目次
揚げ物油の正しい保存方法
揚げ物に使用した油を繰り返して使いたい場合は、揚げ物油を正しく保存しておくことが大切です。家でおいしい揚げ物を作るためには、揚げ物油をどうやって保存しておいたらいいのか、また処分の目安など、正しい保存方法について解説します。
用意する物
- 網目の細かい網じゃくし
- 油濾し紙(コーヒーフィルターやキッチンペーパーでも可)
- 濾し器
- 油を入れる保存容器
揚げ物油を保存する手順
- 揚げカスを取り除く
揚げ終わったあとの揚げ物油にある揚げカスをそのままにしておくと油を傷める原因になりますので、網じゃくしを使って油が熱いうちに揚げカスをすくい取ります。 - 濾し器をセット上げ化す
揚げ物油を保存する容器に濾し器をセットします。 - 濾す
濾し器の上に油濾し紙(コーヒーフィルターやキッチンペーパー)をセットして揚げ油を注ぎ込みます。お玉などで救うようにして、やけどをしないように十分注意してくださいね。 - 冷ます
揚げ物油が冷めるのを待ってから保存します。
揚げ物油の適した保存場所
油が熱いうちに蓋をしてしまうと、水蒸気によって油に水が入り込んでしまいます。完全に冷めてから蓋をして冷蔵庫、シンク、コンロ下の収納部分などの冷暗所で保存します。
・揚げ物油を保存する前に、「揚げカス」を網じゃくしですくい取り、油濾し紙でしっかり濾しましょう!
・揚げ物の油の保存場所は冷蔵庫や冷暗所で保存しましょう!
保存にオイルポットを使うメリット
揚げ物で使った油を良い状態で保管することができるオイルポットとは、油を再利用するために、衛生的に保管してくれる容器です。
揚げ物で一度使っただけの油を、廃棄するのはもったいないのですが、だからと言ってそのまま鍋の中に放置しておくと油が酸化して傷んでしまいます。
オイルポットは、百均で買えるリーズナブルなものから、耐熱性のもの、そして電機メーカーから発売されている本格的な機能がついたものまで、いろんな種類があります。
揚げ物料理を作る頻度によっても違ってきますので、ご家庭に合ったオイルポットを選ぶようにすると、環境にも優しく経済的です。
・オイルポットは、油を衛生的に保管してくれる容器です!
・さまざまな種類がありますので揚げ物料理を作る頻度でご家庭にあったものを選びましょう!
揚げ物油の保存の注意点
冷める前に濾す
油濾し紙やキッチンペーパーを使って濾すことによって、小さい揚げカスまで取り除くことができます。ただし、油が冷めてしまうと粘りが出てくるため、濾しづらくなってしまいます。
油を入れっぱなしにしない
揚げ終わった後に鍋の中に油を入れっぱなしにしておくと、酸化により油が劣化してしまいます。
発火に注意する
揚げカスを一ヶ所にまとめて置いておくと、発火することがあり危険ですので気を付けください。
オイルポットは高温耐熱の素材
オイルポットは、高熱にも耐えられるホーローやステンレスの素材のものを選びましょう。反対に、プラスチックやガラスなどは、オイルポットに向かない材質です。
火傷に注意する
オイルポットに油を注ぐ時には、粗熱が取れたのを確認してから注ぐようにして、火傷をしないように注意してください。
早めに使い切る
一度加熱して使った揚げ物油は劣化しやすくなっていますので、早めに使い切りましょう。
・揚げ物油を保存する際は、火傷に注意して、しっかり油カスを取り除いて濾しましょう!
・油は長い間放置すると酸化・劣化しますので素早く保存し、早く使いきりましょう!
揚げ物油の酸化とは?
調理中も保存中も酸化する!
油が酸化するということは、「油の劣化」を意味していますが、調理中に限らず、保存中にも酸化は少しずつ進んでいます。
まずは調理中に空気にさらされること、そして高温で油を加熱することで、成分が不安定になり酸化が急激に進んでしまいます。また、調理中に限らず、保存中でも酸化は徐々に始まっています。窓から差し込む直射日光や室内の蛍光灯の光、そして気温などが油を酸化させてしまうのです。
酸化している油の特徴
ではどのようにして酸化しているかどうかを見分ければよいのでしょうか?酸化した油に見られる特徴は次のようになります。
酸化した油は調理時に不快な「油臭さ」を感じますが、においだけでなく身体に悪影響を与えることがあるので注意する必要があります。
それ以外にも色が濃く濁ってきたり、泡が消えないなどの特徴が出てきますので、そのような状態になったら、思い切って残った揚げ物油や使いかけの油は処分して、新しいものに変えましょう。
酸化した油が体に及ぼす影響
先に述べたように、油は、光や熱、酸素、水、金属などに触れると、活性酸素によって酸化します。そうして作られた過酸化脂質の中の一つであるスーパーオキシドアニオンは、DNAを損傷させる恐れのある発がん性物質であると言われています。
また、酸化した油を使った料理を食べて、下痢などの中毒に似た症状を引き起こしたりすることがまれに起こったり、さらには動脈硬化やがんの原因にもなるなどの影響を及ぼします。
植物油に含まれているリノレン酸やリノール酸は、加熱することで、有害物質であるトランス脂肪酸に変化し、これをたくさん摂取すると心疾患や発がんのリスクが高くなります。
また、加熱により過酸化脂質が含まれた揚げ物油は、肝臓に負荷がかかりすぎてしまい、その結果、肝機能障害や脂肪肝を引き起こす原因となるのです。
そして酸化した食品に含まれている酸化コレステロールは、血管に悪影響を与え動脈硬化の要因ともなります。
このように、酸化することによって成分が変化し、体に有毒なものが発生してしまうのです。フランスではリノレン酸が2%以上含まれていたら、揚げ物油として許可されないなどの規定があるくらいなので、身体に悪い影響を与えるということは事実のようです。
・油は調理中だけでなく保存中にも酸化する!色が濃く濁ってきたり、泡が消えないなどの特徴が出たら処分しましょう!
