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「自分のことを棚に上げる」とはどんな意味?
「自分のことを棚に上げる」とは、自分の欠点やミスを無視したり軽く考えたりしながら、他人の同じような欠点やミスを厳しく指摘することを言います。
つまり、自分には甘く、他人には厳しい態度を取る人を表す表現です。
「自分を棚に上げる」という表現は、自分に都合の悪いことを棚の上に置いておき、見えないようにしておくイメージから生まれました。自分の問題から目をそらし、相手だけを責めている状態を表します。
自分のことを棚に上げる人と接すると疲れる理由
自分のことを棚に上げる人と接していると、どうしても心身ともに疲れてしまいます。その主な理由は、彼らの言動に矛盾を感じたり、不公平な扱いを受けていると感じたりするためです。
本人が気付いていない矛盾を感じ続けると、次第にストレスや怒りが溜まってしまいます。こうした疲れを減らすためには、彼らの特徴や心理をしっかり理解することが大切です。
自分のことを棚に上げる人によくある特徴
自分を棚に上げて人を責める人には、共通した特徴があります。なぜ彼らはそういう態度を取るのかを理解することで、無駄な衝突やストレスを回避できるようになります。
①自分には甘く、他人には厳しい
自分のことを棚に上げる人は、自分のミスや欠点については「誰にでもあること」「仕方ない」と考え、あまり気にしません。しかし、他人が同じことをすると許せずに厳しく叱ったり、非難したりします。
こうした態度になるのは、自分が非難されたくない、傷つきたくないという気持ちが強いためです。他人を責めることで自分を守り、安心感を得ようとしているのです。
②小さなミスでも大げさに指摘する
相手がミスをした時、ささいなことであっても大騒ぎしたり、厳しい口調で指摘したりします。特に、相手が自分より立場が弱い人や、口答えをしない相手だと強気になることがあります。
なぜこんな態度になるかというと、他人を落として自分が優位に立ちたい、または自分のストレスを発散したいという心理が働くからです。他人の失敗を大きく見せることで、自分の価値を高めたように感じています。
③プライドが高く、いつも上から目線
自分を棚に上げる人はプライドが高く、常に自分が正しいと感じています。自分の意見が絶対だと思い込み、他人の意見を軽視したり見下したりします。また、他人の欠点や弱みを見つけるのが得意で、それを指摘することに喜びを感じています。
彼らがこうした態度を取るのは、自己評価を高く保ちたい、自尊心を守りたいという思いが非常に強いためです。他人を下げることで自分の価値を上げているような錯覚を抱いています。
④自分の問題を他人に押し付ける
自分を棚に上げる人は、自分が責任を負うべき問題を他人に押し付ける傾向があります。失敗やミスが起こると、「これはあの人のせいだ」「自分の責任ではない」と考えます。
この態度の背景には、自分が失敗を認めたり責任を取ったりすると、自尊心が傷つくという恐怖があるからです。他人に責任を押し付けることで、自分のプライドを守ろうとしています。
⑤自分中心で他人への関心が薄い
自分を棚に上げる人は、基本的に自分のことが最優先であり、他人への関心が薄い傾向があります。他人の気持ちを考えずに平気で傷つける発言をしたり、自分が優先されるのが当然だと思ったりします。
こうした傾向は、他人の気持ちや立場を想像する共感力が低いために起こります。相手の気持ちが分からず、意図せずに人間関係を壊してしまうことも少なくありません。
自分のことを棚に上げる人の心理を深掘り
自分のことを棚に上げて他人を批判する人の行動には、その人の心理が深く関係しています。なぜ彼らは自己中心的で他人に厳しくなるのか、その心理的背景を詳しく解説します。
自分の弱さを隠したいという気持ちが強い
自分のことを棚に上げる人の多くは、実は内心では自分に自信がありません。自分の弱さや欠点を受け入れることができず、それを隠すために他人に対して厳しくなります。
自分の問題を指摘されると自尊心が傷つくため、あらかじめ他人を責めることで自分が攻撃されるのを防いでいるのです。こうした態度は、「自分は大丈夫だ」と安心感を得るための自己防衛本能からくるもので、本人自身も無意識に行っています。
他人を責めることで優越感を感じたい
自分のことを棚に上げる人は、心の奥底に「自分は他人より優れている」という感覚を強く持ちたいと感じています。
実際の能力や成果で優位に立つことが難しい場合でも、他人の欠点やミスを指摘することで相対的に自分が上の立場になったように感じ、満足感を得るのです。
つまり、他人を批判して自分の存在価値を高める心理が強く働いています。こうした行動を繰り返すことで、本人自身も気づかぬまま自尊心を守っているのです。
自分の問題に向き合う勇気がない
自分のことを棚に上げて他人を責める人は、自分の問題と向き合うことを非常に恐れています。自分の失敗や欠点を認めてしまうと、自尊心が崩壊し、自分自身を受け入れられなくなると感じています。
そのため、自分自身の問題や欠点から目を背け、他人の問題ばかりに目を向けることで精神的な負担を軽減しています。こうした態度を繰り返すうちに、自己反省や自己改善の機会を失い、成長が止まってしまう傾向があります。
自分のことを棚に上げる人に多いトラブルや末路とは?
