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花を美しく保つためには「場所選び」がカギ
花は生きています。水を吸収して呼吸もしているため、環境によってはあっという間に枯れてしまいます。また、花に適さない環境は、健康や安全の面でも思わぬトラブルを招くことがあります。
そのため、花を美しく長持ちさせるには、飾る場所をしっかりと選ぶことがとても重要です。これから具体的に「飾ってはいけない場所」を解説しますので、ご自宅の環境と比較しながら参考にしてみてください。
花を飾ってはいけない5つの場所
花は繊細で、ちょっとした環境の変化でも傷んでしまいます。置く場所が原因で花の元気が失われることが多いため、花を傷めてしまう具体的な原因を詳しく説明していきます。
1. 直射日光が強く当たる窓際
花は適度な光があると元気になりますが、直射日光が強く当たる場所では逆に傷んでしまいます。その理由は、直射日光が花びらや葉の水分を蒸発させてしまい、短時間で乾燥してしおれてしまうためです。
また、強い日差しは花の色素を壊し、花の色が早く褪せる原因になります。さらに、直射日光に当たった花瓶の水は急激に温度が上がり、バクテリアが繁殖しやすくなって茎を腐らせます。
花を元気で美しいまま楽しみたい場合は、直射日光が当たらないレースのカーテン越しや間接光が届く程度の場所が適しています。
2. エアコンや扇風機の風が直接あたる場所
エアコンや扇風機の風が直接花に当たると、葉や花びらが急激に乾燥し、短期間で枯れてしまいます。また、エアコンの風は室温と比べて温度差が激しいため、花に強いストレスを与えます。
さらに風が直接花に当たることで、茎や花が細かく揺れてしまい、水の吸収が悪くなります。その結果、花びらがすぐに落ちたり、蕾が開かずに枯れてしまったりします。
花を飾る場合はエアコンの風が当たらない静かで安定した場所を選ぶようにしましょう。エアコンの近くに置かなければならない場合は、風向きを調整したり、風よけを置くなどの工夫をすると花が傷みにくくなります。
3. 湿気が多く暑い場所(浴室・キッチンなど)
湿気が多く、温度が高くなりやすい場所は花を飾るのには向いていません。特に浴室やキッチンなど、水やお湯を頻繁に使う場所は湿気がこもりやすく、花瓶の水温が上がってしまいます。
水温が高くなるとバクテリアが繁殖しやすくなり、茎の切り口が傷みやすくなります。また、高温多湿な環境は花びらや葉にカビを発生させる原因にもなり、清潔さを保つことが難しくなります。
さらに、室温が25度以上になると、切り花は水分を吸い上げる速度が追いつかず、寿命が急激に短くなることが知られています。湿気や熱がこもりやすい場所は避け、涼しく風通しの良い場所に飾ると花が長持ちします。
4. カーテンや扉がよく動く場所
カーテンが揺れたり収納扉を開け閉めするたびに花がぶつかる場所も、花にはよくありません。花びらや葉は繊細なため、何度もぶつかると傷みやすく、すぐに見た目が悪くなってしまいます。
また、カーテンや扉が花瓶に当たってしまうと、花瓶が倒れて割れる事故にもつながります。特に小さい子供やペットがいる家庭では、安全面の観点からもカーテンや扉から離れた安定した場所に置くことが望ましいです。
5. 果物やタバコの煙が近くにある場所
意外に思うかもしれませんが、果物やタバコの煙が花の近くにある環境も、花にはあまり良くありません。果物やタバコの煙は「エチレン」という気体を発生させます。エチレンは花の老化を促進する物質で、花がすぐに萎れたり、花びらが散りやすくなります。
特にリンゴやバナナはエチレンを多く出すため、花の近くに置くとその影響を受けやすくなります。これらの果物やタバコの煙が届かない場所に花を置くと、花の寿命を守ることができます。
花を飾るおすすめの場所と、きれいに保つポイント
花を長く美しく保つには、明るさや温度、風通しのよさなどを考える必要があります。また、毎日の暮らしの中で自然に目に入り、気分を明るくしてくれるような場所を選ぶのも大切です。ここからは、花を飾るのに適した場所と具体的な飾り方をお伝えします。
涼しく風通しがよい北や東の窓辺
