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せりの旬と収穫時期
せりの旬っていつ?
せりといえば正月の七草粥を思い浮かべるのではないでしょうか。そのためせりの旬の時期は正月付近ではないかと思う方が多いと思いますが、実際のせりの旬の時期は次の期間です。
ちょうど春ごろが「せりの旬」の季節になります。なお正月付近ではせりはまだ小さく、育ちきっていないため見つけることが難しいのです。
せりは夏に花をつける植物なので春先に柔らかい芽が成長します。その柔らかい茎や葉が美味しいとされているので旬は春になります。
ビニールハウスなどの施設でも栽培がされているのでスーパーなどでは一年を通して購入することができます。
地域によって収穫時期と旬が変わる
一般的にせりの収穫は「11月中旬」から始まります。ただし、秋田県ではすこし旬の時期が変わります。
秋田県では、郷土料理として有名なきりたんぽ鍋にせりが欠かせない食材となるため、少し早めの10月の中旬から収穫が始まり出荷されます。そのため、他の地域のせりの旬と比較すると、早い時期に出荷が多くなり、旬の時期も少し早めになるようです。
せりの特徴
せりはセリ科セリ属の多年草で別名でネジログサやカワナグサと呼ばれ、日本全国の山野で自生しています。
数少ない日本原産の野菜の一つで、その歴史は古く奈良時代にはすでに食用とされていた記録が古事記や万葉集にも残されています。
水分の多い土壌を好み、せりの旬の時期まで河川の土手や水田のあぜ道などに生え、湧水のある湿地に自生する野生のものは栽培とは一味違った風味があります。
せりの種類
- 長ぜり
- 水ぜり
- 栽培せり
- 田ぜり(山菜)
- 野ぜり(山菜)
一般的にスーパーなどで旬のせりとして流通しているのは、茎の長い品種で長ぜり、水ぜり、栽培せりと呼ばれています。
水田のあぜや河川の土手などに自生する茎の短い旬のせりは田ぜりや野ぜりと呼ばれ、栽培ものより香りが強いのが特徴となります。
せりの名前の由来
せりという名前の由来は、せりの生態が由来となっています。1箇所から競り合うように生えて成長することから、「せり」という名前の由来になったとされています。
栽培物は外見からミツバと似ているのですが、ミツバは葉が3枚なのに対して、セリは5枚なので簡単に見分けることができます。
せりは春の七草の1つ
また、せりは「春の七草」の一つです。正月の7日にせりなどの七草を入れて炊いた七草粥を食べると万病を防ぐと伝えられています。
ちなみに春の七草はごきょう、すずしろ、すずな、せり、なずな、はこべ、ほとけのざの7種類です。
せりの主な生産地
せりの栽培が多い生産地は宮城県と茨城県で、この2つの県で全国に出回る旬のせりの60%を生産しています。どちらの県も露地栽培が中心になっています。
せりの年間収穫量トップ10
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 宮城県 | 396t | 37.36% |
2位 | 茨城県 | 241t | 24.74% |
3位 | 大分県 | 130t | 12.26% |
4位 | 秋田県 | 71t | 6.70% |
5位 | 広島県 | 60t | 5.66% |
6位 | 高知県 | 47t | 4.43% |
7位 | 熊本県 | 19t | 1.79% |
8位 | 愛知県 | 15t | 1.42% |
9位 | 岩手県 | 15t | 1.42% |
10位 | 福岡県 | 14t | 1.32% |
※全国のせりの収穫量:1,060t(2016年度調べ)
出典:https://www.yasainavi.com/graph/category/ca=60
一般的にせりはハウスなどの施設でも栽培されていますので通年スーパーなどの店舗で購入することができます。
せりの栄養と効果
旬のせりに含まれる栄養素
旬のせりは栄養価が高いといわれており、多くの栄養素があります。
- β-カロテン
- 葉酸
- 食物繊維
- ビタミンC
- ビタミンB2
- カルシウム
- カリウム
- 鉄分
ビタミンC
せりには身体づくりには欠かせないビタミンCやミネラルの成分が豊富に含まれています。ビタミンCは免疫力を高めてくれるだけではなく、活性酸素の働きを抑えてくれることで老化防止やお肌のうるおいを保つ効果があります。ミネラルの成分は血液や骨の生成するのに欠かすことができない成分になります。
