蒸し器とせいろの種類と使い方!おいしく仕上げる方法とコツ

蒸し器とせいろ

蒸し器というのは、せいろも含め、蒸し料理を作るための調理器具全般のことをいいます。せいろや蒸し器を使うというとハードルが高く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はとっても簡単なんです。せいろや蒸し器で蒸気を発生させて調理したい食材を入れるというちょっとしたコツをつかめば、手間もかからず手軽に、おこわや野菜蒸し、焼売などの点心など、本格的な味を楽しむことができるのです。

蒸し器とせいろの違いは?

蒸し器とせいろ

蒸し器というのは、蒸し料理を作るための調理器具全般のことを指します。「蒸気を発生させて調理したい食材を入れて蒸す道具」という括りなので、せいろも蒸し器のうちのひとつに含まれます。

  • せいろ(蒸篭)
  • ステンレスやアルミなど金属製の蒸し器
  • ガラスの蒸し器
  • 電気蒸し器

これらををまとめて「蒸し器」と称します。ただし、木製の蒸し器のことをせいろ(蒸篭)と呼ぶのが一般的なようです。木製のせいろと、他に材質が異なる3種類の蒸し器の特徴を解説したいと思います。

木製のせいろについて

蒸し器とせいろ

せいろの種類

せいろというのは、竹や木で作られた蒸し器のことを言います。「杉せいろ」「白木せいろ」「檜せいろ」など材質が異なるものがいろいろある他に、「中華せいろ」や、深さがある「和せいろ」、地方によっては甑(こしき)と呼ばれるせいろもあります。

和せいろと中華せいろは見た目がよく似ていますが、和せいろの方が、おこわや根菜、茶碗蒸しなどを蒸すのに適しています。

木枠の底に敷くすだれ(すだれぶた)の形は、木製で鍋に乗せて使う丸型と、釜に乗せて使う角型があります。角形は和菓子などの業務用として使われていますが、丸型は一般家庭でもほとんど見かけることがなくなってしまいました。

せいろのメリット

金属製やガラスなどの蒸し器と、木のせいろの違いは蒸気の調節にあります。金属製のステンレス・アルミの蒸し器で蒸すと、中に水分がこもり、水蒸気が水滴となってしまいます。その点、木のせいろは蒸しあがるまではもちろん、冷めるまでも冷めてからも常に蒸気(水分)を調節してくれます。

つまり、おこわやお赤飯などの水分の調節が必要な蒸し料理を調理する時は、木のせいろを使うことにより、水滴が素材に戻ることなく、冷めても美味しく食べることができるのです。

他にも野菜蒸しやまんじゅう、焼売などの点心、ご飯の温め直しなどにも、木のせいろのほうが断然向いています。木のせいろを買ったら、まずはご飯の温め直し、そして野菜やジャガイモを蒸す時にはせいろで試してみてください。驚くほどホクホクしているうえに、うま味が凝縮されてとても美味しいです。

せいろの選び方

サイズは直径30~90cmくらいまで、いろいろな大きさがありますが、中華鍋の寸法に合わせて選んでください。その場合、中華鍋の直径よりも3cmくらい小さめで、枠組みのしっかりしたものがよいでしょう。

側面は木製の曲げもの細工がされていますが、最近ではすのこの部分が手入れのラクなジュラルミン製(アルミ合金)やアルマイト製のものもあるようです。

おすすめの材質

パール金属 和の里 中華せいろ 18cm H-5713

「中華せいろ」は竹、杉、ひのきを使ったものが主流で、木の香りと本格的な見た目が最大の魅力です。木の香りが苦手な人には、香りが穏やかな竹製をおすすめしますが、逆にせいろの香りが好きな人には杉製がよいでしょう。見た目が一番美しいのは、繊細な木目のひのき製、「檜のせいろ」です。

おすすめサイズ

サイズも豊富にあります。サイズは点心用の直径15cmくらいから、業務用の90cmくらいまで、いろいろな大きさがありますが、中華鍋の直径よりも3cmくらい小さめで、枠組みのしっかりしたものがよいでしょう。

野菜や点心を蒸すのには、直径15~18cmほどの小さいものを使うと、そのまま食卓に出すことができます。2~3人だと、直径18cmのものを3段、直径21cmのものを2段のものを。そして4人家族でしたら、直径21~24cmを2段持っておくと使いやすいでしょう。

