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ナイロンはどんな特徴の素材?
ナイロン素材の歴史は意外と長い
みなさんもよく耳にしたことのある「ナイロン」。これは一体、どんな素材なのでしょうか。
ナイロンは、いわゆる「合成繊維」。原材料は石油や石炭で、世界でも有数のアメリカ財閥「デュポン社」が戦前に開発したのが始まりです。ナイロンは何を隠そう“世界で初の合成繊維”。
ナイロンが発明されたおかげで、世に「ストッキング」が誕生したことは有名なエピソーとしてド知られています。とても丈夫な合成繊維のため、今日ではスポーツウェアやスノーウェア、バッグなどにも応用されています。
ナイロン素材の長所
とても丈夫な耐久性を持ちながら、軽量性にも優れているのが特筆すべきナイロンの特徴です。そして弾力性もあり、形状を乱さないことから、繊維として用いた時にシワになりにくいのも強みです。
つまり、型崩れを引き起こしにくいというわけです。また、ナイロンは合成繊維であるため、「虫食い」の心配もなく、カビによる繊維へのダメージもほとんどありません。ナイロンは、総合的にみて非常に素晴らしい素材です。
ナイロン素材の短所
そんな優秀なナイロンですが、弱点もあります。化学的に作られた合成繊維であるがゆえに、耐熱性の面では他の素材に劣ります。長い間使っていると「黄ばみ」が生じたり、洗濯をすることで「色落ち」しやすいとも言われています。
また、身体から発せられる汗や熱を体外に逃がす機能も弱く、湿気や熱さが衣服の中にこもってしまうのも欠点のひとつだと言えるでしょう。ウィンドブレーカーを着てランニングすると、とても身体が熱くなりますよね。それは、ナイロンが熱を逃がさずに閉じ込めているからです。
とはいえ、放熱性や吸湿性に弱いというナイロンの特徴は、もちろん捉え方によっては長所です。スキーウェアやボードウェアにナイロン素材が使用されているからこそ、冬の過酷な零下にも平気でいられるのです。
ナイロン素材の洗濯で注意すること
まずは自宅にある服がどんな素材で作られているかに注意し、必ず「洗濯表示」を確認しましょう。それがナイロン素材であれば、絶対に乾燥機を使用しないでください。
先程も説明した通り、ナイロンは熱に弱いので型崩れを引き起こすリスクがあります。だからといって日干しするのもNGです。化学反応で黄ばみの原因になってしまいます。ナイロン素材を乾かす時は、必ず陰干しするように心がけましょう。
また、そのナイロン素材が「洗濯可能」か「洗濯不可」かについても一応確認しておきましょう。場合によっては、洗濯不可で「手洗いのみOK」のケースもあり得ます。
ナイロン素材の洗濯に適した洗剤は?
合成繊維のナイロン素材(生地)に適した洗剤は、「弱アルカリ性」洗剤だと言われています。洗濯する際は、弱アルカリ性洗剤を用いるようにしましょう。デリケートな生地の洗濯に適した「着用洗剤」も選択肢のひとつです。
ナイロン素材の洗濯の方法
洗濯機で洗う場合
ナイロン素材のインナー、手袋、ニット、レインコートなどを洗う場合は、直接洗濯機にかけても問題はないです。型崩れの心配もほとんどありません。以下に選択の手順を簡単に整理してみました。
- 洗濯機に洗剤を入れます。アルカリ性洗剤または着用洗剤をお好みで使います。柔軟剤の使用もOKです。ただし、漂白剤はNGです。色落ちしてしまいます。
- 所定の洗剤を投入したら、あとはいつも通り洗濯機をかけます。他の衣類とまとめて洗うなら、洗濯ネットを使うのも手です。
- 洗濯後は、ナイロン生地の衣類を陰干しします。
手洗いする場合
ナイロン生地の洗濯時にかかる衣服への負担が気になる方は、手洗いをオススメします。少しでも型崩れのリスクを減らしたいなら、洗濯機よりも手洗いのほうがよいでしょう。
- バケツや風呂桶(洗面器)に水を入れて「着用洗剤」を混ぜ合わせます。
- 洗浄液を作ったら、洗いたいナイロン生地の衣服を浸します。
- 衣服を何度も洗浄液に沈めましょう。「沈める→衣服が浮かんでくる→沈める」のプロセスを繰り返します。ただし、決して「こする」ようなことはしないでくださいね。それでは生地が傷んでしまう恐れがあります。
- 洗浄液に浸した衣服を洗濯機で脱水しましょう。洗濯ネットを用いるといいですね。
- 脱水し終わったら、普通の水で衣服に付着した洗浄液を洗い落とします。綺麗な水を張った洗面器を別に用意しておきましょう。洗い方は、先程と同様に「押し洗い」の要領で構いません。
- 洗浄液を洗い落としたら、再び洗濯機で軽く脱水にかけます。
- 最後は日陰干しで完了です。
アウター(MA1など)を洗濯する際は要注意!