北や東の窓辺は日差しが強すぎないため、切り花が傷みにくくおすすめの場所です。特に夏場は室温が高くなりやすく、花の寿命が短くなるため、直射日光が当たりにくく涼しい場所を選びましょう。
レースのカーテンを使うことで、やわらかい光を花に当てることができます。風通しが適度にあるとバクテリアが繁殖しにくくなり、水の劣化を遅らせる効果もあります。
玄関やリビングなど、よく目に入る場所
玄関やリビングといった家族みんながよく通る場所に花を飾ると、心理的にも良い効果があります。特に玄関は、帰宅した時に最初に目に入る場所なので、花があると疲れが癒され、気持ちが明るくなります。
リビングに飾る場合は、家族の視線に入りやすい高さ(120~150cmくらい)に置くと自然と視線が向きやすくなります。花を見ることが日常になると、家族のコミュニケーションが増えたり、部屋でのくつろぎ感がアップしたりと、心理的なメリットも期待できます。
寝室や書斎など落ち着ける空間
寝室や書斎のように静かで落ち着いた場所には、刺激の少ない色合いや優しい印象の花が適しています。例えば、パステルカラーのような柔らかい色の花を置くと、気持ちが安らぎ、心地よい空間になります。
寝る前に花を見ると、副交感神経が刺激されてリラックス効果が高まり、睡眠の質もよくなります。ただし、香りの強い花は逆に眠りを妨げることがあるため、香りの弱い種類を選ぶのがおすすめです。
室内で飾るときに注意したい花の特徴
花は見た目だけでなく、それぞれ特有の性質を持っています。中には美しい見た目とは裏腹に、飾る場所や状況によっては注意が必要なものもあります。ここでは特に室内で飾る際に注意が必要な花について説明します。
ユリ、チューリップ、アジサイなど毒性を持つ花
ユリ、チューリップ、アジサイなどは毒性を持っているため、飾る際には注意が必要です。特にユリの花粉や葉は、猫にとって腎臓に障害を起こす危険性が高いことがわかっています。
またチューリップやアジサイも、誤って食べると吐き気や腹痛を起こすことがあります。ペットや小さなお子さんがいる家庭では、こうした花を飾る場合には高い位置に置くか、そもそも違う花を選ぶなど、慎重な配慮が必要です。
バラやサボテンなどトゲのある植物
バラやサボテンのようにトゲがある植物は、飾る際に置き場所に注意しましょう。特に小さな子供がいる家庭では、トゲで怪我をすることがあります。また、地震やちょっとした振動で花瓶が倒れた場合、トゲが刺さる危険もあります。
飾る際は、人があまり動かない場所や高い位置、安定した台の上に置くよう心がけましょう。
切り花を美しく長持ちさせるコツ
切り花を長く楽しむためには、定期的なケアが大切です。特に、茎の切り方、水の管理、花瓶の清潔さを保つことで、花は元気に長持ちします。次からその方法を具体的に説明します。
茎の切り方は「水切り」がポイント
茎の先端を水の中に入れて斜めにカットする「水切り」をすると、水を効率よく吸い上げられます。斜めに切ることで茎の断面積が広がり、水分の吸収が良くなります。
茎を水中で切る理由は、空気が茎に入り込むのを防ぐためです。また、切れ味の良い専用のハサミを使うと茎を傷めず、より長持ちします。
水の量と交換の頻度に注意する
花瓶に入れる水は多すぎても少なすぎてもよくありません。基本的に3~5cm程度の水を入れますが、茎が腐りやすい柔らかな茎の花(ガーベラなど)は水を浅く、バラのように水を吸いにくい花は深めに入れると長持ちします。
水の交換は毎日行うのが理想的ですが、市販の切り花延命剤を使用する場合は2~3日に1回でも十分です。
花瓶を常に清潔に保つ
花瓶が汚れると雑菌が繁殖して花の茎が傷み、寿命を縮める原因になります。花瓶の内側がぬるぬるしてきたらすぐに中性洗剤でよく洗い、十分にすすぎましょう。湿気が多い梅雨や夏場は、漂白剤を少量加えると消毒効果が高まり、花瓶を清潔に保てます。
まとめ
花は日々のちょっとしたケアと正しい置き場所の工夫で、格段に美しく長持ちします。飾る花によって部屋の雰囲気が変わり、暮らしの中で小さな幸せを感じる瞬間が増えるでしょう。お気に入りの花を見つけて、ぜひ毎日の生活に取り入れてみてくださいね。