目次
肉の冷凍保存、正しくできていますか?
肉をまとめて購入し、使わない分を冷凍保存するのは節約にも便利です。しかし、誤った方法で肉を冷凍すると、味や鮮度が落ちるだけでなく、食中毒の危険性まで高まってしまいます。
肉を冷凍保存する時には、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、鮮度を保ちつつ、安全でおいしい状態を長く維持できます。この記事では、肉を冷凍する際に多くの人が無意識にやってしまう絶対避けるべき行動を分かりやすく解説します。
肉を冷凍するときに避けるべき6つのNG行為
せっかく買ったお肉がムダになったり、体調を崩したりしないよう、肉を冷凍する時に避けるべき行動を一つずつ丁寧に解説します。自分に当てはまる項目がないかチェックしてみてください。
①買ってきたパックのまま冷凍庫に入れる
スーパーで買ってきた肉をそのままパックごと冷凍庫に入れる人は意外と多いです。しかし、この行動は絶対に避けるべきです。
スーパーのトレーは空気が入りやすく、肉が酸化して風味が損なわれたり、乾燥して冷凍焼けを起こしたりします。また、トレーは冷気を伝えにくい素材のため、肉の冷凍に時間がかかり、細胞が傷ついて味が落ちる原因になります。
②肉についた水分を拭き取らずに冷凍する
肉の表面には「ドリップ」と呼ばれる水分がついていることがあります。このドリップには肉の臭みや細菌の原因が含まれているため、そのまま冷凍すると解凍時に臭みが増し、菌が繁殖しやすくなります。
肉を冷凍する前には必ずキッチンペーパーでドリップを丁寧に拭き取りましょう。
③解凍した肉を再冷凍する
一度解凍した肉を再冷凍すると、肉の細胞がさらに壊れて保水力が失われ、食感がパサついてしまいます。また、解凍中に増えた細菌は再冷凍しても死滅せず、次に解凍した時にはさらに増殖しやすくなり、食中毒のリスクが高まります。
再冷凍は絶対に避け、一度解凍した肉は必ず使い切るようにしましょう。
④厚さや大きさがバラバラのまま冷凍する
肉の大きさや厚さがバラバラのまま冷凍すると、冷凍や解凍の際に温度ムラが起こりやすくなります。特に厚い部分がしっかり凍るまでに時間がかかるため、細胞が傷ついてドリップが大量に発生し、旨味や水分が失われる原因になります。
また、解凍時に厚みが不均一だと解凍ムラが生じ、食感や味にも影響します。肉を冷凍する際はできるだけ均等な厚さに整えて保存することが大切です。
⑤空気を十分に抜かずに冷凍する
肉を冷凍する時にラップで包むだけで済ませてしまうと、肉とラップの間に空気が残り、冷凍焼けを引き起こします。冷凍焼けした肉は風味が落ち、食感もパサパサになってしまいます。
また、空気が入っていると冷凍庫内での酸化が進み、肉本来の鮮度や味が損なわれます。冷凍保存する際は、肉をぴったりラップで包んだ上で、冷凍用保存袋に入れてしっかり空気を抜きましょう。
⑥冷凍庫に肉を詰め込みすぎる
冷凍庫にたくさんの食材を詰め込みすぎると、冷気が十分に行き渡らなくなります。肉を素早く凍結できないため、凍結に時間がかかり、肉の細胞が壊れ、ドリップが多く発生します。
結果的に肉の味や食感が落ち、さらには他の食品の冷凍品質も低下させる原因になります。肉を冷凍する際は冷凍庫内に余裕をもたせ、冷気がしっかり循環するようにしましょう。
冷凍した肉をおいしく解凍するためのポイント
冷凍保存した肉をおいしく安全に食べるには、解凍の方法にも注意が必要です。間違った方法で解凍すると、せっかく鮮度良く保存した肉の品質が一気に落ちてしまいます。
ここでは家庭で簡単に実践できる、安全でおいしい解凍方法を具体的に紹介します。
冷蔵庫でじっくり解凍する
肉を解凍する際、最もおすすめなのが冷蔵庫でじっくりと解凍する方法です。低温でゆっくり解凍することで、肉の細胞へのダメージを最小限に抑え、旨味や水分を逃がしません。
冷蔵庫で解凍する際には肉を受け皿に乗せ、ドリップが他の食品に触れないように冷蔵庫の下段に置きます。また、解凍した肉はその日のうちに調理して食べきるよう心がけましょう。
急ぎの場合は密閉して冷水解凍する
時間がない場合は冷水を使った解凍がおすすめです。冷凍肉をしっかり密閉できる袋に入れ、水を張ったボウルに浸けて解凍します。
この時、水の温度が上がらないよう、氷を少しずつ加えると効果的です。密閉袋を使わず直接流水に当てると、旨味や栄養素が流れ出てしまうので注意しましょう。
電子レンジで解凍するときは短時間で様子を見る
電子レンジを使った解凍は短時間でできる便利な方法ですが、注意が必要です。
電子レンジの出力が強すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、肉の一部が加熱されてしまい、肉汁(ドリップ)が大量に出て食感や風味が失われてしまいます。
電子レンジを使う際は必ず低いワット数(200W程度)で短時間ずつ加熱し、こまめに肉を裏返しながら半解凍の状態で止めるようにしましょう。解凍したらすぐに調理することが大切です。
ドリップ(肉汁)が出る理由と防ぐ方法
肉を解凍するときに出てくる赤い液体は「ドリップ」と呼ばれます。このドリップには、肉の旨味成分や水分がたくさん含まれているため、ドリップが多く出ると肉本来のおいしさが失われてしまいます。
ドリップが出る原因を理解し、その対策を知ることで、冷凍肉をよりおいしく安全に食べられるようになります。
ドリップが出る主な原因は細胞の破損
ドリップが出る主な原因は、肉の細胞が冷凍・解凍によって壊れてしまうことにあります。肉をゆっくり冷凍したり、常温やお湯など急激な温度変化で解凍したりすると、肉の中に大きな氷の結晶ができやすくなります。
この氷の結晶が細胞を破壊し、保水力が低下して肉汁が大量に流れ出てしまいます。
ドリップを抑える冷凍方法
ドリップを減らすには、まず肉を急速に冷凍することが重要です。金属製のトレーやアルミバットなど、熱伝導率の高い素材に肉をのせて冷凍すると、短時間で冷凍ができ、細胞へのダメージを最小限に抑えられます。
また、小分けにして薄く平たくすることで冷凍速度が速まり、ドリップを抑える効果があります。
ドリップを抑える解凍方法
解凍時にドリップを減らすには、低温でゆっくり解凍することが大切です。最も推奨される方法は冷蔵庫で時間をかけて解凍することです。
冷水解凍や電子レンジを使う場合も、温度の急激な変化を避け、半解凍の状態で調理を開始するのがポイントです。
まとめ
肉を冷凍する際のNG行為を避け、安全かつおいしく食べるためには、買ったその日に適切な方法で冷凍保存することが大切です。
意外と知られていないことですが、肉の冷凍は長期間鮮度を保てる万能な保存方法ではありません。ひき肉なら約2週間、薄切り肉でも1か月以内に食べ切ることが理想的です。冷凍庫内の整理整頓や定期的なチェックを行い、冷凍肉を無駄なく安全に活用していきましょう。