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レーヨンの特徴
レーヨンが縮むのは洗濯方法に原因があります。レーヨンは一度縮むと元の状態には戻せません。そもそもレーヨンとは、シルクに似せて人工的に作った化学繊維のひとつです。化学繊維と言っても、石油を原料にしたポリエステルのようなものとは違って、紙の原材料である天然のパルプで作られている環境にやさしい素材です。
レーヨンの主な特徴をいくつかあげてみましょう。
- シルクのような光沢がある
- 柔らかいのでドレープをきれいに出せる
- 染色しやすく、発色もきれい
- 主におしゃれ着に使われている
- 水にとても弱くシワになりやすい
- 濡れると縮みやすく一度縮んでしまうと復元できない
レーヨンの正しい洗濯方法
レーヨンは縮むので自分で洗濯せずにクリーニングに出す方が多いようです。家庭での洗濯が難しいレーヨンですが、配合率が30%~50%程度の物でしたら、水が染み込みにくいように糸の表面に加工がしてあるものがあります。縮み防止の加工がされているレーヨンはご自宅で洗濯することが出来ます。
まず初めに、洗濯表示のタグを必ず確認しましょう。洗濯表示のタグに「洗濯機OK」や「手あらいOK」のマークが印字されていれば、家庭で洗濯ができますので問題ありません。
レーヨンが縮むのを防ぐ洗い方
レーヨンが縮むの防ぐ洗い方として、洗濯機で洗う場合と、手洗いの方場合の方法を説明します。
洗濯機で洗う場合
- ご家庭の洗濯機を使う時には、軽くたたんで洗濯ネットに入れて洗います。
- 洗剤は通常の洗濯洗剤ではなく、エマールやアクロンなどのおしゃれ着専用の洗剤を使ってください。おしゃれ着専用の洗剤は、レーヨンに限らず縮みや型崩れ、シワなどを最小限に抑える成分になっているからです。
- 洗濯機の「ドライコース」や「手洗いコース」の機能は、洗濯物に強い負荷がかからず洗濯機を使っても優しく洗うことが出来るようになっているので、そのコースに設定して洗います。
手洗いする場合
「ドライコース」や「手洗いコース」の機能が洗濯機についてない場合は、無理に洗濯機を使って洗わずに手洗いして下さい。
レーヨンが配合された服は、水洗いがOKになっていても絶対に縮まないとは言いきれないので、生地への負担を少なくするためにも、できる限り短い時間で洗うようにします。柔軟剤は水に浸す時間が長くなるので、使わない方がいいでしょう。
手洗いの手順
- 桶に水を張りおしゃれ着用洗剤をよく溶かす。
- 衣類を優しく押し洗いし、さっとすすぐ。
- 脱水は短時間、洗濯機を使うか、またはタオルドライをする
- 風通しの良い所で陰干しする
アイロンでシワを伸ばすコツ
レーヨンはとても縮みやすい素材ですが、原料に綿が含まれているので、縮むだけではなく、シワもつきやすい素材です。
家庭でレーヨンを洗濯した結果、縮むのは防げたとしても脱水が原因でシワがついてしまいます。そのような時は、アイロンを利用してシワを伸ばしましょう。水だけでなく、熱や摩擦にも弱いデリケートな素材のレーヨンにアイロンをかける時には、注意しなければならないことがいくつかあります。
注意すべき点に気を付けてアイロンをていねいにかければ、買った時の風合いが戻ります。
- 光沢を損なわないように当て布をする
- 「スチーム」でなく「ドライ」を使う
- アイロンの設定温度は洗濯表示に従う
- 繊維の流れに沿って一方向に軽めにかける
縮んだレーヨンを元に戻す方法
縮んでしまったレーヨンは、基本的には元には戻りません。ですが、お気に入りの服であればあるほど諦めきれませんよね。このまま着られなくなってしまうよりも、どうにかして少しでも伸ばす方法はないものか悩んでしまった時のために、対処法を2つ紹介します。
スチームアイロンで伸ばす
生乾きの状態の生地を強く引っ張って伸ばし、その伸ばした状態を保ちながらスチームアイロンをかけるという方法です。縮んでしまった洋服を、洗濯した時と同じように水で濡らし、軽く脱水をします。
