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白菜の旬の時期
白菜はどんな食材とも相性抜群で需要が多いため、一年を通して出回っていますが、白菜の旬は晩秋から冬にかけての霜が降りる頃です。ちょうど鍋料理が食べたくなる11月頃から2月頃が最も美味しい白菜の旬の時期になります。
白菜が一年中スーパーに並んでいるのは、産地を変えながら生産されているからです。そのため白菜の種類を季節ごとに3つにわけることができます。
- 春白菜:兵庫県など関西地区で2月~3月に収穫されるもの
- 夏白菜:長野県の高原で6月~10月に収穫されるもの
- 秋冬白菜:茨城県を中心に11月~2月頃に収穫されるもの
白菜の旬の時期である11月頃から2月頃に収穫される「秋冬白菜」は、ギュッと甘みが詰まってより一層美味しい状態になり、価格もお買い求めやすくなります。
白菜の産地別生産量と旬の時期
白菜は年間を通して流通していますが、大量に出回り始めるのは10月頃からです。茨城県産の白菜の出荷量が最も多く、出荷時期は11月から2月です。
白菜の産地別の旬
白菜の産地別の旬は、東京都中央卸売市場における白菜の取扱量ランキングと出荷月を見ると分かりやすいです。白菜の産地別の出荷時期は次の通りです。
- 1位/茨城県:11月~2月
- 2位/長野県:6月~10月
- 3位/群馬県:2月、6月、10月
- 4位/兵庫県:2月~3月
- 5位/北海道:10月
- 6位/長崎県:3月
- 7位/埼玉県:1月~2月
- 8位/愛知県:2月~3月
- 9位/岩手県:10月
- 10位/山梨県:6月
参考:東京都中央卸売市場(市場統計情報:平成30年)
上記データーは、生産地別の旬を出すために「東京都中央卸売市場での取扱量」を参考にしましたので、各都道府県の収穫量のランキングではありません。収穫量ランキングの1位~5位は次の通りです。
白菜年間収穫量トップ5
- 1位の茨城県産は24万3,700tで全体の27.7%
- 2位の長野県産は23万5,200tで26.7%
- 3位の北海道産は2万8,800tで全体の3.3%
- 4位の群馬県産は2万7,900tで全体の3.1%
- 5位の栃木県産は2万4,400tで全体の2.8%
白菜の種類と特徴
鍋料理や漬物には欠かすことのできない白菜ですが、色々な種類があることをご存知でしょうか?
白菜は大きく分けて「結球タイプ」「半結球タイプ」「不結球タイプ」の3つのタイプがあります。
結球タイプ(円筒型)
普段よく見かける一般的な結球した白菜。2kg〜4kgほどの一般的な大型の白菜で、外葉が緑色、中は黄緑から黄色がかった円筒形の結球タイプです。普段よく見かけるこの白菜は、水分が豊富で甘味があり、加熱することで、とろりとまろやかな食感になります。
半結球タイプ(砲弾型)
結球していない白菜で、葉の上部があまり重ならずとがった形をしているのが特徴です。2kg〜4kg程の重さがあり、ずっしりとした形をしています。
不結球タイプ(長円筒型)
縦長の円筒形で40cm〜50cmほどの細長い形をしているので、その見た目から「タケノコ白菜」とも呼ばれています。重さは通常2kg〜3kg程度ですが、大きなものは5kg〜6kgになるものもあります。葉はややかためなので煮崩れしにくく、甘みがあるので炒め物や鍋物に最適です。
ミニ白菜
重さ1kg前後の小さめの白菜です。一回の料理で使い切れるので扱いやすいことから、年々需要が高まってきています。味や食感は普通の白菜と違いはなく、鍋物や炒め物、漬け物などどんな料理にも利用できます。「娃々菜(わわさい)」や「タイニーシュシュ」「お黄にいり」などの品種があります。
オレンジ白菜
外側の葉は緑色ですが、中の葉がオレンジ色をしているので「オレンジ白菜」という名前で呼ばれています。「オレンジクイーン」という品種は、ヨーロッパ産のカブと白菜を交配したもので、甘味が強く、漬け物や炒め物以外にも、生のままサラダにしてもおいしく食べられます。