自分のことを棚に上げて他人を批判する人の態度は、長期的に見るとさまざまなトラブルや問題を引き起こします。こうした行動を続けると、最終的にはどのような末路を迎えるのかを解説します。
人間関係のトラブルが増える
自分のミスは見逃し、他人のミスには厳しい態度を取るため、周囲の人から不満が募ります。相手の気持ちを傷つけたり、不公平な態度を取り続けることで、友人や職場の仲間が離れていき、孤立する可能性が高くなります。
信頼を失ってしまう
自分のことを棚に上げる人は、周囲から信頼されにくくなります。自分のミスを認めず、責任を他人に押し付けたりすると、周囲の人々は「この人は信用できない」と感じます。その結果、仕事や重要な役割を任されなくなり、キャリアの停滞につながることもあります。
精神的な成長が止まる
自分の問題を認めて改善することができないため、精神的な成長が止まります。年齢や立場が変わっても同じような問題行動を繰り返し、人生においても人間関係においても進歩や成長を感じられなくなります。
職場や家庭での上手な対処法とは?
自分のことを棚に上げる人に対して、正面から感情的にぶつかっても状況は良くなりません。職場や家庭などでこうした人と接する際のストレスを軽くするための、具体的な方法を紹介します。
相手の言葉を感情的に受け止めない
相手の不公平な態度や言動をいちいち感情的に受け止めていると、自分がストレスを感じてしまいます。そのため、相手が理不尽なことを言ってきても、冷静に受け流す姿勢が重要です。反応を控え、軽く聞き流すように意識することで、自分自身を守ることができます。
具体的な事実を伝えて相手に気づかせる
自分を棚に上げる人には、感情的な批判や抽象的な指摘は通じません。効果的なのは、具体的な日時や出来事を示しながら事実だけを伝えることです。相手に具体的な矛盾や問題点を指摘することで、自分の態度に気づかせることができます。
例えば、「昨日、あなたも同じことをしていたけれど、それについてはどう考える?」と冷静に問いかけると、相手も冷静になり、自分の態度を見直すきっかけになります。
適度な距離を保って付き合う
どうしてもストレスを感じる相手とは、適度な距離を保つことが最も有効です。仕事や家庭などで関わりを完全に避けられない場合でも、プライベートな話題は避け、必要最低限のコミュニケーションだけにとどめるようにします。
無理して相手の機嫌を取ったり、親密になろうとしたりすると、逆にストレスが溜まってしまいます。
周囲や上司を巻き込む
自分一人で対処するのが難しい場合は、第三者の力を借りることも検討しましょう。職場であれば上司や信頼できる同僚に相談すること、家庭内であれば他の家族に協力を求めることが有効です。
第三者が客観的に状況を把握し、相手の態度や言動を正してもらうことで、問題が改善されることも多くあります。
まとめ
自分を棚に上げて人を責める人は、心の中に深い不安や弱さを抱えている場合がほとんどです。彼らの行動の裏にある心理を理解し、冷静に受け流しながら適度な距離感を持つことで、自分自身の精神的な負担を大幅に軽減できます。
また、自分自身が相手と同じような態度を取ってしまわないように、日頃から自己反省や他人への思いやりを心掛けることで、周囲からの信頼や尊敬を得ることにつながります。