アイロンをかける時は、かなり強い力で引っ張り続けますので、ある程度のところまで伸ばすことができます。ですが、レーヨンが苦手な水に濡らしたり強い力で引っ張ったりする為、生地へのダメージが残る場合がありますので注意が必要です。
コンディショナーを使う
洗髪の時に使うリンスやコンディショナーを水に溶かし、その中に縮んだ洋服を浸して元に戻すという方法です。この時に利用するリンスやコンディショナーは、アモジメチコンという成分が入ったシリコン配合のものでなければ意味がありません。
リンスやコンディショナーの分量はセーターやカーディガン1枚に対して3プッシュ程度。これを洗い桶に張った水で薄めて使います。30分程度浸したあとは、水ですすぎ、短時間脱水をしてから形を整えて干します。
この方法はつけておくだけなので、アイロンを使用した時のように生地を傷めずにすみます。
2つの方法とも完璧な状態に戻すのは難しいかもしれませんが、諦める前に一度試してみてください。ただし、この復活方法を何度も繰り返すと洋服を傷めてしまう可能性があります。
レーヨンを洗う時の注意点
汗による黄ばみに注意
レーヨンはひんやりとした肌触りで、暑い夏にはうってつけの素材なのですが、吸水性が高いので、その分汗も吸ってしまいます。その汗が黄ばみや臭いに変わることもあるので、着用したらきちんと洗濯しておきましょう。
短時間で洗う
レーヨンは、水につけている時間が長くなればなるほど縮んでしまう可能性が高くなりますので、洗いもすすぎも脱水もそれぞれ20秒から30秒の短時間で行うようにしましょう。
ハンガーにかける
干す時はハンガーにかけておくことで、その洋服の濡れている重さによって下に引っ張られ、多少縮むのを防止出来ます。
直射日光は避ける
レーヨンは湿気にも弱い素材なので、直射日光は避け、風通しの良い場所に干してしっかり乾燥させましょう。
洗濯表示タグを確認する
洋服を選ぶ際には生地の洗濯表示タグを確認し、同じレーヨンでも水洗いができて縮み防止の加工がしてあるものを選ぶようにしましょう。
レーヨン100%の衣類の場合
レーヨン100%の衣類は迷わずクリーニングへ出すようにしてください。レーヨン100%の場合は、ほとんどのものが洗濯表示のタグには「水洗い不可」と表示されています。水洗いできない理由は、レーヨンが水を吸ってしまうと繊維が膨張してしまって、糸同士の引っ張る力が強くなり、結果として縮んでしまうからです。
タグに「レーヨン100%」「水洗いNG」と書かれているものや、ヴィンテージのアロハシャツなどは、シワの心配もあるので無理に家庭で洗濯しようとせず、クリーニング店にお願いした方がいいでしょう。
レーヨンには「ウォータースポット」と呼ばれる現象が起きてしまうことがあります。水の影響を受けやすいレーヨンは、水に濡れた部分が膨らんだり縮んだりする為に、乾いてからもデコボコしていて光の反射によってシミのように見えてしまうのです。これが水シミ、またはウォータースポット現象と呼ばれるものです。
雨で濡れただけでもこの水シミができてしまう可能性があります。この水シミができてしまったら、家庭で元通りにすることは大変難しいので、なるべく早めに専門のクリーニング店にお願いしましょう。お店によっては水シミには対応してもらえない場合もありますので、持ち込んだ際に水シミに対応してもらえるかどうかをしっかり確認してみてください。
最後に
一度縮んでしまったら元に戻すのが難しいレーヨンですが、レーヨン100%でない洋服でも、クリーニング店に出すと生地を傷めることなくきれいに仕上げてくれます。高価な洋服は最初からプロの手にお任せると安心ですね。
レーヨンを使った洋服でも、お手入れや洗濯するポイントを守ればシワや縮みが気になるからと、あまり神経質にならなくても大丈夫です。着たあとは、毎回洗濯しなくてもハンガーにかけておくだけで多少のシワなら伸びますし、湿気も抜けます。レーヨンの特徴を理解して、たくさんおしゃれを楽しんでくださいね。