アウターの定番「MA1」。みなさんの中にもファンがいるのではないでしょうか。もともとアメリカ軍の官給品として使われていたMA1は、防寒性能を追求しているため、表面素材にはナイロンが使われています。
一方で内側にはウールや綿が使用されています。いかにも暖かそうですよね。しかし、これを洗濯するとなるとなかなか厄介です。表面のナイロン生地は洗濯に耐えられますが、内側のウールや綿は、洗濯によって型崩れを引き起こしてしまいます。
かといって洗濯しないでいると、中綿が汗を吸収して、内側の素材がイヤな臭いやカビを生じさせてしまいます。こういう時はどうすればいいのでしょうか?
端的に結論を言うと、内側にウールや綿を使っているMA1はクリーニングに出すのがもっとも手っ取り早い方法です。自分で洗うよりも、プロに任せたほうが安心してキレイにできるでしょう。基本的に、中綿を詰めたナイロン生地の製品が洗濯洗いNGだと認識しておいてください。寝袋などもその一例です。
撥水コーティングが施されている場合も要注意!
内側にウールや綿を用いておらず、純粋にナイロン生地だけで出来ている衣類であっても、それが例えば撥水加工の施されているアウトドア系の服なら洗濯は要注意です。
ノースフェイス、コロンビアなどの山岳ブランド製のマウンテンパーカーや、スタジャンなどはそのまま洗濯するのはNGです。なぜなら、洗濯をすることで、ナイロン生地表面の撥水コーティングが剥がれ落ちてしまう恐れがあるからです。
防水性が損なわれてしまいかねないので、よほど気になる汚れでない限りは、アウトドア系のナイロン製衣服の洗濯は控えるようにしたほうがいいでしょう。軽いシミ程度なら、消しゴムなどを使ってこすり落とすこともできます。水洗いする前に、まずはそうした手段で汚れを落としてみてください。
また、万が一洗う場合も、全体を洗濯するのではなく、手洗いの部分洗いに留めておきましょう。あるいは状況によっては、クリーニング業者に相談するのも手ですね。
リュックやナップザックを直洗いする際も気をつける!
リュックやナップザック、ショルダーバッグなども、丈夫なことからナイロンをよく使用しています。人気ブランドのフェリージを代表するこれらの製品もまた、上記に挙げた例のように、洗濯でそのまま洗うと型崩れを引き起こしてしまいます。できれば手洗いで汚れたシミ部分だけを処理するようにしてください。
ナイロン素材の洗濯後の干し方
先述したように、ナイロン生地は全般的に「乾燥機」と「日干し」はNGです。熱に弱い繊維構造をしているので、色の黄ばみやシワ、型崩れの原因になってしまいます。ナイロン生地の衣服を乾かす時は、くれぐれも陰干しを心がけてくださいね。
最後に
さてみなさん、いかがでしょうか。わたしたちにとって身近なナイロンは、様々な衣服に用いられるとても丈夫で軽量性に優れた合成繊維です。しかし洗い方や扱い方には注意が必要です。洗濯する際には、必ず推奨されている洗い方を確認しておきましょう。