山東菜
山東菜は、「さんとうな」または「さんとうさい」と呼ばれる白菜の一種です。葉先が開いた半結球の形をしていて、重さが3kg〜6kgと白菜よりも大きくなるのが特徴です。
漬け物に使われることが多いのですが、葉は肉厚でやわらかく、白菜と同様に調理することもできます。また、使い切りサイズとして、小さいうちに収穫される「べか菜」がありますが、こちらはお浸しや炒め物に適しています。
紫白菜
葉の赤紫色はアントシアニンによるもので、重さが1.5kg~2kgくらいのやや小ぶりの白菜です。葉がやわらかくサラダや浅漬け、炒め物などにおすすめです。
おいしい白菜の見分け方
店頭に並んでいる白菜選びのポイントをご紹介いたしますは次の通りです。
- 外側の葉が緑色で葉の先までしっかりと巻かれているもの。
- 頭の部分を軽く押すと弾力があるもの。
- 白い部分にツヤがあり、ずっしりと重いもの。
- 芯の部分が変色していないもの。
- カットしてある白菜の場合は、葉がぎゅっと詰まっていてみずみずしく、断面が盛り上がっていないもの。
白菜の栄養と効果効能
白菜の主な栄養素(100g中含有量)
- ビタミンC 19mg
- カルシウム 43mg
- カリウム 220mg
- 食物繊維 1.3g
「養生三宝(ようじょうさんぽう)」という言葉をご存知ですか?冷と温とを両方持ち合わせた食材で、滋養強壮と体力・免疫力を高める優れた精進料理のひとつです。「白菜」「大根」「豆腐」の三つが「佛」「法」「僧」の三宝に値する薬膳料理として、貴重な 食材とされています。
その一つである白菜の栄養は約95%が水分なので、決して栄養価が高いというわけではありませんが、ビタミンC以外に鉄、カルシウムの吸収に必要な成分であるマグネシウム、塩分を体外に排出する働きをするカリウムを含んでいます。
エネルギー量は、甘みの少ない分、100gあたり14kcalと、肥満防止にうってつけの低カロリー食材です。ビタミン類の量はそれ程多くはありませんが、バランスよく含まれており、食物繊維はやわらかめなので、消化吸収がとても良いです。
他にも血液の凝固作用や骨を丈夫にするビタミンK、さらには骨の健康に欠かせないカルシウムも多く含まれます。また、それほど量は多くありませんが、がん予防に効果があるといわれている「グルコシノレート」も含まれています。
白菜の保存の方法
丸ごと保存の場合
丸ごと保存したい時には、乾いた新聞紙に包んで冷暗所に置くようにすると、寒い時期であれば2週間程度持ちます。
カット保存の場合
半分にカットしたものは、切り口部分までしっかりとラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。暑い季節の時は傷みが早くなりますのでカットしたらすぐ冷蔵庫に保存するよう注意しましょう。
いずれの場合も縦にして置おくことで、白菜の呼吸量が減って日持ちがよくなるようです。
最後に
白菜が最も美味しい旬の時期に、韓国ではキムチづくりが一斉に行われます。各家庭ごとに大量のキムチを作り、キムチ専用の冷蔵庫で保管します。そのせいか白菜の原産地が韓国だと思っている方がいるようですが、白菜の原産地は中国北部と伝えられており、英名も「Chinese cabbage(中国のキャベツ)」となっています。
日本に白菜が初めて入ってきたのは1875年(明治8年)頃ですが、全国的に広まるのは、日清戦争(1894~1895)や日露戦争(1904~1905)がきっかけと言われています。この戦争の従軍戦士たちが、中国で白菜を食べて種子を持ち帰り、日本国内の各地で栽培し始め、それから急速に普及しました。
そのおかげで、今、私たちは美味しい漬物や鍋料理を、心置きなく堪能することができるのですね。