お手入れ方法

木製のどの材質であっても、お手入れ方法は同じです。洗剤は使わずに、お湯と柔らかいスポンジで洗い、乾いたふきんでよく拭いてから、風通しのよいところで乾燥させてから保管しましょう。
自然素材ですが、洗った後にしっかり乾燥させることでカビの繁殖を防げます。汚れが残りがちな、底の裏側や隙間は丁寧に洗ってくださいね。

木製せいろの特徴

  • 蒸気の調節ができ、水滴が戻らない
  • 木の香りがする
  • 見た目が本格的で雰囲気がある
  • ミニサイズだとそのまま食卓に出せる

ステンレス製・アルミ製の蒸し器について

蒸し器とせいろ

金属製蒸し器の種類

パール金属 2段 蒸し器 26cm ガラス鍋蓋付 IH対応 ステンレス NEWだんらん H-5875

ステンレス製・アルミ製の蒸し器は、水分の調節に関係ないものを調理するときに使います。鍋の中段に中敷きを置く「ずんどう型」や、上下分離する二段式の「せいろ型」などがあり、調理するものと言えば、プリンや茶わん蒸しなど、カップなどに入れて蒸すものに適しています。

金属製蒸し器のメリット

木のせいろに比べて中に蒸気がこもるので、熱のまわりがその分早くなりますので、熱伝導のがよいことから蒸し時間は短くて済みます。湯が早く蒸発し水滴が落ちる欠点もありますが、持ち運び、手入れはとてもラクなので、ご家庭では重宝することでしょう。

金属製蒸し器の選び方

調理途中の差し水がしやすいのは「せいろ型」ですし、中敷きをはずして鍋として併用できるのは「ずん胴型」です。同じ大きさなら丸型よりも角型の方がたくさん入ります。正方形タイプと丸いタイプがありますが、下に重ねるお鍋のことを考えると、丸形の方が使い勝手がよいでしょう。

木製のせいろとの違いは「香り」です。せいろの香りが好きな方には、ステンレス製やアルミ製だと、物足りないかもしれませんが、繊細な香りのものやプリンなどのお菓子を蒸すには、香りがしない金属製が適しています。油や調味料が染み込み心配もなく、洗剤でゴシゴシ洗えてフキンでさっと拭いてしまえるのも、金属製の良さといえます。

ステンレス製・アルミ製蒸し器の特徴

  • 蒸し時間が短くて済む
  • 蒸すものに、匂いがつかない
  • お手入れが簡単

ガラス製の蒸し器について

蒸し器とせいろ

ガラス製蒸し器の種類

アデリア 鍋 スチーマー 蒸し器 耐熱ガラス こびりつかない アンバー 20cm セラベイクファイア 2L 直火・電子レンジ・オーブン対応 K-9470

ビジュアル重視なら、食卓にそのまま出せるタイプの、ガラス製の蒸し器もあります。蒸したてをそのままテーブルにおけると、出来たてアツアツをすぐに食べられるし、お皿に盛りかえる手間が省け冷めにくいうえに、洗い物も少なくなる、などあらゆる面で便利です。

ガラス製蒸し器のメリット

ガラスなので、蒸している間、中の様子をチェックできるので重宝しますが、金属製に比べるとやはり調理時間は若干かかります。頻繁に蒸し料理をするわけではないし、置き場所も取るし…と、蒸し器を使ってみたいもののなかなか手が出ない方には、ガラス製の蒸し器から試してしてみましょう。

ガラス製蒸し器の特徴

  • 食卓にそのまま出せる(出来たてをすぐ食べられる)
  • 調理中に中の様子がわかる
  • 金属製よりは、蒸し時間が長い

電気の蒸し器について

蒸し器とせいろ

電気蒸し器の種類

家庭で蒸し料理をするとなると何かと面倒で、なかなか手が出ない…そんなのはもう過去の話です。電気蒸し器を使えば手軽に簡単に蒸し料理が楽しめます。殆どがタイマー付きなので、食材を入れてタイマーをセットしておくと他の料理と一緒に並行調理ができるので効率的です。

電気蒸し器のメリット

電子レンジで調理するより、ちゃんと蒸して温めることで本格的な味を美味しく楽しめるうえに、卓上に置いて蒸しながら食事することもできます。

電気の蒸し器の特徴

  • 卓上で調理できる
  • タイマー機能付きで時間の管理が簡単
  • 蓋がガラスなので中を確認しやすい

蒸し器とせいろの使い方

蒸し器とせいろ

「蒸し料理」というと面倒くさそう思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はとっても簡単なんです。コツをつかめば、手間もかからず失敗もしにくいです。

