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ガーデニングで後悔しないために知っておきたいこと

初めて庭づくりをするとき、多くの人がホームセンターや園芸店で並ぶ苗を見て「これも植えたい」「この色も素敵」と気持ちが膨らみます。
ところが自宅の庭に植えると、数か月後には想像と違う姿になっていることがあります。
例えば、小さなポット苗だった植物が、半年経つとフェンスを乗り越えるように伸びたり、花壇をすべて覆いつくしたりする場面は珍しくありません。
また、庭の広さや日当たりだけでなく、普段どれだけ時間を使えるかによっても「育てやすさ」は変わります。植物の特性を把握せずに選んでしまうと、管理が追いつかなくなり、せっかくの庭が負担に感じられてしまうことがあります。
ここからは、初心者が特に注意したい“向いていない植物”の特徴を順番に紹介します。
ガーデニングに向いていない植物の特徴

以下では、実際の家庭で起きやすいトラブルを軸に、理解しやすい順で解説していきます。
1. 増えすぎて制御できない植物

庭でトラブルになりやすいのが「広がりすぎるタイプ」です。たとえば、春に植えた一株が夏には花壇の半分を占領していた、という光景はガーデニング経験者の間でよく語られます。
ここでまず、増えすぎやすい代表例を挙げます。
- アイビー(壁やフェンスに絡みつき、外壁を傷めることがある)
- ミント(地下茎で広がり、庭全体に増える)
- ドクダミ(少しの根が残っても再生する)
これらに共通するのは、植物自身の生命力が非常に強いことです。とくにミントやドクダミは、引き抜いても地中に小さな根が残っただけで再び増え始めます。
油断すると、想像よりはるかに早いペースで庭の主役が入れ替わるような広がり方をします。
アイビーも注意が必要です。小さくて可愛らしく見えますが、地植えにすると壁面を伝ってどんどん伸び、隙間に入り込み建材を痛める場合があります。フェンスに絡まった部分を剥がそうとすると、表面の塗装まで一緒に剥がれてしまうこともあります。
増えすぎる植物は、庭の外へも広がることがあります。敷地境界を越えて隣家に侵入すると、トラブルにつながる可能性もあります。
こうしたタイプを楽しみたい場合は、鉢植えで育てる、根が広がらないよう仕切りを設置するなど、栽培方法を工夫することが欠かせません。
2. 大きくなりすぎる植物

購入したときは片手で持てる小さな苗でも、数年後には庭の景色を大きく変えてしまう植物があります。とくに成長が速いタイプは注意が必要で、剪定に慣れていない初心者ほど「思ったより大きくなってしまった」と困りやすい特徴があります。
まず、成長しすぎて後悔しやすい植物を挙げておきます。
- ユーカリ大型種(数年で庭の高さを超えることがある)
- ノウゼンカズラ(つるが力強く伸び、外壁やフェンスに絡む)
- 大型庭木(枝張りが広がり、庭の日当たりが急に変わる)
例えばユーカリは、植えた当初は爽やかな葉に惹かれて選ぶ人が多いですが、成長スピードが速いため予想以上の高さになり、枝が風で折れやすくなることがあります。
ノウゼンカズラも、夏に美しい花を咲かせる一方、つるが家屋や雨どいに巻き付く力が強く、放置すると外壁に痕が残ることもあります。
大きくなりすぎる植物は、庭の風通しを悪くし、周りの植物が育ちにくくなる場合があります。最終的なサイズをイメージせずに植えると「管理しきれない植物」が庭の中心になり、負担が増える原因になってしまいます。
3. 手入れが難しい植物

庭で「きれいに咲いてほしい」と願っても、日々の作業次第で見た目が大きく変わる植物があります。
特に剪定の仕方や水やりのタイミングが重要な種類は、忙しい人や慣れていない人ほど扱いが難しく感じられやすいです。植えた瞬間は魅力的でも、想像以上に手をかけないと状態を保てないことがあります。
ここで、管理の難しさを感じやすい植物を挙げておきます。
- バラ(剪定時期と切り方が仕上がりに直結する)
- クレマチス(品種ごとに剪定方法が異なる)
- ラン類(湿度と温度管理に敏感)
例えばバラは、冬の剪定をどの位置で行うかによって花数が変わり、病害虫の影響も受けやすいためこまめな観察が必要です。
クレマチスは、同じつる性植物でも品種によって「切ってはいけない時期」が異なるため、調べずに剪定すると花が咲かなくなることもあります。
ラン類は部屋の移動や湿度の変化だけでも調子を崩すことがあり、こまめな環境管理が求められます。
こうした植物は、正しく育てれば華やかな存在感がありますが、初心者にとっては難易度が高い部類です。庭づくりに慣れるまでは、手間が少ない種類を中心に選ぶと、無理なく楽しめます。
4. 気候に合わず枯れやすい植物

植物には本来得意な気候があり、日本の高温多湿な夏と相性が悪いものは、どうしても枯れやすくなります。
園芸店では元気な姿で売られていても、家庭の庭では梅雨の湿気や真夏の蒸れに耐えられず、急に弱ってしまうケースも見られます。
ここで、日本の夏に弱い植物を挙げておきます。
- イングリッシュラベンダー(高温多湿が苦手)
- デルフィニウム(夏越しが難しく一年草扱いになることも)
- シャクナゲ(直射日光と蒸れが苦手)
イングリッシュラベンダーは、風通しの良い乾燥した環境を好むため、日本の梅雨時期には株元が蒸れて枯れてしまうことがあります。
デルフィニウムも同様で、地植えだと夏の高温に耐えきれないことが多いです。シャクナゲは葉焼けを起こしやすく、直射日光を避けた場所でも蒸れには弱いという難しさがあります。
気候と合わない植物は、どれだけ手をかけても環境づくりに限界があります。風通しや用土を工夫しても、初心者には管理の負担が大きくなりやすいため、庭の特徴と植物の原産地の相性を意識して選ぶことが大切です。
5. 虫がつきやすい植物

