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SNS発の炊飯器レシピは安全?危険?
SNSや動画サイトでは、炊飯器を使った料理レシピが人気を集めています。材料を入れてスイッチを押すだけで料理が完成する手軽さが注目され、多くの人が真似をしています。
しかし、炊飯器はもともと「お米を炊く」ことを目的として設計されており、調理用の機能がついていない炊飯器で無理に料理を作ろうとすると、さまざまなリスクがあります。
SNSで広まったレシピをそのまま真似してしまうと、次のようなトラブルが起きる可能性があります。
- 炊飯器が壊れる
- 蒸気が噴き出してやけどをする
- 食材が飛び散るなどの事故
便利で手軽に見えるレシピでも、炊飯器の仕組みや性質を理解していないと、思わぬ事故につながります。安全に使うためには、炊飯器に絶対に入れてはいけない食材や調理方法を把握することが重要です。
なぜ危ない?炊飯器に入れてはいけないもの一覧
炊飯器には入れると危険な食材や調理方法があります。それらを使った調理をすると、蒸気の通り道が塞がれたり、温度センサーが誤作動を起こしたりして、炊飯器が壊れたり事故が起こる可能性が高くなります。
以下にその具体的なものと理由を説明します。
①ポリ袋・ラップ・アルミホイル・クッキングシート
SNSでよく見かけるのが、ポリ袋やラップ、アルミホイル、クッキングシートを使った調理方法です。こうした素材を炊飯器の中に入れると、蒸気口や内ぶたに張り付きやすくなり、蒸気の通り道をふさいでしまいます。
蒸気の通り道がふさがれると、内部の圧力が急激に高まり、蒸気が吹き出したりフタが突然開いたりして、やけどの危険があります。また、内圧が高まることで炊飯器が故障する原因にもなります。
②カレーやシチューなど、とろみがある料理
炊飯器でカレーやシチュー、ジャムなどのとろみのある料理を調理すると危険です。とろみのある食材は熱がこもりやすく、炊飯器内の温度センサーが誤作動を起こすことがあります。
センサーが誤作動すると、炊飯器が異常な高温になり、内釜が焦げ付くリスクが高まります。さらに、蒸気が正常に排出されず、食材が吹きこぼれ、事故や炊飯器の故障を引き起こす恐れがあります。
③多量の油を使った料理
油を多量に入れて調理する方法も、非常に危険です。炊飯器は油を大量に使う調理用には設計されておらず、温度センサーが正常に作動しなくなります。そのため、炊飯器の底が焦げたり、高温になりすぎて火災につながる恐れがあります。
また、油は加熱されると高温になりやすく、突発的な油はねなどで、やけどをするリスクもあります。安全のため、多量の油を使った調理は避けるべきです。
④豆類・麺類・練り物など、膨らむ食材
炊飯器に豆類や麺類、練り物など、調理中に膨張する食材を入れると非常に危険です。これらの食材は熱を加えることで水分を吸収し、大幅に体積が増えます。
炊飯器は内部の水分量や温度をコントロールして動いていますが、膨らむ食材を入れると蒸気の通り道が塞がれやすくなり、内圧が異常に高まります。その結果、中身が吹きこぼれたり、突然ふたが開いて中の熱い食材が飛び散ったりする恐れがあります。特に圧力式炊飯器では、このリスクが非常に高くなります。
⑤重曹など泡が出やすいもの
重曹を使ったレシピも一部SNSなどで見かけますが、炊飯器で使うと危険です。重曹は加熱すると急激に泡が発生します。この泡が炊飯器の蒸気口や調圧孔を塞ぎ、内部の圧力が逃げられなくなります。
その結果、蒸気が噴き出したり内容物が飛び散ったり、最悪の場合は破裂につながるリスクがあります。泡立ちやすいものは炊飯器で調理しないよう注意しましょう。
⑥葉物野菜や皮がついた野菜
