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どうして文章を読むのが苦手になってしまうの?
本や資料を見て、たくさんの字がぎっしり詰まっているだけで疲れてしまう、そんな経験はありませんか? 実は、文章を読むのが苦手な人は年々増えていて、令和5年度の国語に関する世論調査では月に1冊も本を読まない人は約62%にのぼります。
読書が苦手になる理由はさまざまですが、代表的なものに、字を読むことへの抵抗感、言葉や漢字が難しく感じること、文章の内容がうまく頭に残らないことがあります。これらには、本人の努力不足というよりも、脳の仕組みや環境などが関わっています。
これから、文章を読むのが苦手な人によくある特徴とその理由を見ていきましょう。
文章を読むのが苦手な人によくある特徴
文章を読むのが苦手な人には、次のような特徴がよく見られます。
① 字がぎっしり詰まっていると圧倒される
文章がびっしり並んでいる本や資料を見ると、それだけで気後れしてしまう人がいます。これは、脳が「大量の情報を処理するのが難しそうだ」と判断し、読む前から疲れてしまうからです。視覚的な負担が大きいと、内容よりも「読めないかもしれない」という不安のほうが強くなります。
② 漢字が難しく感じる
文章を読んでいて途中で止まってしまう人は、知らない漢字が多いことが原因のひとつです。日本語は漢字を使うことで情報が圧縮されるため、漢字がわからないと文章の意味がつかみにくくなります。特に学校で習った漢字でも、読めても意味が理解できないと文章の理解が途切れてしまいます。
③ 語彙が少なく文章の意味がわかりにくい
文章を読むときには、多くの言葉を知っている必要があります。使われている言葉が難しかったり、知らない言葉が多いと、そのたびに読む流れが止まり、読解が途切れます。語彙力が少ないと、内容を正しく理解することが難しく、結果的に読むこと自体が嫌になってしまいます。
④ 集中力が長く続かない
普段、文章をあまり読まないと、読書に必要な集中力を維持することが難しくなります。集中力が途切れやすいと、内容を理解し続けることが困難になり、読みながら眠くなったり、別のことを考えてしまったりします。これは注意を維持する脳の機能がまだ十分に鍛えられていないからです。
⑤ 比喩や抽象的な表現を理解しにくい
小説やエッセイなど、比喩や抽象的な言い回しを多く使う文章が苦手な人もいます。これは文章に書かれている言葉を、頭の中で具体的なイメージや状況に結びつけることが苦手だからです。比喩や抽象表現は一度慣れてしまえば理解を深める助けになりますが、最初は大きな壁となってしまいます。
⑥ 文章を覚えておくことが難しい
読んだ内容を一時的に記憶することが難しい人は、文章を読み進めてもすぐに前の内容を忘れてしまいます。これは「ワーキングメモリ」と呼ばれる短期記憶の力が弱いことが原因です。ワーキングメモリが弱いと、文章の流れや論理関係をうまくつかめず、理解が難しくなります。
文章の理解力を高める方法
文章を読むのが苦手だと感じている人でも、ちょっとした工夫をすることで読みやすくなります。ここでは、すぐに実践できる方法を具体的に紹介します。
疲れていない時間帯に読む
文章を読むには集中力や注意力が必要です。疲れていると、普段より集中力が落ちてしまい、読むことがさらに難しくなります。そのため、朝やリラックスしている夕方など、自分が元気で頭が冴えている時間帯に読書をするのがおすすめです。疲れていないときのほうが、文章をすんなりと理解できます。
文章を区切りながら読む
長く複雑な文章は、そのまま一気に読もうとすると疲れやすくなります。そんなときは、文章を区切りながら読むと良いでしょう。文の途中でも、「/」などの印を入れながら、小さなまとまりごとに区切って読んでいくと、文の構造がはっきりして内容がつかみやすくなります。
音読して耳からも理解する
目だけで文章を追うことが難しい場合、音読して耳でも情報を取り入れると理解が深まります。声に出して読むことで、自分の耳にも内容が入るため、記憶や理解が強化されます。難しい言葉や漢字でも、音で確認することで意味がわかりやすくなります。
映画やアニメになっている本を読む
映画やアニメなどで内容を知っている物語を本で読むと、ストーリーが頭の中で具体的なイメージとなっているため、理解が楽になります。初めて読む文章でも情景や登場人物がイメージできれば、読む際の負担が減ります。まずは、知っている作品の原作本を手に取ってみると良いでしょう。
電子書籍を使ってみる
電子書籍は文字サイズや背景色を調整でき、読み上げ機能もついています。そのため、目の疲れを軽減したり、音で内容を確認したりできます。読み上げ機能と文字を目で追うことを同時に行えば、ワーキングメモリの負担が減り、内容をよりスムーズに理解できます。
わからない言葉はすぐ調べる習慣をつける
文章の途中で知らない言葉が出てきたときに放置してしまうと、文章全体の意味が曖昧になってしまいます。わからない言葉があったらすぐに辞書やスマートフォンで調べ、その場で意味を理解する習慣をつけましょう。語彙が少しずつ増え、読むこと自体が楽しくなってきます。
内容を想像しながら読む
読んでいる文章の内容を、自分なりにイメージして想像しながら読むと、理解が深まりやすくなります。物語であれば登場人物の気持ちや背景を具体的に想像し、説明文やニュース記事であれば、その状況を目に見えるようなイメージにしていきましょう。この方法で読解力だけでなく、想像力も養えます。
まとめ
文章を読むのが苦手な人にとって、読書は修行のように感じるかもしれません。しかし、読書の楽しさは単なる情報収集にとどまらず、自分の知らなかった世界を知る喜びを与えてくれます。無理なく自分のペースで、好きなジャンルから読み始めましょう。
さらに読んだ内容を誰かに話したり、日記やブログに書き残したりすると、理解力や記憶力も高まります。「読む」から「伝える」へ一歩進むことで、苦手意識が少しずつ消え、読むこと自体が楽しく感じられるようになるでしょう。