蒸し器とせいろの使い方のコツ

  • 強めの火力にして、蒸気がしっかりあがるようにする。
  • 蒸し器下のお鍋に、調理に適した量のお湯を入れる。
  • 蒸気の通り道を塞がないように、蒸し器いっぱいに素材を入れない。
  • 何度もふたを開け閉めしない。

蒸し器とせいろの上手な使い方

カットや下味をつけて蒸す

野菜は洗ってカットしたものを、お肉やお魚は下味をつけたものを、受け皿にのせて、蒸気のしっかりあがった蒸し器やせいろに入れたら、あとは強火で蒸すだけです。蒸す調理方法は温め直しにも活用できます。

冷ごはんやお惣菜を器に盛り付けてから蒸すと、レンチンとはくらべものにならないくらい、ふっくらおいしくできあがります。

材料と材料の間をあけて並べる

蒸気で材料を加熱するため、蒸気が蒸し器内に均等にまわるように適度な隙間をあけ、まんべんなく蒸気が当たるようにします。金属の蒸し器をつかう場合、中敷きに巻きすを敷くと蒸気が均一にまわります。

バットや流し缶など、底の面積が大きく平らな容器で蒸す場合は、蒸気の穴がふさがれますので、割り箸を並行に中敷きの上に置き、蒸気が器内に十分まわるようにします。

湯を沸騰させてから蒸す

簡易蒸し器もせいろも、必ず湯を沸騰させ、湯気が十分に上がってから材料を乗せるようにします。ぬるい状態で加熱をはじめると熱の通りが悪く、時間もかかり、水分過剰で水っぽい仕上がりになってしまうからです。

材料を入れる時は、弱火か火を止めるようにします。そのあとの火加減は材料によって違うので注意しましょう。いつでも差し水できるように隣にやかんをかけておくとよいでしょう。

蒸すときは専用の蒸し布を敷く

大鉢や大皿で蒸しものをするときは、大きめの専用の蒸し布を敷き、その上に乗せて蒸します。蒸し布が火に触れないように端をフタの上にのせます。取り出すときは、蒸し布の両端を持ち上げるだけで、熱い皿をラクに取り出せます。また、プレートハンガーを使うと便利です。器をはさんで引き上げれば、簡単に取り出すことができます。

すのこに直接材料をのせるときは、サラダ油を薄く塗ったり、底に白菜やキャベツやを敷くと材料がくっつきませんので試してみてくださいね。

うまく蒸せない原因

うまくいかない原因は、蒸し料理の要となる「蒸気」を上手に使えていないことなんです。火加減が弱すぎたり、蒸気がちょろちょろとしか上がらなかったり、または蒸し器の下のお鍋に入れたお湯の量が少なかったりすることが、失敗の原因になります。

また、蒸し器に蒸気をうまく対流させることが重要なのですが、蒸し器いっぱいに素材を並べてしまい、蒸気の通り道がなかったり、蒸し器の中が気になってしょっちゅうふたを開け閉めしたりしてしまうと、これも上手にできない原因になります。

ぜひ上記のコツをおさえて、蒸し料理を楽しんでみてくださいね。

蒸し器とせいろ使用上の注意点

蒸し器とせいろ

せいろを使う時の中華鍋は浅めなので、大量にお湯を沸かすことができません。長時間蒸すときは空炊きしないように、途中でさし水をします。中華鍋の湯はせいろの外枠の底辺よりも常に0.2~0.3cm高めに入れておくと空炊きを防ぐことができますし、器具も傷めずにすみます。

熱のあたりが強いので、常に適度な蒸気が出るように火力調節に気を配りましょう。木でできていますから、枠が焼け焦げてしまわないように、長時間蒸す時は、タイマーをかけるなど注意が必要です。

鍋型の蒸し器は、蒸気が抜けきらずに水滴となって落ちることがあります。蓋から水滴が落ちると、料理の仕上がりが悪くなってしまうので、蓋と本体の間にふきんをはさんでおきます。
使用するふきんの材質は、吸湿性のよい、目の粗いものが向いています。そのときにふきんの端を蓋の上で結んで置いたり、輪ゴムなどで止めておくと火で焦がしてしまう心配がありません。

最後に

蒸し器とせいろ

せいろと蒸し器の種類や使い方についてご紹介しました。蒸し器を使いこなすとお料理の幅もぐっと広がりますので、使用する時のコツをおさえて、ぜひ蒸し料理を楽しんでみてください。茶碗蒸しや、肉まん、シューマイなどの点心だけでなく野菜蒸しもヘルシーでおいしいですよ。

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