ほうれん草やキャベツなどの葉物野菜、トマトなど皮がついた野菜も炊飯器で調理すると注意が必要です。これらの野菜は加熱すると柔らかくなり、蒸気口や調圧孔、内ぶたなどに張り付きやすくなります。
野菜の葉や皮が蒸気の出口を塞ぐと、中の蒸気がうまく排出されず、内部圧力が異常に高まります。フタが急に開いたり蒸気が吹き出たりして、やけどや故障の原因となります。
葉物野菜を使う際は炊飯器ではなく、フライパンや鍋で調理するのが安全です。
⑦酸性が強い食材(酢・レモン汁など)
酢やレモン汁など酸性が強い食材を炊飯器に入れることもおすすめしません。酸は炊飯器内釜のフッ素コーティングを劣化させる原因になります。
コーティングが剥がれると、食材が焦げ付きやすくなったり、釜が傷ついたりして、炊飯器の性能が落ちます。長期間、酸性食材を使った料理を繰り返すと、釜が損傷し買い替えが必要になることもあります。
酸味のある料理は炊飯器以外の調理器具を使用したほうが安全です。
炊飯器で安全に調理するためのポイント
炊飯器で調理する際に安全を確保するためには、いくつかのポイントを守る必要があります。以下のルールを意識して安全に調理を行いましょう。
調理機能がある炊飯器を使う
炊飯器で料理を作る場合は、必ず調理機能がついている炊飯器を使うようにしましょう。一般的な炊飯器はお米を炊く専用のプログラムしか搭載されておらず、それ以外の用途に使うと壊れるリスクが高まります。
調理機能が付いている炊飯器は、温度や圧力を料理ごとに適切に調整してくれます。説明書に書かれた調理モードやメニューを必ず選んで使用するようにしましょう。
最大容量・最小容量を守る
炊飯器には最大容量と最小容量が設定されています。これを守らないと、吹きこぼれや焦げ付きが発生しやすくなります。
多すぎると、蒸気がうまく逃げられず事故や故障の原因に、少なすぎると温度が上がりすぎて内釜が焦げる原因になります。必ず目盛りや説明書に記載された量を守って調理しましょう。
材料の切り方に注意する
調理の際、材料を大きく切りすぎたり、小さく切りすぎたりすると、均一に加熱されず温度センサーが正常に働きにくくなります。
肉や野菜は均等なサイズで一口大に切り、均一に並べて熱が均等に伝わるようにすると、安全で美味しく調理できます。
蒸気口や調圧孔をふさがない
炊飯器の蒸気口や調圧孔をふさぐと内部圧力が高まり、フタが突然開いたり、中身が吹き出したりして危険です。食材や道具、調理時の水蒸気などでふさがないよう、炊飯器の周囲をきれいに保つことが重要です。
調理前には、蒸気口や調圧孔に食材が近づかないように食材の配置を工夫し、調理後は毎回蒸気口や内ぶたなどを丁寧に洗浄するよう心がけましょう。
調味料入りのご飯は長く保温しない
炊き込みご飯や混ぜご飯など、調味料が入ったご飯を長時間保温するのは避けるべきです。調味料は腐敗や臭い移りの原因となります。
保温機能は便利ですが、調味料入りのご飯はなるべく早めに食べきるか、余ったら別容器に移して冷蔵保存するようにしましょう。
炊飯器の外側の水滴を拭き取る
炊飯器を使う前に、本体外側や底面についている水滴は必ず拭き取ってください。濡れたまま使用すると、内部の電気回路がショートしたり、感電したりするリスクがあります。
特に底面の電極部分は水分がつきやすく、使用前に乾いた布やペーパーで必ず拭き取ることが重要です。
まとめ
SNSで流行している炊飯器料理には、便利で手軽なものもありますが、炊飯器本来の用途を無視すると故障や事故につながります。
安全に料理を楽しむには、流行を安易に真似するのではなく、自宅の炊飯器に調理機能があるか確認し、説明書の指定通りの使い方を徹底しましょう。
また、炊飯器で調理をする際は、できるだけ炊飯専用の機種とは別に調理機能があるタイプを準備することをおすすめします。