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学ぶ機会が少ないテーブルマナーに苦戦
大人になると、取引先との食事会や記念日のデートなど、高級レストランを利用する機会が増えていきます。そのときに困るのがテーブルマナー。間違えたり失敗したりすると、自分だけでなく一緒にいる人まで恥ずかしい思いをするかもしれません。
テーブルマナーはただ形式的なルールではありません。高級レストランのテーブルマナーは、自分や一緒にいる人たち、そしてお店の人が気持ちよく食事を楽しめるように工夫された心配りの形なのです。
日常生活でテーブルマナーを意識する機会はあまりないかもしれません。だからこそ、いざという時に慌ててしまうのです。基本的なマナーを事前に確認しておけば、誰でも安心して食事の席を楽しめるでしょう。
高級レストランで恥をかくNGテーブルマナー
高級レストランでは、多くのお客さんが特別な時間を過ごしに来ています。そのため、普段は気にしないようなちょっとした行動でも、マナー違反になることがあります。
「悪気はない」としても、周りの人が嫌な気持ちになったり、サービススタッフの仕事の邪魔をしてしまったりすることがあるのです。ここでは、特に注意したいNGテーブルマナーを解説します。
①スタッフを「すみません」と大きな声で呼ぶ
普段、レストランでスタッフを呼ぶときには「すみません」と声をかけることが多いでしょう。しかし、高級レストランではこれは適切な方法ではありません。静かな空間を楽しんでいる他のお客さんに迷惑をかけてしまう可能性があるからです。また、サービススタッフは常にテーブルの状況を気にしているため、大きな声で呼ばなくても、少しの合図で気付いてくれることがほとんどです。
スタッフを呼ぶ際には、軽く手を上げるか、スタッフと目が合ったときに人差し指を小さく立てるなどの仕草をするのがスマートです。また、注文をしたいときにはメニューを閉じてテーブルに置くのが合図になることも覚えておくと良いでしょう。こうした方法は、周囲にも静かな環境を提供し、スタッフに対する配慮も示すことができます。
②食事中にスマホをテーブルの上に置く
スマートフォンは日常生活に欠かせないアイテムですが、高級レストランでテーブルの上にスマホを置くことはマナー違反とされています。これはテーブルが食事を楽しむための特別な場所だからです。テーブルの上にスマホがあると、メールや通知を気にしてしまい、目の前にいる人との会話や料理への集中が妨げられてしまいます。
高級レストランでは、スマホはバッグやポケットにしまい、どうしても使いたい場合は静かに席を離れて使うようにしましょう。これにより、相手に集中していることや、その場の雰囲気を大切にしていることが伝わります。また、スマホを控えることで、日常の忙しさを忘れて、ゆったりとした贅沢な時間を過ごすこともできます。
③ナプキンをきれいに畳んで帰る
食事を終えた後、ナプキンを丁寧に畳んでテーブルに置く人がいます。特に日本人には、「使ったものを綺麗に片付ける」という習慣が根付いているため、この行動を取る人も多いでしょう。しかし、高級レストランではナプキンをきれいに畳むことがマナー違反になってしまいます。これは、「料理が美味しくなかった」という意味に捉えられることがあるからです。
高級レストランでは、食事後のナプキンは軽く二つ折りにして、皿の左側に置くのが正しい方法です。あえてきっちり折らず、少し崩して置くことで、「美味しかった、満足しました」という意味をさりげなく伝えることができます。また、食事中に席を立つ場合には、ナプキンを椅子の座面に置いておくことで、戻ってくることをスタッフに知らせる合図になります。
ナプキンの扱いひとつにも、お店やスタッフへの感謝の気持ちや、食事への満足感を伝えるための細やかな気遣いが表れているのです。
④カトラリーを落としたら自分で拾う
食事中にナイフやフォークなどのカトラリーをうっかり落としてしまうことがあります。普段ならすぐに自分で拾いたくなりますが、高級レストランでは自分で拾うことは避けましょう。これは、スタッフがサービスの一環としてすぐに新しいカトラリーを持ってきてくれるからです。逆に自分で拾ってしまうと、スタッフの仕事を奪うだけでなく、スマートな振る舞いに欠けてしまいます。
カトラリーを落とした場合には、慌てず、スタッフとアイコンタクトを取りましょう。スタッフはこのような状況に慣れており、素早く対応してくれます。もしスタッフが気付いていない場合でも、軽く手を上げる程度で十分です。高級レストランでは、お客さんが安心して食事を楽しめるよう、スタッフが常に状況を確認していますので、安心して任せることが大切です。
⑤バッグや荷物をテーブルに置く
バッグや小物などの私物をテーブルの上に置くことも、高級レストランでは控えるべき行動です。テーブルは料理や食器を置くための特別なスペースです。バッグなどの荷物をテーブルに置いてしまうと、料理を楽しむ雰囲気を損なってしまいますし、スタッフのサービスの邪魔になることもあります。
小さなバッグであれば、椅子の背もたれの後ろか足元に置くようにしましょう。また、大きな荷物やコート類は入口のクロークに預けるのが最適です。クロークに荷物を預けることで、席がスッキリして料理や会話に集中できるだけでなく、お店の雰囲気にも合ったエレガントな振る舞いになります。
⑥食事中に席を立つタイミングを考えない
食事中に席を立つタイミングにも注意が必要です。料理が運ばれてきている途中や、メイン料理を楽しんでいる最中に席を立つのは、周囲に迷惑をかけてしまいます。また、席を立つタイミングによっては料理の提供が遅れることもあるため、マナー違反とされています。
どうしても席を立つ必要がある場合は、料理と料理の間(例えば、前菜とメイン料理の間やメイン料理とデザートの間)に席を立つのが適切です。その際、ナプキンは椅子の座面に軽く置き、「また戻ります」という意思表示をするようにしましょう。トイレや急用があるときにも、このタイミングを守ることで周囲の人に迷惑をかけず、自分自身も落ち着いて行動できます。
食事をスムーズに楽しむためにも、席を立つタイミングに気を配ることが大切です。
知っておくと便利なマナーのポイント
料理のジャンルによってもテーブルマナーは少しずつ異なりますが、高級レストランでの基本的なマナーは共通しています。
例えば、ワインを注いでもらうときはグラスを持ち上げずにテーブルに置いたままにすることや、グラスを持つときには脚の部分を持つことが美しい振る舞いとされています。
また、食事中の姿勢にも気をつけましょう。椅子の背もたれに寄りかかりすぎず、背筋を伸ばして軽く腰掛けるとスマートに見えます。香水は控えめにすることで、料理の香りを妨げることもありません。さらに、大きな音を立てないように食べたり話したりすることも、周囲の人に対する思いやりとなります。
これらのポイントを意識するだけで、周囲の人に好印象を与えることができ、自分自身もリラックスして食事を楽しむことができます。
まとめ
高級レストランでのテーブルマナーは、形式的なルールに見えますが、その根本には周囲の人への思いやりがあります。大切なのは、一緒にいる人やスタッフ、周囲の他のお客さんが気持ちよく食事を楽しめるよう気配りを忘れないことです。
また、マナーを意識し過ぎて楽しめないのも本末転倒です。少しずつでも基本のマナーを実践していけば、自然な振る舞いが身についていきます。マナーは人への思いやりであり、自分自身が素敵に見えるための手段でもあるのです。食事を楽しむ気持ちを忘れずに、ぜひ優雅なひとときを過ごしてください。