきのこです。軸部分は筋が太く、独特の歯応えがあります。
昔自生していたぶなしめじは淡白で微かな苦味もありましたが、人工栽培のために味も風味も改良されて、今では料理に使いやすいきのこのひとつとして親しまれています。
本しめじは「香り松茸、味しめじ」で知られるように、味はクセのないぶなしめじに似ていますが、その香りは松茸のように深い香りが特徴的です。
しめじの栄養・効能
しめじは、高血圧予防や整腸作用、冷え性などに効果がある栄養素を多数含んでいます。
カリウムは高血圧予防に効果があるとされ、不溶性食物繊維は腸を整える効果があります。冷え症によいとされるナイアシンやエネルギー代謝を助けるパントテン酸も多く含みます。
また、ビタミンDも豊富でカルシウムの吸収を助けます。エルゴステロールは菌類に多く含まれており、紫外線に当てることでビタミンDに変換します。
美味しいしめじを選ぶコツ
しめじの基本知識をおさらいしたところで、次に美味しいしめじの選び方について説明します。
どの食材もそうですが、その状態の良し悪しによって同じ値段の中でも味や香りに差が出ます。より良い食材を選ぶためには、まず見た目で判断することが大切です。それはきのこ類も同じことで、一見どれも同じ質に見えますが、ちょっとした違いで良し悪しが分かります。
ぜひスーパーでの食材選びの参考にしてみてください。
傘が丸く開ききっていないもの
ぶなしめじを選ぶ時は、カサにハリと丸みがあり、開ききっていないものを選びましょう。
これらのカサの特徴はそのぶなしめじが新鮮な証拠です。ぶなしめじは古くなると全体的に柔らかくなり、カサにもしわが出始めます。
また、カサが開き切ってしまったものは食感に弾力がなくなり、香りも飛んでしまいます。適度に乾燥していて、古くなっていないものを選びましょう。
表面は茶色・裏面が白いもの
ぶなしめじカサの色も重要です。カサの色はきちんと茶色く裏側が白いものを選んでください。茶色にもいろんな色合いがありますが、色合いの違いはあまり味に影響しません。
色合いの違いは産地や栽培方法によって異なるだけなので、茶色であれば大丈夫です。また、カサの裏側は白いひだが変色していると、鮮度が落ちているので気をつけてください。
軸が太くて短いもの
ぶなしめじは軸が太くて短いものを選びましょう。適度に太くしっかりとしている軸は弾力があり、ぶなしめじ特有の歯応えが楽しめます。
軸が長すぎると成長しすぎてしまって鮮度が落ちている可能性があるので気をつけましょう。また、全体が一株にまとまっていて、株の根本まで身が引き締まっているものを選びましょう。
カサ、軸、根元までハリがあるものほどぷりっとした弾力があります。
しめじを使ったおすすめレシピ3選
美味しいしめじの選び方を確認したところで、実践編にいきましょう。低カロリーで安価なしめじをたっぷり使ったレシピを紹介します。
しめじは和・洋・中とどんなジャンルの料理にも使いやすく、おかずとしてもメインの一部としても活躍できます。どれも簡単な調理なので、ご家庭で使えるレシピとしてぜひ活用してみてください。
しめじのバターポン酢
一品目は電子レンジだけでできる簡単なおかず「しめじのバターポン酢」です。
- 用意するのはしめじ、バター、ポン酢、葉ネギです。
- しめじは石づきを切り落としてバラバラにしておきます。
- 耐熱容器にしめじとバター、ポン酢を入れてラップをします。
- 500Wの電子レンジで4分ほど加熱します。
- レンジから出したものに刻んだ葉ネギを散らして出来上がりです。
5分もあれば作れる簡単レシピなので、あともう一品というときにおすすめです。
しめじと舞茸のチーズおやき
二品目に紹介するのは「しめじと舞茸のチーズおやき」です。水も小麦も不要で簡単に作れます。
- ボウルにバラバラにしておいたしめじ、舞茸とビザ用チーズ、片栗粉を入れます。
- よく混ぜなじませたら10分おきます。
- フライパンにオリーブオイルをひき温めたら、混ぜておいたものをせんべい状に並べて焼きます。
- 焼き目がついたらひっくり返し、両面がカリッとしたら出来上がりです。
チーズの塩けと香ばしさで美味しく低カロリーです。
しめじのふわふわ卵甘酢あんかけ
三品目は「しめじのふわふわ卵甘酢あんかけ」です。
- フライパンにごま油をひきネギとバラバラにしておいたしめじを炒めます。
- 柔らかくなったらあらかじめといておいた卵を強火のフライパンに流し込み、ヘラでゆっくり混ぜます。
- 火が全体に通ったら器に守ります。
- それと別に、甘酢だれの材料をフライパンで中火にかけ、とろみがついたら、しめじの卵とじにかけます。
しめじの「白いふわふわ」は食べても大丈夫
カビとそっくりなしめじのふわふわの正体は気中菌類という害のないものです。
風味は落ちますが、カビだと思って捨てる必要はありません。味付けを濃くしてみたり調理を工夫すれば美味しく食べられます。ただし、青カビや白カビ、そのほかの傷みなど気をつけないと体に影響するものもあるので注意してください。
正しい保存方法と見分け方で、栄養たっぷりの美味しいしめじを食べましょう。