ガーデニングでは、虫の存在は避けられませんが、種類によっては特に害虫が発生しやすく、初心者が疲れてしまう原因になることがあります。
虫がつくと葉が変色したり、枝が弱ったりと見た目に影響するだけでなく、広がるスピードも速いため、こまめな管理が必要です。
ここで、虫がつきやすい植物を挙げておきます。
- ツバキ・サザンカ(チャドクガが発生しやすい)
- ヒメリンゴ・ウメ(アブラムシやカイガラムシがつく)
- 一部のバラ(病害虫の標的になりやすい)
ツバキやサザンカにつきやすいチャドクガは、幼虫の毒針毛に触れると強いかゆみを引き起こし、庭仕事に支障が出るほどです。
ヒメリンゴやウメなどは、アブラムシやカイガラムシが枝にびっしりつくことがあり、見た目が悪くなるだけでなく植物が弱る原因になります。一部のバラもよく病害虫のターゲットになるため、観察の頻度が増えがちです。
虫がつきやすい植物は、こまめなチェックと早めの対処が必要です。十分な時間が取れない場合は、こうした植物を避けることでガーデニングの負担を大きく減らすことができます。
6. 根が強すぎて庭に負担をかける植物

庭づくりでは、地上に見える姿だけでなく、地中でどのように根を張るかも大切です。
植物の中には、しっかり根を下ろす力が強く、気づかないうちに地面を押し上げたり、フェンスの下をくぐって伸びてしまうものがあります。普段見えない部分で起きるため発見が遅れがちで、気づいたときには手に負えなくなっていることもあります。
ここで、根によるトラブルが起きやすい植物を挙げておきます。
- ポプラ(広範囲に根が伸び、地面を持ち上げることがある)
- アラカシ(力強い根で庭のスペースを圧迫しやすい)
- 大型ユーカリ(成長が速く、地中の根張りも勢いがある)
また、つる植物のアイビーは地中の根とは違う意味で注意が必要です。壁やフェンスに絡みついたつるが入り込んだ隙間を埋め、外すときに塗装が剥がれたり、素材自体を傷めたりする場合があります。建物の近くに植えると湿気がこもりやすくなる点も注意が必要です。
根は見えにくいからこそ、植える前に「この植物はどのくらいの範囲で根を広げるのか」を想像しておくことが重要です。
初心者が育てやすい植物の選び方

ガーデニングを続けるうえで、植物選びは最初の大きな分岐点です。
特に初心者のうちは、手入れの負担が少なく、気候の変化に強い種類を選ぶと、日々の管理が負担になりにくく、自分のペースで庭づくりを楽しめます。
「この植物なら続けられる」という経験は、自信にもつながり、難しい植物に挑戦するときの土台にもなります。
ここでは、初心者が植物を選ぶときに役立つ基準と、実際に育てやすい例を紹介します。
育てやすい植物の共通点
初心者でも扱いやすい植物には、次のような特徴があります。
- 広がり方が穏やか
- 病害虫に強く、こまめな観察が必要ない
- 夏の蒸れや冬の寒さに比較的強い
- 植える場所の選択肢が多い
こうしたタイプは、基本のお手入れだけで形が崩れにくいため、日々の負担を感じにくくなります。
実際に初心者でも育てやすい植物

ここで、実際に育てやすく、園芸店でも手に入りやすい植物を挙げておきます。
- マリーゴールド(丈夫で虫がつきにくい。花期が長い)
- ペチュニア/カリブラコア(春から秋まで花を楽しめる)
- ニチニチソウ(暑い日差しに強く、管理が楽)
- ローズマリー(乾燥に強く、料理にも使える)
- レモンバーム(ミントほど広がらず、扱いやすい)
- アオキ(耐陰性が高く、日陰の庭に最適)
- オリーブ[鉢植え](乾燥に強く、おしゃれな庭作りに役立つ)
どれも特別な技術を必要としない種類で、普段の生活に無理をしなくても育てられます。
こうした植物で庭づくりに慣れていけば、植物の変化にも気づきやすくなり、管理が難しい種類にも徐々に挑戦しやすくなります。
まずは鉢植えから始める方法もおすすめ

植える場所に自信がないときや、環境が植物に合っているか確かめたいときは、鉢植えから始めるのが安心です。鉢植えなら、日当たりの強い時間帯は日陰へ移したり、雨が続く日は風通しの良い場所へ置いたりと、環境を柔軟に調整できます。
また、鉢植えで育てると植物の性質を観察しやすく、「この植物は意外と大きくなる」「水やりの頻度が多い」といった特徴にも自然と気づけます。
庭全体に広がる前に対処できるため、初心者にとって負担の少ない選択肢です。
まとめ

ガーデニングに向いていない植物には、増えやすさや管理の難しさ、気候との相性などの理由があります。こうした特性を理解することは、自分の庭と向き合い、無理なく続けるための大切な一歩になります。
植物選びがうまくいけば、庭は日々変化し、季節ごとに違う表情を見せてくれます。難しい植物は、慣れてから少しずつ挑戦すれば良いので、まずは自分の生活に寄り添ってくれる植物から始めてみてください。
ガーデニングは「育てる」ことだけでなく、植物とともに過ごす時間そのものが、庭づくりの楽しさを深めてくれます。