・酸化した油は成分が変化し、体に有毒なものが発生するので注意しましょう!
揚げ物油の保存期間と捨て時
早目に使い切る
丁寧に処理して保存していればいつまでも使えるという訳ではありません。加熱するたびに確実に油の酸化は進んでいますので、適切な方法で保存した場合でも、保存期間は2~3週間、再利用の回数は3~4回までが目安になります。
ですが、1回の使用でも作った料理や量によっては油の汚れ具合が異なりますし、冬か夏かなど季節や保存状態によっても変わってきます。そのため、期間や回数はあくまでも目安にしてくださいね。
使うたびに新しい油を継ぎ足すと多少は長持ちしますが、やはり限界はあるので3~4回使用した頃合いを見計らって酸化した古い油は処分しましょうね。加熱していない油でも、開封したときから徐々に酸化が始まっていますので、保存する期間を長くせず、なるべく早く使い切るようにしましょう。
捨て時の目安
不快なにおいがする
油の酸化が進むと、「油臭い」嫌なにおいが発生します。不快なにおいが発生すると、素材の食感や風味までもが損なわれてしまい、食べる気がなくなってしまいます。酸っぱいようなにおいがして、おかしいなと感じた時には迷わず処分してしまいましょう。
色が濃くなる
油の酸化が進むと、鍋の底が見えないくらい濃い褐色に変色します。これは食用だけでなく、化粧品のマッサージオイルなどにも共通して言える現象です。少し色が濃くなってきたなと思ったらそれは酸化の合図です。色が参考になりますので、チェックしてください。
粘り気が出る
油は酸化する過程で、その脂肪酸に酸素が付着し粘り気が出てきます。特に冷めた油は粘り気の有無がわかりやすく、酸化しているかどうかを判断しやすいので、使う前に油の状態をチェックしてみましょう。
泡が消えにくい
泡の消えにくさも、粘りと同じ理由から酸化しているかどうかの目安になります。新しい油では、泡ができてもすぐに消えますが、酸化して粘り気がある油を使った場合には揚げている時に発生する泡が、いつまでも消えません。
揚げ物がカラッと仕上がらない
酸化の進んだ油で揚げた料理は、カラッと揚がらず風味もよくありません。また、酸化した油で調理したものを食べると、胸やけがする場合もあるようです。
煙が出る
油の発煙点は240℃以上です。揚げ物をするときの油の温度は、高くでも200℃以下なので、揚げ物をしている時に煙が出ることはありません。
ですが、酸化している油の場合は過酸化脂質が分解して遊離脂肪酸などの化合物が発生します。これらの物質の発煙点は低いので、170℃位の低い温度の時に煙が出ではじめたら、油が酸化しているという目安になります。
酸化測定器を使う
目で確認するだけでは本当に酸化しているのかどうかを見極められなくて、不安に感じる方もいるかと思います。そんな方におすすめなのは、油の劣化度、つまり「どれほど酸化しているか」が簡単にわかる専用の測定器や試験紙が販売されています。
購入するとなると出費がかさんでしまいますが、それでも食の安全を追及したいのであれば試してみる価値があるかもしれませんね。
・揚げ物油の保存期間は2~3週間、再利用の回数は3~4回までが目安!
・捨て時の目安は、不快な臭い、色が濃くなる、粘り気がでる、泡が消えにくい、揚げ物がカラッと仕上がらない、煙が出る、などが出たら処分しよう!
最後に
いかがでしたか?油は上手に保存することで、繰り返し使うことができます。どのようにして保存したらいいのか、また廃棄の目安など、揚げ物油のことを正しく理解して、おしい揚げ物料理を作ってみましょう。賢く揚げ物油を保存することで、ご家庭の日々の食卓がよりいっそう充実したものになるはずです。