β-カロテン
せりの葉や茎にはβ-カロテンがたっぷり含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変化して活性酸素を抑える効果があり、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病から守ってくれるだけではなく、粘膜や皮膚の細胞を正常に保つための働きや免疫力を高める働きがあります。
オイゲノール
せり特有の香りにはオイゲノ―ルなどの成分が含まれているので、鎮静効果があると言われています。ピラジンという成分が血液の凝固を防ぐので血栓ができることを予防したり、疲れた肝機能を強化するのに効果があるとされています。旬のせりにはより多く含まれているようです。
葉酸と鉄分
せりには貧血に関わるとされる葉酸と鉄分が含まれています。葉酸や鉄分は貧血予防には欠かせない栄養素となります。葉酸は妊娠中の胎児の先天異常を防ぐ栄養素として知られていますが、ビタミンB12とともに赤血球を作る働きがあります。
鉄分は血液中のヘモグロビンの構成成分となるので、全身に酸素を運ぶ働きがあります。葉酸と鉄分は血液に関わるので、同時に摂取することで相乗効果により貧血を予防するとされています。
カリウム
せりの栄養素にあるカリウムは体内のナトリウムとバランスを取りながら、過剰に摂取されたナトリウムを体外への排出を促してくれるので、血圧の上昇を調整してくれる効果があります。そのことから高血圧の予防に役立ちます。
食物繊維
食物繊維は腸の働きを促してくれるので便秘の解消や糖の吸収を遅らせて、急激な血糖値の上昇を防ぐ働きがあるので、糖尿病を予防する効能を得ることができます。
せりは旬に限らず生薬としても古くから知られており、茎や葉を乾燥させた生薬を水芹と呼び、それを煎じて飲むことで解熱、神経痛、リューマチ、黄疸の他に食欲の増進の効能があるとされています。
美味しい旬のせりの選び方
葉が鮮やかな緑色をしたものを選ぶ
新鮮で美味しい旬のせりの選び方は、葉の緑色が鮮やかでみずみずしいものを選びましょう。せりは鮮度が落ちはじめてくると葉の色が黄色っぽく変色していきます。
茎が太くないものを選ぶ
店頭に並んだせりを買うときは葉だけでなく茎もしっかり確認して茎があまり太くないものを選びましょう。また、茎が葉先までシャキッとしているものを選び、茎の部分がヘナヘナに柔らかくなっているものは避けるようにしましょう。
旬のせりを美味しく保存する方法
旬のせりを美味しさを保ちながら保存する方法で1番おすすめの方法は冷蔵庫の野菜室を利用する方法です。せりは乾燥しないよう濡れたキッチンペーパーや新聞紙などで包んで、ビニールやポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
野菜室で保存するときは可能なかぎり立たせて保存しましょう。寝かせて保存すると上に伸びようとする植物の働きにより茎が曲がりやすくなってしまいます。茎が曲がってしまうと傷みも早くなってしまいます。
【保存のポイント】
- 濡れたキッチンペーパーや新聞紙などで包む
- ビニールやポリ袋に入れてる
- 冷蔵庫の野菜室に入れる
- 保存するときは立てて入れる
自生するせりを採取するときの注意点
自生しているせりは旬の時期に水田の近くで採取することが可能ですが、せりの旬の時期を過ぎて4月に入ってしまうと、見た目や花も良く似ている日本三大有毒植物の強力な毒を持っている「ドクゼリ」も自生します。
ドクゼリは誤って食べてしまうと嘔吐、下痢、腹痛、痙攣、眩暈、呼吸困難、意識障害を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあるので、せりの旬の時期を過ぎてしまったら採取をするのはやめましょう。
なお、せりとドクゼリは葉を揉んでせり特有の匂いがあるかないかで確認できます。ドクゼリはせり特有のにおいはしません。
【せりを採集する際の注意点】
- せりに似た「ドクゼリ」に注意!
- 旬が過ぎた4月以降に採集しない!
最後に
せりは露地栽培のほかにビニールハウスなどの施設栽培もしているので通年出回っていますが、せりの旬の時期は2月から4月の春になります。正月の七草粥の頃のせりはまだ小さいので、もう少し成長をまって旬のせりを食べましょう。
せりに限らず旬の時期に食べることでその野菜の持つ本来の美味しさを感じることができます。旬を逃さずに美味しい野菜を食べましょう。